2011-12-01(木) [長年日記]
■ Herokuにkindlegenコマンドを入れるgemを作った(けど失敗)
たとえばHerokuでKindle向けにドキュメント配信をするようなサービスを動かすとして、ネックになるのが.mobiファイルの生成をどうするかである。考えつく方法として、
- Calibreが抱えているライブラリを持ってくる
- メールでPersonal Documentsに送信してうまく変換されることを祈る
- なんとかしてkindlegenコマンドをインストールする
Calibreのmobi変換はかなり優秀なので、これが一番スマートだとは思うけど、たしかPythonなので最後の手段。Personal Documentsの変換は品質に問題があるのでできれば避けたい。ということで、Herokuにkindlegenコマンドをインストールするという方向を探ってみることに。
Herokuへ何かをインストールする方法は、「git push」か「bundle install」しかない(たぶん)。しかしGitHubにリポジトリを公開することを考えると、そこにAmazonの所有物であるkindlegenを含めることはできないので、「git push」はいきなり除外。いちおうサービスの起動直後にtarballをダウンロードして展開することでkindlegenコマンドを取り出すという技もあるし、やってみたらできたのだけど(そういうことを狙ったと思われるコードはGitHubでも見つけられる)、配置先がtmpdirにならざるを得ないのでちょっとなー、という感じ。
ということで、gemを作ってその中でなんとかという方法が残った(前置きが長い)。
で、gemの作り方を調べて、拡張ライブラリを作る過程でなんとかつっこめそうだとわかり、適当なMakefileを吐き出すextconf.rbを書いてみたのがこれ:
これでインストールがこんな感じで簡単になった:
% gem install kindlegen
もちろんGemfileに書いておけばbundlerが入れてくれるようになるので、Herokuでも動くはず!
……と思ってやってみたらダメ。いや、少なくともgitの出力を見ている限りではインストールは成功しているようだ。しかし、サービスの中からkindlegenコマンドを起動してみると見つからないという。「heroku run console」でherokuに入り、binの下を探してみるとない。えっ、なんで!?
で、いろいろ調べてみると、インストール直後にbinの下から一部のコマンド(bundleとか)を除いて削除するプロセスが走っているようだとわかる。ついでにconsoleからファイルを作っても、logoutのタイミングで消される。ぬー、やるなHeroku(笑)。
ちょっと別の方法を探さないとなー。いちおうmobiファイルを生成するrubyなライブラリもあるみたいだから、ちょっとためしてみるか。ちなみにkindlegen gemは、Heroku抜きにしてもそれなりに便利なので個人的にはいいもの作った気分ではある。tarballでしか配布されていないツールをインストールする方法としてアリだね、これは。
2011-12-02(金) [長年日記]
■ Herokuにkindlegenコマンドを入れるgemを作った(こんどは成功)
昨日作ったgemはけっきょくHerokuでは役に立たなかったんだけど、makeされたあとの作業ファイルまでは消されないようなので、そこに残ったkindlegenを使えばなんとかなりそうである。
というわけで、module Kindlegenにモジュールファンクションを定義して、環境にかかわらず使えるようにしてみた:
どっちみちRubyスクリプトの中から使うのが目的なんだから、これでいいのだ:
require 'kindlegen' Kindlegen.run( 'sample.opf', '-o sample.mobi' )
よし、これで野望にまた一歩。
2011-12-03(土) [長年日記]
■ yomoyomo飲み会
yomoyomoさんの上京に合わせてなんとなくつながりのある人たちで集まる飲み会へ参加、鴨鍋を食べた(@勘九朗*1)。1年ぶりだ。
店が地下にあることに気づいた参加者たちが、階段を下りながら「地下だ……」「地下か……」といっせいにつぶやいていたのが面白かった。あんのじょうソフトバンクは電波が入りませんでした。わりと早めにスマフォ化した人たちが多いから、みんなキャリアがSBMなんだよね(笑)。もっともEMOBILEも入らなかったので、どこを使っていてもたいした違いはなかったが。ちなみに料理は美味しかったし、電波入らないおかげでちゃんと話に集中できたので、むしろ地下で良かったのではないでしょうか。
つい先日刊行になった「ケヴィン・ケリー著作選集 1」の序文を書いたyomoyomoさんと、達人出版会の高橋さんがいたこともあって、自分の電子書籍端末でそれを表示させて見せ合うなど。あとは編み物自慢とか猫自慢とか小町ウォッチャーの生態とか。
*1 まったく無意味な100% Flashというすごいサイトだな、ここ
2011-12-04(日) [長年日記]
■ 津久井湖~宮ヶ瀬湖~ヤビツ峠
5時にかけた目覚ましを止めると同時に布団に入ってきたドーラに寝かしつけられそうになるのをなんとかはねのけたので、ちょっと走りに。昨日の飲み会で「乗用車で宮ヶ瀬からヤビツに抜けたらひどい目にあった」という話を聞いたからではないが、近場を軽く流したかったのでそのルートへ。まぁ、車じゃなくてバイクで走るべき道だよね。
日の出少し前に宮ヶ瀬湖についたけど、さすがに紅葉はもう終わり。遠目には色づいて見えるけど、近寄るとほとんど散っているか、紅葉というより茶葉という状況だ。まぁ、そうだよね。秋はマメに足を運ばないと簡単にタイミングを逃してしまう。やっぱ、がんばって毎週ちゃんと起きて走るようにしないといかん。猫め……。
2011-12-05(月) [長年日記]
■ BOOKSCANから巨大なPDFが届いたので圧縮した
蔵書をBOOKSCAN送りにするのも今月で3回目、だいぶ書庫の本棚に隙間が見えてきた。
で、おれの場合、納品されたPDFはあらかじめ自宅でスキャンしておいた表紙を連結してメタ情報を追加してから補完しているのだけど、今回は2冊ほど、1GB近いサイズの巨大なPDFが含まれていて、メモリ不足でその手の作業ができない。どうやら、古くて紙が黄ばんだ本はスキャナがカラー原稿と認識してしまうためらしい。どっちも500ページ程度の文庫本なのにこれはたまらん。
というわけで、軽くグレースケール化してから再パッケージすることにした。ちなみに最近Koboを買ったかずひこから「pdfimages」というコマンドがあるよと教えてもらったので、今回からそれを使ってみることにした:
% mkdir ppm png pdf % pdfimages `basename $PWD`.pdf ppm/tmp % for f in ppm/*; do echo $f; convert $f -type Grayscale `echo $f|sed "s/ppm/png/g"`; done % for f in png/*; do echo $f; sam2p -j:quiet -c:jpeg $f `echo $f|sed "s/png/pdf/g"`; done % pdftk pdf/* cat output `basename $PWD`.out.pdf
これでファイルサイズが1/6くらいになった。モノクロにするともっと小さくなるけど、これはいちおう原本なのでそこまでは追い込まない。
ところで、pdftoppmはページ番号を1から始めるのに、なんでpdfimagesは0から始めるのかねぇ。併用しにくくて困るではないか。
■ Kindlizerもpdfimagesを使うようにしてみた
↑の状況をみて、Kindlizerでもpdftoppmの代わりにpdfimagesを使うようにしてみた。
pdfimagesはフルカラーのppmファイルを吐くし、おまけにファイル名の通し番号がゼロオリジンということもあって、環境に応じてpdftoppmと使い分けるという目論見はさっくりあきらめた。ということで、フルカラーの元画像をどのようにKindle向けに最適化するかという新たな課題が浮上する。というか前からそのあたりをもうちょっと詰めてみたかったのだけど。
まずは、ppm→pngにする段階で、グレースケールにするようにしてみた。何も考えないと255階調になるんだけど、-levelオプションを調整してみたり、16階調(KindleのE Inkがこれ)に変えてみたりしてもあまり最終的なサイズに変化がないので手詰まり。今日はこんなところで。
2011-12-06(火) [長年日記]
■ (いまごろ)LED電球を導入
この夏の節電ブーム(ブーム?)のとき、日本中にLED電球化の嵐が吹き荒れたのだけど、うちで使ってる白熱電球はE17口金の100Wとかそんなのばっかりなので、とてもじゃないけど光量が足らなくてリプレイスできなかった。というか、そもそも切れてもいない電球を替えるとかありえんし。だいたい普通に節電すればいいし。
で、昨日ようやく(?)トイレの電球(これもE17口金の60Wタイプ)が切れたので、ついに我が家にもLED化の波がきたのだ。
夏ごろはまだ「高いなー」という感じだったのだけど、今日みてみたら1600円台の製品もあって、ずいぶんこなれた感じ。もっとも上は4000円近い製品もあって、何が違うのかと思ったら光量の違いだった。光量30%アップで値段は倍みたいな世界。まだまだ技術革新が続いてる業界なのだなぁ。
で、我が家で使っている60W相当の電球色はないかと探してみたんだけど、上が50Wでしかも手頃な価格のは白色光しかない。電球色で50Wだと一気に最高級品になってしまう。で、ちょっと妥協して40Wの電球色、1600円なりを買ってきてみたんだけど、以前と比べてぜんぜん遜色のない明るさだった。これならなんの問題もない。だいたい、トイレに60Wはオーバースペックだったのではないだろうか?
2011-12-07(水) [長年日記]
■ ケヴィン・ケリー著作選集 1
達人出版会から先日発行された「ケヴィン・ケリー著作選集 1」を読んだ。元のブログがCC BY-NC-SAということで、堺屋七左衛門さんが継続的に翻訳していた中からチョイスしたエッセイを電子書籍の体裁にして出版したもの。NCなので翻訳版も無料である。達人出版会の英断に感謝。達人出版会のサイトからはユーザ登録しなくてもダウンロードできるばかりか、いつものPDF、EPUBに加えてKindle向けにmobi版まで用意されている。すばらしい!
「1」ということで続編も企画されているようだが、本書の一貫したテーマは「なんでもかんでも無料になってしまうこの世の中で食っていくにはどうしたらいいか」だ(エッセイ集なのでその手の話ばかりというわけでもない)。冒頭の「無料より優れたもの」や「千人の忠実なファン」はかなり話題になったので読んだ人も多いと思うが、その続編、後日談、変奏曲が何本か入っている。
最初に読んだとき、上にあげたエッセイはかなり納得のいく話だったし、これからの社会ではこういうことを前提に生きて行かないといけないのだろうなぁと感じたものだが、本書におさめられているその後の調査では、「千人のファン」だけに食わせてもらっているアーティストはまだ発見されていないということがわかったり、千人も集められない人たちの作品にはどのような価値があるのかという考察があったりして、今後の展開もまた楽しみだ。
読んでいて自分でも面白いと思ったのが、上記のような「その後の展開」はもしかするとすでに元サイトや堺屋さんの翻訳があるのかも知れないけど、わざわざそこまで出向いて探す気にはあまりならないということ。読書端末がKindleということもあるが、「書籍」という形になると「Web」よりも他の情報に向かわせる障壁が高いのだなぁ。書籍になるということはメディアの「形」が変わるだけではなくて、読者の心理状態もかなり変わる。それこそが、ブログの書籍化をビジネスに転換できる理由の一つなのだろう。まぁ、このシリーズはライセンス上有料にはできないのだけれど。
2011-12-08(木) [長年日記]
■ 16階調グレースケール画像でKindlizerを最適化したらファイルサイズが激減
最近、かずひこがいろいろと良いアドバイスをくれるものだから、Kindlizerの最適化が一気に進んだ。
最初、Debian squeezeでImageMagick(のconvertコマンド)に「-depth 4」を指定したらなんだか白抜き文字みたいなひどいシロモノができてしまったので「ダメだこりゃ」と思ったのだが、ふと思いついてcygwinのImageMagickを使ってみたらちゃんと4bitのPNG画像ができた。調べてみるとlennyに入っているバージョンにはそのものズバリのバグがあるのだった。おーのー。
まぁこういうのは時間が解決してくれるので、とりあえずはImageMagickの最新版を野良ビルドして、あらためて「-depth 4」を指定したら、元ファイルの半分位のサイズになった。これはすごい。しかもクオリティには変化がないか、むしろきれいだし。
これでいこう! とは思うものの、明らかに動作しない環境があることを知ってしまった以上は標準で使うわけにはいかないので、Kindlizerの方には「KINDLIZER_PHASE2_OPT」という環境変数を指定できるようにした。問題を抱えていないImageMagickを使える場合にはここに「-depth 4」を指定すれば良い。
ついでに過去にKindlizeしたPDFをこんな感じのスクリプトで一気に変換してみたところ、大半の本が25MB以内に収まった。25MBというとGmailの添付ファイルサイズの上限なわけで、つまり自炊本の多くをPersonal Documents送りにできるということだ。電子書店で購入したものだけでなく、自炊した本までクラウドで管理できる。夢の未来がここに!
とはいえAmazonのストレージはたった5GBなので、これまで自炊した本のごく一部を送りつけただけでもう10%以上消費してしまった。自分の書庫を全部入れるには明らかに容量も機能も不足なので、Amazonさんには有料でもいいので追加サービスして欲しいなぁ。
■ 青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫 JA オ 6-14)(小川 一水)
解説が坂村健で「どひゃー」となり、その中で小川一水をクラークと比べて評価しているのにいちおうの同意をしつつ、本書がいまいち面白くなかったのはやはりその「クラーク的」部分のせいだろう。
特に巻末の表題作、「オーバーロード」が登場しただけでもう拒否症状が出てしまう。宇宙に人類よりも進んだ知性が存在するのはいい。しかし、彼らが我々を導いてくれる存在であるというおめでたい前提が大嫌いだ。彼らは人類を超越しているがゆえに理解不能であるべきじゃないのか。あからさまなスペオペならまだしも、こういう「いかにもSF」な作品でこれはないよなぁと思うのだよ。
もちろん全部ダメってわけじゃなくて、「都市彗星のサエ」なんていい感じのオールドSF & 良質のボーイミーツガールだし、他にも佳作はあるのだけど。やっぱ『老ヴォールの惑星』は傑作だったのだよなぁ。
2011-12-10(土) [長年日記]
■ グスタフ、ワクチン接種で今年もお漏らし
昨年の大騒ぎから1年、今年もやってきましたワクチンの季節が。
毎回おれが病院へ連れていくのでそろそろひどい目にあうことに気づいてもよさそうなものだが、洗濯ネットに入れられるまではまったく抵抗なく、さほど苦労せずにキャリーに入れて外に運び出したら、家から1ブロックも歩いただけでもう情けない声で鳴き始めるのだった。近所の小学生たちからは変な目で見られるし、まったくもう。
前もって行くことを伝えておいた獣医ではほぼ準備ができていたので、キャリーから洗濯ネットごと引っ張り出して拘束用の檻に押し込み、ぶすっと注射してキャリーに戻すまではあっという間。ただし、今年も盛大にお漏らししたのだった。だから病院へ行く前にはトイレを済ませておけと言っておいたのに(猫に言っても無駄である)。まぁ、去年の脱糞からすればだいぶ進歩かな!(違)
で、最近は「猫小屋」と化していたキャリーもさすがに信用(?)を失ったためか、帰宅後は入ることもなかったのだが、かみさんがふと思いついてドーラ用の小さいキャリーを出してみたら、そそくさとそっちに入ったのだった。なんのギャグだそれ↓
2011-12-11(日) [長年日記]
■ 2本目完成、そして発送 - 実はいま、マフラーを編んでいる(4)
先日編み始めた2本目、夜寝る前のわずかな時間しか編めないからなかなかはかどらなかったが、金曜・土曜にまとめて編んでようやく完成。グレーの三目ゴム編み、両端にオレンジのアクセントを入れてみました。自分で作っておいてなんだが、というか自分で作ったからだけど、これもいいなぁ、自分用に使いたいわ。
かみさんも3本(「ご自宅用」を含めると4本!)を編み上げたので、合わせて4本、ちょうど震災発生から9ヶ月目になる今日、手作りマフラーを東北にプロジェクトへ発送してきた。〆切は12/20だけどちょっと早めに。クリスマスには東北に届くはずである。
2011-12-12(月) [長年日記]
■ TweetDeckが信じられない改悪をしてきたのでCrowyに乗り換え
Chromeアプリで提供されているTweetDeckがアップデートされたのだけど、これがまたひどい出来で、特にFacebook関連の機能が大幅に縮小されて、コメントもいいねもできない、写真の拡大表示もできないのできないづくし。Twitterに買収されたと聞いた時には悪い予感がしたけれど、まさかこれほどまでにあからさまな真似をするとはね。TweetDeckの特徴がきれいさっぱりなくなってしまったとあっては、もう使い続ける意味がない。
幸いなことに、マルチソーシャルメディア対応のクライアントは複数の選択肢がある。有名所ではHootSuiteやSeesmicといったところだが、以前使ってみてイマイチぴんとこなかったこともあり、今回は新参で国産のCrowyを使って見ることにした:
Facebook/Twitter/LinkedIn/Yammer/サイボウズLive/youRoomに対応と、なかなか意欲的。まぁ、当面FacebookとTwitterしか使わないけど、ドメスティックなサービスも入っているので国内ユーザは嬉しいことが多そうだ。mixiが入ってないのはAPIの機能不足か何かかね。個人的にはWassrが入っているとすごく嬉しいんだけど(ムリ)。
後発とはいえ機能的にはほぼ十分で、悪くない。あのTweetDeckを使い続けるくらいならこっちの方がはるかにいい。もうちょっとたくさんのカラムを並べられるような緻密なレイアウトが希望だけど、このあたりはグリモンでどうにかなるらしいので、おいおいいじってみるとしよう。
唯一残念というか今後に期待したいのが、TweetDeck最大の特徴であった「複合カラム」。例えば現バージョンでは「@Me」と表記されている、自分への反応を、サービスをまたがってまとめてひとつのカラムに表示する機能。忙しいときはあれだけ見ておけばよかったので、ずいぶん楽だった。ひとりでたくさんのアカウントを使い分けている人には本当にありがたい機能なのだ。
今のCrowyだとアカウントごとにカラムが独立してしまっているから、見なければいけない場所が多すぎる。これさえなんとかなれば、ほぼカンペキなんだがなー。なんにせよ、これからの成長が楽しみにクライアントだ。
2011-12-13(火) [長年日記]
■ 歌う船 (創元SF文庫)(アン・マキャフリー)
アン・マキャフリーが先月亡くなってしまったので、例によって追悼読書。今年はこんなんばっかりや。
多くの読者にとってマキャフリーといえば「パーンの竜騎士」シリーズだと思うが、あまりファンタジーを読まないおれにとってはなんといっても「歌う船」だ。発表年を見てみたら自分が生まれるより前から書かれていたんだよなぁ。そんな作品が50年たってもまだ読める。今回自炊してバックアップも万全なので、事故さえなければもうずーっと読める。電子書籍はこうありたいですね(棒読み)。
先天性異常で脳だけになった主人公の少女が、サイボーグ宇宙船となって、相棒となる〈筋肉〉たちと銀河を駆け巡るという設定のスペースオペラ。なにせ主人公は10代の少女なので、初恋をし、そして破れ、どうしょもないダメ男にひっかかり、最後には伴侶を見つけるという少女マンガの王道プロットをなぞっているのがすごい。1960年代作品なのに。しかも設定上の制約から、プラトニックにならざるをえないというのがもどかしさを増幅するわけで、当時のマッチョなアメリカン・スペオペの中ではさぞかし異彩を放っていただろうなぁ。
さすがに古臭い表現もあるが、今読んでも面白い。時代を超えて読み継がれる作品だ。
2011-12-14(水) [長年日記]
■ 魚舟・獣舟 (光文社文庫 う 18-2)(上田 早夕里)
日本SF大賞受賞おめでとうございます。「まどマギ」は残念でした!
というわけで、受賞作の「華竜の宮」ではなく、同じ設定で描かれた「魚舟・獣舟」を電子未読の山から発掘して読んだ。「華竜の宮」も読みたいんだけど、Jコレは自炊向きの版型じゃないから、文庫入りを待つしかないなぁ。いやまぁ、電子書籍で出してくれてもいいんですよ?(チラッ
で、読み始めてから短篇集だと気づいたりするわけです。体長15メートルにおよぶ人工魚をめぐる表題作をはじめ、冒頭の数作はバイオホラーが多くて、そういう作風なのかと思ったら「異形」シリーズに寄稿された作品群がメインなのだな。ガジェットがそれっぽくていきなり専門用語が飛び出してくるけれど、設定ドリヴンな話ではなく、小説としての完成度が高いので、短篇ながらどれもずっしりと手ごたえがある。
おかげであまりSF、SFしていないというか、普通に小説として良いじゃん、という感じ。とくに最後の、ほぼ長編並みの長さを持つ「小鳥の墓」も、非常に満足のいく作品ながら、別にこれはSFじゃないというか、無理にSF仕立てにしなくてもいいのにとは思った。
2011-12-15(木) [長年日記]
■ グラコロ同盟2011、終了です
というわけで、本日をもって2011年のグラコロは終了、同時にグラコロ同盟の活動もフィニッシュとなります。みなさんお疲れさまでした。トマコロ、美味しかったですね!
詳しくはグラコロ同盟のサイトを見ていただくとして、とりあえずリザルトだけ載せておきます。トップは@naritamasahiroさんが、前回(2009年)に続いて防衛、なんと84個ものグラコロを平らげました。次に続く@ppoiさんの77個と合わせて、この2人はちょっとおかしいです(笑)。良い子は真似しちゃダメだお。
合計266名の方に参加いただき、全部でなんと944個ものグラコロが我々同盟員の胃袋に収まりました。公式サイトの方も、おいおいメンテナンスモードに移行します。ではまた来年!
2011-12-16(金) [長年日記]
■ トルコのもう一つの顔 (中公新書 1009)(小島 剛一)
artonさんがやたらとおもしろいと言うもんだから、ついつい手にとってしまった。20年も前の本であるが、本当に面白い。最高級の冒険ノンフィクション。
ヒッチハイクや長距離バス、自転車を使っての貧乏旅行でトルコ各地を巡るうちにトルコに魅せられてしまった言語学者が、東部の奥地で出会った(トルコが公式には存在すら認めていない)少数民族や彼らが使う独自の言語について調べていく……という一種の紀行文なのだが、なにしろ「非公式」な存在なものだから、そもそもよそ者には見えないはずの人々なわけだ。そこを持ち前の天才的な言語能力でもって次々と現地に友だちを作っていき、どんどん調査を進めてしまう。その踏み込みっぷりがとにかくすごくて、英語も満足に喋れないおれとしてはもう、まるでファンタジーである。
つくづく「言葉が通じる」ということは大切なのだなぁと思う。よく、お笑い芸人なんかがロクに単語もわからんような外国に行って、手振り身振りだけでなんとか旅を乗り切るみたいなバラエティがあるけど、あんなのぜんぜん表面的にすぎないんだよなぁ。ちゃんと相手と話ができるから、政治や宗教にまで踏み込んだ、本質的なコミュニケーションができるのだ。プログラマだって、関数型言語のなんたるかも知らずにLisp族の使い手と話ができないのと同じである(←またひどい例え)。
さて、話はとうぜん、トルコ当局に目を付けられて……という方向のトラブルに発展していく。近年の日本人の「トルコ感」というと、とにかく親日、地震があったらまっさきに手をさしのべてくれる遠く離れた隣人で、「トルコで私も考えた」で描かれたような気のいい浪花節的な男たちの国である。が、本書で描かれるのは文字どおり「もう一つの顔」で、回教徒やトルコ民族(?)でないものを徹底的に抹消しようとする政府の横暴だったり、自らの存在を隠し、忘れようとしている少数民族だったりする。
で、(いろいろあって)いきなり大ピンチ! というところで物語はバツンと切れるのであった。ええー、そりゃないよと思ったら、20年の時を経て昨年、続編「漂流するトルコ」が出ていたのだ。じゃあこっちも読まないとなぁぁぁ。でもKindleには向かない版型なので悩む……。
トルコのもう一つの顔 (中公新書 1009)
中央公論新社
¥814
2011-12-17(土) [長年日記]
■ 天皇杯: 川崎 0-1 湘南@等々力陸上競技場
ジュニーニョが帰国してしまい、今シーズン残るは天皇杯だけである……が、結果を見ればわかるように、それも今日で終わってしまったのであった。湘南ってJ2だよ!? 次の試合は同じ等々力、今日勝てばクリスマスイブにホームで試合観戦という絶好のシチュエーションだったのに、蓋を開けてみれば(裏試合の鹿島も仲良く負けてくれたので)J2同士の戦いになってしまったという。なんだよこれもう。
点差は少ないし、特に後半はかなりの時間を相手陣内で戦っていたにもかかわらず、今季の悪いゲームの集大成のような見応えのない試合だった。ゲーム終了後、あの優しいことで有名なフロンターレサポーターの中から、相当数のブーイングが沸き起こっていた、と書けばどれだけひどい内容だったかわかろうというものだろう。来季のシーズンチケット買っちゃったんだけど、大丈夫なんですかね……とほほ。
2011-12-18(日) [長年日記]
■ パラボラ写真家のお仕事(2)
「今がわかる時代がわかる日本地図 2012年版」という本にうすださんの写真提供を求められたので、以前載った「ふぇらむ」に続いてパラボラ写真家として二度目の仕事(?)になった。すでにAmazonで買えるもよう。といっても、たかだか数センチ角の小さな囲みだが。
今がわかる時代がわかる日本地図 2012年版 (SEIBIDO MOOK)
成美堂出版
¥1
パラボラ写真といえば、パラボラ仲間のなりたまさひろさんがこんどのコミケでパラボラ写真集を頒布するそうなので(→アナウンスと表紙写真)、コミケに行く予定のある同好の士の方々はぜひ。というかおれは行く予定がないので、誰かに頼まないと……。
■ 「緑のカーテン」を作るぞ(9) - ようやく撤去、そして種子回収
6月に植えた白花夕顔が、11月になっても毎日律儀に花をつけてくれるものだから、なかなか撤去できなかったのだけど、そもそも暑い日差しを遮るための緑のカーテンなのだから、冬になってありがたい日光を遮ってくれては困るわけです。というわけで、いいかげん寒くなったのでようやく撤去した。こんなに長々と咲くものだったとは。葉の茂り具合もあまり良くないので、緑のカーテンとしての「性能」はあんまり高くないのかもね、白花夕顔(知ってたけど)。
というわけで、本当は種子の熟成のために数ヶ月くらいはそのまま置いておきたいものらしいが、そうとも言っていられないのでまだ未成熟の種が多くぶら下がっているのは無視することにしたのだった。それでもけっこうな数の成熟済みの種子が取れた。朝顔の種に比べるとかなり大ぶりで、なかなか立派。気が向いたら来年も育ててみよう。
2011-12-20(火) [長年日記]
■ 著作権的GoodニュースとBadニュース
今日は著作権がらみで良いニュースと悪いニュースが両方あった日だった。
【Good】 Winny開発者 無罪確定へ
最高裁までいったWinny裁判が、ようやく無罪確定。こうなることは確信していたけど、やっぱり長くかかったなぁ。司法にも良識というか常識が残っていることを確認できたという意味でも良かったし、ソフトウェア開発者にとっての安心材料がひとつ増えた。金子さん、本当にお疲れ様でした。
【Bad】 「自炊」代行2社にスキャン差し止め要求 東野圭吾さんら作家が提訴
個人的には断裁後の「紙」をきちんと処分する業者を選んでいるから流出なんてしないし、結果として残るのはPDFのみなのだから複製ではない(データ変換ないし「移動」)だと解釈しているから違法性はないと考えているけれど、こんなの法解釈次第でどうにでもなることも理解しているので、変な判例がつかないといいなぁと思う。まぁ、結果が出るまでしばらくかかるだろうから、それまでに蔵書を全部電子化するまでですわ。残念なことに(というか幸運なことに?)、ここに上がっている作家の本は1冊も持ってなくて、腹いせにブックオフに売っぱらうこともできないのだけど。
この手の話で「自炊をしているのは本の置き場に困るようなロイヤルカスタマなのに、それを盗人呼ばわりするなんて」という批判がよく出るけど、今回の報道を見ていて、この作家たちにとってそういう人たちはたぶん客じゃないのだろうなぁと思うようになった。顔ぶれを見ればわかるけど、それなりに実績のある年寄りばかり。ようするに出せばそこそこ売れるのがわかっているわけで、たとえロイヤルカスタマが見限ってもそれ以外のライトな読者にさえ本が売れればそれで良いのだろう。で、作家に忠誠など誓わないライトな読者にとって本は安ければ安いほどいいわけで、電子データが(違法に)ダウンロードできてしまえば本に金など出してはくれない。ゆえに電子化を目の敵にする。
だったらちゃんと金を払ってくれる読者を育ててプレミアな価値を売ろう……と考えるのが「なんでも無料化時代」のビジネス手法なわけだが(参考:「ケビン・ケリー著作選集」)、彼らはそういう方向を目指すにはおそらく歳を取りすぎている。ゆえに古い手法、つまりライトな読者に多量で安価な「モノ」をすばやく売るしかない。彼らは、DRMのかかっていない事実上「無料」の音楽CDに付加価値をつけて、一人に何枚も買わせてしまうビジネスモデル考えついた秋元康のような才覚を持ちあわせていないだけなのだ。そう考えるとなんだか気の毒になってくるね。
もっとも、そういう旧弊な人たちのせいで電子書籍が不自由なものになるのは耐えがたいよなぁ。『ユーザー個人が電子化する行為は私的複製として「認められる余地がある」』という発言や、浅田次郎の発言をみるかぎり、彼らは本を売っているのではなく、「本を読む権利を販売している」つもりでいるらしい。つまりライセンスモデルを導入したがっている(たとえ紙の書籍であっても)。で、実際のところ日本の電子書籍はそういう方向に突き進んでおり、現状、多くの電子書籍において読者が「購入」した書籍の寿命は書店の寿命と同一である。それは「自分の家の本棚」におさめられる「本」ではない、単なる「貸本」ではないか。そんな「貸本」に「尊厳」とやらが存在するとは思えないのだが。
2011-12-21(水) [長年日記]
■ マウスピースを作り直した
なんかこう、もしおれにストーカーがいたら歯形が手に取るようにわかって泣いて喜んだりするんですかね、この写真。つかグロいので普段より小さい写真にした。
3年以上前に作ったマウスピース、実は半年ともたずに奥歯のあたりに穴が空いてしまい、どんだけ歯ぎしりしてるんだよという状況だったのだけど、面倒くさくて作りなおしていなかった。最近またかみさんから歯ぎしりを注意されることが増えたこともあって、新しくしたのだった。今回はちょっと厚手にしてもらったので、少しは耐久性があるんじゃないかなー、と。
ホント、歯ぎしりは怖いよー。最近は右の肩がやたらと凝るだけでなく、朝起きると奥歯の根元がずきずき痛むとか(これが進むと歯周病になる)、奥歯の角が少し欠けてる(!)なんてこともあった。自分の頬の内側を舌でなぞると、奥から手前にかけて横一文字に盛り上がってる場所があるんだよね。寝てる間に頬をいっしょに噛んでいるせいで、そういう跡がついちゃってんの。こえー。
2011-12-23(金) [長年日記]
■ ケーキを買いにいったら代わりに青キップをもらった
クリスマスのケーキを予約しに、東林間のケーキ屋に車で行ったら、あまり走り慣れていない道だったこともあってうっかり一方通行を逆走してしまい、ちょうどいいところに通りかかった白カブに見つかってしまったのであった。あーあ、なんてすばらしいクリスマスプレゼント!
前回違反したのが2008年の6月なので、だいたい3年に1回くらい捕まってる気がするな。ゴールド免許復活の日は遠いなぁ。
■ 産霊山秘録 (集英社文庫)(半村 良)
小松左京の追悼読書のために古い文庫本を漁っていると、同時代に読んだ他の作家の作品が芋づる式に見つかってしまい、最近のおれのKindleの中身はいったいいつの時代だよという状態。でも、個人的にこれは半村良の最高傑作だと思っているので、読み返せて良かった。デビュー2作目の長編を最高とか、失礼千万かも知れないが、故人なので気にしないでください(^^;
日本には「神の末裔」を名乗る〈ヒ〉という特殊な能力を持つ謎の一族があって……という設定なのだけど、これがいわゆる「架空戦記」にならないのは表面的には我々の知っている歴史と何ひとつ違いがないからだ。重要な歴史的イベントの裏では必ず〈ヒ〉が暗躍し、本能寺の変のようなよく知られている歴史的人物の謎の行動が、〈ヒ〉の存在を仮定するとすべて説明がつくようになっている。地図や歴史にカッターナイフで小さな小さな裂け目をいれて、そこに架空の存在をそっと埋め込むという、半村良の創作スタイルがいかんなく発揮されている。
おまけに古くは織田信長の全国統一から、幕末(新選組と坂本竜馬)、終戦直後やアポロ月面着陸まで、400年以上におよぶパースペクティブ。ジャンル的には伝奇小説ながら、スタイル的には歴史小説をみごとに踏襲しつつ、ガジェットや用語にはさりげなくSF風味が混じっていて、その技巧やバランス感覚たるや、当時の日本SFの中でもかなり異彩を放っていた。
今にして読み返すと、あの大長編「妖星伝」のテーマがすでに登場していて、そうか、これがひな形だったのかとよくわかる。もっとも「妖星伝」はさすがに長すぎるので、数百年間の物語をこの密度で駆け抜ける本作品は、やっぱりずば抜けて傑作だ。歴史小説だからというのもあるが、いま読んでもぜんぜん古びてないところがすごい。
https://www.amazon.co.jp/dp/9784396326449
https://www.amazon.co.jp/dp/9784396326517
https://www.amazon.co.jp/dp/9784396326579
余談。
- 前半に登場する天海(大僧正)を、脳が勝手に「あまみ」と読んでしまってたいそう困った。CVまで中村先生になったらちょっとヤバいところだった。
- 人々の祈りが白銀の矢になって産霊山に集まる様子が、ソーシャルゲームにはまった人たちの「課金」がモバゲーに吸い込まれていく様子に重なってしまうのは、周囲で某ソシャゲにはまっている人が急増中だからだろう。
2011-12-25(日) [長年日記]
■ 大掃除始まる
年末休みもたいしたことないし、ちょっと早いけど大掃除に突入することにしたんだけど、今年は妙に猫たちがはしゃぐ。とくにドーラは去年はそんなに興味持ってなかったと思うんだけど、今年はしじゅう足元をチョロチョロしてついつい踏んづけそうになる(グスタフもドーラも尻尾が長いからよく踏まれる)。飼い猫っぽさが1年間でそれだけ増したってことかねぇ。
窓ガラスを拭いていると床から10数cmのあたりが帯状に汚れていて、明らかに猫が触ったところである。で、それを拭きとってから外側を拭こうと表に出ると、ガラスの向こうで興味津々。おまえら、せっかく拭いたのに手垢(?)つけんなよなぁ……。
2011-12-26(月) [長年日記]
■ 金色の腹巻を編む(1)
クリスマスイブに夫婦仲良く町田のオカダヤに毛糸を買いに行くくらいには、引き続き楽しんでおります、編み物。
さて、古来から「女は腰を冷やすな」などと申しますが、どっちかと言うと「男は腹を冷やすな」の方が切実じゃないかと思うわけです。胃潰瘍や十二指腸潰瘍にしても大腸がんにしても、女性より男性の発症率がはるかに高いわけで、消化器系が弱い男性というのは非常に多い。その証拠に、ハッシュタグ「#ponponpain」でつぶやいてるのなんて男ばっかりだ。バカボンのパパだって、ああ見えてストレスに弱いからいつも腹巻をしているに違いない。せめて寝るときくらい腹巻をして、消化器をいたわった方がいいのですよ、男は。
そんなわけで(前置きが長い)、次は腹巻を編むことにした。あいかわらず実用一辺倒。
マフラーと同じように長方形に編んで端を縫い合わせてもいいんだが、やはりここは輪編みでいきたい。というわけでぐるぐると螺旋状に編むための、輪編み用編み棒を買ってきた。さらに腹に巻くには伸縮性が必要なのでゴム編み、それも編み目がなんとなく軍用っぽくてカッコイイので今回は「イギリスゴム編み(片面)」を採用*1。糸は金運がアップしそうな山吹色で。
最初はテンションの掛け方がよくわからず、2、3回失敗して最初からやりなおしたけど、だんだんリズムがつかめてきて今はこんな感じ。年内には編みあがるかなー。
*1 もっとも英語では「Fisherman's Rib」だそうで、なんだよ、漁具と同じ編み方かこれ。もっともFisherman's Ribの編み方解説にはなぜか2種類あるのでどっちが正しいのかよくわからない。
2011-12-27(火) [長年日記]
■ 知る、読む、使う! オープンソースライセンス
まだβ版だけど読み終えてしまった。これはいいですね。単にライセンスを解説するだけでなく、その背景にあるFOSSコミュニティの成り立ちなども含めて書かれている。個人的に知らないことはほとんどなかったけど、終盤のライセンスカタログのおかげでGPL3とその派生ライセンスの違いなどが改めて理解できてよかった。
最近は「自社の製品をオープンソース化したい」なんて相談されることもときどきあって、そんなとき、担当の人が事前に自力でいろいろ調べてあるけどOSSコミュニティに参加したことないからどうにもトンチンカンで、頭から説明しなおし……という経験があるけど、そんなときもこれを一冊、ポンと渡せば事足りる感じ*1。オープンソースライセンスについて、過不足なく書かれていてバランスも良い。
そう、不足がないことはもちろんのこと、過剰でないところもいい。この手の話題は著者の思い入れが強いライセンスに偏ってしまうことがありがちだけど、そういうのがぜんぜんなくて、すごく中立。使う側にとって何が有用な情報なのか判断する手間がかからないというのはこの手の書籍では重要なポイントだ。
それはさておき、達人出版会、はやくAPI公開されないかなー、リンクはるのがめんどいよ……と思ったけど、ヘッダにOGPが入ってるからそれ使えばいいんじゃね? と思った。気が向いたらプラグイン作る。
……と思ったら原作者の@kdmsnrが更新してくれた(笑)、ので貼っておく。
*1 電子書籍なので文字どおり「ポンと渡す」わけにいかないのが難しいところ(笑)。
◆ catch [ご感想を掲載いただき、ありがとうございました! http://www.catch.jp/oss-license/20..]
2011-12-29(木) [長年日記]
■ 2011年ふりかえり
今年はもう、震災で始まり震災で終わるような年だったという印象だけど、本当かどうか確認しよう。恒例の「Google Analytics(など)でふりかえる2011年」。
一番ページビューが多かった記事
これかー。ただの紹介記事なので、結果としてはあんまり面白くないけど、紹介先はマジで面白いので未読ならぜひ休み中にでも。よくみたら歴代ブクマ数でもトップになっちゃったのか、これ。おかげで(検索を除く)参照元トップもはてなブックマーク。次点がt.co、つまりTwitter。
他にも震災関連が上位に入るなど、やはりそういう年だったという状況だ。新規訪問者は約7割もいる。2位には昨年トップだった「ホテルオークラ東京の死ぬほどうまいフレンチトースト」が再エントリ。また食べに行きたいね。
一番多かった検索キーワード
- フレンチトースト
もうすっかりフレンチトーストのご意見番ですよ! ちなみに次点は去年のトップ「KDDI 光」。6位に「児玉太郎」が入っているあたり、Facebookの躍進を感じさせる。一方、あんだけいろいろ書いた電子書籍関連のキーワードは19位にやっと「kindle4」が入った程度で、電子書籍元年(2年目)ははやくも失速傾向か。ま、しょうがないよね。
一番売れた本
Amazonアソシエイトのレポートから。
https://www.amazon.co.jp/dp/9784062577229
これは現時点で一番面白い「はやぶさ本」なのでそのように紹介したから、売れて嬉しい。ブルーバックスは本当にすばらしい。次点は以下の2冊が同率2着。
https://www.amazon.co.jp/dp/9784873114996
https://www.amazon.co.jp/dp/9784774148311
本以外だと、ロータリーカッターとアルミの定規がけっこうな数が売れてたりして、やはり自炊ニーズは高い。
2011-12-30(金) [長年日記]
■ グスタフとドーラ、絶食する
日曜あたりから、なんだか食べ残しが増えてるなー、と思ったら、2日ほど前からグスタフもドーラも、ほとんど食事を取らなくなってしまった。水は飲むけどすぐに吐いてしまうし。猫はよく吐くから珍しくはないけど、胃の中は空っぽだから出てくるのは水ばかり。なんだかつらそう(に見える)。
夏場はさすがに食欲をなくしてあまり食べなくなることはあったけど、こんなに寒かったらむしろ腹が減るだろう。2匹同時ってことは一方だけ病気ってこともないだろうし、いったいなにが起きているのかさっぱりわからない。
こういう時に「猫 食欲がない」みたいなキーフレーズでググったりすると、それはそれは不安になるようないろんな良くない症例が出てくるわけですよ。まぁ、こういうときにネットで見つかる情報は、極端な状況だったからわざわざ書かれた話なわけで、逆に心配しなくていいような話が見つかることは稀である。ネットの情報だけみていたずらに不安を募らせるのではなく、基本的にプロを頼るべき状況だ。
というわけで、(大騒ぎになるので)患者は連れずに主治医を訪ね、症状を説明したら胃酸過多ではないかという。食事をとらないだけでほかは健康そのものなので、大丈夫だろうとの見立て。で、胃酸過多ならキャベジンを与えよとの指示。まぁ、同じ哺乳類だしね、そういうもんだよね。
キャベジンの錠剤を買ってきて、包丁で4分割して飲ませる(これがまた大騒ぎなんだけど割愛)。グスタフはその直後あたりからなんだか食欲が出てきたみたいなので、キャベジン関係なく回復したのかも知れない。ドーラも1日遅れて徐々に食欲が回復してきた感じ。もっとも、試しに120円くらいの高い猫缶を与えてみたりしていたので(基本的には過保護である)、いつものドライフードには不満気なんだけど。病気になるたびに舌が肥えてたらたまんないっつの。
2011-12-31(土) [長年日記]
■ PCを新調した: Lenovo ThinkCentre M91p
前回自宅用のPCを新調したのが2007年12月なので、ちょうど4年。当時は余裕だった4GBのメモリも最近は常時90%近くを消費していて、さすがに厳しくなったのでリプレイスした。どこの製品でも良かったんだけど、「12/19まで20% OFF」という破格のセールに負けてまたLenovo。今回は静音性も考慮してミニタワーに回帰した。
Core i7にメモリ16GB(これは別途Amazonで安いのを買った)積んで7万円ちょいってんだから、PCで利益出すのなんてもう無理なんじゃねーの、と思わなくもない。厳しい世界だなぁ。グラフィックスだけは内蔵なので数値がしょぼいけど、これだけおごっておけばまた4年は戦えるだろう。
それにしても、データは外付けHDDを繋ぎかえるだけにしてあるからずいぶん楽になったし、クラウド上のサービスはブラウザを入れて*1同期するだけであっというまに復旧できるけど、ローカルにアプリをインストールして環境設定するのは面倒くさいなー。こういう手間のかかる部分をどんどん減らしていかないと。
*1 Google Chromeがデフォルトブラウザとしてプリインストールされててびっくりした。
◆ NT [最大割引率を待ちに待ってPC購入を検討するためにあの情報をつぶやいたのに当の本人はすっかり忘れて……]
Before...
◆ たけむら [自分の場合は、Kindleで読みたい時は解像度を倍にした上で2値化してGroup4圧縮としています。綺麗にとは行かな..]
◆ ただただし [1/4~1/5だとGmailからPersonal Documentに送れるようになる感じですね。やっぱ二値化も視野に..]
◆ akaiosorani [私はモノクロドキュメントは適当にレベル調整の上、4値化=2bitPNGで保存しています。 どうも-depthオプショ..]
◆ ただただし [-depth 4がおかしいのは古いImageMagickのバグでした。同じように(?)-colorsもうまく動かない..]
◆ かずひこ [-colors 16は、あくまでもカラーパレットを16色に減色するのであって、等間隔に離れた16階調のカラーパレット..]
◆ akaiosorani [問題の方は無事解決したようで何よりでした。 -colorsオプションの件、かずひこさんご指摘のとおりで失礼いたしまし..]