2011-12-08(木) [長年日記]
■ 16階調グレースケール画像でKindlizerを最適化したらファイルサイズが激減
最近、かずひこがいろいろと良いアドバイスをくれるものだから、Kindlizerの最適化が一気に進んだ。
最初、Debian squeezeでImageMagick(のconvertコマンド)に「-depth 4」を指定したらなんだか白抜き文字みたいなひどいシロモノができてしまったので「ダメだこりゃ」と思ったのだが、ふと思いついてcygwinのImageMagickを使ってみたらちゃんと4bitのPNG画像ができた。調べてみるとlennyに入っているバージョンにはそのものズバリのバグがあるのだった。おーのー。
まぁこういうのは時間が解決してくれるので、とりあえずはImageMagickの最新版を野良ビルドして、あらためて「-depth 4」を指定したら、元ファイルの半分位のサイズになった。これはすごい。しかもクオリティには変化がないか、むしろきれいだし。
これでいこう! とは思うものの、明らかに動作しない環境があることを知ってしまった以上は標準で使うわけにはいかないので、Kindlizerの方には「KINDLIZER_PHASE2_OPT」という環境変数を指定できるようにした。問題を抱えていないImageMagickを使える場合にはここに「-depth 4」を指定すれば良い。
ついでに過去にKindlizeしたPDFをこんな感じのスクリプトで一気に変換してみたところ、大半の本が25MB以内に収まった。25MBというとGmailの添付ファイルサイズの上限なわけで、つまり自炊本の多くをPersonal Documents送りにできるということだ。電子書店で購入したものだけでなく、自炊した本までクラウドで管理できる。夢の未来がここに!
とはいえAmazonのストレージはたった5GBなので、これまで自炊した本のごく一部を送りつけただけでもう10%以上消費してしまった。自分の書庫を全部入れるには明らかに容量も機能も不足なので、Amazonさんには有料でもいいので追加サービスして欲しいなぁ。
■ 青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)(小川 一水)
解説が坂村健で「どひゃー」となり、その中で小川一水をクラークと比べて評価しているのにいちおうの同意をしつつ、本書がいまいち面白くなかったのはやはりその「クラーク的」部分のせいだろう。
特に巻末の表題作、「オーバーロード」が登場しただけでもう拒否症状が出てしまう。宇宙に人類よりも進んだ知性が存在するのはいい。しかし、彼らが我々を導いてくれる存在であるというおめでたい前提が大嫌いだ。彼らは人類を超越しているがゆえに理解不能であるべきじゃないのか。あからさまなスペオペならまだしも、こういう「いかにもSF」な作品でこれはないよなぁと思うのだよ。
もちろん全部ダメってわけじゃなくて、「都市彗星のサエ」なんていい感じのオールドSF & 良質のボーイミーツガールだし、他にも佳作はあるのだけど。やっぱ『老ヴォールの惑星』は傑作だったのだよなぁ。
お役に立てて何よりなのですが、たださんの役に立てば立つほど、ますますKindleの方が便利に思えてくるのをどうしてくれましょう!
実際、おれたちみたいに自分で電子書籍を「作れる」人たちにしてみると、KindleのPersonal Documentsはキラーアプリだと思うよ。特定の書店で買った本しか置けない本棚なんて馬鹿らしくて使ってられないわ。