2011-12-14(水) [長年日記]
■ 魚舟・獣舟 (光文社文庫)(上田 早夕里)
日本SF大賞受賞おめでとうございます。「まどマギ」は残念でした!
というわけで、受賞作の「華竜の宮」ではなく、同じ設定で描かれた「魚舟・獣舟」を電子未読の山から発掘して読んだ。「華竜の宮」も読みたいんだけど、Jコレは自炊向きの版型じゃないから、文庫入りを待つしかないなぁ。いやまぁ、電子書籍で出してくれてもいいんですよ?(チラッ
で、読み始めてから短篇集だと気づいたりするわけです。体長15メートルにおよぶ人工魚をめぐる表題作をはじめ、冒頭の数作はバイオホラーが多くて、そういう作風なのかと思ったら「異形」シリーズに寄稿された作品群がメインなのだな。ガジェットがそれっぽくていきなり専門用語が飛び出してくるけれど、設定ドリヴンな話ではなく、小説としての完成度が高いので、短篇ながらどれもずっしりと手ごたえがある。
おかげであまりSF、SFしていないというか、普通に小説として良いじゃん、という感じ。とくに最後の、ほぼ長編並みの長さを持つ「小鳥の墓」も、非常に満足のいく作品ながら、別にこれはSFじゃないというか、無理にSF仕立てにしなくてもいいのにとは思った。