2012-01-04(水) [長年日記]
■ Android用の新しい日本語IME「Slime」を使い始めた
Android用の日本語IMEといえば、最近Simejiが百度に買収されるという喜ばしいニュースがあったのが記憶に新しい。自分もDesire買ってからすぐにSimejiに乗り換えて、それからずーっとSimeji一筋だったんだけど、最近のアップデートでSYMキーの場所がカナと英数で異なるというちょっとUI的に納得できない変更をしてきたので、かなりストレス溜まってた。
そんなタイミングで増井さんが新作「Slime」を発表! いまやSONYのモバイル向け日本語IMEとして名高いPOBox、それからApple在籍中にiPhone(というかiPod touch)の日本語入力を実装した増井さんが、ついにAndroid向けに進出である。これはもう、インストールする前から鼻息が荒くなるというものだ。こんなふうに日本語IMEをいろいろ選べるのもまた、Androidの魅力だよね。
……といいつつ、なかなか試す時間がなかった上に、新PCにまだスクリーンショットを撮る環境を用意してないので、レビューはカイ士伝さんのを見てください(ぉぃ)。まぁ、その魅力は動画で見るのがいいよ:
なんといってもT9風入力が楽しい。が、まだ辞書が貧弱なのでT9が使えない場面が多くて、もうちょっと辞書を強化しないと常用にはややつらいかも。でも知らない単語はネットから探してきてくれるし、MLでのフィードバックを受けて日々改善されているし、だいたいこういうものは使い込んで賢くなるほど手になじむものなので、しばらくはSimejiを封印して使ってみるつもり。
2012-01-05(木) [長年日記]
■ 朝、猫たちが起こしてくれないくらいに寒い
寒くなるとあいかわらず猫たちはベッドに潜り込んでおれと一緒に寝ている*1。ドーラはリビングにあるカゴに入って一人で寝る方が多いんだけど(写真上)、それでも明け方になるといつの間にか寝室に来てベッドに入ってきてたりする。
で、だいたい朝5時になると起きだして、ベッドサイドで爪を研いだり、枕元に座り込んだりしておれを起こす。もちろん目的は朝食。
だが、ここ2日ほどは「はっ」と気づくと目覚ましが鳴っていて(だいたい6時ごろ)、にもかかわらず猫たちは布団の中でぐっすりという日が続いている。急に冷え込んだせいで、空腹を我慢してでもぬくぬくとしていたいらしい。うーん、目覚ましは完全に猫頼りになってるから、ちゃんと起こして欲しいんだけどなー。
下の写真はキャリーの中で仰向けに寝るグスタフ。病院行くときに詰め込まれて嫌いになったかと思いきや、すぐに忘れて猫小屋の地位に復帰した。グスタフは賢いのかアホなのかよくわからん。
*1 【主にyomoyomoさん向け注釈】特にグスタフは、おれがパジャマに着替えている間もベッドの上に座って待ってるし、布団を持ち上げて「おいで」と呼ぶとおれの左側にそそくさと入ってきてぴったり寄り添うように横になる。図体でかいくせに性格はカワイイ。
2012-01-06(金) [長年日記]
■ パラボラアンテナ写真集と電波望遠鏡カレンダーをもらった
なんだか年明けからパラボラづくしなんだけど、なりたまさひろさんが冬コミで頒布したパラボラアンテナ写真集と、今年の国立天文台カレンダー(電波望遠鏡特集)を送っていただいたものが、立て続けに到着。
なりたさんの写真集は「これが500円とか大丈夫かよ」と心配になるほどの美麗さで、推しメンはもちろん表紙にもなっているうすださん(64m)。野辺山の45mや干渉計はもちろんのこと、電波ヘリオグラフの写真もさすがの構図。いいカメラ使ってんなー。それからこの写真集のために(?)遠征した沖縄30mや石垣島20m、内之浦34mも圧巻。解説記事は最小限で、あくまで審美的な観点で編集されている。わかってるねぇ。これはいいものだ。
カレンダーの方はほとんど同時に3人の方から連絡をもらって笑っちゃったんだけど(最初に連絡をくれた国立天文台の中の人にいただきました)、日ごろから「好き好き」言ってるとこういうことがあるのだよ。これは国立天文台が毎年テーマを変えて発行しているもので、今年は「電波望遠鏡」。といいつつ、事実上のパラボラアンテナ特集になっている。観測の主役がALMAに移りつつある現状を反映してALMAは表紙を含め4ヶ所に登場する活躍ぶりだが、もちろん野辺山の各種アンテナにも1ページが割かれている。さらに各地のVERA観測局に1ページづつ割かれているのはすばらしい。特にパラボラアンテナマニア垂涎の小笠原は嬉しいね。
と、ここで終わりかと思ったら、電波望遠鏡同人誌がコミケで売られていたという情報が(というかアキバBlog的にこれはアリなの?)。というか、なりたさんの隣の机だったのに買ってないらしい。どういうことだ(笑)。これも入手しておくべきですかねぇ。というかコミケ、あんなに大きなイベントなのにパラボラネタのサークルはたったの2ヶ所かよ!
2012-01-07(土) [長年日記]
■ 金色の腹巻を編む(2)
年内には編みあがるかなーとか言ってたくせに、ようやく昨晩に完成。さっそくつけて寝てみたり。
正直、あまりうまくできなかった。イギリスゴム編はカッコイイけど、ちょっと緩めに編んでしまったので間が抜けてる感じがするし、だいたい設計にミスって少しばかり大きすぎる(つまりゆるい)。そのくせ最後の伏し目をタイトにしすぎたせいで、そこだけキツいのである。輪編みじたいはわりとうまくいったんだけど。
実用上はほぼ問題ないし色は好きだけど、そういう細かい部分で不満も少なくないから、ひょっとすると編み直すかも知れない(とか言ってると春になってしまうのである)。
■ ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫 SF マ 11-1)(ジョージ・R・R・マーティン)
寝かしてる間に1年半もたっちまった。
異星のジャングルで繰り広げられる追跡劇がスリリングな冒険SF。ヒスパニック系の主人公、植民星の文化もそっち系なので異星というよりむしろその方が「異国情緒」を醸し出している気もするが、そういう面も含めて楽しいエンターテイメントだった。とくに、ストーリーを通してずっと明かされずにいる冒頭の事件の「動機」が、ラストで主人公の正義感の芽生えにカッチリはまるところなんて、なかなかの爽快感だ。主人公が頭がいいくせに感情的になると理性がすっ飛ぶタイプというあたりも、いい意味でお約束。
ただ、ジョージ・R・R・マーティンのわりには凡庸だなー、という感じも否めない。「追手」の正体が登場直後からバレバレな件(少なくともそれなりに経験を積んだSF読みにはあからさますぎる)とか、あんまり謎が謎になっていない点がいくつかあって、わくわく感を削いでいる。あとがきによれば3人の著者による30年(!)の長きにわたる合作だそうで、なんとなくぼやけた感じを受けるのはそのあたりに原因があるのかも知れない。
2012-01-08(日) [長年日記]
■ 江ノ島行ってきた
初詣第二弾的な意味で、昼ごろから江ノ島へ。
最初、遅い昼食をとろうとして参道の入口近くの店に入ろうとしたら90分待ちとか出ていて、でもEPARKという順番予約システムが入っていたので、それを利用。席が空いたらメールで知らせてくれるシステムらしい。受け取った整理券についているQRコードからWebで手続きをするとメールアプリが立ち上がったので、そのまま送信で登録完了。これで安心してエスカーに乗って上にあがり、神社めぐりができる。
ところがしばらくしてメールをみると、携帯メールしか受け付けないので登録エラーとか入ってんの。このスマホ隆盛の時代に、しかもspモードがまったく信用ならないことが明らかになった今、そんな縛りを入れるなんてアホちゃうか。で、しょうがないからかみさんの携帯メール(au)を使って再度登録してみたらそれすらもエラーになる。わけがわからない。レシートには店の連絡先も入ってないし、どんだけ使えないシステムなんだ、EPARK。いいかげん腹も減ったので、奥津宮のあたりで別の店に入ってしまった。ITはダメだね!
しらす丼!
鯵のたたき!
おいしゅうございました(←初詣どこいった)。
2012-01-11(水) [長年日記]
■ 新年会(その1)
今シーズンは忘年会より新年会の方が多くて、それもやたらと多くて自分の体調が心配になるくらいなのだけど、今日はその一発目。ここ数年一緒に仕事をしてきた方の送別会も兼ねているのでこればかりは外せません。
場所は刺身と沖縄料理 島味 穴蔵 びんび家(どっからどこまでが店名なのか不明)……なんだけど、出てきた沖縄料理と言えばゴーヤーちゃんぷるだけだったような……? あと、メインはアグー豚のしゃぶしゃぶだったので、沖縄といえば沖縄であった。まぁ美味しかったけど。
2012-01-12(木) [長年日記]
■ 情報共有の未来 (yomoyomo)
はてなダイアリーでは単著のない人は肩身が狭いそうで*1、そんな単著童貞からyomoyomoさんもこれで卒業である。おめでとう!
今はなき「WIRED VISION」に掲載されていたブログ「情報共有の未来」(現在はアーカイブで公開中*2)をまとめた、いわゆるブログ本という扱いになる。期間は2007年から2011年の足かけ5年。インターネットにおける情報のありようを時事ネタをからめつつ語るというスタイルなので、とうぜん2012年現在からみると古びている。だからこの話を聞いたときは書籍にまとめるには向かないのではないかと思ったが、ほとんど各章すべてに現時点からの振り返りとなる「あとがき」が付けられて、これがけっこう面白い。もちろんこれはアーカイブでは読めない書籍だけの特典である。
さて、本書のキーワードは文中であえて日本語訳を当てはめていない「generative」と「sustainable」のふたつだろうなと考えながら読んでいたら、「おわりに」でまさにそう書いてあったのだった。このふたつが重要だというのは個人的にもおおいに同意。わりと最初の方から登場するgenerativeに対し、sustainableはほぼ終章近くになってからようやく登場なのだけど、各章の「あとがき」で紹介したサービスなどがその後ちゃんと継続しているかどうかを振り返ることになっているので、結果的に全編にわたって「sustainableさ」が検証されているという構造。面白い。
全体をとおして読むと、この5年(というかもっと遡って10年くらい)は、「本質的に自由になりたがる『情報』というもの」に、共有をとおして自由を与える勢力と、枷をはめて行動を制限したがる勢力のせめぎあいだったのだなぁとわかる。そういう意味で「情報共有の未来」というタイトルはなかなか深い。両勢力はときに一方がときに他方が陣地を獲得しつつ、現在は制限サイドがやや優勢になりつつあるという状態で、本書のトーンもやや暗い感じで終わっているのだけど、個人的には「共有」というプロセスを経て初めて単なるビット列が「情報」となるものだと考えているので、人類が情報を我が物とする未来にはかならず「共有」サイドが勝利をおさめていると信じたい。
ところで「yomoyomo文体」は文中に多数のリンクをはることで多様な情報を紹介しつつ、そこから浮かびがる新たな視点を提示するところにその面白さがあるのだけど*3、結果としてKindleを常時WiFi接続しながら読むハメになった。従来の「読書」とはだいぶ趣の異なる体験であり、正直なところ少し疲れたかな。ただ、巷にあふれる海外情報をひとつだけ、抄訳とスクリーンショットで紹介してリンクは文末に申し訳程度にはるようなブログに比べ、本書はまさに「ストロングスタイル」のブログと言えよう。読者のひとりとして、「諸君、これがブログというものだよ」とドヤ顔のひとつもしたくなるというものである。って、おれが威張ってもしょうがないのだが。
とまぁそんなことを、ブログを始めることををかたくなに拒否していたブログブームの頃のyomoyomoさんを思い出しつつ読んでいたのであった。
2012-01-13(金) [長年日記]
■ 「Send to Kindle for PC」を使って大きなPDFファイルをPersonal Documentsに送る
Kindlizerもずいぶん最適化が進んで、自炊した文庫本ならよほどの大物でもないかぎり25MBを切るサイズのPDFが作れるようになった。この25MBというラインは重要で、Kindleにメールで送るにしてもGmailの添付ファイルサイズの上限が25MBなのでこれを超えると別の手段を考えなくてはいけなくなる。別の手段つっても、自分でSMTPをしゃべるクライアントを書けばいいだけの話なんだけど、日本語ファイル名の問題とかいろいろ(面倒くさいのでやりたくない)。ちなみにKindle Personal Documentsのファイルサイズ上限は50MBだからまだ25MB分の余裕があるわけで、これはもったいない*1。
ちゅーわけで、このたびめでたくAmazon本家からSend to Kindle for PCなるものが登場したので使ってみたわけだ。ちょうど最近自炊して、ファイルサイズが30MBを超える本が出てきてしまったので、さっそくそれを送ってみた:
インストールしてユーザ情報を登録したあとなにも起きないので焦ったが、なんのことはない、エクスプローラのコンテキストメニューに「Send to Kindle」という項目が増えているのだった*2。上のスクリーンショットは送信中の画面。複数のデバイスが登録してある場合は送り先の選択もできる。PDFファイルを選んだのにメタ情報からAuthorを持ってきてくれないのはちょっと不満(だが、たぶんPersonal Documents上ではメタ情報が使われるはず)。
というわけで、40分ほど待つとKindle上に現れた。さすがに30MBとなると時間がかかるが、まぁ許容範囲だ。
2012-01-14(土) [長年日記]
■ Kindlizerで傾き補正
BOOKSCANから納品されるPDFはけっこう傾いていることが多くて(しかもページによってバラバラ)、そもそも印刷・製本の段階で傾いているため免責とのことなのだが(まぁそれはそうだろう)、スキャンの段階で傾き補正はかけてないということかな。自分でスキャンするときはScanSnapの傾き補正をかけているんだけど、こういう場合は後処理でなんとかしないといけない。というのも、Kindlizerで余白をトリミングするとき、傾きが大きいと文字部分までカットしちゃったりして調整が難しくなるのだ。
で、最近ebanさんが自炊を始めたおかけでいろいろImageMagickテクニックを公開してくれているので、そこから吸収(こんなんばっか)。今回は-deskewオプションの設定をパクってみました。これはかなりいいね。
ということで、現在のKindlizer、KINDLIZER_PHASE2_OPTオプションはこんな感じ:
KINDLIZER_PHASE2_OPT=-depth 4 -deskew 40% -sharpen 5
2012-01-15(日) [長年日記]
■ 日本の電波望遠鏡(その1) -超長基線電波干渉計と太陽風観測編-
先日触れた同人誌「日本の電波望遠鏡(その1) -超長基線電波干渉計と太陽風観測編-」が届いた(つまり買った)。カラー8ページ(表紙込み) + モノクロ40ページなので写真集と言うよりは資料集的な感じ。白眉は小笠原を除く三箇所のVERAプロジェクトに加えて十津川VLBIも収録しているので、最東端(小笠原)を除く「最○端望遠鏡」を踏破している点だろう。
ちなみにパラボラアンテナと電波望遠鏡は必ずしも一致しないというか概念が異なるのでそもそも比較対象になるものではないのだが、本書は「電波望遠鏡」が主役なのでシリンドリカルアンテナなんかも入っている(まぁこれもパラボラアンテナには違いない)。一方で通信用のパラボラアンテナは対象ではないので、静止衛星の地球局などは取材対象にはなっていないようだ。といいつつ通信用の臼田64mもたまにVLBIに引っ張り出されたり、退役したKDDIの通信アンテナが電波望遠鏡に転用されたりもしているのでややこしい。というか普通の人には通信アンテナと電波望遠鏡の区別などどうでもいい話ではある。
何が言いたいかというと、各地のパラボラアンテナを訪ねるにあたっての案内役として最適。これは良いものだ。「その2」が楽しみ。
2012-01-17(火) [長年日記]
■ 新年会(その2)
本当は日曜に「その2」があるはずだったんだけどパスしてしまったので、今日のWAIC WG2メンバとの飲み会が「その2」となった。といっても会合のたびに飲んでいるので、これははたして新年会の勘定に入れていいのかどうか悩ましいところではある。いつものように、浜松町の坐和民にて。
2012-01-18(水) [長年日記]
■ グスタフ、まだまだ成長する(主に腹が)
夜、ふと思い立ってグスタフを体重計に載せてみたら7.4kgと表示されて、載せたこと自体を後悔した。しばらく7kgを維持していたはずだが、いつの間にかまた増加してやがった(主に腹が)。どうも最近、やたらと食欲が旺盛だと思ってたんだよなぁ。いったいどこまで大きくなるのやら。
とりあえず、キャリーの耐荷重が8kgなので、そこまではいかないで欲しい。というかもう抱いてても腕がだいぶキツいんだが。ちなみに下の写真は2010年5月(なのでだいたい2年前)の同じシチュエーションで撮影したもの。隙間がだいぶある。というか顔が「シュッ」てしてるよな。
◆ smbd [確かに痩せてるw]
2012-01-19(木) [長年日記]
■ ゼロ! (片野ゆか)
今日の流行は『ゲーセンで出会った不思議な子の話』らしいのだけど、ちょっと長すぎる上に文体がどうにも馴染めなさそうなのでどうしようかと悩んでいたら「たださんの性格から考えると、読むだけ時間損したと思う」と言われたのでやめたのであった(笑)*1。ま、万が一書籍化されたら読むよ。
一方、Facebookで教えてもらった『ゼロ!』が読み始めたら止まらなくて困った。熊本市の動物愛護センターが殺処分をやめるまでのノンフィクションなんだけど、冒頭の殺処分の描写がペットを飼う人が読むにはあまりにハードで、リアルに脂汗が浮かんでくるレベル。この先を読まないと(読者が)救われないわけで、まんまと罠にはまってしまった。おまけに連載途中なのでまだ完結してないのがつらい!
集英社にこんなサイトがあるなんて知らなかったよ。ぜんぶ無料なのかな。ほとんどの作品がFlashのビューア、しかも縦書きにするために画像化テキストを使っていて、おまけにマウスでしか操作できないひどい作りなんだけど、一部はHTMLだけで書かれているので、例によって青空文庫形式に変換するスクリプトを書いてKindleでありがたく読ませてもらった。会員制で有料でもいいから(というかぜひ儲けていただきたい)、こういう可搬性のある電子書籍が増えると嬉しいんだけどなー。
*1 こうみえても『電車男』には感動したクチなんだけどなー。
2012-01-20(金) [長年日記]
■ 「アクセシビリティキャンプ東京 キックオフ」に行ってきた
アクセシビリティキャンプ東京 キックオフというイベントがあったので行ってきたのだった。会場写真を取り忘れたので夜の西新宿を。今日は朝から雪で、夜にはやんだけどすっごく寒くて、駅から会場のミツエーリンクスまでの道(ちょっと歩く)がつらいという。それでも30人くらい集まったので、日本のWebアクセシビリティはようやく黎明期を脱しつつある感じでしょうか(人口的な意味で)。
Webアクセシビリティへの関わりは珍しく完全に「お仕事」から始まったのだけど、Webの世界でこういうものをちゃんと理解するためにはコミュニティ活動に関わらないとダメなので、業務外だろうと参加するのです。今日の会場でも「今日はプライベートで来ました」という人が多数を占めていて、アクセシビリティに関してはコミュニティ活動を仕事の一環としてできるような未来はもうちょっと先みたい*1。
前半は(今回の音頭とりである)ミツエーリンクスから3人がLT。その辺の流れはTogetterのまとめにて。今日は有名な辻さんのおもしろプレゼンも聞けたし、今後、昨今のプログラマコミュニティ界隈のように芸達者な人が発掘できるといいですな。
で、後半は今後の話。今日はキックオフということで、世界(?)各地で行われているアクセシビリティ・キャンプ(またはアクセシビリティ・アンカンファレンス)を東京で継続的に開催するための準備会のようなものだと理解して参加したんだけど、実行委員会への立候補で手を上げたのがおれを含めて2人しかいなかったのは驚きだったな。みんな運営に参加するつもりでここに来てるんだと思ってたよ。まぁ、運営に30人もいたらかえって困るのでそれはそれでいいけど、こういうものは運営サイドに回ったほうが何倍も面白いので*2、お客さんでいるのはもったいないですよ。
2012-01-22(日) [長年日記]
■ 新年会(その3)
わさます系の人々で集まって(またか)、中野の「ぢどり屋」で新年会。今回は14名。なんかだんだん人数多くなるな。消え行くサービスかと思ったら、思いのほか長生きしているような。
2012-01-24(火) [長年日記]
■ クロノリス-時の碑- (創元SF文庫)(ロバート・チャールズ・ウィルスン)
「時間封鎖」「無限記憶」のウィルスンということでそこそこの期待をこめて読んでみたが、もう一声という感じかなー。いや、面白かったけど。解説によれば「時間封鎖」よりも前の作品ということで、なるほどここからメキメキ腕をあげていったというわけか。
20年未来から打ち込まれた巨大な石碑というアイデアはじつにいいんだけど、その背景にある(SF的な)仕掛けの説明はたんに学術用語っぽいものを並べただけであんまり説得力は感じない。いまどき多世界解釈を採用しないという勇気は認めるが、かといってタイムパラドックスに正面から挑むというわけでもない。つまり時間SFとしては中途半端なんだよな。
一方、ウィルスンらしい人間ドラマはかなりリアルで、アメリカの中流がこういう事件に巻き込まれるとどんな感じになるのかという雰囲気はすごく出ている(たぶん。アメリカ人じゃないので自信はない)。だから、小説としてはけっこう楽しめたので、まぁ当たりといえなくもない。
それはそれとして、「時間封鎖」シリーズの最新刊はまだかなー。
クロノリス-時の碑- (創元SF文庫)
東京創元社
¥156
https://www.amazon.co.jp/dp/9784488706036
2012-01-25(水) [長年日記]
■ DeNAの罠にはまってモバゲーのアカウントを取得するはめに
※タイトルにはおおげさな表現が含まれています。
昨日の夕方、急にTwitterのタイムラインが賑やかになって、何ごとかと思ったら「DeNA、HTML5開発支援フレームワーク「Arctic.js」を オープンソースとして公開」が話題になっているのだった。タイトルだけみると良い話なんだけど、GitHubに公開されたライセンス(公開当初のlicence.txt)がひどくて、明らかにOSDの定めるオープンソースではない。というかむしろプロプライエタリと言っても良いシロモノ。そりゃ騒ぎになるわけだわ。
DeNAは昨年、奥一穂さんが「オープンソース開発者がDeNAを選ぶ理由」なんて発表をするくらい「親OSSな会社」というイメージを打ち出せていただけに、これはちょっと笑えない話だ。結果として数時間後にはMITライセンスが適用されて丸く収まったわけだけど、どうしてこんなお粗末なライセンスが外に出てしまったのかには興味がある。成果物をオープンソースにしたいという要望はおそらく開発サイドから出たものだろうし、一方でこんな縛りを付けたがるのは経営層か法務だろう。しかし公開先がGitHubということは、公開作業は開発者がやっていると考えるのが普通なわけで、なんでこんなライセンスが開発者の手を素通りしてしまったのか、不思議でならないのだ。まぁ、舞台裏が公表されるとも思えないけど、なんとなーく風通しの悪さを感じさせてしまいますな。
ちなみにオープンソースは登録商標だけど、『オープンソース/Open Source商標を誰もが自由に使うことを認めます。 ただし、我々はOSIの定める「オープンソースの定義」に沿う形で オープンソースという言葉が利用されることを希望しています。』と書かれているように、こんな「なんちゃってオープンソースライセンス」を使っても商標違反ではない。今回のは単にモラル面で問題があったというだけの話なのでDeNAにはしらばっくれる権利はあった(開発者コミュニティから総スカンを食らうだろうけど)。もっともGitHubのPublic ReposはOSSでないといけないので、それには(一時的に)違反していたという指摘はあるが。
ところで、騒動のあいだにこんなことを口走ってしまったのだが:
Arctic.jsがOSD準拠のライセンスに変更されたらモバゲーのアカウント作ってもいいw
— ただただし (@tdtds) 2012, 1月 24
公言した以上、約束は守ります:
まさかこんなきっかけてモバゲーのアカウントを取るハメになるとはなぁ*1。DeNAの中の人たちからたくさんのRTをいただきました(笑)。
そして半日が経過、モバゲーのメールボックスにははやくもモゲマス*2への招待メールが10通もたまっているのであった*3。まったくおまえらときたら……。「モバゲーのアカウントを作る」とは言ったが「モゲマスを始める」とは言ってないぞ!!
2012-01-27(金) [長年日記]
■ 本は片手で読むもの? なぜ左右非対称のeブックリーダーばかりが開発されるのか
昨日東芝が新しいeブックリーダーを発表して、カラーE Inkもそろそろ実用になってきたかと感動する一方(何か別の記事と混乱してカラーE Inkと書いてしまったが、単なる液晶だそうで。ほめるところがなくなってしまったではないか)、「ああ、またか」とがっかりもした。見るからに左手で持つことを前提にした「片手持ち」デザインだからだ。べつに東芝だけを槍玉にあげるつもりはなくて、各社だいたいそういう傾向がある。SONY Readerはわりと左右対象に見えるがラウンドの付き方が違うし、だいたいページ送りボタンが左に寄っているのでこれも左手で持つことを前提にしている。国内だけでなく、たとえばKoboの新しいの(Touchじゃないヤツ)なんかは右手で持たないと操作できないところにボタンがついている。
先の東芝の端末は330g、文庫本2冊分だそうだ。文庫本を1冊通して読むのに早くて2、3時間として、それだけの時間、330gの機械を片手で持ち続けられるだろうか? たいていはかったるくなって何度も手を持ち替えるだろう。紙の本でも当たり前のそういう行為が、左右非対称のeブックリーダーではできない*1。なにより、ボタン類が端末上部についていることを見れば、両手での操作を前提にしているようだ。
本を読む人の中には、一方の腕が不自由だったりなかったりする人もいるはずなのだが、そういう人たちには電子書籍を読むなと言うのだろうか。最近アクセシビリティ関係の仕事をしているせいもあるが、こういう無神経さにはどうしても敏感になってしまう。どうして見た目のかっこよさよりもユニバーサルデザインを優先できないのだろう? というか、かっこいいユニバーサルデザインがなぜできない?
国産のeブックリーダーにはがんばって欲しいと思ってるんだよ、ホント。でも、こういう機械を買う気にはとうていなれない。だってKindleには、ちゃんと端末左右にページ送りボタンがついているもん。左右どちらの手で持っても変わらぬ操作で、大きくて押しやすいボタンを軽く1mm程度押しこむだけでページをめくれる。こんなふうに、紙の本よりも読む行為がはるかに楽になるところにこそ、電子書籍の価値があるんじゃないのかね。
*1 ページ送りはタッチパネルでスワイプすれば良いと考えているかも知れないが、数百gのものを片手で保持したまま数百回スワイプするという行為はそうとう苦痛である。ボタンを軽く押しこむ方がはるかに楽なのは間違いない。
◆ ただただし [本当だ! 何か他の記事と混同してしまっていたようです。面目ない。修正しておきます(ほめるところがなくなってしまった…..]
◆ yoosee [ページ送りはタッチパネルでもスワイプじゃなくページ(画面)の端にタッチならそこまでは苦痛じゃないです。FireのPe..]
◆ ただただし [Kindle TouchやFireは画面右側タッチでページ送り、画面左側がページ戻りだったはずだけど、これ、左手に持..]
◆ yoosee [あ、言われてみればそうですね。Kindle Fireで何かを読むときはPerfectViewerやMantanoを使..]
◆ ただただし [なるほど。 まぁいずれにせよ、タッチだけでしかページ送りができたい端末はゴメンです。多くのブックリーダー(アプリ)で..]
◆ yoosee [私は今のところはタッチでもいいんですけど(Kindle Touchはページ送りが遅いという別の問題があるからあれです..]
2012-01-28(土) [長年日記]
■ けっきょくモゲマスをはじめてしまっているのだった
水曜にモバゲーのアカウントを取って、『「モバゲーのアカウントを作る」とは言ったが「モゲマスを始める」とは言ってないぞ!!』とか言ってたくせに、けっきょくそのあとすぐにモゲマスをはじめてしまったのであった。舌の根も乾かぬうちにとはよく言ったものである。
というのも、そのころモゲマスでは新規にプレイヤーを引っ張り込むとレアカードがもらえるという招待イベントが催されていて、おれのプレイ開始を目当てに何人もの知人・友人が招待メールをよこしていたからなのだ(1人の招待しか受け付けないというわけでなく、被招待者は11人までOK)。で、日頃から世話になっている人たちだし、イベントの締め切りが木曜の15:00までということもあり……ああそうか。これがソーシャルゲームの手口!!
まぁ、「ゲーミフィケーション」がもてはやされる昨今、インターネットでメシを食ってる人間がソシャゲのひとつもやらないでどうすんだと思うので、それはそれでいいんだけど。もっとも、ソシャゲの狙うユーザの「細切れの時間」にはすでにKindleでの読書が占めているので、なかなか自分の生活の中からプレイ時間を割り当てるのは難しい。トイレの中、というのが一番しっくりくるのがトホホな現状。
どうせなら楽しくやった方がいいのでちゃんと楽しみつつやってるわけだが(うちのリーダーのみくにゃんは超かわいいよ!)、最初は難しいところがなくてなにをやっても成功できるけど、レベルがあがってくるといろいろ制約がでてきて成果を出すのが難しくなる。知恵を出さないと勝てないようになっていて、ちゃんとゲームになってる。ソーシャルゲームが従来のゲームに劣るなんていうのは世迷言だな。自分は招待してくれた仲間からあらかじめレアカードを何枚か贈呈してもらい(これもソーシャルゲームの手口!)、最初からだいぶ下駄をはかせてもらったおかげで、無課金でもだいぶいい気分で進めているんだけど。
このへんの話はGiGirさんの「「モバゲーアイマス」は壁を越えたのか?」や「ソーシャルゲームと従来型ゲームは何が違うのか」がよくまとまっているので、ソシャゲを見下している人は一読するといいと思う。
たしかに絶妙のタイミング、たとえば体力などのポイントがいいところで尽きて、すぐそばに課金をうながすリンクが出るとか、うっかりお金を出させる仕掛けの数々には感心することしきりだが、だからといって過剰に射幸心を煽っているとは思えないなぁ。いい大人なら無理のない範囲におさまるように自制できてあたりまえだし、子供にはそもそも課金する手段がない(ように親がコントロールしているべき)ので、何が問題なのかよくわからんよ。車中に子供を置き去りにする危険がないだけ、パチンコよりよっぽどましじゃね?(暴言)
それはさておき、プレイしていてなにより感心するのはそのレスポンスの良さ。ページ遷移のある普通のWebサービスなのに、しかも電波状態がけっして良くはないSBMの3G回線を使っているにも関わらず、まるで専用のアプリかのようにきびきびとシーンが移り変わる。アニメーションはFlashを使っているけど、最新世代にくらべると格段に性能の劣るDesireでもまったく待ち時間がない。Web業界の中でもとりわけ優秀な人材が集まっているだけのことはあるなぁ。インフラエンジニアやプログラマがまっとうに評価されている会社じゃないと実現できないよ、これは。
2012-01-29(日) [長年日記]
■ tDiary 3.1.2リリース
3ヶ月に一度の定期リリースでごんす:
わりとコツコツ、安定版メンテナンスって感じ。桑田さんが滑り込みで入れてくれた性能改善パッチは(人によっては)かなり効くかもしんない。
■ グスタフ、風呂に落ちる
うちの猫たちはなぜか専用の水入れからは水を飲みたがらなくて、ドーラはキッチンの流しに溜まっている水が大好きだし、グスタフはトイレの手洗いからばかり水を飲む。あと2匹とも風呂場のタライから水を飲むのが好きで、わざわざ人間を風呂場に誘導して、タライに水が入ってないときは入れるように要求してまでそこから水を飲みたがる。もうわけがわからん。
で、今日もグスタフはいつもの散歩から戻ると風呂場に一直線、あらかじめ溜めてあった水を少し飲んだあと、何を思ったのかバスタブの上にピョンと飛び乗った……のだが。なにしろ体重があるので、バスタブの蓋が勢いにつられてズレて、グスタフもろともそのままドボン。
慌てて救い出してやったら、つかまえる間もなく外へダッシュするグスタフ。タオルを手に追いかけるも、水の跡は寝室から玄関、階段をのぼってリビングからキッチンまで続いていたのであった。なにも家中を駆けずり回らなくてもいいじゃねーか……。
タオルでごしごしこすったあとは、床暖房を入れてやって、あとは勝手に乾いてもらうことにした。急いで引き上げてやったから下半身がちょっと濡れただけで済んだし、こっちは床を拭いて回るので大変だったので。まったく、さすが我が家のお笑い担当だけのことはあるわ。
それより、いっしょにいたドーラがびっくりして逃げまどった末に行方不明になってしまった。たいして広くない家の中にいるはずなのに、どこを探しても見つからない。もちろん声をかけてまわっても返事もしない。30分ほどしたらどこからともなく現れたんだけど、本人を問い詰めてもどこに隠れていたのか決して答えないのであった。ほんとドーラの行動は謎だ。
2012-01-30(月) [長年日記]
■ PCの音声出力先をBluetoothにした
今年の目標(?)はPCにまともなスピーカーをつけることなんだけど(狙っているのはBose M2)、Amazonをちらちら見ていたらBluetooth 3.0のレシーバーが1000円程度で変えることがわかって、だったら家にゴロゴロころがってるBluetoothヘッドフォンを使えるじゃん。スピーカー買うまでのつなぎはこれでいいや。
というわけで買ったのだった:
B00436F14W
USBポートにつっこんで、自動でドライバがインストールされるのを待てば準備完了。ヘッドフォンをピアリングモードにして、タスクトレイに現れたBluetoothマークから「デバイスの追加」を選べば、もう標準のオーディオ出力先に設定された。付属のCD-ROMは出番なし。リモートでボリューム調整や再生・停止なんかもできるから、よっぽど楽でいいね。
ほんの3、4年前に初めてBluetoothデバイスを買ったときは安定しなくて使えねーとさんざん文句をたれたものだけど、最近のは安定してるなぁ。実はモノが届いてから、あと400円出せば到達距離100mのclass1のヤツが買えたことがわかったんだけど、PCの前にいるかぎりclass2でも十分だからまぁいいや。もっとも、無駄に明るい青色LEDがビカビカ光るセンスのなさは相変わらずなんだけど。まったく、設計者は何を考えてんだろうねぇ?
2012-01-31(火) [長年日記]
■ コンタクト 上巻 (新潮文庫 セ 1-1)(カール・セーガン)
引き続き懐古読書。もうこの先ずっと、死ぬまで古い紙の本をBOOKOFFで探して自炊して読むという生活が続くのかも知れんねぇ。
さて。どういうわけかビミョウな評価の映画が好きで、「コンタクト」もそのひとつなんだけど(だいたいパラボラ補正のせい)、なぜか原作は読んだことがなかったので手にとってみたのだった。映画とはそうとう違っていてびっくりした。大筋に違いはないんだけど、ストーリーはかなりちがうし、登場人物の性格付けや関係も異なる。どっちが良いとか悪いとかではなく、メディアの違いがうまく生かされていてどっちもいいなぁという感想。
映画はなんといっても地球からずーっとカメラが引いていく冒頭シーンや、エリーがVLAの下で最初に電波を捉えるシーンは、そりゃぁもうゾクゾクするくらい素晴らしいのだけど、小説ではわりとあっさり。とくに電波を捉えるシーンはさすがに小説のほうが科学的には正しいのだけど、ここは絵的なインパクトやスピード感を優先した映画を推したい。脚本家と監督はGJだ。
一方、映画ではなんとも納得感の弱い終盤は、がぜん小説の方が良い。映画というメディアで、科学と宗教との関わりをアメリカの文化的制約のもとで描こうとするとああなるのは仕方がないかなぁという諦めがある。しかし小説の方は妥協しないというか、しっかり宗教への配慮はみせつつも、ちゃんとラストでは科学的な立脚点を貫くあたりが、さすがセーガン。
時間的制約の大きい映画ではステレオタイプになってしまう人物造形も、小説ではだいぶ描きこまれていて、セーガンの小説なんてなぁと読まずにいたのが申しわけない。ドラムリンは映画ほどひどい人物ではないし、(映画とは家族構成が異なる)エリーの成長もとてもよい。
でもまぁ、やっぱ映画だな。アレシボ! VLA!
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BDも出てるのかぁ。ぐぬぬ:
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小説:
◆ やくてつ [なるほど。というかギブソンの本、久しぶりに見ました!!できればその自炊されたデータをいただきたい…]