2010-11-02(火) [長年日記]
■ https://www.amazon.co.jp/dp/9784757160392
ほとんど小説を買わなくなったおかげで、積読箱の中身も読みそこねて古びてしまった技術書と、老後用のレムばかりになってきた。と思ったら底の方からこんな本が発掘されたりして。2年前かよ……。
2007年に横浜であった世界SF大会にて、おれも参加していた同名のセッションのまとめ本で、当時科学者たちから提示されたお題に、SF作家たちが小説の形で応じて補う形になっている。
当時の感想にもあるように、最前線の科学者にたった15分で自身の研究について一般向けに語らせるというのがまず無茶だったし(プレゼンの特に上手い人がかろうじてこなせたレベル)、その後のパネル参加者が1ダースを超えているのを見ればわかるように、発散するばかりでまとまりがいっさいなかった。
本書の中でも科学者が指摘しているように、30年とか50年先に実用化されると考えられている研究を、40代50代の人がやっているという妙な状況が、SFの側でも起きていて、本書に寄稿している作家もいいかげんベテランばかりだ。例外は円城塔だけど、例によって(斜め上方に)浮いているので人選ミスだと思う(笑)。もっと若い人も参加してもらうべきだったんじゃないかな。おまけに瀬名秀明の作品は独りよがりでなんだかよくわかんないし。
本書を読み返してみても、やっぱりとても成功したとは言いがたいセッションだったよなぁ。
2010-11-03(水) [長年日記]
■ 臼田へ、あかつきの応援をしにいく
新しい猫が来たり、あまりに暑すぎたり、体を壊したりしていたものだから、かれこれ半年近くバイクに乗ってない。こんなの、免許とってから初めてかも知れん。主治医からも「ストレスのない生活を送るように」とか無茶な要求をされているので、ストレス解消にはバイクだよなーということで、そろそろ金星到着の「あかつき」を応援して来ることに。
で、4:30に目覚ましをかけたのに目が覚めたのが5:30で、猫あんかおそろしす。ウェアを着ながら「そんな装備で大丈夫か?」「大丈夫だ、問題ない」という脳内会話をしたものの、インナーは外して出発し、あんのじょう寒くて中央道に乗ってすぐにパニアからインナーを取り出す始末。イーノックよりは賢い。
諏訪が近づくにつれて山の上の方が白っぽくなっているのに不安を感じつつ、いつものように諏訪ICを降りてビーナスラインから蓼科スカイラインへ。いや、寒いのなんのって。夏が終わったと思ったらもう冬だよ。ちょうど紅葉シーズンじゃないかと思っていたけど、色づきは一週間くらい早まった感じで、でもこの気温はもう冬間近だ。やっぱ天候おかしいよなぁ。
で、もし凍結してたら引き返して麦草峠経由に切り替えようと思案しながらの大河原峠は、写真のように木々が霧氷で覆われていて、見た目の寒々しさったらもうハンパない。もっとも道路に雪はなく、走る分にはなんの問題もなかった。
そんなわけで、いつものように臼田宇宙空間観測所に到着。ここのところ「うすださん」と通信をしているのはイカロスだったんだけど、とつぜん昨日から(それまで「うっちーさん」と通信していた)あかつきが相手になった。おそらく、金星到着が近づいて仕事が増えてきたのと、あかつきの向こうに太陽が重なって、内之浦のアンテナでは通信が難しくなってきたのではないかと想像(追記: 今日はキャンベラのDSNとも通信していたようだ)。
写真で副鏡が眩しく輝いているけれど、副鏡の影が主鏡のほぼ中央に落ちているので、ほんとうに太陽を同じ方向にあかつきがいる。こんな中でちゃんと通信できるなんて、うすださんすごい! おまけに、太陽が出ている間はずっと通信できるってことなので、パラボラマニアにとってはたまらんですよ。今日はE-PL1を持ってきたので、バシバシ撮りまくった。
で、いつもならそのままR299で諏訪に戻って帰ってきちゃうんだけど、天気もよくなって気温も上がったし、いいカメラも持ってきているので野辺山へ足を伸ばす。もっとも45mは上向きだったので稼働してなかったけど。もう冬だから観測はしているはずなんだけど。
そんなわけで今日は干渉計たちを主に撮ってきた。ヘリオグラフももうちょっと近づけるといいんだけどなー。
そのままR414を南化して帰るのも面白くないので、r605を通って須玉ICへ。r605は「クリスタルライン」なんて名前がついてるくせに険道区間もあって、なかなか味わい深い道です。
談合坂SAに休憩がてら入ったらナビスコ杯の決勝を中継していて、それが延長でなかなか熱い展開だったものだから、うっかり最後まで見てしまったら、中央道に戻ったときには大渋滞だった、というのが今日のオチ。
2010-11-04(木) [長年日記]
■ 「jQueryクックブック」を自炊した
RubyKaigi2010の懇親会でもらった『jQueryクックブック』、会社に持っていったはいいものの、デカいし重いしでぜんぜん読めない。やっぱ技術書は持ち歩けるサイズじゃないとなぁ。
そうは言っても読みたいので、やはりここは自炊しかないかと思い、Twitterで「1冊だけさくっと裁断してくれるとこ、近所にないかなー」とつぶやいたらほうぼうから「キンコーズに行け」と言われた。いや知ってるけど、近所にないし!
……ところが運の良いことに、今日は横浜を経由する外出があったので、帰りにキンコーズ横浜西口店に寄ってみたのだった。
窓口で本を出して「ここで裁断してくれると聞いたんですが」と伝える。対応してくれたお姉さんの目が一瞬「また自炊か」という表情を浮かべたのをおれは見逃さなかったよ!
キンコーズの価格は、厚さ1cmあたり105円(税込)で、お姉さんがシャキーンと取り出した金属製定規によれば、クックブックの厚さは2.5cmなので315円也。タダで手に入れた本に300円ぽっち出してバラバラにしてもらうのは気にならないけど、自分で3,600円払ったらちょっと躊躇するかもな。
で、あとはお任せ、待っていれば背を切り落としてくれる。「3mmほど落としましたけど、まだちょっとくっついてるページがありますね」ってお姉さん、それじゃ役に立たないだろ。自炊するって知ってるくせに。というわけで、糊がなくなるまできっちり切り落としてもらうようリテイク。だからと言って600円にはならない。
それでも10分足らずの待ち時間で店を出る。いいコストパフォーマンスではないでしょうか。蔵書を全部電子化するのでもない限り、自分で裁断機まで買うのはもったいないしね。
というわけで、こんな感じにきれいにバラけた。しかし、さっそくScanSnapに突っ込んでみたところ、いきなり何ページかまとめて吸い込まれてしまう。手にとってみるとまだ少し(1mmくらい?)糊が残っているページが……ぐぬぬ。やっぱもっと切ってもらうんだった!
そんなわけで、念のため1ページずつ確認しながらフィーダーに突っ込む。まぁ、S1300は確認する速度よりも読み取る速度の方が遅いから、機械を待たせることにはならなかったのだけど。10枚くらいまとめてフィーダーに乗っけていきながら、今度は順調にスキャンが進む。
スキャン自体は実質的に30分足らずで完了。もっともその後のOCRフェーズが長くて、40分。470ページからなる本が20MB足らずのPDFファイルになった。ちなみにScanSnap的に最低画質で取り込んだので、見た目はけっこうショボい。もうちょっと高画質で取り込んだ方が良かったかも知れないなぁ。このあたりのバランスを見極めるのが難しそう。
モノクロ自動判別にしたけど、網掛けのあるページはモノクロと認識してくれず、グレーになってる。ここは強制的にモノクロにするべきだったのか。まぁ、もういっぺんやり直せと言われても、これ一冊だけならさほど苦痛じゃないかな。
できたPDFはDropboxに放り込んで、どの環境からも参照できるようにする。こういう用途だとEvernoteよりDropboxのが向いてる気がする。
試しにDesireに入れてみたけど、けっこう読める。もっともさすがに字が小さいので老眼には厳しいが。ノートでもワイド液晶に見開きに表示させるとちょっとキツいかなー。とりあえず明日から通勤中に読んでみる。
2010-11-07(日) [長年日記]
■ 放置していた生垣をなんとかした
夏のあいだ放ったらかしにしてあった生垣の剪定をした。いやもう、あれだけ暑い夏だったせいだろうけど、すさまじく伸びてて、まいったまいった。
日ごろから放置気味だったこともあって、特に上の方に伸びていて、ベランダから下をみる猫たちの目が「これを足場に脱出してやろう」と画策しているように見えるようになってきたので(←妄想気味)、なんとかしなくちゃいけなかった。ところが、植えてからはや5年半、高さ2mもの場所にある枝がすでに剪定鋏を受け付けないくらい太くなっていた(笑)。
これはノコギリ必要だなーと思いつつ、買いに行くのが面倒なのでそのあたりは来週に回すことにして、ハサミでなんとかなる範囲だけカットした。残った葉の倍くらいをゴミにしたような気がする。もっとマメに手入れしておけば楽になるんだろうなぁ。
で、あんまり力を入れてハサミをふるったものだから、夕飯を食べているときに箸を持つ手が震えてしょうがなかったという。明日は筋肉痛の予感……。
2010-11-08(月) [長年日記]
■ iTunes Storeで買った音楽を再リッピング
DesireにiTunesから曲を転送するスクリプトを運用し初めてもう10ヶ月にもなるのだが、iTunes Storeで買ったFairPlay DRM付きデータだけがまだ放置状態だった。曲が聴きたくて買ったものなのに、なんでデバイス変えるだけで聴けなくなるんだかねぇ。
とはいえよく言われるようにFairPlayはDRMの中でもずいぶんマシな方で、普通に音楽CDに焼くことができるから、いったんCD-Rに焼いてから再リッピングすればDRM抜きのデータになる。もちろん多少は音質が落ちるものの、どうせ屋外で移動しながら聴くだけなのでほとんど問題はない。音質にシビアなクラシックなんかはCDで買うし。
というわけで、DRM付きデータを集めてみたらちょうどCD 3枚分になったので、プレイリストを作って一気にCDを作成→再リッピング*1。一度自分で作ったCDのデータはiTunesに残っているらしく、メタ情報の入力はし直さなくてよかった。
転送しておいたデータを今朝になってひととおり聴いてみているけど、特に問題ないみたい。これでAppleとの決別にまた一歩!
それにしても、海外レーベルの曲はすべてPlusになったタイミングでそっちにアップグレードしておいたから、今回処理対象になったのはすべて国内レーベルの曲だけだ。わざわざ金出して音楽を買う(最近では希少になりつつある)層に対してこの仕打ち。ほんと国内レーベルの人たちは自分たちと顧客の関係についてもうちょっと真面目に考えたらどうですかね。
*1 あとから「それ仮想ISOイメージに焼けばよくね?」という指摘を受ける。まったくだ! でもまぁ、バックアップができたと思えばいっか。
2010-11-09(火) [長年日記]
■ https://www.amazon.co.jp/dp/9784569792347
wktkしながら手にとった第一印象は「あれ? 薄すぎね?」だった。たった150ページ。7年間におよぶはやぶさ軌跡を語るにはあまりに少なすぎる分量。そして実際、この本はかなり表面的だ。
そりゃそうだよなぁ。JAXAの第一線から退いてなお、毎日のように全国を飛び回っている人が、(あとがきによれば)たった1週間で書き上げたっていうんだから、充実した本になるわけがない。その中身にしても、メルマガ記事の全文引用までふくんでいるのだから、書き下ろしはさらに少ない。
編集者が急がせたのか、それとも的川さんがはやる気持ちを抑えきれなかったのかわからないけれど、せっかくの中の人、それも名実ともに「JAXAのスポークスマン」が書き下ろした「はやぶさ本」としてはあまりに寂しい。的川さんの「はやぶさ本」は本書の他に新書が一冊出ているし、今日になってもう一冊出るということを知ったので、たぶんこの件に関しては「人気作家」なんだと思うけど、その中のどこか一社でもいいからじっくり腰を落ち着けて書ける環境を提供して欲しかったなぁ。
まぁ、そうは言っても(一人の的川ファンとしては)彼の熱い思いをビンビン受け止められる一冊であったことは間違いない。自らの寿命を縮めてまで臨んだ漁業交渉のくだり。イオンエンジンのクロス運転がたんなる思いつきや貧乏だけの産物でないことを力説するくだり。この探査機に対する慈しみ、自信、プロジェクトメンバーへの強い信頼が言葉の端々に現れる。
とくに教育に力を入れている的川さんのこと、若いプロジェクトメンバがはやぶさの運用を通して急速に成長していく姿から受け取ったさまざまな感情は、彼の最近の活動を知っていてこそ理解できる。そういう周辺の知識があればとても楽しめる一冊。でも「はやぶさ本」として一冊手に取るなら山根本があればいいと思う。
■ Amazon.co.jp、MP3ダウンロード始まる
ちょうど昨日、iTSのDRMを外した話を書いたと思ったら、翌日にこのニュースでタイミングが良すぎだわ。iTS以外の選択肢が登場したのは実にすばらしい。これで二度とAppleに金を落とさずに済む!(笑)
そういえば今日、偶然10年前にAmazon.co.jpがオープンした日の自分の日記を読んだのだけど、当時はニュースステーションで取り上げられただけで落ちるほど脆弱で、おまけに品揃えもショボくてbk1の足元にも及ばなかったただの本屋が、今では日々の生活になくてはならない総合オンラインショップになって、なんとも感慨深い。最近もとうとう送料無料化を実現したし、そして長らく待たれていたMP3ダウンロードの国内サービス開始。
DRMかけて客を泥棒呼ばわりするのでなく、ちゃんとユーザのニーズをくんでサービスを組み立てるその姿勢は揶揄することなくちゃんと評価したいね。というか、ここに曲を提供できないレーベルなんてとっとと滅べばいいさ、ひゃっはー! ……ま、少なくとも国内のメジャーレーベルはしばらく及び腰だろうなぁ。iTSでもPlusにしてないところが大半だし。とっとと腹をくくって欲しいけどね、特にコロムビアとかコロムビアとかコロムビアとか。
というわけで、まずは無料のボーカロイド系アルバム(といっても各5曲入り)を3枚ダウンロードしたあとは、CDショップには置いていなさそうな「輸入盤」を漁った。スチールドラムのCDなんて街ではめったに手に入らないんだけど、Amazonにはゴロゴロしていて選ぶのに苦労するくらい。とりあえずご祝儀で1枚買った。ちょっと溜まっていたAmazonポイントもちゃんと使えた。
注意すべきなのは再ダウンロードができないこと*1(バックアップは自分でしなさいということ)、返品はできないことの2点かな。まぁ、どちらも許容できる。あと、「ほしい物リスト」に入れられないので、プレゼントにもできないのは改善して欲しい。値段的にも手軽さからしても、ちょっとした音楽データはプレゼントとして最適なので。
*1 もっとも.amzファイルを保存しておいて再実行するとダウンロードできてしまうように見えなくもない。
◆ ぽりごん [はじめまして。 的川先生の本なら、こちらの方もおすすめです。 http://www.amazon.co.jp/dp/..]
◆ ただただし [へぇ。新書の方が薄っぺらいだろうなー、と思って買わずにいたんですよね。今度出る新刊と合わせて買うか……。]
◆ yoosee [日本Amazonだと再ダウンロード出来ないのか... と思って見てみたら米Amazonも不可でした。危ない危ない。W..]
◆ ただただし [川口プロマネの著書が12/10に出ます。というメモ。 http://amzn.to/cawGgv]
◆ ぽりごん [川口先生のはもう1冊出るみたいなんですが、Amazonにはまだきてませんね。 http://search.books..]
◆ ただただし [ありゃ。こっちは11月じゃないですか。みなさん慌ただしいですねぇ。もっと落ち着いてから出せばいいのにw]
2010-11-10(水) [長年日記]
■ 「jQueryクックブック」を自炊した(再)
先日自炊した「jQueryクックブック」、出先や職場で参照してみるも、なかなか手軽に読めるという感じではない。まぁあの厚いのを持ち歩くのに比べたらいつでも読めて検索までできるというのは格段に便利ではあるんだけど。
まず、最低画質で取り込んだこともあってやはり読んでいて不愉快。あと、狭い画面で文字が入っている部分だけを拡大して読んでいると、左右の余白が邪魔。とくに後者はDesireで表示してるときに操作性が落ちるのでなんとかしたい。
というわけで、再度スキャンしてみた。
まず、ScanSnapの設定で画質はファインに。その代わり白黒固定にした。前回オートでやったら網掛けが入っているページはグレーで取り込まれてしまったので、今回画質は上げる一方で階調は落とした。
それから用紙の設定も自動になっていたものをカスタム設定にして、紙面のうち文字が入っている幅だけを指定した。これで左右の余白は取り込まれないはず。縦方向は実際の紙よりも小さくしてしまうとScanSnapが止まってしまうので自動のまま(なので上下の余白はそのまま)。
結果。上が前回のものをAdobe Readerで2ページ表示したもの。20インチクラスのワイド画面のディスプレイなら快適に読めるけど、字が汚い。下が今回のもの。左右の余白が消えて、狭い画面でも読みやすくなった。字もわりときれい(この写真じゃわからないと思うけど)。
とはいえ、やはりDesire程度(3.7インチ)の画面だと、横にしても厳しいんだよなぁ。「うーん、これはKindleフラグか」と思ったけど、最新のKindle3は6インチ画面だから対角15cm。Desireの画面を2つ並べた程度の面積しかない。だとしたらKindleでも横向きにしないと読めないってことで、不自由なことに変わりはないなぁ。Kindleを買ういい口実ができたと思ったんだけど(笑)。
で、ここでかならずiPadを勧めてくるお節介さんが登場するわけだけど、おれがアンチAppleなのを差し引いたとしても、日本の通勤電車で立って使うにはデカすぎて重すぎて落とせば割れるという、移動読書端末としては無価値なデバイスであるということはキッパリ書いておく。Androidタブレットにしても同じことだ。
2010-11-11(木) [長年日記]
■ 永和システムマネジメントの新しい受託契約がすごく面白い
今日は永和が話題をかっさらったねー。「新しい契約形態での受託開発サービス」。
アジャイルと受託開発の相性の悪さには定評があって、なにも作らないうちから納品物・納期をきっちり決める従来の契約形態だとアジャイルな開発がうまくできないというのが最大の課題だったわけだけど、それを開発費用は受託側の持ち出しにして、運用時(アジャイルなので継続的に開発が入る)に細く長く回収するという新しい契約スタイルを打ち出した。
この手の話になると「そもそもアジャイルで受託という発想がいけない、欧米では開発はインハウスがあたりまえ」みたいな頭の悪い舶来信仰が飛び出たりするわけだけど、社外のプロフェッショナル集団が必要なときに必要なものを素早く開発してくれる受託が絶対的に悪いことなんてあるはずがない。永和は、受託開発に対するこだわりがあるんだろうなぁ。そういうところは好き。
もっとも、外部からは永和側がどんなリスク回避策を仕込んでいるのか見えないので、この仕組みが本当にうまくいくのか、なぜうまくいくと考えているのかよくわからない。もしかするとうまくいくかどうかわからないからのトライアルなのかも知れないし。
この形態に合わない案件、例えば運用期間が費用回収できないくらいに短くなりそうな案件は受ける前に断るんだろうな、というのはわかる。でも極端な話、永和のライバルがこの契約形態向きの案件をたくさん発注して、開発だけさせて運用に持ち込ませなければそれだけで永和は疲弊して潰れてしまう(笑)。
あと、アジャイルでは「プロジェクト掛け持ちは悪」だったと思うんだけど、1社15万円/月だと1人の開発者が掛け持ちするプロジェクトはかなりの数になる。チケットがたくさん発行されたら十分な数&スキルの開発者を確保できるのだろうか、とか。いずれも永和側のリスクだけど、この契約形態が持続可能だという見込みがないと発注する側にとってもリスクになるわけで、そのへんの解決策がよく見えないね。
というわけで、実に面白いチャレンジだし、アジャイル開発が抱えていた課題をのひとつの良い解決策だと思うけど、不透明な部分があるからまだまだ手放しで「良い」とは言い切れない。外野としては実際の事例が出てくるのを待ちたいところだ。
2010-11-12(金) [長年日記]
■ AMN(アジャイルメディアネットワーク)がちっともアジャイルじゃない件
7月の末ごろだったと思うのだけど、登録してあるAMNのブログクラブからメールがきて、プロフィルがリニューアルしてFans:Fansというサイトになるとかなんとかそんな内容*1。こういうメールはたいてい設定で拒否してるはずなので、当然のことながらおれの反応は舌打ちだった。まぁ、それはそれですぐに忘却したのだが。
そうこうするうちに、そのFans:Fansというサービスは正式運用に入ったらしく、今度は10月になってから「ポイントシステムやいいね機能を実装した」という案内だの、ポイントが何点ついただのというメールが来るようになってしまい(そんなの送っていいなんて許可した覚えはない)、頭にきてTwitterでグチったら、知人ネットワークを経由して担当者からお詫びのメールが来たり。それがざっと……10日前の話。
その時の言い訳が、最初のメールはサービスが変わるから必要な案内のつもりだった(つまり確信的)、その後の案内はシステムのバグで拒否してる人にも送ってしまったというもの(つまり事故)。前者の言い訳は嘘っぱちだ。だって旧サービスの「プロフィル」はまだそのまま生きてるし、ログインしても移行の案内すら表示されない。後者にしたって、指摘されるまで何日も気づかないとかありえんでしょう。
もっとマシな言い訳考えろよと思わなくもなかったが、誤ってメールを送付した会員にはあとでお詫びをするというから待っていたのに、10日たってもまだ来ない(Fans:Fansのサイトにもまったく何の記述もない)。しょうがないから日記に書く。
断っておくけど、AMNには期待してるのよ。破竹の勢いのFacebookだって見方を変えればバズマーケティングで食ってる会社なわけで、日本にもちゃんとしたバズマーケティングができる会社があるべきだし*2、徳力さんみたいな誠実な人がやってるから信頼していいと思ってる(思ってた)。社員の中には知人・友人もいる。だからよけいに腹がたつ。会社が大きくなってきて、ビジョンの共有がおろそかになってるんじゃないの?
AMNってぇのはブログをつなげて企業と個人の仲立ちをしようとしてる会社でしょう。ブログオーナーたちは大事なメディアなはず。そういう大切な人たちとの「約束」をAMN側の勝手な理屈で破っておいて、しかもいつまでたっても詫びひとつ入れないとか、何かが狂ってるとしか思えない。
以前、βユーザに申し込んだ「Stamp!」というサービス*3にしても、わざわざtDiary用のプラグインまで書いて正式運用を待ち構えていたのに、まったく開発が進んでいる様子もないし、こっちから質問やバグ報告をしても反応なし。会社のミッションにある『「透明性」と「信頼感」を核に』とは正反対の行動だ。
流行らせるつもりがあるのかないのかわからないサービスを乱発してる暇があったら、「カンバセーション」の基本に立ち戻って、誠実なところを見せて欲しいですよ、ホント。
2010-11-13(土) [長年日記]
■ 「jQueryクックブック」を自炊した(再々) - PDFから余白の除去に成功するの巻
そろそろ自炊用のタグをつけるべきか。というか、ScanSnapを買った時、べつに蔵書をPDF化するわけではないとか書いてたくせに、自炊街道まっしぐらという雰囲気が濃厚になってきているのはどういうわけですか。
そんなこんなでこないだの続き。(Kindleで読むために)余白をもっと削りたい。
で、「PDF トリミング」みたいなキーフレーズでいろいろ調べていたんだけど、これはもう、Adobe Acrobatの独壇場(あとはソースネクストの「いきなりPDF」もできそう?)。Acrobatを個人で買うとか勘弁して欲しいので、できるとこまで無償ソフトでいきたいんだが……とこぼしていたらPDFCROPというプロジェクトを教えてもらう。
そうか、探すべきキーワードは「crop」だったのか!
で、上のPDFCROPはオプションすらないビミョーなツールで、動かしてみたけどエラーの原因もよくわからない。ただ、「PDF crop」で探してみると同名かつ同目的の違うソフトがあるらしい。で、こっちはDebianにもパッケージがある。
pdfcropはtexlive-extra-utilsパッケージに入っているようなのでaptitudeでインストール。ところがこれが「PDFCROP 1.5, 2004/06/2」という古いファイルで、公式配布元であるCTAN(TeX版のCPAN?)にあるのが「PDFCROP 1.31, 2010/09/17」。バージョンのつけ方が変わってて「えっ」と思ったけど、1.31の方が新しいということか。少なくともつい最近更新があったくらいなので生きているプロジェクトらしい。lennyのパッケージはなんでこんなに古いんだ?
というわけで、最新版を落としてきて使ってみる。依存関係は先の(古い)pdfcropがなんとかしてくれるのでいちおう入れておく:
% sudo aptitude install texlive-extra-utils % wget http://mirror.ctan.org/support/pdfcrop/pdfcrop.pl % mv pdfcrop.pl pdfcrop % chmod +x pdfcrop % ./pdfcrop --verbose test1.pdf out.pdf PDFCROP 1.31, 2010/09/17 - Copyright (c) 2002-2010 by Heiko Oberdiek. * PDF header: %PDF-1.3 * Running ghostscript for BoundingBox calculation ... GPL Ghostscript 8.62 (2008-02-29) Copyright (C) 2008 Artifex Software, Inc. All rights reserved. This software comes with NO WARRANTY: see the file PUBLIC for details. Processing pages 1 through 475. Page 1 Error: /undefined in /90ms-RKSJ-H (以下略)
なにやらエラー。「90ms-RKSJ-H」をググってみると、PDFで使われている文字コードの表記(?)で、Windowsで作られた日本語PDFという程度の意味合いか。日本語フォントがないという意味だろうな。あー……これはフォントの泥沼にはまるヨカン……。そういうのは全力で避けたい方向。
そこで、ここはいったん諦めて、ふたたびWindowsオンリーでなんとかしようと考えた。
Adobe ReaderやFoxit ReaderのようなPDFビューアで余白がなくなるくらいの倍率で「拡大印刷」し、それをpdf995やPrimoPDFのようなプリンタドライバを介してトリミング済みのPDFを入手しようという作戦に。
pdf995で作成したPDFファイルはむやみやたらとファイルサイズがデカくなってしまい(5倍以上)、PrimoPDFだと倍程度に収まったのでよしよしと思っていたのだが、困ったことに画像情報しか残ってない。よく考えてみればプリンタへ印刷するという機能を使っているんだから、決して印刷されない透明な文字の情報がプリンタドライバに渡るわけがないではないか。
おまけにこうして作ったPDFファイルを、Kindleを持っている知人に試してもらったところ、起動に5分かかるという結果に。なんじゃそら。なんかこう、PDFの作りがいろいろおかしいということか。やっぱまっとうな方法でPDFファイルを直接いじるしかないのかね。
というわけで、ふたたびLinux環境に舞い戻る。ちょっと調べてみると、「gs-cjk-resource」というのが見つかった。これを入れればいいのか。aptitude installしてからリトライ:
% sudo aptitude install gs-cjk-resource % ./pdfcrop --verbose test1.pdf out.pdf PDFCROP 1.31, 2010/09/17 - Copyright (c) 2002-2010 by Heiko Oberdiek. * PDF header: %PDF-1.3 * Running ghostscript for BoundingBox calculation ... GPL Ghostscript 8.62 (2008-02-29) Copyright (C) 2008 Artifex Software, Inc. All rights reserved. This software comes with NO WARRANTY: see the file PUBLIC for details. Processing pages 1 through 475. Page 1 Substituting CID font resource/Adobe-Japan1 for /MSMincho. Error: /undefinedresource in findresource
お、「MSMincho」なんてキーワードが登場するようになりましたな。ようするに、PDFファイルに「MSMincho」という名前が埋め込まれてるけど、マッピングできないと言ってるんだろう。マッピングのためにはなんらかの代替TrueTypeフォントを入れてやればいい。ここはおなじみ東風フォントでいいのかな。さらに調べると、cidfmapというファイルでそのマッピングを指定してやるらしい:
% sudo aptitude install ttf-kochi-mincho % sudo vi /usr/share/ghostscript/8.62/lib/cidfmap (ごにょごにょ) % tail -1 /usr/share/ghostscript/8.62/lib/cidfmap /MSMincho << /FileType /TrueType /Path (/usr/share/fonts/truetype/ttf-japanese-mincho.ttf) /SubfontID 3 /CSI [(Japan1) 2] >> ;
これで準備完了(のはず)。pdfcropを再実行:
% ./pdfcrop --verbose test1.pdf out.pdf PDFCROP 1.31, 2010/09/17 - Copyright (c) 2002-2010 by Heiko Oberdiek. * PDF header: %PDF-1.3 * Running ghostscript for BoundingBox calculation ... GPL Ghostscript 8.62 (2008-02-29) Copyright (C) 2008 Artifex Software, Inc. All rights reserved. This software comes with NO WARRANTY: see the file PUBLIC for details. Processing pages 1 through 2. Page 1 %%BoundingBox: 0 0 498 658 * Page 1: 0 0 498 658 %%BoundingBox: 0 0 498 658 %%HiResBoundingBox: 0.000000 0.000000 497.285985 657.485980 %%HiResBoundingBox: 0.000000 0.000000 497.285985 657.485980 Page 2 %%BoundingBox: 0 0 498 659 * Page 2: 0 0 498 659 %%BoundingBox: 0 0 498 659 %%HiResBoundingBox: 0.000000 0.000000 497.753985 658.925980 %%HiResBoundingBox: 0.000000 0.000000 497.753985 658.925980 * Running pdfTeX ... This is pdfTeXk, Version 3.141592-1.40.3 (Web2C 7.5.6) %&-line parsing enabled. entering extended mode (./tmp-pdfcrop-10192.tex [1 <./test1.pdf>] [2 <./test1.pdf>] ) Output written on tmp-pdfcrop-10192.pdf (2 pages, 197614 bytes). Transcript written on tmp-pdfcrop-10192.log. ==> 2 pages written on `out.pdf'.
できた! で、開いてみるとなにも変わってない。
いや、予想はしていたんだ。自炊PDFは画像が一面に埋まってるわけで、余白を検出できないんだろう。メッセージにある「HiResBoundingBox」がそのヒントだ。これを--bboxオプションで適当な値に狭めてやればいい。試行錯誤の末、こんな感じにするときれいに余白が消えたPDFができた。
% ./pdfcrop --bbox "50 40 447 627" test1.pdf out.pdf
前回の記事と比べると一目瞭然。バンザイ!
--bboxオプションには奇数ページと偶数ページを別々に指定できる機能もあるので、左右でマージンが大きく異なる本でもなんとかなりそうだ。これでKindleを買う権利ができた!(←権利?)
◆ kou [おぉ!すごい! というか、テキスト云々関係なかったです。 こんなスクリプトで https://ruby-gnome2..]
◆ ただただし [おー、すばらしい。これってghostscriptには依存してない? Linuxでいろいろ苦労するのはあの周辺に依存し..]
◆ kou [Ghostscriptは必要ないです! cairoはフォントまわりのバックエンドがPangoになっていて、Pango..]
◆ ただただし [fontconfigにもいい思い出ないけど(笑)、ghostscript関係ないのはいいねぇ。単一パッケージにしてW..]
◆ 馴染めない [(自炊)と言う言い方、馴染めない、もっとセンスの良い言葉ないもんでしょうか]
◆ ただただし [[警告] 「センス」が未定義です。]
2010-11-14(日) [長年日記]
■ 川崎 1-2 鹿島@等々力陸上競技場
体調もだいぶよくなってきたので久々に現地観戦。で、ひとり観戦だと負けるの法則ふたたび。とほほ……。
なんかねー、貪欲な感じがないんだよなぁ。ゴール前にいて、目の前にボールが転がってきてるのにダッシュしない矢島とかさぁ。あいかわらずDF陣もちぐはぐで、2点目なんて完全にやらなくていい失点だよなぁ。
2010-11-15(月) [長年日記]
■ https://www.amazon.co.jp/dp/9784844358589
積読箱の奥底から発掘(またか)。2006年の出版だけど、古びないタイプのいい本でした。
著者の矢野りんさんは個人的に最近やたらとよく見る名前で、なんでかっつーと日本Androidの会 女子部で活躍されてるからだ。多才な人だよなー。
紙・ウェブに限らず、「デザイン」に関わるさまざまな技術や考え方を見開きないしは1ページで簡潔に解説して並べた本。いわば「デザインに関するパターンカタログ」になっていて、これが実にわかりやすい。以前取り上げた情報アーキテクチャについての本が同じ狙いでみごとにカタログ化に失敗していたのと対照的に、こちらは各項目の粒度も揃って独立性も高く(でも関連性が高い項目は近くに配置してあったりして)、すごくよく考えられていて感心してしまった。
とはいえ、これからデザインを志す人が読むものではないと思う(というかおれだってそんなつもりはない)。「パターン」になっているということは、ここで取り上げられているのは「語彙」なのだ。デザイナが持ってきたデザインの「意図」や「背景」を理解して、その上で的確な注文をつけたりするための共通言語なんだな、この本に並んでいるのは。
というわけで、デザイナじゃない人がデザイナと対等に会話をするための基礎固めの本、という位置づけがいいんじゃなかろうか。
◆ せんごく [去年会社の書庫申請して蹴られた記憶。貸してください~。]
2010-11-16(火) [長年日記]
■ はやぶさが持ち帰ったカプセルからイトカワ由来の物質が見つかる
Twitterでこのニュースを見かけたとたんに、ブワッと涙が溢れてきてまいった。最近、涙もろくていけません。
国を上げての大ニュースなので、わざわざ日記に書くまでもない気もするが、こういうことがあったのだ、という記録だけでも残しておこうと思う。というか、胸がいっぱいで長い文章なんて書いてらんないよ。
そういえば今日配信のISASメールマガジン、わざわざはやぶさのニュースを待ってからいつもより遅めの配信にしたにも関わらず、いつものとおり淡々とコラムから始めて、このニュースは2番目の記事だったのが笑った。だがそれがいい(笑)。
2010-11-17(水) [長年日記]
■ ドーラ、トイレに落ちて流されそうになる
寒くなったせいか、ドーラが最近、ずいぶん人懐っこい。寝ているとこっそり布団の中に入ってきたりしてるし*1、日中も部屋のどこで寝ていてもいいはずなのにかならず人のそばで丸くなっている。以前は野性味あふれる孤高の子猫という感じだったのだけど、最近はすっかり飼猫だ。
そんなドーラ、なぜか(人間の)トイレが大好きで、人がトイレに入るとかならずついてきて、人がしてるのをじーと見つめたり、猫のトイレの掃除をしているのを手伝おうと(?)したり。特に流れる水を見るのが好きらしい。
あまりに好きすぎる感じなので、いつか落ちるだろうなーと思っていたら、今日、蓋がしまっていると思ったのか、水を流しはじめた直後にぴょんっと中に飛び込んでしまった(笑)。まぁ、さすがにもう流れてしまうほど小さくはないから心配はないけど、家が水浸しになるのもイヤなのですぐに救出したけれど。これでちょっとは警戒してくれるようになるといいんだが……。
そういえば、人間のトイレで上手に用をたす猫の写真やビデオを見たことがあるけど、ああいう感じなら楽でいいんだけどなー。そのためにはまずトイレのドアを自分で開けたり(グスタフはできる)、トイレットペーパーで遊ばなくならないといけないので前途多難だけど。
*1 グスタフは「入れてくれ」と一言ことわるが、ドーラは黙って入ってくる。
2010-11-18(木) [長年日記]
■ Kindleが届いた
……というわけで買ってしまいました、Kindle。(PocketWiFi持ってるから3Gは不要と判断して)WiFiモデルで送料込み1万数千円。ケンタッキー州からほんの4日で到着。物流すごい。
とりあえず表示させられるのはいままでチマチマいじっていた「jQueryクックブック」しかないのだけど、今日の帰りにキンコーズで何冊か裁断してもらってきたので、せっせと自炊するつもり。もっとも、大判の技術書は想定どおりちょっと字が小さすぎるのだけど。まぁ、横にすれば普通に読めるので、どうにでもなるかな、と。
たしか去年、Kindle DXの実物を見せてもらったときは、画面の書き換えが遅すぎて「こりゃ使えねぇわ」という感想だったのだけど、Kindle3はそのあたりも改善されていてストレスはほとんどない感じ。なによりE Inkの美しさはハンパじゃない。これを見てしまうと「液晶で本を読むのはつらいよなぁ」と思うね。
(2011-01-05追記: ツッコミで指摘されたのでInternational Shipment版にリンクを貼ろうと思ったら不思議なことにAPI経由で情報がとれないので、日本国内への発送を希望する人【WiFi版】および【3G+WiFi版】をたどって下さい。)
2010-11-19(金) [長年日記]
■ Kindle使ってみた
自炊した「jQueryクックブック」をKindleに入れて、さっそく持ち出してみた。いやー、軽い。通勤バッグの手にかかる重さが明らかに違う。こんなに軽いとは思ってもみなかったな。この中に何十冊も何百冊も入るんだから、文明の進歩はすごいすなぁ。
で、電車の中で座って読んでいたら、背後の窓から陽の光が差し込んできて、Kindleの画面がさらに美しくなるじゃないの。白い部分はさらに白く、文字はくっきりして、これは紙を超えてるんじゃね? 液晶デバイスだったらシェードを下ろしても厳しそうな光の中で、さらに読みやすくなるんだからもう、これは最高だ。E Ink実にすばらしい。
こういうガジェットって、飲み会で人柱さんたちに触らせてもらったりすることが多いけど、ああいう薄暗いところで他の液晶デバイスと並べてもKindleの良さはわからないんだなぁ。以前ある飲み会でKindle DXを触らせてもらった時もそんなに感銘受けなかったけど、今日は驚いた。こういう新しい表示デバイスをデジタルサイネージみたいな用途でお茶をにごすんじゃなくて、ちゃんとコンシューマ製品にしたてたAmazonはすごいな! Kindleのデモは日中の屋外でやるべき。
……と、手放しで褒めるばかりでも気持ち悪いので、課題も。あ、操作性の悪さはわかってて買ってるので、いちいち書かない。ついつい画面に触れて操作しそうになってしまうのは、スマートフォンで身についた悪癖だ。それ以外では、やはり画面の狭さがネックになる。
「jQueryクックブック」は先日トリミングした結果、それなりに見えるようになったけど、まだまだ字が小さい。
PDFは画面にフィットするように設定しても、下にガイドが出たりして、画面いっぱいにはならないということもあり、もうちょっとなんとかして欲しいところ。せめて幅を優先して欲しいので、上端のノンブルあたりもトリミングしてしまおうと考えている。まぁ、横向きにすれば十分な文字の大きさになるので、技術書はそうやって読むことになりそうだ。技術書メインで使うなら(おそらく出るであろう)DX3を待ったほうが良さそう。というか、普通にオライリーやオーム社、そしてもちろん達人出版会から電子書籍を買えばいいのだよ。
続いて、先日他界したJ.P.ホーガンを偲ぶため、本棚の奥から「巨人三部作」を引っ張り出してきて、思い切って裁断した。え? もったいない? 本棚で眠らせておく方がよっぽどもったいない。
文庫はKindle 3にジャストフィットするはずだからいいだろうと思ったが、やはり下にガイドが出る分、左右に余りが出る。読めないことはないし、最近の字が大きい文庫なら問題ないかも知れないが、これもざっくりトリミングしてみた。
で、こんな感じ。これならなんの問題もない(こっちもノンブル削ってもいいかも)。ということで文庫もかるくトリミングしておくのが良さそうだ。
◆ sasasin [出遅れてますが、こんなのどうでしょう。シェルスクリプトの自炊PDFのKindle向け最適化ツール。 http://..]
◆ ただただし [情報ありがとうございます。これって画像を抜き出して新たなPDFを作る手法ですよね(ChainLPと同じ?)。 せっか..]
◆ sasasin [画像を抜き出して処理してます。 時間はかかってしまいますが、OCRは再度つければよいのでは? pdfcropは幅..]
◆ ただただし [ScanSnapのOCRは、いじったPDFを対象にしてくれないんですよね……。 あと、画像として扱う場合、Kindl..]
◆ sasasin [ScanSnapで作ったPDFのメタデータを、作りなおしたPDFに捩じ込めばOCRをかけなおすことができます。 p..]
◆ ただただし [ほほう! それは耳寄りな情報です。あとからOCRにかけられるのであれば、画像化を毛嫌いする理由は少なくなりますね。時..]
2010-11-20(土) [長年日記]
■ FC東京 1-2 川崎@味の素スタジアム
多摩川クラシコ、2戦目。味スタでこのカードのときは天気がいい記憶しかないな。気持ちのいい秋晴れだった。
1戦目は勝ったので、こっちも取りたいところ。というかとうとう天皇杯も負けてしまって今年のタイトルもなし! ということになったので、残るイベントといえばリーグ3位に入って来年のACL出場権を獲得することしかない。なので気合を入れてのぞみたいところなのにケンゴがイエロー累積で出場できず。おまけに勇介もいないし、矢島が骨折という情報もありどうなることかと思ったら矢島はスタメンに入ってるし。どういうことなの。
序盤からDFがやたらと後ろのほうでボールを回すばかりでぜんぜん前に出て行けず、ケンゴがいないと攻撃のオプションがものすごく減るんだなぁ、と実感。試合内容的には一進一退、互角の展開なんだけど、降格圏内のチームと互角の戦いをしてどーすんの、いやでも向こうは上り調子らしいしなぁ。
最終的には1-1からジュニーニョの決勝ゴールで勝利。なんかすごく久しぶりにアバンテを歌った気がする。いやー、やっぱこのカードに勝つのは気分がいいですな!
■ 不定期yomoyomo飲み
yomoyomoさんの上京に合わせてなんとなく集まる飲み会、第n回。渋谷の「Place」という怪しげなバーにて。今回の参加者はIT濃度やや低め、文壇濃度やや高め。というか最近こういう傾向だな。
眠いのでとりあえずメモのみ。
2010-11-21(日) [長年日記]
■ 宮ケ瀬~ヤビツ峠
そろそろ紅葉も見頃かなー、と思い、早起きできたので軽く走ってきた……んだけど、まだちょっと早かったか。それとも今年の紅葉はイマイチなのか? なんか京都あたりはすごいらしいけど、こっちは冷え込みもそれほどじゃないからなぁ。
宮ヶ瀬湖周辺の山々は、最盛期ならこの山のかなりの部分が赤や黄色に染まるので、やっぱちょっと早かったのだろう。でもこれ以上遅くなると寒いんだけどなー。
r70に入ってヤビツ方面に向かうも、イマイチなことに変わりはなし。上のようなポイントもあるにはあるけど、早朝なので山あいには陽が差さず、光線の加減がよろしくなかったり。まぁ、探せばいい感じの木はある。
2010-11-23(火) [長年日記]
■ 川崎 1-2 C大阪@等々力陸上競技場
今日もひとり観戦で、今日も負け。オカルトはいっさい信じないが、ホーム連敗はキツいなー。
ケンゴが戻った代わり(?)に稲本が欠場、勇介も引き続き欠場という状況ながら、前半はフロンターレらしい波状攻撃でかなりいいチャンスがあったのだけど得点ならず。こういう「チャンスがいっぱいあるけど入らない」って状況は良くないんだよなー、経験的に……と思っていたら、あんのじょう失点。
その後、後半はほとんどいいところがなく、0-2に引き離されて、1-2まで追いついたもののそのまま負け。うーん、右サイドが攻撃参加できないから左サイドばかりにボールが集まり、逆にウィークポイントになってるような。ケンゴより勇介の穴のほうが深刻なんじゃないの。
2010-11-25(木) [長年日記]
■ いつまでたってもグラコロが始まらない件
マクドナルドからリリース出たー!と思って見に行ったらこれですよ:
お客様のご要望にお応えして、あのハンバーガーが帰ってくる!
「テキサスバーガー」期間限定で再登場
全国のマクドナルドで12月3日(金)から販売開始
いやいやいやいや、ご要望してるのはそれじゃないし!
そりゃ、テキサスはあのシリーズの中では一番良かったし、iConチキンシリーズはどれもビミョーだったから、悪くないチョイスだと思うよ。今じゃなければ。しかし、この季節はそれより先に出すべきものがあるんじゃないのか……というか、それをわかってないはずがないよなぁ。
これはきっとあれだ、中国が寡占してる小麦を輸出規制してて世界的に小麦が不足してるとか、なんかそんな話に違いない(そんな事実はありません)。ほんとにさー、グラコロなんて小麦粉さえあれば作れるんだから、とっとと頼むよー。
2010-11-26(金) [長年日記]
■ Jコミから「ラブひな」を全14巻おとしてみた
漫画家の赤松健が開設した「Jコミ」から、彼の代表作である「ラブひな」全14巻のPDFファイルを入手した。さっそくKindle3に入れてみたのが上の写真。扉絵なのでけっこうきれいに見えるが、本編の字はコントラストを最大にすれば読めなくもないけどかなりつらいという感じ。もっともこれはKindleのPDF表示が画面をいっぱいに使ってくれないのがいけないので、いずれファームの更新なんかで改善されるといいなぁ*1。
それにしても絶版本を無償で配布、収入源は広告のみというアイデアは、(成功するかどうかは別にして)すばらしい。「日本の誇るマンガ文化を守り、正しく未来に残したい」というサイトコンセプトがまたいいんだ。ユーザと共有できるビジョンをきちんと表明してる。これができてないサービスのいかに多いことか。
書籍にしても音楽にしても、電子媒体がもっとも合うのは「絶版もの」だと以前から思っていた。売れ線の新刊でもなく、著作権の切れた作品でもない、読みたい/聴きたい人がまだ大勢いるのに店舗では入手できないこういう作品が、電子媒体によって簡単に入手できるようになるべきだ。少なくとも著作権保持期間延長なんていう、ごく一部の大物コンテンツが延命できるだけで文化的な面ではほっとんど実効性のない提案なんかよりよっぽど意義がある。この試みは本当に成功して欲しいなぁ。
そのためにはちゃんと収益になるようになるべきだとは思う。収益は全額作者へということだけど、これだといつか疲弊してしまう。ちゃんとJコミが儲かる仕組みも探るべきだと思うし、場合によっては有料販売だって視野に入れるべきだろう。今回の「ラブひな」に入っている広告はどうみてもターゲットを外しているものも少なくないので、広告主をがっかりさせないためのマーケティングだって必要だ。
と、前途多難だとは思うけどマジでがんばって欲しい。とりあえずリスペクトを込めて、今まで一度も読んだことなかったけど「ラブひな」は全部読む。
*1 ImageMagicなどで画像を抽出してKindleサイズにリサイズすればかなりきれいになるし、しっかり読めるようになる。ただし規約上PDFファイルを改変することは認められていないので、この手はおおっぴらには使えないのだが。
2010-11-27(土) [長年日記]
■ 川崎 1-1 浦和@等々力陸上競技場
昼まで通院だったものだから、前半には間に合わず、後半から(また)一人観戦。つまり自チームの得点シーンを見られず、追いつかれる展開になってしまっただけのホーム最終戦。ああもう……。
あと1試合残っているとはいえ、結局今年もタイトルを取れず、がっかりな結果ではある。とはいえ、客観的にみればよくやったよなぁと思う。序盤から長期に渡ってケンゴとジュニーニョを欠き、W杯後は川島・テセに海外移籍され、おまけに故障者も入れ替わり立ち代わり……という状況でこの成績。むしろすごいよ。おれが監督だったら途中で投げてるわ。ファンの間では高畑監督の評価はあまり高くないみたいだけど、お前ら贅沢言いすぎだ。
もっとも、ケンゴが海外移籍に向けて動き出しているという噂もあり、たぶん年長の選手の何人かは引退か移籍をするだろう。来年はさらに厳しいことになりそうだなぁ。おもいっきり若返って、完全に違うチームになると考えておいた方が良さそうだ。
■ 宇宙クラスタ(の中のパラボラクラスタ)忘年会に行ってきた
宇宙クラスタ忘年会というのに参加してきたのだ。
いやいきなり宇宙クラスタと言われてもなんのことやらというかおれだってそんなクラスタに組み込まれている自覚はないわけだが@shufuAさんがTwitterで「行かないんですか?」って聞いてきたのでためしに@naritamasahiroさんに「行きませんか」と誘ってみたら来るというのでじゃあせっかくなのでパラボラクラスタで集まりましょうという流れに。
というか、クラスタと呼ぶほど人数いないよ、パラボラアンテナ好きなんて。けっきょく@darknebulaさんも含めて4人くらい、隅っこで濃ゆい話など。60人も集まる宴会なのになんか妙に狭い(笑)。とはいえ、さすがに「中の人」でもある@darknebulaさんが加わると、いろいろ聞けてめちゃめちゃ面白いんですが。あと、家族連れで楽しめるパラボラスポットというネタであれこれ知恵を絞ったり。やはり子連れは難しい。
それから、まえから相談したかったアンテナ撮影用レンズの話をやっと@naritamasahiroさんに聞けたり。なにせ「常陸太田の13mをふもとの公園から狙うとしたら何mmの望遠レンズが必要か」という具体的すぎる問いに答えられるのは世界でも彼しかいないわけで。で、(35mm換算で)300mmは欲しいよね、という結論に。やっぱそれくらいいるかぁぁぁ……考えとこ。
ともあれ、こんな狭い集まりができるのもTwitterと宇宙クラスタの行動力のある面々のおかげです。@lizard_isanaさんにもやっと会えたしね! みなさん楽しい夜をありがとうございました。
2010-11-28(日) [長年日記]
■ ORTLIEBの防水ヒップバッグを買った
以前買ったタンクバッグが、思いのほか運用が面倒で(バイクを離れる時は外してパニアに移さないといけないし)、カメラが入るサイズでもなかったので、思い切ってウェストバッグに移行することにした。いやまぁ、レインカバーをどっかでなくしてしまったというのが大きいのだが。
で、バイクで使うからにはとうぜん防水性が最重要になるわけで、色々探してみたんだけど、バイクで雨ざらしにしても浸水しない製品ってほとんどないのな。別途カバーをかけるタイプのは不便だから嫌だし、あとは口をぐるぐる巻くヤツ、あれも開け閉めが面倒だしね。
最終的にこれしか選びようがないというのがあったので、ちょっと値が張ったけどORTLIEBのヒップバッグにした。なんでも開発者が極度の防水オタクだそうで、相当こだわった製品らしい。
上の写真を見ればわかるように、ファスナーを閉めてあると境目がいっさい見えない。そこらの「自称防水ファスナー」とは雲泥の差があるねぇ。これは頼もしい。
容量も7Lあるので、かなりいろいろ入れられそう。これにカメラを入れるとして、やっぱ緩衝用のインナーケースは買っとくべきかなぁ。あと望遠レンズ……(←買えない)。
2010-11-30(火) [長年日記]
■ Webで日記をつけはじめて満11年
11年前の今日、Web上で公開日記をつけはじめた。当時の目的はLinuxの利用ログだったが、当時知り合ったKondara関係の人たちで今も日記をつけてる人はどれくらいいるかなぁ。
■ オーム社eStoreで初めての電子書籍購入
達人出版会のインタビューが載ってるということなので、オーム社eStore(β)でPDF版を買ってみた。青空文庫のPDF版やら、先日のJコミを除けば基本自炊ばっかりだったこともあり、有料の電子書籍を買ったのは初めてだ。まぁ、電子書籍に関する本が電子媒体で買えるというのは当たり前のことだと思うので、紙の本で買うという選択肢なんてないわけだが。えっ、世の中には紙でしか買えない電子書籍に関する本があるんですか? またまた~。
Ohmsha eBook Store is no longer available.
↑は@kakutaniが作ってくれたtDiary用オーム社eStoreプラグインによる(すでにcontribから入手可能)。というか、おれがこれを買ってから猫の散歩に行ってる間に実装されたらしい。Asakusa.rb怖い。
支払いはPayPal一本という潔さだけど、たぶんこれはRubyKaigi.orgでの経験が生きてるんだろうなぁ*1。購入者の情報が埋め込まれたPDFファイルが一本一本生成されるというのは達人出版会と同じ手法だ。コピー防止なんてこれで十分という考えだろう。賛成だ。
おかげで何も気にすることなくKindleに入れることができるわけです。どん。
うーん、縦書きの単行本はやっぱ少し厳しいか? コントラストを上げれば読めるかな、というレベル。幅の広い脚注を削ってしまえばけっこういけそうなんだけど。PDFのような「紙」を強く意識したメディアを選んでる限り、この手の制約は尾を引くんだろうなぁ。ePUBにしろmobiにしろ、デバイス依存な部分をうまく回避できるフォーマットがあたりまえに表示できる時代が来るといいね……みたいな話が、たぶんこの本に載ってるはずなので、なにはともあれ読まなくては。
しかしなんだ。物理的な積読箱は空になりつつあるものの、こんどは電子の積読箱がKindleの中にできつつあるんだけど……これって単に媒体が変わっただけじゃねーの。どうすんだこれ。
ところで、オーム社にリンクしてもアフィれないことに気づいたので、念のためAmazonにも貼っておきます(が、現時点でまだ書影がない)。
https://www.amazon.co.jp/dp/9784274068317
*1 オーム社eStoreの開発は@kakutaniのいる永和システムマネジメントである。
◆ ふくだ [パラボラめぐり、お疲れさまでした。臼田も野辺山も抜けるような青空がうらやましいです。]
◆ ただただし [「お疲れ」なんてとんでもない! たっぷり鋭気を養いましたよw 朝のうちは雲が多かったけど、だんだん晴れてきたんですよ..]