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ただのにっき


2010-11-11(木) [長年日記]

永和システムマネジメントの新しい受託契約がすごく面白い

今日は永和が話題をかっさらったねー。「新しい契約形態での受託開発サービス」。

[スクリーンショット]新しい契約形態での受託開発サービス アジャイルと受託開発の相性の悪さには定評があって、なにも作らないうちから納品物・納期をきっちり決める従来の契約形態だとアジャイルな開発がうまくできないというのが最大の課題だったわけだけど、それを開発費用は受託側の持ち出しにして、運用時(アジャイルなので継続的に開発が入る)に細く長く回収するという新しい契約スタイルを打ち出した。

この手の話になると「そもそもアジャイルで受託という発想がいけない、欧米では開発はインハウスがあたりまえ」みたいな頭の悪い舶来信仰が飛び出たりするわけだけど、社外のプロフェッショナル集団が必要なときに必要なものを素早く開発してくれる受託が絶対的に悪いことなんてあるはずがない。永和は、受託開発に対するこだわりがあるんだろうなぁ。そういうところは好き。

もっとも、外部からは永和側がどんなリスク回避策を仕込んでいるのか見えないので、この仕組みが本当にうまくいくのか、なぜうまくいくと考えているのかよくわからない。もしかするとうまくいくかどうかわからないからのトライアルなのかも知れないし。

この形態に合わない案件、例えば運用期間が費用回収できないくらいに短くなりそうな案件は受ける前に断るんだろうな、というのはわかる。でも極端な話、永和のライバルがこの契約形態向きの案件をたくさん発注して、開発だけさせて運用に持ち込ませなければそれだけで永和は疲弊して潰れてしまう(笑)。

あと、アジャイルでは「プロジェクト掛け持ちは悪」だったと思うんだけど、1社15万円/月だと1人の開発者が掛け持ちするプロジェクトはかなりの数になる。チケットがたくさん発行されたら十分な数&スキルの開発者を確保できるのだろうか、とか。いずれも永和側のリスクだけど、この契約形態が持続可能だという見込みがないと発注する側にとってもリスクになるわけで、そのへんの解決策がよく見えないね。

というわけで、実に面白いチャレンジだし、アジャイル開発が抱えていた課題をのひとつの良い解決策だと思うけど、不透明な部分があるからまだまだ手放しで「良い」とは言い切れない。外野としては実際の事例が出てくるのを待ちたいところだ。

Tags: agile

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