2010-11-02(火) [長年日記]
■ サイエンス・イマジネーション 科学とSFの最前線、そして未来へ(瀬名 秀明)
ほとんど小説を買わなくなったおかげで、積読箱の中身も読みそこねて古びてしまった技術書と、老後用のレムばかりになってきた。と思ったら底の方からこんな本が発掘されたりして。2年前かよ……。
2007年に横浜であった世界SF大会にて、おれも参加していた同名のセッションのまとめ本で、当時科学者たちから提示されたお題に、SF作家たちが小説の形で応じて補う形になっている。
当時の感想にもあるように、最前線の科学者にたった15分で自身の研究について一般向けに語らせるというのがまず無茶だったし(プレゼンの特に上手い人がかろうじてこなせたレベル)、その後のパネル参加者が1ダースを超えているのを見ればわかるように、発散するばかりでまとまりがいっさいなかった。
本書の中でも科学者が指摘しているように、30年とか50年先に実用化されると考えられている研究を、40代50代の人がやっているという妙な状況が、SFの側でも起きていて、本書に寄稿している作家もいいかげんベテランばかりだ。例外は円城塔だけど、例によって(斜め上方に)浮いているので人選ミスだと思う(笑)。もっと若い人も参加してもらうべきだったんじゃないかな。おまけに瀬名秀明の作品は独りよがりでなんだかよくわかんないし。
本書を読み返してみても、やっぱりとても成功したとは言いがたいセッションだったよなぁ。