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ただのにっき


2011-07-02(土) [長年日記]

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)(パオロ・バチガルピ)

この設定の話は読んだことあるなぁと思ったら、数年前、SFマガジンに同じ世界を舞台にした短編が載ったんだね。極端にエネルギー供給が低下した近未来、なにしろメジャーなエネルギー源は遺伝子改良された象を使って巻いたポータブルな「ゼンマイ」なのだ。電力なんて一般人にとっては夢のまた夢なので、インターネットは影も形もない。ぶっとんだ設定だけど意外とリアリティがあるのは、この状況が現代の写し絵みたいになっているからだ。

「ITの次はバイオだ」と言われ初めてもう10年以上になるような気がするけど、この世界では遺伝子改良の結果、さまざまな疫病や、多国籍企業の知的財産にがっちり守られた不稔種子が幅を効かせている。そんな中、舞台になるタイ王国は自前の種子バンクを武器に強い鎖国政策をとり、外部からの「侵略」を辛うじて抑え込んでいる。この状況、バイオをインターネットに、タイを中国に置き換えると、けっこう現代の状況に近い。

そう考えると、はたして「万里の長城」は崩壊するのか、それとも侵略を食い止められるのか、作者がどんな結末をつけるのかがぜん興味が出てくる(もちろんそんな白黒はっきりした結末がつくわけがないのだけれど)。そんな状況下でさまざまな思惑を抱えた複数の主人公たちの行動が、絶妙にからみあいながら進む物語も実に面白い。各賞総なめなのもわかるねぇ。

ただ、題名の「ねじまき少女」は主人公の一人ではあるけど、重要なトリガーをひきはするものの特段に目立つ活躍をするわけではないし、なんでこんなタイトルなのかよくわからない。もっともこのシリーズの国内発表された短編のタイトルも「カロリーマン」「イエローカードマン」(どちらも本作の主人公たちの一部)なわけで、まぁそういうルールでタイトルを決めてるだけなのかもね。

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ
早川書房
¥924

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ
早川書房
¥924

Tags: book

2011-07-03(日) [長年日記]

「緑のカーテン」を作るぞ(5) - 意外と成長が早い

[写真]もう100~120cmくらいまで伸びた

支柱を這わせたあとは基本的になにもしていないんだけど、思いのほか成長が早い。もう1m以上の高さまで伸びちゃった(背景のフェンスが1.2m)。来週には本来の窓の下に移さないといけなさそうだ。

Tags: gardening

2011-07-04(月) [長年日記]

ラ・プティット・ファデット La Petite Fadette(しかくの)

artonさんが(byflowで)「おもしろい!」と書いていたので読んでみた。うん、これはいい。

双子の弟と、蟋蟀(コオロギ)と呼ばれる醜い少女の恋愛を軸に、兄の嫉妬、ライバル(?)の美女が織りなす、田舎が舞台のボーイ・ミーツ・ガール。「本格ミステリ・コミック」と書いてあるけど、これをミステリと呼んだらミステリ好きが怒る気がするので、普通に恋愛モノとして楽しんだらいいんじゃないかねぇ。舞台である100年前のヨーロッパの風俗描写も面白いし、蟋蟀が知的な(ある意味)美女に成長していく過程もいい。

ただ、日本のマンガは「醜い少女」を上手に描けない(どうしても可愛くなってしまう)ので、絵柄と設定がミスマッチ。これは小説の原作を読んだほうが、読者の想像力が試されていいんじゃないかとも思う。

ラ・プティット・ファデット La Petite Fadette
しかくの
東京創元社
¥1

原作というか原案: 9784003253519

愛の妖精 (中公文庫)
ジョルジュ サンド
中央公論新社
¥372

Tags: book

2011-07-06(水) [長年日記]

PlayStation Networkが復活したので「感謝とおわびのパッケージ」を入手した

例の個人情報流出問題を受けて閉鎖していたPSNが各国で次々と再開する一方、本家本元の日本ではお上のOKがなかなか出ずにとうとう最後になってしまっていたようだが、ようやく今日から再開。この国はセキュリティに格段にうるさい国というわけでもなかろうに、なんでこんなに遅くなったのか不思議だね。Twitterで「SONYが天下りを受け入れるという条件が提示されているのではないか」という冗談を見かけて笑ったが、案外冗談ではないのかも知れない。

まぁ、元々そんなにゲームをよくする人ではないので、PSNがないからといって何ら困ることはなかったのだが、無料で2本のゲームをくれるというから早速ダウンロードしてみたのだ。簡単そうで楽しそうなの……という基準で以下の2本にした:

で、合わせて1時間ほど遊んでみて、もう飽きちゃったわけだが(笑)。LocoRocoはルールはわかったけど3面でもう難しくて先に進めないし(ヌルくてすみません)、パタポンは何が面白いのかさっぱりわからないという。おれはもうダメだ……。

つーか、タダでもらったゲームってモチベーション上がらないから継続してやる気にならないのかもなぁ。自分の懐痛めていれば「元をとろう」って気になるもんな。


2011-07-07(木) [長年日記]

Google+ vs Facebook: 「一方的で非対称なグループ」はむしろ普通だよ

Googleプロフィールのロック問題は、中の人による(個人的な)申し入れがあり、調査をしてもらっているところ。少し前進? 願わくば、同じ目にあっている大勢の人たち(そう、おれだけじゃないのである)も、まとめて復活できるといいのだけど。

そんなわけで、せっかく使えるようになったGoogle+は見るだけでなんの操作もできない状況が続いております。とほほ。だからGoogle+には必ずしも肯定的な感想をいだいているわけではないけど、だからといって比較対象にもならないものと比べて「だからGoogleはわかってない」的な話をするのはどうかと思うねぇ。TechCrunchの「ZuckerbergがGoogle+のCircles機能をずばり批判」とかさ。

こんなの、人をラベル付けしてその情報を共有するか、公開するかという二軸の話なんだから、優劣じゃなくて狙っている守備範囲について意識すればいいだけの話じゃん。例えばこんな表を作ってみると:

公開非公開
共有メーリングリスト
Group [Facebook]
メーリングリスト
Group [Facebook]
youRoom
非共有List [Twitter]アドレス帳
List [Twitter]
List [Facebook]
Circle [Google+]

Circleはそもそも「アドレス帳」のような旧来からあるラベリングと同じ守備範囲を持った、由緒正しい分類手段を提供しているだけだとわかるし、そもそもFacebookにも「List」というたいへん使いにくい同等機能があるわけだ。Google+がオーソドックスかつ、従来のソーシャルサービスが上手に実装していなかったこの分野から着手したのは正しいと思う。

で、こうして見ると、Twitterの公開Listはちょっと変わった立ち位置だねぇ。自分が人をどうラベル付けしていて、しかもその状態が丸見えというのはかなり新鮮だ(トラブルのタネだけれども)。

さらにいうと、この四象限をすべて網羅しているサービスは今のところないじゃないか。だったらGoogleにはCircleの機能を拡張して、これらの全象限をうまいこと統合できるようにして欲しいものだ。


2011-07-09(土) [長年日記]

川崎 3-2 福岡@等々力陸上競技場

2点目のゴールが決まったところ(シュートしたケンゴは写ってない……)

なんかかなり久々な気がする……。ちょうど今日、梅雨も明けて(例年よりだいぶ早いような)、暑くなった等々力へ。川崎市制記念ゲームということで、いつもの西城秀樹ハーフタイム・ショーだけでなく、マスコット大集合やら、ドラえもん始球式(でも蹴ったのはのび太)やらなんやら、イベントの多い日でした。

アビスパは今季ダントツの最下位ということもあり、楽勝ムードが漂うものの、そうやって油断したらひっくり返るのがサッカーという競技ですよ……などとしたり顔で下馬評をしていたら、なんだかんだで3点先取、こりゃやっぱり楽勝かと思ったら、今度は立て続けに2点返されてしまい、やっぱりDFに穴があるという前年からの課題がそのままだというのが明らかに。

いやもう、ボール支配なんかはアビスパの方が上だったし、点差以上にヤバい感じだった。3位に上がったものの、ぜんぜん油断できないなー、今季は(今季も?)。

写真は2点目、ケンゴのシュートが相手ゴールに突き刺さった瞬間。1点目の稲本のゴールもそうだったけど、「え、そこから打つの!?」という距離だったのでぜんぜんカメラが間に合ってない。スポーツ写真難しいです……。

Tags: frontale

2011-07-10(日) [長年日記]

猫たちの食欲がない

[写真]だいたいベッドルームの床でだらーんとのびている

関東地方も昨日で梅雨明けということで、暑い日が続いている。猫たちも暑さのせいで食欲がないらしく、6時になっても起こしに来ない。最盛期には朝4時台に起こしにきたものだが。というか、ちゃんと起こしてくれないと遅刻するから困るんだけど!

とはいえエアコンは嫌いらしく、リビングでエアコンを入れるとそそくさと階下に移動して、フローリングやベッドの上でだらだら過ごすのが日中の定番行動になりつつあるようだ。あと、ベランダに貼ったタイルは水をまくと打ち水的効果があるタイプなので、けっこう好きらしい。水をまくとべったりと腹をつけて寝ている。

なんにせよ、あんまり食欲がなくて痩せても困るかなー(ドーラが。グスタフにはいいダイエットだ)……というようなことをTwitterでつぶやいたら、冷蔵庫で冷やした缶詰はよく食べるという情報をもらった。えー、マジか。

かみさんは「お腹壊すんじゃない?」と言ってる。まぁ、あんまり自然じゃないのはたしかだが。食べたがるなら与えても良いという情報もあるなぁ。まったく食べないというわけでもないので、まだここまでしてやる必要は感じないけど、知識としては覚えておくか。

[写真]グスタフはたいてい腹を上にして寝ている

Tags: gustav dora

2011-07-12(火) [長年日記]

我、Googleプロフィール・ロックアウトから生還せり

先日のGoogleプロフィール・ロックアウト事件からはや12日。ついに復活の日がやってまいりました!

今日の昼ごろ、ふと(Desireの)TweetDeckを見ると、ここしばらく沈黙していたGoogle Buzzのタブに更新があるではないか。プロフィールがロックされているとBuzzを見ることはできるが投稿ができなかったのだけど、APIは読み書き両方閉じられていたらしく、クライアントアプリからはいっさいの更新が見られなくなっていたのだ。「これは!?」と思ってGoogle Mapsを立ち上げ、Latitudeを有効にしてみると、これも生き返っていた。どうやら、ようやく復旧したらしい。

その後PC上で確認すると、今朝までこんな状態だったプロフィールが:

[スクリーンショット]プロフィールからロックアウトされた状態

こうなっていた。完全復活である:

[スクリーンショット]正常なプロフィール画面

この10日あまりの経過は先の日記に書いてあるとおりだが、今回の復活がGoogleへのフィードバックが効いたのか、それとも(中の人である)tmatsuoさん*1の働きかけによるものか、はたまた指示通りに行った「再送信」が処理された結果なのかは不明である。もしわかればここに追って書くことにする。

なおこの現象、Twitterでの反応を見ているとおれの他にも大勢食らっているらしいが、おれ以外に復活したという話はまだ入ってきていない。ちょっとデマも交えて広まっているみたいなので、整理しておくと:

  • Googleプロフィールの名前を何度も変更していると、上記のような画面(「審査中」)になる
  • ただしこれは、本名の強制を意味するものではない(参考: コミュニティ規約)
  • 審査中は、プロフィールに関わるソーシャル系サービスが使えなくなる。具体的にはGoogle+、Buzz、Latitude。Gmailやカレンダー、Picasaに影響はない
  • 審査中には「プロフィールを再送信して下さい」というリンク付きメッセージが加わることがある(のでそれは押しておくべきだろう)
  • 再開にあたって、Googleから特にメッセージはない(もちろんお詫びもない)

ここからは多分に想像が混じるが。外から見ているかぎり、この現象は以下の2点のコンボで発生しているように見える:

  • 不正アカウントかどうかの判別アルゴリズムが甘い(名前の頻繁な変更や不当な記号の入力だけで判断している)
  • ロックアウトしたアカウントの復帰のためのワークフローが決まっていない

対象のアカウントが「生きて」いるかどうかなど過去の活動実績から見れば難しい話ではないはずだし、アルゴリズムによる制限は「失敗」する可能性が常にあるわけで、不当なロックアウトからの回復手順をワークフローに含んでいないのは手落ちもいいところだ。

これがトライアルテスト中の新サービス「Google+」だけの問題なら、そういう運用面のツメがまだまだなのも理解できなくもないが、一緒に従来のサービスまで巻き添えにして使用不能にするというのは、あまりにお粗末というものだろう。徹底したソースコードレビューによる品質確保で有名なGoogleだが、運用体制まで含めた「レビュー」は、どうやらあまり徹底していないようだ。本気で「ソーシャル」を相手にするなら、むしろこっちの方が大事だと思うよ。

*1 たぶんGoogle+の直接の関係者ではないと思うのだけど、おれの窮状をみかねて自主的に手を差し伸べてくれたようで、たいへん感謝している。
なお、他にもGoogleには何人か知人がいるけれど、アクションを起こしてくれなかったからといって責めたりするつもりは毛頭ない。Googleがどんなに変わった会社だとはいえ、常に個人がどうこうできるとは考えていないし、第一こういうことはGoogle+がシステムとして解決すべき問題だと思うから。

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

鳥居三三 [ご復帰おめでとうございます。自分はまだまだ停止中で、なおかつ審査中から停止中になってしまいました。申請は2度ほど行い..]

ただただし [えっ、「審査中」の次には「停止中」なんてステータスがあるんですか! それも本人とのインタラクションなしに!? それは..]

鳥居三三 [とりあえず、Googleプロフィールの規約の運用はかなり杜撰なレベルということがわかりましたので、ご報告までに。漢数..]

ただただし [さすがにここまで来ると、もはや「面白い」と言わざるをえない(笑)……いやすみません、ご本人はそれどころじゃないのはわ..]

鳥居三三 [いえ、じゃんじゃんネタにしちゃってください(笑) そのほうがいい供養(?)になりますw]


2011-07-13(水) [長年日記]

9784873114996

オライリー・ジャパンの高さんから献本(兼誕生日プレゼント)をいただいた。いつもありがとうございます。

タイトルから、ギークがギークであるがままに生きるためのノウハウ集的なものかと想像していたんだけど、ちょっと違った。たぶんそういう向きには先日話題になったエンジニアtypeの「脱・リーマンエンジニアに必要な4つの習慣」みたいな記事の方が参考になると思う。この人たちはちょっと突き抜けちゃってる気もするけど。

本書がターゲットにしているのは、もうちょっとリーマンエンジニア寄りなギーク。自分をとりまく人々がどんなことを考えているのか、彼らと上手に付き合って、会社生活にうまく馴染むにはどうしたらいいかという、処世術的な話題が多い。元がブログの文章ということもあって、良くも悪くもブログ本的な面がある。良い面は著者の個人的な体験をベースにちゃんと自身の言葉で書かれていること。悪い面はターゲットが(想像以上に)多様なこと。なにしろギークの家族に向けたメッセージまである。頭から尻尾までギークに向けて書かれていると期待するとちょっと肩透かしかも知れない。

それよりもむしろ、ギークたちを束ねなければならないマネージャに向けて書かれた文章が多い。著者自身もエンジニア上がりのマネージャだし。というわけで、会社ではプレイング・マネージャ、かつチーム内では誰よりもギークな自分にとっては、むしろ「おれが読まねば誰が読む」的な本かも知れない。キャリアパスの向こうに「マネージャ」が見え隠れしているエンジニアはまさに本書の主要ターゲットと言えるだろう。

中でもいいなと思ったのは、上司を類型化して対応方法を考える章。ちょっとまともな社員教育をやってる会社なら、必ずマネージャ向けに「部下を類型化して対応方法を学ぶ」といった研修があると思うが、逆に上司を類型化する一般社員向けの研修は聞いたことがない。でもこれって必要だよね。「人を類型化するなんていけない」と綺麗ごとを並べるんじゃなくて、法則がなければ上手に動けないギークたちのために「ほら、パターンがみえれば対処できるでしょ?」という例示をするのは悪くない手法だ。

とにかく話題はかなりバリエーションに富んでいるし、日米の文化の違いを楽しめることもあり、随所に面白いところのある本だった。あと、@naoyaの「日本語版まえがき」がピリッと短くてイイね(長ったらしいまえがきや謝辞が大嫌いなので)。

9784873114996

Tags: book

2011-07-16(土) [長年日記]

ドーラ、我が家に来てから1年になる

[写真]今日のドーラ

ちょうど昨年の今日、庭に来たドーラがかみさんに捕獲されたのだった。当時は我々に向かってもしばらく「フーッ」と言うくらいの野良だったが、今では家の中で通りすがりに目が合うだけでも「ニャー」と挨拶をするくらいの甘えんぼである(でも抱っこは嫌い)。ただ、人に慣れたのかといえばぜんぜんそんなことはなくて、家族以外の人間を見ると一目散に逃げ出すくらいに警戒心が強い*1

体重はようやく3kgで、なかなか大きくならない。痩せっぽちで、グスタフと並ぶとそのあまりの小ささに心配になってしまうくらいなのだが、これは単にグスタフがでかすぎるのかも知れない。メス猫で3kgってまぁ普通?

ちなみに1年前は「呼称はドラちゃん」とか書いていたけど、今はなぜか「ドーちん」と呼ばれることが多いのであった。未来は予測がつかないものだね。下は1年前のドーラ。

[写真]1年前のドーラ

Tags: dora

*1 グスタフは誰に対しても甘えてなでてもらいたがるくらいの世渡り上手(ただし獣医は除く)。

「The Final RubyKaigi」1日目

[写真]開場に間に合わなかった(またかw)パンフレット

来年はスタッフやらないよ宣言のとおり、今年は発表なし、労働もなし(ちょっと働いたけど)で一人の参加者として「最後のRubyKaigi」へ行ってきた。まずは1日目、講演聞いてただけなのにすっげー疲れた。去年までこれにスタッフワークが加わってたなんて信じられん。でもまだあと2日ある。

レポートについてはまいどいい仕事をするレポート班によるスペシャルレポートがあるのでそちらを。

バカウケ基調講演からコミッター漫才までは大ホールにいたけど、その後は小ホール中心にウロウロしていた。ここ2年ほど大ホール番長だったこともあって、小ホールでやるようなマニアックでアカデミックな方向の話は遠ざかっていたので楽しかった。大ホールはわりと仕事でRubyを使っている人たちによる「より良い(Rubyの)使い方」で、小ホールは「これからRubyをこうしたい」的な話が多かった気がする。どっちも好きだけど、今回は後者に軸足置いてみるかなー。

それにしても2006年当時は、こんな大きな会場に、仕事でRubyを使っている人が大勢集まるなんてまったく想像もしていなかったもんなぁ。なんでも、初日だけで去年の規模を超えたらしいですよ。ひえぇ。

そうそう、闇RubyKaigiでdanさんが「打倒tDiary」な話をして、その中で「(日記やブログは)feedとpermalinkさえあればいい」ということを言っていたけど、ブログ業界(?)的にはかなり以前から同じような見解にたどりついてる人はけっこういる。こないだ高橋さんとも「静的HTMLいいよね」的な話をしたりした。正直、ちょっとしたWebサイトならサーバサイドはAPIを提供するだけにしちゃって、普通のコンテンツは静的HTML、動的部分はjsでいいと思うね。大規模サイトはちょっと違うかも知れないけど。

ブログじゃないけどParabolic Antenna LoversREGOを使って書きだした静的HTMLで、まだjs要素は多くないけどその方針で、ぜんぜん不都合はない。時代は巡り巡って初期のMovableTypeみたいな方向に行くのだとしたら面白いね。

本日のツッコミ(全10件) [ツッコミを入れる]

Before...

ブチャ猫 [NTの関係者が太ってると想像できますか? お腹周りは歳相応ですが<ダイエットに成功していない]

ただただし [たしかに! 失礼しました ><]

sora_h [http://d.ajunk.org/ も静的HTMLを吐いてる. 静的HTMLいいよね http://github..]

ムムリク [本題とは無関係なのですが、http://d.ajunk.org/ の 201106xx のいくつかが「ごがつ・・・」..]

ただただし [つまり、「ごがつ……」の部分は日付から自動生成されてないってことかw]

sora_h [あれは全部手動やでー]


2011-07-17(日) [長年日記]

「The Final RubyKaigi」2日目

[写真]かんぱーい

顔見知りのスタッフたちに会うたびに「たださん、(一般参加者としての)RubyKaigi、楽しいですか?」って聞かれるのだけど、そりゃもう楽しいよ! 好きなときに好きなところに行けるからな(笑)。というわけで2日目はちょいフリーダムに行動するなど。

朝イチは小ホールでベルギー美女や@m_sekiの発表を聞いて(並行系や分散系の話はあいかわらず大好物。仕事で使う機会はあんまりないけど)、「Writing Friendly Libraries」まで聞いたあと2Fの和室「yuruby」に飛び入り参加。@yuguiがみずから「初めてのRuby」を朗読するという、マニア垂涎の企画である。

で、「初めてのRuby」はKindleに入ってるだろう……と思いこんでいたけどまだ自炊してなかったというマヌケぶりを発揮。いっしょに本を見せてくれた方、ありがとうございました(名前を聞き忘れた)。変数初期化が種類によってされたりされなかったりという統一感のなさの理由がなんなのかを考察するといった、初心者向けとは思えない濃い話が刺激的だった。そういうことも(たまには)考えながら言語を使わないといかんよなぁ。

偶然一緒になった人たち6人ほどと昼食に出たあとは(「黒酢すぶた」が絶品)、ホールのうしろでコードを書いたりしながら(良いカンファレンスはコードを書きたくなるものなのでこれはこれで良いのである)、また3F、今度は洋室でMacをdisる会があると聞いたので途中参加してみたら、実際は「Rubyのカンファレンスでは非Macユーザが肩身狭いよねー」という会だった。でもこのあとLTの客席でLet'snoteが3台並んだりしたので(おれ、@nahi、@_ko1)、そんなことないぞ。というか、見渡すかぎりMacが並ぶようなカンファレンスでRubyスポンサーになってくれるMicrosoftの度量の広さについて、もっとみんな真剣に考えてみるべきじゃないですかね。

それより、プレゼンターのWindows7のタスクバーを見たWindowsXPユーザが「それは何のソフトですか」と訊ねていたのがもっとも衝撃的というか、Mac<->Windows間のギャップよりWindowsXP<->Windows7間のギャップの方が大きいじゃねーか(笑)。ともあれ、Win32OLEでWindowsアプリをコントロールするのは面白いのでみんな遊んでみるといいよ(別のところで志村さんからイラレのバージョン間非互換に対応する苦労話を聞かされりしたので、楽しいばかりではないのだが)。

[写真]@kakutani特別講演

その後は大ホールに戻って、@kakutaniの特別講演。これまで電波強度の高すぎる@kakutaniの講演は生では聴かないようにしていたんだけど(笑)、最後くらい聴いておくか、と。中止になったDave Thomasの基調講演の代打ということもあり、Daveが我々に与えた影響を歴史を追って解説しつつ、最近DaveからRubyistたちに出された「宿題」にどう応えていくかという締めくくりで、「RubyKaigiなきあと」にも持続的な情熱を抱き続けるよい指標を示す、すばらしい講演だったと思う。電波飛んでなかったし(笑)。それにしても、@kakutaniが「(2012年の)RubyKaigiはなくてもいいかも」とか言ってしまったので、来年は本当にないかもね。

お楽しみのLTと懇親会については元気があれば追記する、かも。というか、Rubyの懇親会でMatzがぼっちになってたり、スイーツが瞬殺だったりと、まったくお前らときたら……。


2011-07-18(月) [長年日記]

「The Final RubyKaigi」3日目、そして楽園からの放逐

[写真]!tDiaryKaigi

なでしこジャパンが世界一になってしまったので(←史実の記録)、ちょっと遅刻して会場入り。日本Rubyの会法人化の話を聞き逃してしまった(けどたぶん知ってる話なので大丈夫だろう)。というか公式サイトのCSSが、10年くらい前に(CSSド素人の)おれが書いたtDiary向け「Cloverテーマ」のままなのはさすがに恥ずかしいので、法人化の際にちゃんと変えてよね……。

そのまま大ホールに居座ってエコシステム的な話を聴く。初日に「技術寄りの話を重点的にきこう」とか言ってたくせにこのざまです。実際は後ろのほうでtDiaryの新しい標準テーマを書いたり、JavaScriptのバグを直したりしていたのだが(.cssや.jsばかりいじっていてなぜ.rbを書かないのかと)。そのまま(意図的に)ボッチ化して書き続けようかと思っていたら、@freedomcatがやってきたので一緒にモスバーガーへ。なかなかボッチにはなれないものだ。Matzでさえ、懇親会でボッチになれるというのに!(本当)

午後は@hsbtがtDiary開発を通じて培ってきたレガシーコード保守に関する話。そのまま3F洋室に集まって!tDiaryKaigi(上の写真)なので今日はtDiaryデーです。それにしても、昨日の@kakutaniや@m_sekiの話で言及されたと思ったら、今日は写真入りで登場だよ(しかも一番悪辣な感じの写真を使いよった!)。一介の参加者に身をやつしているというのに、なにこの存在感。

んで、Kaigi中に分散して話し合われたtDiary的な話としてはこんなとこですかね:

  • 7/29のリリースは3.1にする。feature freezeは1週間前
  • 3.1リリースしたら、jason_pureの取り込み、@kakutaniパッチの取り込みをする
  • おまえらjsのテストも書け(→要、テスティングフレームワークの選定)
  • ドキュメントあるのに存在が知られてないのはなんとかする
  • Rack上での運用に関するドキュメントを書く
  • テーマの存在感をもっと出す

その後はまた大ホールに戻り、一番前の方に居座って(@kakutaniから実行委員長ばかりか同じ講演スタイルまで受け継いだ)@snoozer05講演、2回目のLT、Matz最後の基調講演、クロージングへ。いやー今年も、いや最後も、いいKaigiでした。家庭持ちで三連休を全部つぶして毎日深夜帰宅とかありえないので、今日はさくっと帰った。撤収がないというのはいいものだな(笑)。というかみんな家庭は大丈夫か?

[写真]クロージング直後の客席

さて、少なくとも現在のスタイルで行われる「The RubyKaigi」はこれで終わりなわけだが、そういうことも手伝って、今回はコミュニティやRubyそのものに対する「感謝」や、これからの自分の活動に関する「宣言」が多く見られた。@tenderloveの基調講演は「コミュニティにある障壁を取り除こう」という提言だったし、@kakutaniはDaveから出された宿題に応える行動を呼びかけ、@snoozer05はみずからのわらしべ長者的コミュニティ歴を紹介することであとに続く人への道標になった。@hsbtからは面と向かって感謝されて面映い限りだが、四半世紀続くプロジェクトを継続するための視点の提示があり、Matzに至ってはさらに先、百年先を見据えた態度が表明された。

で、これ、Rubyって言語とはもはや関係ないんだよね。日本で生まれ、20年近い長い歴史のある言語で、国内のイベントに大勢のコミッタが集結できるという特殊性はあるものの、今回の講演の多くはRuby言語に依存しない。RubyKaigi 6回の歩みは、「RubyKaigi」を抽象化して「Kaigi」を作る過程だったのではないだろうか。

Matzが講演の中で「高校生まで言語を設計するような国は日本だけ」という話をしたとき「そりゃ日本には『まつもとゆきひろ』というロールモデルがあるからや」と心の中でツッコんだものだが、RubyKaigiの価値はまさにここ、たくさんのロールモデルを壇上に引っ張り上げたところにあると思う。若い技術者が壇上の彼らの考え方や働き方をみて、自分もそうしようと決意したとか、そんな生き方ができるのかと気づいたとか、RubyKaigiにはそんな事例に事欠かない。

今回、Twitterを見ていると、Rubyに関係ないけど参加した(そして何かを得て帰った)という人が大勢いた。規模をどんどん拡大して、Rubyist以外にも門戸が広げられ、しかも抽象化した「Kaigi」を提供できたからこそ彼らにリーチできたわけで、「Ruby」を出発点にしたイベントが最終的に「Ruby」から離れる瞬間を見られたのは、個人的にはなかなか得難い体験だった。抽象化は大切ですね(と、いかにもプログラマ的なオチ)。

さて、おそらく別な形で再来年あたりに生まれ変わるThe RubyKaigiだが、こんな「楽園」から放り出されたわれわれRubyistは、しばらくの間は個別に「現実」とに戦わなくてはならなくなった。この抽象化された「Kaigi」という武器にどんな使い道が発見されるのか、なかなか興味がつきないところである。


2011-07-19(火) [長年日記]

去年はいい年になるだろう(山本 弘)

誕生日プレゼントにいただきました、どうもありがとう! うっかり四六版上製の本を「ほしい物リスト」に入れておいたら届いてしまったので、ムリを承知で自炊してみたら、Kindle3でもなんとか読めなくもない文字サイズになった。これ以上老眼が進むと厳しいので、ハードカバーの小説は買わないようにしないと(本末転倒)。

300年後の未来からタイムマシンに乗った「侵略者」が襲来、そのときSF作家・山本弘は……という設定で、ああ、これは「題未定」(小松左京)か「亜空間要塞」(半村良)ですね(←例えがいちいち古い)。小説家が自分を主人公にすると「私小説」になるが、SF作家がそれをやるとたいていSF的な意味でひどい目にあうことになるので、ギャグにならざるをえない。だから本書もきっと笑える話……かと思いきや、これがなかなかシリアスな展開。主人公がひどい目にあうのは同じなんだけど、シリアスにひどい目にあうので読んでいて少々胸が痛い。

あ、そうそう、祝・星雲賞受賞。作中に「星雲賞がなかなか取れない」という話が出てくるので、なかなかメタな話になって面白かった(時間線が違うので問題にはならない)。SFに登場するさまざまな小道具・大道具を縦横無尽に組み合わせ、作者の過去の作品への言及もにじませながらバランスの良い「私小説」に仕上がっている。エンディングはちょっと都合が良すぎる気もするけど、そういう点も含めて、SFファンの心をつかんだのだろう。良作。

去年はいい年になるだろう
山本 弘
PHP研究所
¥202

Kindle版: B0079A7QOM


9784894567702

Kindle版: B009HO5GIQ


9784894567788

Tags: book

2011-07-21(木) [長年日記]

MM9 -invasion-(山本 弘)

なんか、山本弘ばっかり読んでるような? といってもこの作品はこの単行本ではなく、「Webミステリーズ!」上の連載で読んだのだけど。紙の本になったのでメモがてら。

こうやってまず電子媒体で公表して、評判を観察しつつ紙の部数を調節すればリスクが減らせていいと思うんだけど、なぜか逆に電子書籍を後回しにしたりして、ハイリスクなことするんだよね、日本の出版業界。不思議不思議。

前作「MM9」がパロディ満載の本格SFだったのに対し、今作は体裁的にはラノベ。主人公は少年少女だし、ちょっといい感じのラブコメもありで、雰囲気だいぶ違う。が、「敵」は宇宙怪獣だし、前作でも登場した「ヒメ」が大活躍で、怪獣小説としては前作に勝るとも劣らない出来。こういう小説は楽しくていい。

なお本作品は(たぶんWebで連載されていたためだと思うが)珍しく電子書籍版も新刊として購入できる(東京創元社のページから各電子書店へ)。また、Webミステリーズ!ではMM9シリーズの新作「MM9 -destruction-」も連載中である。

MM9―invasion―
山本 弘
東京創元社
¥2,480

9784488737016

Tags: book ebook

2011-07-22(金) [長年日記]

tDiary: 標準テーマを差し替え、3.1リリース準備

前回のリリース(3.0.2)から来週で3ヶ月になるので、次のリリース準備を始めている。今日でfeature freeze。次のリリースは3.1になる。JavaScriptの活用を大幅に取り入れたし、(ついさっき)標準テーマを新しくしたのでマイナーバージョンアップにした。

[スクリーンショット]新しい標準テーマ

メジャーバージョンがあがるたびに標準テーマは新しくしたいと思っていたんだけど、3.0の時には実現できなかったので、遅ればせながら3.1で。ベースはこの日記で使っているGustavなので実績はあるが、せっかくなので今回はテンプレートにも手を入れた。<body>のすぐ内側に<div>を入れたので、これで設定を特にいじらなくてもコンテンツ全体がセンタリングされたようなテーマが書けるようになる。

ところで、テンプレートを変えてもテストが失敗しないってことは、まだまだテストが不足してるってことなんだよなぁ(笑)。

Tags: tDiary
本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

hsbt [>まだまだテストが不足してるってことなんだよなぁ(笑)。 老師曰く、テストを書いてから機能を追加変更しなさいというの..]

ただただし [だから「hsbtセンセイのテストの書き方講座」をだな。]

shino [つ hsbtさんのテストの書き方講座出席希望]


2011-07-23(土) [長年日記]

「緑のカーテン」を作るぞ(6) - 窓の下に移動

[写真]すでに窓の中ほどまで伸びている

RubyKaigiやらなんやらで週末に行動できなかったこともあり、2週間ほど放置していたら120cmの支柱をはるかに越えて伸びてしまったので、慌ててプランターを移動。今までは日当たりが一番いいところで育てていたのだが、本来カーテンを作りたいのは西日の強い窓なので、ターゲット窓の下に分散して設置した。今までよりは少し日当たりが悪くなるが、すでに葉も大きく、たくさん出ているのでそんなに成長が鈍ることもないだろう。

当初は(よくある緑のカーテンのように)ネットに這わそうと思っていたんだけど、この窓は格子がはまっているので直接からませてしまうことにした。手で誘導してやったらすでに窓の半ばまできていたので、すぐにでも全面覆ってくれそう。成長早いなー。

ちなみに写真右側のプランターが「FW」、左が「DF」と呼ばれている。もう1つは別の窓の下に置いてあって、名前はもちろん「MF」。うちのチームは守備重視なのでDFの成長が一番いい(←結果論)。

Tags: gardening

2011-07-24(日) [長年日記]

グスタフとドーラ、珍しくなかよし

[写真]珍しくくっついて寝ている

グスタフとドーラは、別に仲が悪いというわけではないのだけれど、接近するとどっちかがジャレついてしまってすぐに追いかけっこに発展するので、「仲良く昼寝」みたいな状況になることはまずない。今日は珍しくくっついて寝ていたので、貴重な瞬間を写真に収めることができた。こういう時に限って薄暗い室内だったりするので露出が厳しい。その他の写真はこちら(PicasaWeb)

多頭飼い仲間の家では一体化して寝ている猫たちのようすがよく見られるんだけど、いったいどうやってそんなに仲良くさせられたん?

Tags: gustav dora
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muryoimpl [おぉ、仲良く寝てますね。微笑ましい!]


2011-07-26(火) [長年日記]

自己評価はリターンで測る。気長にね。

RubyKaigi2011から1週間をすぎ、一区切りついたのかふりかえりをする人たちがけっこういて、彼らのエントリを読むのもまた楽しい日々。特に@june29が「RubyKaigiとRubyとKaigi」というエントリでおれの日記を引用しているのでじっくり読んだ。で、何かアンサー的なものを書かないといけない気分になったんだけど、まぁ、あまりうまくまとまらないのだな、こういうことは。年寄りが書くとどうしてもお説教みたいになっちまうし。

だから気になった一言だけをとりあげて、そこからあんまり関係ない話をする。気になった一言というのは「自分は、RubyKaigiにどんな貢献をしてこれただろうか」という問いかけだ。

以前、GitHubとFOSSの話でも書いたように、「貢献」ってのは他者からもらう評価で使われるべき言葉だ。自己評価で「どれだけ貢献したか」つまり「どれだけアウトプットしたか」を測ると、下手をすると相手の満足度を無視した自己満足になってしまう。だから、自己評価はアウトプットの結果、どれだけのリターンがあったかで測った方がいい。仕事の成果を報酬で測るのと同じ。

ものすごく卑近でちっぽけな例だけど、せっかくなのでRubyKaigiに関係する自分の体験を出すと、「No Ruby, No Life」ってキャッチフレーズを使ったのは2006年10月、たぶんおれが最初だと思うのだけど*1、これがRubyKaigi2007のノベルティに印刷され、余ったTシャツがRubyConfへのおみやげとして海を渡り、向こうのRubyistたちの手に渡った結果、@tenderloveの基調講演で引用され、振り返ってみれば会場にはまさに「RubyをLifeにしている」何百人もの人たちがそのキーワードに笑っているわけですよ。あれを見たおれがどんなに愉快な気分になったか。

言うまでもなく、彼らがRubyで生計を立てているのと、おれの行動とはまったく関係がないのだけれど、5年前に作ったほんの30枚の自作のステッカーがこんな形でもどってきたらもう、愉快としか言いようがないわな。

他にも、今回のRubyKaigiでもっとも言及の多かった講演のひとつ、Cookpadの開発の話をした@hotchpotchが、この世界に飛び込むきっかけになったのがtDiaryのプラグインだったとか、長く生きているとこういう話は列挙にいとまがない。

もちろん、自分のアウトプットを客観的に見積もるのは大切だし、ふりかえりをして区切りをつけるのは良いことなんだけど、「貢献できたか?」という軸で何かを測るのはやめた方がいいと思う。それよりも、その結果として自分が何を得たのか、そしてそれは自分のアウトプットを超えるものかどうかと感じる方がいい。特に次のステップを意識する時に良い視点を与えてくれる。なぜなら、アウトプットよりもリターンの方が少ないなら、それはアウトプットが足らなかったことを意味するから。

だいたい、世の中の富や幸は基本的に増える一方なのだから、その時にできた貢献の量よりも、ある程度時間がたってからのリターンの量の方がたいていは大きくなる。だから、成果を目の当たりに出来るのは少し先になるかも知れないけれど、これからどんなリターンに出会えるのか、わくわくしながら気長に待つのもオツなものなのだ。

ほらな、やっぱり説教臭くなっちまった。

*1 もちろんこれはタワーレコードのパロディなので、すべての名誉はコピーライターの木村透に帰する。

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iR3 [私のLTでも引用・言及させて頂きました。ありがとうございます。 http://www.ustream.tv/reco..]

ただただし [そういえばそうでした!]


2011-07-27(水) [長年日記]

【ナビスコ】川崎 3-1 広島@等々力陸上競技場

[写真]1点目の直後

ホーム&アウェイ方式になったナビスコの1回戦2試合目。これに勝てば2回戦に上がれるのだが、今日はかみさんの都合が合わなくてソロ観戦。ソロでは勝てないジンクスが……。

そんな心配を裏付けるかのように、前半、先制したのちかなりひどい形で同点にされる。なにしろ前節の新潟戦からケンゴも稲本もいないのだ。中盤のパスミスが多いんだよねぇ、やっぱり。

ところが後半けっこう持ち直して、登里、小林が相次いで得点、勝ってしまった。いやー、なんだかんだ言って勝ち試合を見てるなー。それにしても悠様はすごいや。特に最初の得点なんて、まさにフロンターレらしいポジショニング。去年まで谷口がいた場所をちゃんと埋めてるからこそのチーム内得点王だよなぁ。

Tags: frontale

2011-07-28(木) [長年日記]

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)(万城目 学)

2ヶ月前、XMDF形式の電子書籍を自炊するために買ったのを今ごろ読んでたりして。「大阪が舞台で、けっこう売れてて映画化もされるらしい」という程度の前知識しかない、というかあとがき読むまで作者が「鹿男あをによし」の人だということにすら気づいてなかったという(笑)。

江戸時代より前から存在する謎の地下組織を、大阪の風俗にからめながら大げさな話に仕立てるという手法、これは半村良の伝奇小説スタイルと同じだねぇ。半村作品の東京下町を大阪に置き換えて、SF成分を抜いたような話だ。まぁ、半村良は大好きなので、かなり楽しめた。渦巻く陰謀の歯車が、ちょっとずつずれて想定以上の大騒ぎになってしまうところとか、人情話的な幕引きとか。作中ではあえて最後まで触れられずにいた最大の謎についてもちゃんと回収しているから、読後感もさっぱり、良いエンターテイメントでした。

ただ、半村良と比べてしまうとどうしても辛い点になってしまうわけで、たとえばディテールが大阪の描写に偏りすぎていて、会計検査院の仕事ぶりについてはその「姿勢」にしか触れなかったりして(わざとだと思うけど)、なんとなくリアリティに凸凹がある感じがちょい残念か。

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
万城目 学
文藝春秋
¥869

そういえばこれを買ったSpaceTownブックス、8月いっぱいで終了だそうで、「これからXMDFの電子書籍を買いまくろう!」と意気込んでいた矢先にこれだもん、たまらんなー。……と心にもないことを書いてみたり。XMDF形式を販売している電子書店はまだたくさんあるし、そもそも欲しい本がないので利用頻度は多くないだろう。

というか、サイトを閉めるのはいいけどさ、推奨する移転先がGALAPAGOSってのはどういうことなのかねー。専用/特定端末でしか読めない書店にしてしまうということは従来の顧客の多くを閉めだしてしまうわけで、そんなことは百も承知だろうから何か勝算があるんだろう。でもおれ、電車の中でGALAPAGOS端末で読書してる人なんて見たことないけどなぁ。大丈夫なんでしょうか、SHARPさん。日本の電子書籍の明日はどっちだ。

Tags: book

2011-07-29(金) [長年日記]

tDiary 3.1.0リリース

恒例の、というかまだ2回目だけど、3ヶ月ごとの定期リリースにより、tDiaryの新バージョンをお届けする。今回からクライアントサイドでできることはできるだけJavaScriptでという方針で、いくつかの(主にプラグインの)機能をJavaScript化した。

また、標準テーマを(やっと)新デザインにして、これで名実ともに3.x系になったかな、と。詳しくは公式サイトにて。

Tags: tDiary

2011-07-30(土) [長年日記]

読み返したい「小松左京」、5冊

2007年のワールドコンで、あまりにちっちゃくなってしまった「巨星」の姿(それでもあの時は元気いっぱいだったけど)を見て以来、お別れをするのもそう遠くないと覚悟はしていたので、昨日の小松左京の訃報、それほどのショックはなかった。来るべきものが来たなぁ、という感じで。

で、いつものように追悼読書をしようと思って本棚を探してみたら、ほとんど残ってないの。愕然。古参の日本人作家(主に角川文庫)は数が多いので、いつだかの引越しのタイミングで嫌になって全部捨てちまったらしい(2001年の夏のことらしい)。半村良も平井和正もない。自分の青少年期を形作った中でももっとも影響力のあった人たちの作品が手元にないとは、まいったね。BookOffにでも行って、探してみるか。

というわけで、見つけたら買い直したい小松左京作品を5冊ほどメモ。Amazonでも新品が買える本は少ないのがもったいないよなぁ。せっかくだから、これを期にプラネタリアートで小松左京の全作品を電子化してくれればいいのに。というか今やらずにいつやるの。

さよならジュピター〈上〉 (ハルキ文庫)
小松 左京
角川春樹事務所
¥985

さよならジュピター〈下〉 (ハルキ文庫)
小松 左京
角川春樹事務所
¥1,005

「さよならジュピター」、映画は日本SF映画界の黒歴史とまで呼ばれているが(おれは好きだけど)、小説の方は掛け値なしの傑作。小松左京が一番のっていた時期の作品で、やりたいことにみちあふれていたことがよくわかる。「日本沈没」で描かれていた日本に対する深い愛情が、地球ばかりか木星を含めた太陽系にまで広がったような、日本を代表するSF作家によるスケールの大きい"ラブストーリー"だ。

復活の日 (ハルキ文庫)
小松 左京
角川春樹事務所
¥461

映画化された作品ばかりを選ぶとマニア度が低くなってしまうけど(笑)、そもそも小松左京はちゃんと(マニアを満足させつつも)マス向けの作品を書けたという点がすごいところなわけで、映画にもなるほどの作品にだって、SFの魂はぎっしり詰まっているのである。地球に対する愛情が感じられる、これも傑作。

9784894564664

古いけど、がっちりした本格SFとして、これは読み返したい。短編なのにどれもスケールが大きくて、一気に読むとクラクラするほど。小松左京は短編の名手でもあった。

継ぐのは誰か? (ハルキ文庫)
小松 左京
角川春樹事務所
¥257

(例によって怪しげな)記憶をたどると、初めて読んだ小松左京はこの作品だったかも知れない。少なくとも小松左京作品を好きになったきっかけはこの本だった。ミステリーとしてもすばらしいが、なんといってもSFらしいパースペクティブがすごい。

9784894565906

基本的になんでも書けた小松左京は、もちろんホラーも上手い。ホラー系短篇集は多いのだけど、「牛の首」が収められた短篇集はいくつかあって、どれが入手しやすいのかよくわからんな。「牛の首」に関しては……おや、誰か来たようだ。

Tags: book
本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

良太 [「夜が明けたら」はホントに怖い素敵な小説です。おっさんになった今でも怖い。 「復活の日」も、もっと評価されてよい作品..]


2011-07-31(日) [長年日記]

萩の月を買いだめした

[写真]8個入りを2箱

ありがたいことに伊勢丹相模大野店の東北物産展で萩の月が買えるという情報をいただいたので、さっそく行ってきた*1

数に限りがあるようなら買えるだけ買ってやろうと意気込んでいたのだけど(ぉぃ)、けっこう潤沢にあったので8個入りのを2箱GET。日持ちしないからあんまりたくさん買うのもどうかと思っていたが、「冷凍して半解凍で食べるとおいしい」という情報をもらっていたので、半分はすぐに冷凍。

あー、これで夏のお菓子には困らんわー(←夏は関係ない)。

*1 明日までです。


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