2011-06-03(金) [長年日記]
■ オルタード・カーボン(上)(リチャード・モーガン)
「なんだかクールな表紙だな」と思って読んでみたらガッチガチのハードボイルド(ただし舞台は600年後)だった。ハードボイルド読んだの久しぶりだ。
ハードボイルドってやつはスタイリッシュなだけでは成立しなくて、背景には哀愁のようなものが漂っていなければいけないと思うのだけど、本書はそういう意味ではとてもよくできたハードボイルド小説だと思う。主人公のタケシ・コバッチはたくさんの悲しい過去を背負いつつ、しかしそんな情報も断片的にしか明らかにされないので、謎めいた憂いのあるかっこよさが際立つ。
舞台は600年後、人間の記憶・意識は常時チップにバックアップされ、死んでもチップさえ保護できれば新しい肉体(スリーヴ)で復活できる。表面上は不死が実現しているが、ただしスリーヴの入手にはもちろんコストがかかるし、チップのオンラインバックアップにも金がかかるので、貧富の格差が寿命の長さに直結している。スリーヴを用意できない人間は電子状態で凍結されるか、せいぜいヴァーチャルで過ごすしかない。
と、設定だけみればかなり「SF」してるんだけど、アイデンティティ方面にはあまり足を踏み込まないので、こういう題材を扱うわりにはあまり現代的な感じはしない。というか同じような設定の小説は自分でも学生時代に書いたよなぁ(そしてハヤカワに送ってボツにされた)。傲慢な長寿族と虐げられる一般市民の確執が話の基本で、このあたりは設定を現代に移してもそんなに変わらない主題だ。
ということなので、SFっぽい設定のハードボイルド小説として読めば楽しめるけど、本格SFとしての期待感はあまり持たない方がいいかも。
■ tDiary: search-bing.rbを書いた
Yahoo!のBOSS APIがそろそろ廃止のはずなので、別の検索サービスに乗り換えなくてはいけないのだ。で、Google版はhbさんが書いていたので公開されるのを待つとして(とか書いてたらcontribに公開された)、なるたけオルタナティブな選択肢を用意しておく信条のおれとしてはBing版を書くしかあるまい。
というわけで、やや手抜きっぽい部分もあるが、search-bing.rbを書いた。ドキュメントはこっち。さっそくこの日記に組み込んでみた。1000件までという制限がある他はとくに制限なし(なのかな?)なので、Yahoo!みたいに規約が変わらないかぎり使い続けられるだろう。ただ、明らかに検索結果が少ないんだよなぁ。やはりGoogleに一日の長か。
ただこれ、セキュアモードでは動かないので、tDiary.Net全体で使えないんだよな。無理やりセキュアモードで動かすか、js版を書くかしないと……。
今日はその他に、rubykaigi.rbがRubyKaigi2011対応になったり*1、section_footer2.rbがGoogle +1に対応したりと、妙にプラグインのアップデートが多い日であったよ。
*1 さっそく→のバッヂを置き換えた。今年は個人スポンサー
2011-06-04(土) [長年日記]
■ 「緑のカーテン」を作るぞ(2) - 発芽した
夕顔の発芽には一週間から10日はかかるとされていて、それでも気温が低かったこともあり心配だったので途中でほじくり出して根が出ていることを確認したりしていたのだが、ようやく芽が出てきた。
双葉がしっかり開いたらプランターに植え替えの予定。猫がかじったりしないかがそれまでの心配(笑)。
■ 猫たちを洗った
久しぶりに猫たちを洗濯。梅雨に入ってしまったから明けるまでムリかなと思っていたけど、いい天気だったので決行した。まぁ、洗っても抜け毛がなくなるわけじゃないんだけどさー。写真はかみさんによる。
それにしても、洗いたての猫の手触りは最高。
2011-06-07(火) [長年日記]
■ tDiaryのJavaScript比重を高める計画(というほどのものではないけど)
categoryプラグインが内蔵していた編集サポート機能のJavaScriptをjQueryで再実装して、.jsファイルに追い出した。最近プラグインから.jsファイルのロードをコントロールできるようにしたので、やりたかったことにようやく着手できた感じ。
tDiaryはまだまだCGIとして動かせるようにしておく以上、サーバサイドでの処理は少なければ少ないほど良い(といっても限度はあるが)。検索エンジンbot向けに必要なテキスト以外はできるだけJavaScriptに追い出すべきだろう。ということで、将来的にjsに追い出したい機能:
- 本日のリンク元表示: 記録まではサーバサイドでいいけど、これを見たい人は限られているので、ボタンをクリックされた時だけ非同期に読み込むようにしたい。
- highlightプラグイン: これはまぁ、サーバサイドの負担にはなってないけど、jQueryで再実装すべきだろう。
- categoryプラグインのモロモロ: アイコンなんかはクライアントサイドで置き換えてもいいんじゃないか。
- imageプラグイン: ページ遷移をやめたい。あとD&Dサポートとか。
- ソーシャル・ボタン系: botに見せる必要はあるまい。
- 設定画面: ページ遷移をやめたい。
- WYSIWYG編集: 気が向けば。
他にも、contribにはjs化すべきプラグインが多数ありそう。jsファイルが増えすぎてページロードに時間がかかるようでは困るので、過度の適用は考えないといけないけど。
で、この方向を推し進めるとテスト環境をプランニングしているhsbtが頭を抱えるわけだ(笑)。いやほんと、JavaScriptのテストって厄介そうだよなぁ。
2011-06-08(水) [長年日記]
■ 久しぶりにBK1で買い物した
定期的に「3000円以上の買い物で使える×××円のギフト券」を送ってくるBK1、そうはいっても3000円分まとめて買いたい本があることもそうそうなくて(まして紙の本など)、ずっと無視していたんだけど、先日ついに「制約なしの150円ギフト券」が送られてきた。ずっと以前Twitterで意見したのが聞き入れられたのかしらん? 150円なら断裁1回分ちょいなので、1冊自炊するならいいバランスである*1……が、一方で「BK1、いよいよ瀬戸際か」なんて感じなくもない。
実際買い物してみると、以前に比べてたいして改善されたようにみえないんだよねぇ。今回買ったのは上下巻の小説だけど、上巻をカートに入れても下巻をレコメンドしてくれるわけでもなく。決済のステップも妙に多くてわかりにくいし、システムに投資する余裕もないのかなー、なんて思えてしまう。
これで電子書籍でも扱ってくれればいいんだが、ギフト券のメールには「電子書籍販売サイトhontoで、電子書籍版もご購入いただけます」なんて書いてあるから期待して見に行ったら決済含めぜんぜん別の店舗だったりして、単に提携しているだけみたいだったからよけいにガックリきた。もっとも、hontoで買いたいものがあるわけでもないんだが。
*1 といいつつ厚めの文庫を2冊買ってしまったので断裁料は400円もかかってしまったのだが。
◆ muneda [同じく米国ですが,先日乗った飛行機では,KindleとかTabletも電源切ってねと明に言ってましたね.航空会社によ..]
◆ こ~りん [電波関係の問題よりも、離着陸時はトラブル発生の可能性が高いから、というのが理由との話もあるので 航空会社としては、紙..]
◆ Coo [アラスカ航空がパイロットが携行する飛行機のマニュアルをiPadの電子書籍にして軽量化とコスト減を図ることにするとニュ..]
◆ こ~りん [緊急時に見てたら間に合わないだろ、というツッコミはおいといて 専用の固定する台ぐらいはあるんじゃないでしょうか]
◆ Coo [大型機はその機種の限定免許を取る際に勉強しているはずですが、コンピュータ故障などの稀なトラブル時のリカバリ方法はその..]
◆ yoosee [記憶の限りでは半月前のAA、3ヶ月くらい前のContinentalとUS Airways(いずれも国内線)では少なく..]
2011-06-09(木) [長年日記]
■ グスタフ、体重6.6kg(!)
ふと思い立って、ひさしぶりにグスタフを体重に載せてみて、我が目を疑った。6.6kgっておまえ、いつのまにかまた大きくなりやがって……。毎日抱っこしてると、変化がわからないんだよな。忍者の訓練みたい。腰にくるので、そろそろ成長は止めてもらいたいのだが。いちおうダイエット食を与えているんだが、ちょっと目を離すとドーラのを食べてるからなぁ。
ちなみにドーラは3.0kg。ようやく3キロ台に復帰。最近はずいぶん食欲があるので、まだしばらく成長しそう。こっちはもうちょっと大きくなって欲しいものだ(が、こっちも油断するとグスタフの餌を食べているという)。
2011-06-10(金) [長年日記]
■ 段組書籍を自炊する
先日Amazonでラファティの『翼の贈りもの』を見つけて、ほぼ条件反射的にポチっとしてしまったのだが*1、届いたのは青心社のハードカバー、二段組の書籍だった。アチャー。
青心社の本はちょっと特殊なサイズで、版型は小さいが縦長、二段組なので密度が高いため薄くていいんだが、こちとらもはや紙の本など持ち歩く気はない。でもそのまま自炊するとこんな感じで、さすがに目に悪い:
やっぱり段をバラさないといけないようだ。ここでいつものRakefileを段組対応に改造してもいいんだけど、うっかり段組書籍を買う機会はそんなになさそうなので、今回はアドホックに対応することにした。なにしろ表紙や目次、解説などは段組されていないので、どっちにしてもちゃんとしたものにするには手作業が入るので。
というわけで、Rakefileに指定するTOPとBOTTOMの値をいじって、1pass目はBOTTOMを大きくして上段のみの画像を作成、続いて2pass目はTOPの値を大きくして下段の画像を作成、適切な順番に並べてPDF化。あとはScanSnap Organizerで通常版の非段組部分と合成した。画像化時に注意すべきなのは、通常は長辺を決めてやるんだが(735px)、段組をバラすと短辺の割合が大きくなるのでそっちを決めてやる(560px)。
で、本文パートはこんな感じになった:
Kindleの設定を変えなくても横持ちにすればいいように、画像の方をあらかじめ横向きにしてしまった(のでPCでは読めない)。普通の文庫本より字が大きくて読みやすくなったなぁ。どんな本も、だいたいこれくらいのサイズになるといいのに……。
翼の贈りもの (Seishinsha SF Series)
青心社
¥1,650
*1 出版は4月だが最近はAmazonに勧められるまで気づかない堕落した生活。
2011-06-11(土) [長年日記]
■ tDiary: カテゴリ入力をドロップダウンに
引き続きjs化を進めている。以前どっかでカテゴリ(タグ)の入力支援を一覧じゃなくてドロップダウンリストにしているプラグインを見たような気がするのだが見つからなかったので*1、jQueryで再実装した。設定画面で選択できる。将来的にはもうちょっとインテリジェントな感じにしたいけど、まぁとりあえずはこれでいいや。
(6/12追記)で、翌朝になってFirefox(4)とMSIE(8)で試したらまともに動かないの(笑)。jQueryのブラウザ非互換吸収を信頼しきっちゃダメだよなー(←知ってて何度もやる)。慌てて直したが、他のブラウザでまで試す労力はかけられないので、当面これはもうユーザからの指摘を待つしかないわな。
*1 本人に指摘されてtamootさんのとこだったと判明。
2011-06-12(日) [長年日記]
■ 「緑のカーテン」を作るぞ(3) - プランターに移し替え
週末にしか作業ができないが、相手は生き物なので待ってはくれない。ごらんのように双葉がわさわさになってしまったので、とっとと広いところに移し替えなくてはいけないのだが、雨が降ったり仕事があったりと、なかなか着手できない。わずかに空いた時間をみつけて「えいやっ」と実施。
プランターは事前に買っておいたので、底に石を敷いて、プランター用の土を適当に入れたら、あとは適当な間隔で植え替えるだけである。ハウツーによればあとで間引くものらしいので、まぁ1箱に4株植えておいて、あとで1、2株抜いてもよかろう。
というわけでこんな感じになった。ちなみに12粒植えて11粒発芽したので、4、4、3のフォーメーション:
それにしても、ご近所さんの緑のカーテンは着々と生育して、そろそろ1Fの窓を半分くらい覆っている家もあるくらいなのに、我が家はいまだに双葉である。間に合うのか?
■ R1200GS、3回目の車検
ちょうど6年前の昨日納車になったR1200GSを、3回目の車検から引き取ってきた。満6年だっつーのにやっと32,000kmだよ、年平均5,000kmかいな、なさけねー。
まぁ、主な原因は言うまでもなく、猫たちなわけだが。一泊以上の旅行ができないと、距離も伸びないよなぁ。
当初は「大きくなったらペットホテルにでも預ければ長期旅行だってできるっしょ」とたかをくくっていたんだが、べたべたに甘えん坊のグスタフといい、極度に人見知りのドーラといい、とても人の家で離れて暮らせるとは思えないんだよなー。成長したらもうちょっとどうにかなるもんだろうか。
ま、当面は日帰りでもできるだけちょくちょく乗るとしよう(ってしばらくは梅雨を理由に乗らないなわけだが)。
2011-06-13(月) [長年日記]
■ tDiary: ソーシャルボタンをjs版に
最近、仕事でもプライベートでも、RubyよりもJavaScriptばっかり書いてる。もともとGUIプログラミングが好きだから、画面上でいろいろ変化するのは楽しいんだよなぁ。
こないだの日記のツッコミ欄で、まちゅさんとソーシャルボタン系プラグインをJavaScript化する話をして、「じゃあやってみるか」と準備をしていたら、当のまちゅさんも同じことをしていたことがTwitter上の会話で判明して、同じ方向性らしいとわかったので任せてしまったのだが、その日のうちにcommitされていた。仕事はえぇ。比較的単純なこともあって、ロジックがほぼ同じなのが面白かった。違いはおれの試作ではdiv.socialbuttons相当のタグもjsで挿入してしまっていたくらいか。サービスごとに異なるオプションの扱いはまちゅ版のがカッコイイな。
で、さっそくsection_footer2.rbからsocialbutton.rb + category_to_tag.rbに乗り換えてみたのだが、タグ行とソーシャルボタン行が別れてしまって、いままでのsection_footer2のコンパクトさが失われたのが悔しくて、(socialbutton.jsを拡張するのではなく)jQueryでタグ行を移動させてしまった。こんな感じ:
$(function(){ $('div.section').each(function(){ $('div.socialbuttons:first', this) .css('display', 'inline-block') .prepend( $('.tags', this).css('float', 'left').css('margin-right', '1em')) .wrap('<div></div>').parent() .css('text-align', 'right'); }); });
なかなかひどい。
2011-06-14(火) [長年日記]
■ 【熱烈】ウィルキンソン・ジンジャーエール(ペットボトル)【歓迎】
今日はカレンダー上に花丸付きで書いておいた、ウィルキンソン・ジンジャーエール(辛口・ペットボトル)の発売日である。いや、花丸は嘘だけど、気分はそんな感じ。KIRINのディアボロジンジャーなき後、途中カナダドライが「ゼロ」とかいうビミョーな製品を出した他は動きのなかったジンジャーエール界隈に、ついに真打の登場である。
さっそく近くのヤマザキデイリーストアで入手(サークルKにはなかった。ウィルキンソン炭酸水は2種類も置いてあるのに)。パッケージデザインはなんか垢抜けないけど、まぁいいか、ウィルキンソンだし(意味不明)。
味はビンのより少し辛さ控えめ、甘さややアップ、全体的に薄めな気もするが、どうだろう。飲む環境によってこのあたりの味わいは違うからなぁ。でも十分合格点じゃね? なんにせよ、500mlボトルにきっちり詰めてきたのはすごいね。飲みきれない人もいるんじゃないだろうか。いや、おれは大歓迎だけど。
2011-06-16(木) [長年日記]
■ 読書好き系サービス2つ
しばらく小説読みから離れていたこともあって、なかなか感覚が戻らない。そんなタイミングで2つの読書好き系(?)サービスに出会ったので感想など。
本が好き!
ごく最近始めてみたのが「本が好き!」で、ユーザが書評を書いてお互いに読み合う感じのサービス。書評を書くとポイントがもらえて、ポイント数に応じて「級」があがる。面白いのが、この「級」があがると出版社から提供される「献本」の抽選に応募できるようになるところ。書評を登録するインセンティブが本そのものというわけで(もちろん当たった本の書評も書かなくてはいけない)、なるほどこれなら継続する気になる。
一方、いまどきのWebサービスとして必須ともいえる「ソーシャル度」はかなり低くて、人の書評を評価したり、メッセージを送ったりできる程度。お気に入りのレビュアーが登録できたりすればいいのにね。
こないだやっと「3級」になったので、唯一発見できたSF小説の献本に応募してみたら、残念ながら抽選に漏れてしまったようだ。どれくらいの「勝率」なのかわからず、継続するべきか悩んでいたが、「5回応募して1回しか外れてない」という人もいるので、もうちょっと続けてみようかね。
byflow
もうちょっと以前から使っているのが「byflow」。こっちはバリバリのソーシャル系で、自分の持ってるアイテム(主にAmazonが対象なのでおのずと本がメインになる)をリストに登録していき、さらに好みの合うアイテムを持ってる人を「フォロー」することで、興味の似通った人のクラスタができて、流れているアイテムから「あ、これ読みたい」というピックアップがしやすくなるという仕組み。まぁ、Twitterの書籍版というところ。
Twitterと同様、いい気になってフォローを増やしすぎるとわけがわからなくなり、だんだんメモも付いてないようなアイテムはスルーしがちになってきたので、使い方を考えないといけなくなりつつある。続けるインセンティブが少ないのが課題かもねー。
個人的に、「本が好き!」と「byflow」が合体するとすごく好みのサービスになる気がする(笑)。
2011-06-18(土) [長年日記]
■ 検索と発見のためのデザイン ―エクスペリエンスの未来へ(Peter Morville)
なんだか妙にくだけた口調で始まって、おかげでかえって何が書いてあるのかよくわからず、「こりゃ失敗したかなー」と思いつつ読み進めていたが、中盤の「検索のパターン」はなかなかよくまとまっていた。よくよく見てみたら原題は「Search Patterns」で専用のサイトまである。
アレグザンダーまで引用してのパターン集は、現代のWebサイトで実際に提供されているさまざまな検索エクスペリエンスを10個のパターンに分類、豊富な事例も交えて使える場面、ユーザにとってのメリット・デメリットがけっこう詳しく述べられている。原題の方が直接的でよくわかったんじゃないかな。
まぁ、著者たちも白状しているようにパターン「ランゲージ」としてはまだまだ未完成だが、自サイトに検索を組み込むにあたって何が必要なのかを整理するには悪くない。いまだに「単純な検索窓に詳細検索オプションてんこ盛り」みたいなのを出してくるデザイナや開発者に、黙って差し出すには良いんじゃないだろうか(下手な「Advanced Search」は典型的な失敗パターンである)。
終盤は「検索から発見へ」というパラダイムシフトがおきるという設定のもとに、五感で入出力する検索体験を始めとしたいささか壮言大語気味のエッセイ。邦題からはこっちがメインのように思えるが、まぁ、話半分に聴いておくかという感じ。いや、こういう立場の人たちが未来を語るのはいいことだと思う(けど、現場はそうとばかりも言ってられないしね)。
2011-06-19(日) [長年日記]
■ GitHub時代のオープンソース・プロジェクトとの付き合い方
GitHubへpull requestする際のベストプラクティスからmaster ブランチで pull request していいのは小学生までってこともないの流れを読んでいて、先日ruby-listであったRedmineのRuby1.9,Rails3対応の話を思い出した。あのときは投稿者は納得して、「GitHub時代のコントリビューションの仕方」みたいなものを理解してくれたようなのだけど、その上で「masterでパッチ作るな」的なお作法を生真面目に受け取りすぎて敷居を高く感じてしまわれても困るよなぁと思った。
そこで、「GitHub時代にフリー/オープンソース・ソフトウェア(以下FOSS)プロジェクトと付き合うための五ヶ条」的なものをまとめてみた。まぁ、そんな大それたものでもないけど。
1. 貢献しようと意気込まない
FOSSに関わろうとすると必ずついてまわる「貢献」の二文字。重いよねぇ。はっきりいって、貢献なんて別にしなくていい。そもそも「貢献」はされる側が評価に使う言葉だよ。する側が声高に宣言するもんじゃない。
最初から「FOSSに貢献しよう」なんて考えないこと。まずは「このバグが直らないと自分が困る」くらいの自己中でいいから気軽に接しよう。
2. ナイショにしない
自分のためにFOSSに関わるとなると、「別に自分の成果を公にする必要はないのでは?」と思うかも知れない。ごもっとも。でも、自分と同じことで困っている人は必ずいるものだ。その人にも同じ苦労をさせる非効率は、エンジニアとして許せなくない?
少し前なら、自分の成果を公開するのは少々面倒だった。だからローカルでちょちょっと修正したパッチを隠し持っている人も多かったと思う。そのハードルをぐっと引き下げてしまったのがGitHubを始めとする現代のリポジトリサービスだ。そのあたりは別項に譲るとして、面倒がほとんどないなら、成果を公開しておいても誰も損はしない。
3. forkすることを厭わない
FOSSプロジェクトにとって従来、「フォーク」は忌み嫌われるものだった。最近でもHudsonとJenkinsの不幸な事件があったばかり。FOSSプロジェクトの分裂はあまり良い結果をもたらさない。
ただ、GitHubのforkはプロジェクトの分裂を意味しない。単にソースツリーの個人用コピーを作るだけの作業だからだ。さらにgitにはツリー間の統合が非常にやりやすいという特性があるため、ソースツリーがたくさんあることは混乱を意味しないのだ。
「ちょっとこのツールのソースをいじりながら読んでみたい」。そんな動機でもいいので、GitHubのforkボタンは気軽にどんどん押そう。そしてそのツリー上に、自分だけの成果をどんどん公開しよう。
4. パッチを送るのを躊躇しない
こうやってGithub上には同じプロジェクトから派生したたくさんのソースツリーが存在している。日々本家に追従するのはもちろん、他の人が作ったパッチを自分だけのソースツリーに取り込んでもいい。一方で、自分が作ったパッチを本家に取り込んでもらいたいこともあるだろう。
そんな時は、遠慮なくpull requestを送ろう。従来パッチを取り込んでもらうためにクリアしなければいけなかったハードルのかなりの部分を、GitHubはボタンひとつの気軽な行為にしてしまった(ただし、パッチが受け入れられるかどうかは別の話)。
冒頭に出てきた「masterでパッチ作るな」というのはこのあたりで初めて効いてくるテクニックだ。実際、master上で作られたパッチでも、受け取る側はそんなに苦労はしない。リジェクトされたパッチの処分に「自分が」困るからトピックブランチで作業した方がいいよという話なのだ。だからgitのブランチ・テクニックはこのあたりで身につけても遅くはないよ。
5. つらくなるまで続けない
最後は、多くを語る必要はないだろう。無理することはない、楽しくやろう。これが一番大事。
実際、こんなことを書いているおれだって、そんなにたくさんのプロジェクトをforkしているわけじゃない。あんまり手を出しすぎると続かないのが自分でもわかっているからね。
Enjoy!
2011-06-20(月) [長年日記]
■ 「萩の月」をいただいた
以前、三食ぜんぶ萩の月でも文句がないくらいに大好きと書いたのを知ってから知らずか(知らないと思うけど)、萩の月をいただいてしまった。もらったその場でかぶりつきたいところだったが、二個入りだったのでちゃんと家まで持って帰って、かみさんと分け合ったおれの自制心もたいしたものです。
ずいぶん久しぶりだったけど、記憶にあるとおりのおいしさだったよ。いつか仙台で作りたてを食べてやる。
2011-06-22(水) [長年日記]
■ 自家製ジンジャーエール
先日の発売日以来、ウィルキンソン・ジンジャーエールのペットボトルを何回か飲んでみている。最初は熱狂的だったものの、やはり人工甘味料の後味の悪さが次第しだいに気になってきて、もうしばらく飲む気がないくらいになった。やっぱマズイよコレ。
最初の一口、二口は「おっ」と思うけど、ベタベタした甘さがだんだんつらくなる。少なくとも、500mlは多すぎる。「世界のキッチンから」のディアボロジンジャーは、味の調整具合といい、分量といい、実に偉大なバランスの商品だったんだなぁ。キリンさん、この夏も復活させてくれませんかねぇ。
……と嘆いていたら、かみさんがしょうがシロップを作ってくれた。これを(あえて)ウィルキンソンの炭酸水で割ると、ほら! ホンモノのジンジャーエールだよ! ぷはっ、うめぇ。やっぱこれが一番美味いねぇ。
2011-06-24(金) [長年日記]
■ B004LZS7G4
来週月曜の誕生日用にいつものほしい物リストをさらしておいたら、数日後ポストに入っておりました。ありがとう!
ニコマスにどっぷりはまっていたおかげで、ピアニート公爵のデビュー(当時は「伯爵」いや、まだ「名なし」か)はたしかカウンタも3、4桁の頃に見ていたはず。原曲の雰囲気をいっさい損なうことなく、それでいてオリジナリティを感じさせる独自のアレンジというバランス感覚は驚愕だった。もちろんテクニックも。
正体を隠して活動している人物についてあれこれ詮索する趣味はないのだけれど、最近は顔出しでライブなどにも出ているせいで、だいたい正体は割れているらしい。ググるとそのあたりは調べがつく。関係をたどっていくと去年のSF大会のコンサートの背景がだいたい想像できたりして、なかなか世の中狭いものだ。
インタビューを読んでいると、本当にニートのような生活を送っていたようで、クラシックのピアノ一本で食っていくのは、そりゃまぁ難しいだろうよとは思う。ただ、(「サブ」のつかない)カルチャーの強みは歴史の検証を経ているという点にあるわけで、単に古いコンテンツを再演するだけでなく、その「テクノロジー」を現代のポピュラーミュージックに適用するというアプローチはすごく正しいと思うし、だからこそニコニコ動画で受け入れられたのだろう。
イチオシはやはり、20分の大作「ガンバスター幻想曲」で、これはオリジナルのサントラにあった「交響詩GUNBUSTER」を意識してるんだろうなぁ、やっぱり。あれもぶっとんだ作品だったが、こっちも思わず映像が脳裏に浮かんでくる素敵アレンジ。田中公平ファンとしては嬉しくないわけがない。
挨拶がわりの「蒼い鳥」に続いて「時報」のアレンジなどでクラシックに不慣れなニコ動ユーザ層をきっちり引きこみ、アニメ系楽曲の一風変わったアレンジで楽しませておきながら、最後はベートーベンのピアノソナタで締めるというのは、明確なストーリーを感じる。おそらく最後の2曲はクラシック音楽への公爵からの招待状なんだろうね。
B004LZS7G4
B00005GX2P
2011-06-25(土) [長年日記]
■ 「緑のカーテン」を作るぞ(4) - 支柱を立てる
プランターに植え替えたときはやっと双葉が生えそろったところだったので甘くみていたんだけど、その後あっというまに成長して、水曜にはプランターの後ろにある隣家との境界にある金網を這い登り始めてしまった。あわてて手持ちの支柱を立ててまわったものの、数が足らないので、買い足さないと……。
これだけ成長がはやいなら、カーテンになって日差しを遮ってくれるようになるのもすぐじゃないかと期待してしまうけど、梅雨の方も待っていてくれるわけでもなく、ここ数日は真夏のような暑さが続いているのだった。時間との競争だなぁ。
■ グスタフ、そろそろ大台
グスタフと散歩をしていたら、通りがかりの女性に「わぁ、かわいい犬……いや猫!? でか!」って言われました。体重計に乗せてみたらついに6.8kg。この体重計の分解能は200gなので、もう7kgの大台まですぐそこだよ!
最近は、ちょっと目を離すとグスタフはドーラの、ドーラはグスタフの餌を食べたがるものだから困る。グスタフにはダイエット用の「ライト」を与えているから、交換されるとグスタフはさらに大きく、ドーラはちっとも大きくなれず、ということになる。交換してるのを見つけたら即刻入れ替えているのだけど、ずっと見張っているわけにはいかないからなかなか難しい。
別々の場所で食べさせるスタイルにも挑戦したけれど、どっちにしろ相手の食べ残しを食べてしまうのであんまり意味がないような気がする。そろそろ成長を止めてくれないと困るんだけどなぁ。
2011-06-26(日) [長年日記]
■ Marlena Shawのライブに行ってきた
明日の誕生日を1日前倒しにしてビルボードライブ東京へ。「Marlena Shaw featuring Chuck Rainey, David T. Walker, Larry Nash, Harvey Mason "WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?" REUNION TOUR」(長い)である。
自宅にあるはずのCDが発掘されなかったので予習はあまりできなかったのだけど、スタンダードとも言える曲多めな感じで、最初から最後まで楽しめた。ライブの時間はアンコール含めほんの1.5Hという短さだったけど、出演者の多くが「アラウンド・セブンティ」なんだから、しょうがないネー。
数年前にDavid T. Walkerを聴きに行ったとき、これが見納めかも知れないねぇなんて話をしていたのだが、むしろ今日はあの時より元気いっぱいノリノリで、ほとんどの曲に長いソロパートがあるわ、立ち上がって歩きまわるわ、年々若返ってるんじゃないの。見納めとか言ってすんませんでした。
ビルボードライブ東京は初めてだったけど、東京ミッドタウンの端にあって、大きな窓から公園が見える。「おいおい野外ライブかよ」と不安に思っていたら、演奏時はカーテンが閉まったのであった。フロアの人が「夜景がきれいですよ」と言っていたので、夜の公演だったら開けっ放しなのだろうか。
B001L1C492
2011-06-27(月) [長年日記]
■ 誕生日でした(年齢不詳)
イベント的には昨日だったのだが、実際の誕生日は今日である。最近はFacebookに「××さんの誕生日です」って表示されるせいで、少なくともお祝いの言葉は大勢からもらえるようになっていて、おれの場合も日が変わった直後からメールがやたらと届いて、(ちょっと体調が悪くて早めに寝ていたこともあり)「うるせぇなぁ、なんだよ(←気づいてない)」とか思っていたのだった、すみません(笑)。
最近はほしい物リストを公開する人も増えてきて、親しい人たちの間でプレゼントを贈りあうこともわりと普通になりつつあるのも良いよね。いきなり予告もなしにAmazonの箱が届くのでサプライズになって楽しいし。今年もいろいろいただきました、どうもありがとう。「おれに」じゃなくて「猫に」というのが混じってるけど……*1。
翌日以降に届いた分を追加:-)
*1 しかもこの餌はドーラ用なので、このことをグスタフが知ったらスネちゃう。いやスネはしないけど(笑)。
2011-06-29(水) [長年日記]
■ Googleの新しいトップバーはアクセシビリティ的に問題があるんじゃないか
Googleのトップバー……という呼び方でいいのかどうかよくわからないけど「ツールバー」だと別物になってしまうし、グローバルナビゲーションとはちょっと違う気もするし……のデザインが変わって、濃いグレーの背景に薄いグレーの文字になった。まぁ、すっきりしていて邪魔にならないけど、この組み合わせはアクセシビリティ的にまずいんじゃないの? WCAG 2.0の1.4.3では、レベルAAで4.5:1以上のコントラスト比を求めているのだが。
……と思ってカラー・コントラスト・アナライザーで調べてみた:
ありゃ。5.9:1もあるのか。意外だ。というわけで、数値的にはなんら問題がないことがわかったのだった*1。モノトーンの配色はコントラストを確保しやすいとはいえ、Googleあなどれんなー。
もっとも、弱視の知人によれば、この配色は「見づらい」そうなので、直感的にコントラストが足らないと感じたのは間違いではなさそうだ。前景・背景ともにグレーの配色を使うときは、数値以上に高コントラストにした方が良さそうなのは確かである。
追記
その後、WAICのWebアクセシビリティ専門家たちと少し情報交換→Togetter上のまとめ
*1 正確にはコントラストに問題はないが明度差が足らないという指摘をすべきか。
2011-06-30(木) [長年日記]
■ Googleプロフィールで名前を偽ろうとするとロックがかかってGoogle+に投稿できなくなる
話題の「Google版Facebook」こと「Google+」、今日になって一般向けの招待を始めたらしく、急に身辺が騒がしくなった。Google内部にも知り合いが何人もいるし、その周辺にはアーリーアダプターが群れをなしているわけだから否が応でも目につく。というわけで、さっそく招待してもらって使い始めた。
Google+そのものに関しては、まだまだ未完成な部分もあるし、実装されている機能に関してはすでに詳細なレビューが出回っているのでいちいちここでは書かない。Facebookよりも優れた部分もあるし、そうでない部分もある。使っていて気持ちいいのは確かだけど、なにしろソーシャルグラフがまだ小さいから、役に立つかどうかもよくわからん。
ただ、Googleの本気度はよくわかった。というのも、プロフィールをいじっていたらアカウントをロックされてしまったから(笑)。
いや、Google+の自分の名前のところが、ファーストネームしか出ないものだから「ただし」と表示されてるのが気に食わなくてさ。「ただただし」とフルネームで出ているところに意味があるわけじゃん、自分の場合。だから、ファーストネームを「ただただし」、ラストネームを空欄にしようとしたらハネられて、じゃあ代わりに何か記号でも入れておくかと思っていくつかのパターンを試していたら、こんなことを言われてしまったという:
プロフィールを審査しています。
プロフィールが Google のコミュニティ規約に違反しているとの報告があったため、現在審査中です。審査中は、有効なプロフィールが必要な Google サービスを完全に使用することはできず、他のユーザーにプロフィールを見てもらうこともできません。しばらくしてから審査結果をご確認ください。
こうなると、spamアカウントの疑いがあるためか、プロフィールそのものが他のユーザから見えなくなる。それだけでなく、Google+での投稿にも制限がかかるようだ。ステータスを更新しようとすると:
「+1」でイイネしようとすると:
いやー、Googleさん、本気でリアルなソーシャルグラフを構築させようって腹だね! それはよーくわかったから、はやくロック解除してくれ~。
2011-07-01追記
24時間を経過しても元に戻らないので(機械的にはじいてるくせに、もしかして本当に人間が審査しているのだろうか?)、右下に表示されていた「ご意見・ご感想」から「ざけんな、とっとと元に戻せ!」という(意味だけどもうちょっと丁寧な)メッセージを送ってみた。いやホント、Google+だけでなくBuzzもLatitudeも使えないから不便で不便で(というほど使い込んでいるわけではないけど)。
2011-07-03追記
丸4日経過したが、いまだ「審査中」からステータスが変わらず。あのさー、有料ストレージまで購入して、もう何年も使い続けてるユーザのアカウントをロックして、新しいGoogle+だけでなく従来のサービスまで使えない状況でこの放置っぷりはどうなのよ。
Twitterでの反応をみていると、おれと同じようにプロフィールの公開情報をコントロールしようとした人の多くが、同様なロックを食らっているらしいし、あきらかに自動spam識別のアルゴリズムがバグってんじゃん。とっとと直せよ、ったく。Googleだせぇ。
2011-07-06追記
長らく「審査中」だったプロフィールの画面に「誤って停止されている場合はプロフィールを再送信して下さい」というメッセージがリンクとともに追記されていたのでクリック。何か送ったらしいが、少なくともページの内容は以前の「審査中」に戻っただけ。
2011-07-11追記
ついに丸10日が経過したが変化なし。「Google+をGoogle Appsにも展開予定」なんていうアナウンスもあったようだけど、そんなことより(ry
2011-07-12追記
昼前にいきなり復活した。詳細は12日の日記にて。
◆ otsune [そういえばw3mは使ってないんですか?]
◆ ただただし [使ってるよー。もっともこのご時世にw3mはメインにするにはキツいから、あくまでサブだけど。 js依存を進めても、bo..]
◆ hsbt [selenium で頑張るお…]
◆ まちゅ [ソーシャルボタン系はjQuery.socialbuttonプラグインを使うと良さそうですね。 http://itra..]
◆ ただただし [jQueryプラグインはライセンスが合えば同梱するのもありですね。socialbuttonプラグインはGPLみたいだ..]