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ただのにっき


2008-02-14(木) [長年日記]

MM9(山本 弘)

けなしてる書評を見たことがないくらいに評判がいいので読んでみた。おもすれー。一気読みしてしまった。たしかに傑作だ。

「自然災害」として怪獣が日常的に出現する世界(台風と地震を足したような感じ)で、怪獣の専門家集団として活躍する(退治はしない。退治するのは自衛隊の仕事)「気象庁特異生物対策部」を軸に、神話から宇宙論にまで踏み込んで「この世界が実在する理由」を大真面目に考察した怪作だ。

最近、ニコニコ動画に入り浸るようになって、二次創作に関する問題にぶち当たることが増えたんだけど、この作品もあえて言うなら二次創作の塊だ。そもそも「気象庁特異生物対策部」の略称「気特対」からしてウルトラマンのパロディだし、タイトルになっている「MM」(モンスター・マグニチュード)はもちろん地震の規模がネタ。震度を使ったパロディといえば椎名高志『絶対可憐チルドレン』に出てくる超能力の強さを示す「超度」が似た感じのパロディでけっこう好きなんだけど、MMはけっこう真面目に計算している節がある。

怪獣の登場シーンから、暴れまわり、倒される状況まで、思い浮かべるとどこかで見たような場面のオンパレード。話の構成もTV番組のパロディ風だったりして、とにかく隅から隅まで何か仕込んである。そんなパロディ満載設定のくせに、話は最初から最後までシリアスで、最後は鳥肌が立つほどの本格SFになっている。まぁ、独自の宇宙論が開陳された時点で、普通のSF読みなら結末のオチまで読めてしまうんだけど、そんなのぜんぜん気にならない。

たとえ二次創作でも、一流の素材を厳選して、最高の手間をかけて料理すれば、こんなふうに一次創作をも凌駕するんだよなぁ*1。感動した。

で、これは映画化して欲しいなぁ! ……と思った直後、怪獣「ヒメ」が映像化できないことに気づいてがっくりしたのであった。これはひどいwww

Tags: book

*1 そもそも「一次」なんてあるのかよというツッコミはさておき。

バレンタイン

image 虚礼廃止なんてことも多い昨今ですが(特にうちの部は女性比率がやたらと高いしなぁ)、今年は部下たちからチョコをもらった。

夫婦で美味しくいただきました。


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