2011-08-01(月) [長年日記]
■ Backblazeの初期バックアップが(ようやく)終わった
5月(!)から始めていた、Backblazeによるオンライン・バックアップだが、写真やら音楽やら動画やらがどっさり入った数100GB入り外付けハードディスクの最初の全バックアップはようやく終わった。
節電のこともあって、日中に立ち上げっぱなしにすることもなく、夜間ももちろん用がない時は止めていたので、正味自分が利用している時間の間だけでバックアップをさせておくと3ヶ月くらいかかってしまうということか。
ログを見てみると、初期バックアップが終わったあとは1時間おきくらいに起動して、数個から数十個のファイルをバックアップしているようだ。自分でそんなにたくさんのファイルを生成している意識はないので、ブラウザのキャッシュとか、そういう自動生成的なファイルもバックアップしているのだろう。まぁ、別に止める必要もないけど。
2011-08-02(火) [長年日記]
■ 箱根の富士屋ホテルに行った
昨日、今日と節電のためにいっせい休業だったので実は四連休だったのだけど*1、特にどこへも出かけずにいて、それもなんなのでということで最終日の今日は、ちょっと箱根へ。
富士屋ホテルに入ってお茶にしたんだけど(なぜか今まで入ったことがなかった)、焼かずに揚げてあるというフレンチトーストをかみさんが注文したのを分けてもらったのだけど、確かに揚げパン的な何かだけど、それ以上でもそれ以下でもないというか。まぁ、我々はすでに至高のフレンチトーストを知ってしまったからなぁ。
おれが頼んだティラミスは普通においしかったが、セットの紅茶ポットを覗きこんだらティーバッグが入っていたりして*2、老舗ホテルというわりにはガッカリなスイーツであった。何か間違った方向に混ぜあわせたような和洋折衷建築は、かなりイカれてて面白かったけど。
2011-08-04(木) [長年日記]
■ 「Remember The Milkのリアルタイム更新が動かない!」と騒いだけどChrome拡張のせいでした
昨日、長年愛用しているタスク管理サービス「Remember The Milk (RTM)」のブログに「リアルタイム更新機能がRemember The Milkのウェブ版に追加」という記事が出たので、おおいに喜んだわけですよ。会議で新しいタスクをAndroidアプリに登録して、自席に戻ってもリロードするまでそのタスクがリストに出てこなかったので、うっかりタスクをやり漏らすなんてこともなきにしもあらずだったので。
で、さっそく試してみたけど動かない。普通のリストはたしかにすぐに反映されるんだけど、スマートリストの場合がダメ。おれが日常的に使っているのは「Actionリストにあるうち、jobタグがついていて、かつ2日以内に完了しなくてはいけないスマートリスト」みたいにちょっと条件が複雑だったりするものばかりなので、そのせいかなぁ……と思ってTwitterでちょっとつぶやいたら@rtmjpにさっそく捕捉されて、そんなことはないという。
そこで公式の窓口に報告しつつ*1、自分の環境を疑っていろいろ試してみたところ、Chrome拡張のA Bit Better RTMをdisableするとリアルタイム更新が動くことが判明。お前かぁ~。A Bit Better RTMはキーボード操作を拡張してくれたりしてなかなか便利なので、これを手放すか、それともリアルタイム更新を諦めるかという究極の選択に(おおげさ)。
で、A Bit Better RTM拡張のオプションをいろいろ組み合わせてみたところ、「Tasks count」という機能をonにした時のみ、リアルタイム更新が失敗することが判明。リストごとの残タスク数を表示してくれる機能だけど、まぁなくても困らないのでoffにした。これでなんとか。
せっかくなのでA Bit Better RTM拡張にバグレポしようと思ったけど、いいところがないのだよなぁ。レビューはそういう場所じゃないとは思いつつ、しょうがないので書いたけど。
*1 日本語で報告したらすぐに返事がきたのはびっくりしたけど(英語で)。
2011-08-05(金) [長年日記]
■ ひさびさに自分のプレゼンを聴いた
社内向けに不定期にWebアクセス解析のセミナー講師をしているのだけど、先日のセミナーもようを参加者が録音していて、それが(社内で)公開されてしまったものだから、せっかくなので時間をみつけて聴き返した。なにしろ延々3時間しゃべりっぱなしのセミナーなので、全部聴き返すのもひと苦労だ。
最近はカンファレンスなどで発表することも少ないので*1、あとで自分のしゃべりを聴く機会はずいぶん減ってしまい、こういうのは貴重だ。とか思ってるなら自分で録音すればいいものだが、まぁそういうのはようするに面倒くさいのである。手軽な録音・録画機材を持ってる人は、空気読まずにどんどん記録して公開し、講演者にフィードバックしてあげると良いと思います。まぁ最近は公開カンファレンスならふつーにUstがあるけどな。
で、一番「おおー」と思ったのは、「えー」とか「あー」とか言葉にならない「つなぎ」がずいぶん少ないこと。以前聴いた講演ではもっと(見苦しいくらいに)入っていたので、これは進歩であろう。というか、これは何度も同じセミナーをやっているために練習効果が出ていると解釈すべきだな。シナリオが全部頭に入っていれば、つっかえたり考え込んだりせずにスラスラと喋れるのである。練習はホント大切だ*2。
一方、1時間をくらい過ぎたあたりから、咳払いが頻繁に入る。喉が弱いのだなぁ。これはどう鍛えればいいのやら。もっともこれはまぁ、そもそも3時間ものあいだ講師がしゃべりっぱなしというスタイル自体に問題があるので、それはまた別途検討しなおさなくては。
あと、文脈の違う話を唐突に間髪を入れずに挟む癖がある。文章ならカッコ書きなどで「印」を入れられるからいいが、しゃべりでこれをやられると混乱のもとだなぁ。ちゃんと間を入れるなり、切り替えの合図をするように意識しないと。
なお、肝心の「セミナーが受講者にとって有用だったか」どうかは録音を聴き返してもわからないので、これはまた別の評価が必要である。言うまでもなく。
■ 新世界より(上) (講談社文庫 き 60-1)(貴志 祐介)
各賞総なめ的な傑作だったはずなんだけど、ちょうどSFから離れていた時期だったせいか読むチャンスがなく、ふと入ったBookOffで文庫が揃っていたので買ってみたのだった。あーもう、断裁料がバカにならないから、ちょっと古めの文庫は全部BookOffでいいなぁ。新品買って欲しかったらとっとと電子書籍化してねってことで、出版社のみなさんはがんばってください。紙の古本と電子版があったら、たとえ高くても電子版を買うからさ。
さて本題。
今から千年後、極端に人口が減少した、なぜか念動力が使えるようになっている人類。茨城あたりにある日本人コミュニティを舞台にした、ミステリーあり、伝奇あり、冒険ありの本格SF。たしかにこりゃ傑作だ、分厚い三冊を一気に読んでしまった。
科学力が低下しているせいもあって念動力には論理的な説明がつかないのだけれど、たった千年で異様に変貌した生物相とか、人類社会の変化にはそれっぽい理屈がつけられていて、ちゃんと現在の延長線上にある未来という体裁が整っているのがすごい。登場する新種の生物たちがまた魅力的で、ちょっと「地球の長い午後」っぽいなー、と思っていたら、解説でネーミングに関してインスピレーションを得ているという話が出ていた。なるほど。
人類そのものをネタにした本格SFはざっくり二種類に分類できて、それは「どんなに環境が変わっても人間は変わらないよ派」と「人間はここまで変貌できるかも知れないぜ派」なんだけど、後者は非常に希少なので本書はもちろん前者なのだけれど、それゆえに登場人物に感情移入できてSFに馴染みのない人にも読みやすい(かも)。
新世界より(上) (講談社文庫 き 60-1)
講談社
¥968
2011-08-06(土) [長年日記]
■ ヒロシマの日なので『 夕凪の街 桜の国』を読む
毎年恒例。何十回と読み返しているというのに、いまだに新しい発見があるというのもすごい話だ。
さらに今年は3.11以降ということで、また新しい意味が付け加わってしまった。先日あった東海テレビの「セシウムさん事件」を例に上げるまでもなく、ヒロシマ・ナガサキから何十年たとうと、人間の本質はなーんも変わらんってことだよな。「桜の国」が希望のある終わり方で救われていただけに、最近のいわれない風評被害は本当に腹立たしい。
(参考) 「夕凪の街 桜の国」関連の記事:
夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
双葉社
¥4,111
そう言えば、文庫版を買い直して自炊するというのはアリかも:
■ 川崎 1-2 C大阪@等々力陸上競技場
松田直樹の急逝は、本当に急すぎてぜんぜん実感がわいていなかった。今節はその後最初の試合ということもあり、スタジアムのフラッグはみんな半旗だし、選手たちは喪章をつけている。試合開始前には黙祷があり、その直後、サポーターの間から沸き起こった「松田コール」で、ようやく実感できた気がする。あの屈託のない笑顔はもう見られないのだなぁ。
さて、そんな松田の無念を晴らすためにも、マリノスや山雅FCだけでなくJリーグ全体に盛り上がってもらわないといけないわけだが、残念ながら今日のフロンターレはダメダメなのであった。あいかわらずパスミスが多くて、中盤で攻撃のスピードががくっと落ちちゃう。CKがやたらと多いことからみても、シュート性のボールが多いのは明らかなのに、得点に結びつかないのは最後の精度が悪いせいなんだろう。
怪我人が多くてあちこち穴があいているけど、代わりに優秀な若手が育っているし、長い目で見ればさほど悪い状況ではないとは思うけど、ホームで勝てないのはなぁ。
2011-08-07(日) [長年日記]
■ 久々にバイク、箱根旧道
また1ヶ月以上あいてしまった。車検がおわった直後に指の怪我をしてしまって、バイクに乗りたくても乗れなかったのだが、ぼちぼち回復してきたので軽く走ってみた。先日かみさんと箱根に行って、(いつも箱根新道ばかりだけど)たまには旧道もいいなぁと思ったので、そっち方面を。
芦ノ湖の北岸に沿ってまわり、久しぶりに箱根神社にも寄ってみた。10年以上ぶりかも。本殿のこま犬がずいぶんと苔むしていたんだけど、こんなに古びていたけ?
その後、湖岸で写真でも撮ろうと思って湖尻から芦ノ湖スカイラインに入ったら、視界30mくらいの濃霧を喰らい、そのまま箱根スカイラインの終点までノロノロ運転。トホホだのぅ。
2011-08-09(火) [長年日記]
■ ハードウェア・キーの憂鬱
iPhoneユーザのみなさまにおかれましては、渋くなったホームボタンに無水アルコールをぶっかけて直したり壊したりご苦労さまです(参考:はてなブックマーク - iPhoneのホームボタンが怖いほど正確に動くようになる方法 - 微塵子)。
……とかいって涼しい顔していられればいいんだけど、ハードウェア・キーがついていれば同じようなメにあうのはiOSだろうとAndroidだろうと関係ないわけで、我がDesireも最近ホームボタン、メニューボタン、バックボタンがだいぶ怪しい。押しても反応しなかったり、逆に2回押したことになってしまったり。最近のAndroid端末はメカニカル・スイッチではなくタッチセンサーにバイブによるフィードバックを組み合わせていたりするようだけど、やはり「押した」という感覚にはならないのであんまり好きではない。
Desireだけでなく、最近はKindleのページ送りボタンも怪しい。押してもページがめくられないことが多い。右手で持つ派なので反応が悪いのは右側のボタンだけだから、左手で持てばいいのけどね(←いやそういう問題じゃないだろう)。次のKindleはタッチスクリーン化するなんて噂もあるけれど、画面に触るとページがめくれてしまうような電子書籍端末は、電車で揺られたときに本体を「ガシッ」と掴んで落とさないようにできなくなるから嫌いなんだよなぁ。
以前書いたように、おれは基本的にハードウェア・ボタンLOVE♥派ではあるんだけど、日常的に非常に多くの回数押されるボタンはやはり耐久性が課題になってくるわけで、良し悪しなんだよなぁ。ボタン業界(?)には詳しくないんだけど、スイッチを非接触式(例えば光学スイッチみたいな?)にするわけにはいかないんだろうか。コストかね、やっぱ。
2011-08-10(水) [長年日記]
■ 音楽プレイヤーをMixZingからPowerAMPに換えたら空きメモリが5MBも増えた
いつもDesireで使っている音楽プレイヤーはMixZingなんだけど、有料オプションを入れているのに広告が出るわ、デザインはいつまでたっても垢抜けないわで、そろそろ別のに乗り換えようかと思い、探してみた。条件はこんな感じ:
- SDカードに移動できる(メモリの厳しいDesireでは最重要要件!)
- Bluetoothが使える
- Lock screenが置き換えられる
- 全曲シャッフル再生ができる
- できればシンプルなのがいい
これくらいたいした要件じゃないだろう、と思っていたけど、そうでもなくて、まずほとんどのプレイヤーがSDカードに移動できないのであった。ウィジェットが使えなくなるからだろうなぁ。ウィジェットなんていらんのに。
そんな中、人気・機能ではMixZingと双璧をなすPowerAMPがSDカードに移動できた。以前ちょっと触ってみた感じでは、デザインが派手すぎて合わなかったんだけど、テーマを選べばそれほど悪くない。Lock screenの実装もMixZingよりいいし、プレイヤー画面も垢抜けてる。なかなか悪くないので、問題なければ有料版を購入しよう。
で、勢いあまってMixZingを削除してしまったところ、なんと空きメモリが15MB→20MBに増加してるじゃないの。SDカードに移動してもメインメモリの消費がゼロになるわけではないのは知っていたけど、こんなに違いがあるものとは。これは嬉しい余録だ。他にも代替アプリに置き換えることでメモリの空きが増えるものがないか、確認してみた方が良さそう。
2011-08-13(土) [長年日記]
■ 「緑のカーテン」を作るぞ(7) - 2Fに向かって
ちょっと目を離したら(またか)、1Fの窓の上まで伸びてしまったので、2Fの窓からネットを垂らした。2Fの窓に入る西日をなんとかしたいというのが当初の目的なので、勝負はこれからである。
とはいえ、もはや夏が終わるのが先か、2Fまでつるが伸びるのが先かという状況……というか負けが目に見えているようにも思えます(もちろん敗因は出足の遅れ)。もうつぼみもけっこうついているので、もう少ししたら花が楽しめるようになるでしょう(主に通行人が)。
■ 「緑のカーテン」を作るぞ(7.1) - 花が咲いた
夕方、出かけようと思って外に出たら、最初の花が咲いていた。やはり夕顔の花はデカい! こんなのがこの先、バンバン咲きまくるのかー。
■ アイマス(?)飲み
世間的にはコミケなので地方から上京してくる人たちも多く、せっかくなのでちょっと飲みましょうか、という話になる。今日は池袋にて京都クラスタの一部と中華。ついでに今季の敷居本新作を頂戴する(今回は生意気にも「ゲームレビュア」として参加しているのである)。
2011-08-14(日) [長年日記]
■ グスタフ、(そろそろ)満2歳
去年は20日ごろに「満1歳」って書いたような気もするが、実際の誕生日は不明なのでだいたいこのあたりとしかいいようがない。暑いのでいつも以上にだらだらしている以外は特にかわりばえもなく。
- 体重はジャスト7kg。片手で抱っこするにはそろそろ厳しい重さ。
- 人間大好き。宅配便が来るとすかさず出迎えに行くくらい。
- 移動用に買ったキャリーがすっかり気に入ってしまい、そこですごす時間が多い(上の写真)
- 子猫の時に与えた(FC東京の)タオルマフラーが「ライナスの毛布」になっていて、寝る場所まで自力で持ち歩く毎日(上の写真右側)
特に「ライナスの毛布」は、さすがに汚ないので先日意を決して洗ってみたが、特に気にせず愛用し続けている。他にもタオルはあるのに、こればかりにこだわっているのは実に不思議。口でくわえて階段を昇り降りする姿は実に可愛らしいのだが、あいにく手元にカメラがないときばかりを選んでくれるので、なかなか証拠が残せない。
まぁ、健康なのはいいことですね。デブいけど↓
2011-08-15(月) [長年日記]
■ GTDを始めて5年が経過した
自分のタスク管理のまずさに嫌気がさして、その頃ちょっと話題になっていたGTD (Getting Things Done)を2006年の今日から始めたので、ちょうど5年になった。結局(読みにくいと評判の)聖典を読むことは一度もなく、ネット上にある断片的なハウツーを参考にしただけで自己流で解釈したもんだから、「守破離」どころか「破離」かも知れず、GTDを名乗るのも不安があるが。
それでも、発生したタスクはその場で即座に追加する習慣付けと、毎週末の週次レビューを一度たりとも欠かさずにきたのは我ながら偉いと思う。まぁ、リストは常時見なおしているので、週次レビューですることはほとんどないようになっているのだけど。
5年も続いたのは何といってもRemember The Milk(RTM)の力によるところが大きい。最初にツールとしてRTMを選んだ自分の慧眼っぷりに惚れ惚れですよ(←何言ってんだ)。特にQuick Addの文法が身についてからは、考える速度で入力できるようになったからタスクの追加が呼吸するがごとくできるようになったね。Chrome拡張のA Bit Better RTMのおかげでキーボード操作がやりやすくなったのもいい。
あと、ここ1、2年はスマートフォン(特にAndroid)の力添えも外せない。RTMアプリからのタスク追加がストレスなくできるので漏れることがまずないし、シーンごとにウィジェットを置いておけば、すぐにリストを確認できる。やはりインテリジェントなツールと、どこからでもアクセスできる環境はGTD継続には必須だよなぁ。
現在のところ、管理下にあるリストは以下のとおり(カッコ内はタスク数):
- Action (47)
- Project (44)
- Someday (57)
- Waiting (3)
ActionにはCalendarを統合してあるので数は多いが、実際はタグと〆切を加味したsmart listを仕事用とプライベート用、それから買い物用の3つに分けて使っているので、夜の時点では実質的にゼロになる(今日やらなくてはいけないタスクは残っていないので)。ProjectとSomedayのバランスが悪いので、近いうちに放置タスクをProjectからSomedayに移す必要がある。Waitingはこっちからアクションを起こしたけど相手からのリアクションがないもので、毎朝チェックしてその日のアクションを決めている(これもsmart list化は可能だろう)。
ま、そんなわけで、物忘れに起因する失敗はGTD導入前に比べて激減したし(ゼロになったと言えないのがアレだけど)、「死ぬまでにやりたいこと」を毎週確認するというのは生きるモチベーションを保つのにとてもいいと思うので、これからも続けると思います。
GTD関連エントリ
◆ するりん [・GTDの記事、読ませて頂きました。 私は最近Nozbeを使いだしたのですが、 まだ使い始めで少しつまづいてい..]
2011-08-16(火) [長年日記]
■ EPUB→mobi変換はcalibreに限る (または「kindlegen使えねー」)
『DevLOVE HangarFlight Experiences』を買った。なにげに達人出版会から初購入。今まで刊行されたラインナップはさすがにとんがった(つまりニッチな)書籍が多くて、ちょっと手が出なかったんだけど、エッセイ集なら手軽でいいね。といってもDevLOVEな人たちの文章は読んだことがない(と思う)ので、どんなものかも知らずに買っているんだけど(笑)。
DevLOVE HangarFlight Experiences
836円
で、達人出版会がリリースしているフォーマットはEPUBとPDF、Kindleで読むならもちろんPDF……ではなく、EPUBである。PDFは(やはり)余白が邪魔なので。ただし、EPUBはそのままでは読めないので、mobi形式に変換する必要がある。これができるのも、DRMフリーな達人出版会ならでは。
というわけでEPUB→mobi変換をするわけだが、オーソドックスにやるならまずはAmazon謹製の「Kindlegen」を使う。これを(お好きなOS向けのを入手して)こんな感じに変換すればよい。
% kindlegen DevLOVEHangarFlightExperiences-0.9.0.epub -o DevLOVEHangarFlightExperiences.mobi -unicode
ただ、kindlegenコマンドのEPUB解釈能力はそうとう低いので、レイアウトの再現性がかなり落ちる。下のスクリーンショットの左側がkindlegenを使った結果のmobiファイルをKindleで表示したものだが、目次の箇条書きがつながってしまっているのがわかる。他にも改行すべきところでされない現象がけっこうあるので、正直使い物にならない*1。
で、何を使うかというと、「calibre」である。
普通にGUIなソフトなので、D&DでEPUBを登録し、書籍変換でmobiに出力、あとはKindleに送るだけ。上のスクリーンショットの右側がcalibreで変換したEPUB。かなりいい感じに再現できているのがわかる。というか、calibreの変換能力はかなりすごいと思う*2。
これまでも、mobiファイルの配布がなかった初期の「OnDeck」もこれで読めていたし、先日発表になった「Gihyo Digital Publishing」もEPUB3で出す上に推奨閲覧環境としてcalibreを上げているくらいなので、今後はcalibreなしではKindleライフは送れないということになりそうだ*3。
2011-08-20(土) [長年日記]
■ 夏休み一泊旅行(1) - 野辺山特別公開
今日は国立天文台野辺山の特別公開日なので以前から「行くよ」と言っていたのだが、かみさんも(避暑に)行きたいと言い出したので、ついでに夏休みのショートトリップということにしたのだ。で、そもそも避暑に行くのが目的だったはずなのに、前日から前線が南下して関東地方もめっちゃ涼しくなってしまったのであった。おまけにずっと雨だしな(またか)。
車で野辺山に行くのは初めてだったが、ずいぶん遠くの駐車場まで連れていかれるんだなぁ(バイクは施設の駐車場に止めさせてもらえる)。前夜からTwitterの宇宙クラスタがけっこう盛り上がっていたんだが、すごい痛車が駐車場に止まっていたりして笑った。
しかしながらあいにくの天候なので、計画されていた45mの中に入れるイベントとかが中止になるなど、パラボラクラスタ的にはちょっと残念な展開。そういえば前回来た時も雨でなんか中止になってたよなぁ(←お前のせいではないのか)。でも、実際に観測するもようを見せるためにいつもとはだいぶ違う方角を向いていたりして、これはこれでムフフでもあった。まぁ、野辺山はいつでも見学できるので、また晴れた日に再訪すればいいのだ。
その後リゾナーレ小淵沢に寄って昼食&買い物。郊外型のショッピングモールかと思ってたらちょっと違った。軽井沢&清里系の雰囲気から下品さを排除したような雑貨やスイーツの店が多くて、女性は好きそう。ということは男にはあんまり向かないのだけど、建物はちょっと面白かったな。ホテル部がどうなっているのかはちょっと興味ある(星野リゾートだし)。
宿は下諏訪のまるや。(少数の手伝いさんを除き)女将がたった一人で切り盛りしている宿ということで、5部屋しかないけど3組までしか客をとらないという。この日も我々を含め2組しか宿泊していないので、風呂は貸切だわ、静かだわ、諏訪大社が目の前なのになかなか贅沢な空間でしたよ。馬刺しをふくめ、料理も丁寧で美味しかった。器がすごいらしくて(よくわからないんだけど)、二百年前の碗で吸い物が出てきたりする。特に最後に出てきた沢庵がなぜかめちゃめちゃ旨くて、ふだん旅館の食事は(満腹で)最後のご飯んはほとんど手を付けられないのだけど、今日は一膳きっちり平らげてしまった。なんだこの魔法の漬物は。
2011-08-21(日) [長年日記]
■ 夏休み一泊旅行(2) - 臼田宇宙空間観測所
続き。まるやの朝食にはさりげなく「はちのこ」が混じっていたりして、なかなか油断がならないのだった。美味しいけど、ちょっとクセがあるよね。
10時ギリギリまで粘ってからチェックアウトし、近所にある塩羊羹で有名な店へ。朝から大混雑ですごい人気店。その後、やはり近所の諏訪大社下社秋宮へ。10年ぶりくらい? ここのこま犬、逞しくて立派なブロンズ製なんだけど、どこも同じデザインなのだよねぇ。各社で違ったデザインにすればいいのに。
近くの閑散とした商店街をぶらついたり、酒蔵を2件ほど回って試飲(かみさんが)したりしたあと、こんどは上社へ。ここは参道が折れ曲がっていて妙な構造になっているのが面白いです。写真はメインのじゃなくて、ちょっと奥まったところにいる小さなこま犬。デザインはこっちのがカワイイ。
雨がやまないのであたりをうろつくのはやめ、蓼科高原にある美味しいと評判のそば屋へ向かうが、すごい田舎にあるのにめちゃめちゃ行列しててびっくり。すごすごと引き返して近くにあるバラクライングリッシュガーデンへ。ちなみに「バラクラ」とは「薔薇のある暮らし」の略だそうです。その名のとおりのイングリッシュガーデンで、花撮り放題。バラクラの確立した家元制度のすごさについて書くにはこの日記は狭すぎる(ので興味のある人は調べてみるといいです)。写真はバラクラで売っていた売っていた猫の置物(の集団)。数に頼むとなんでも不気味になる。
さて、本日最後にして(おれ的)メインイベントは、もちろん臼田宇宙空間観測所。前日、野辺山の公開に行った宇宙、クラスタの面々も、今日は臼田に向かっているのだけど、Twitterで入ってくる報告がみんな「霧がすごくて何も見えない」的なものだったので、半ばあきらめていたのだけれど、どっちにしろ関越から帰ったほうが混まなさそうだったので臼田は通り道みたいなもんだ。ちなみにウチのカーナビが麦草峠経由ではなく大河原峠経由のルートを推奨してきたので感心した。(ダートを厭わなければ)蓼科から臼田へのルートとしてはこれがベストチョイスである。これで天気が良ければ標高2000mからの絶景が見られたんだけどね……。
で、ようやく臼田に付いたのが16時直前、つまり見学時間終了間際。受付では「もうダメー」って言われてすごすごと門の外に出たが、霧は晴れてちゃんと全景が見える状態でよかった。宇宙クラスタの報告によれば、臼田で講演を聞いて寄る人がいることを予測して*1、本来日曜はホームポジションにあるアンテナをこちら向きに倒しておいてくれたらしい。へー、JAXAもずいぶんサービス精神を身につけてきたじゃないの! これで天気が良ければ!(悪天候はJAXAのせいではありません)
*1 佐久には今、はやぶさのカプセルが来ているのでそれに合わせたイベントがあった。
2011-08-22(月) [長年日記]
■ デカルトの密室 (新潮文庫)(秀明, 瀬名)
発刊当初「傑作だ」という(一部の)評価を聞きつけて買いに行き、間違って「ハル」を読んでしまったという失態からはや6年、やっと読んだという。遅いにもほどがある。
ヒューマノイドロボットとAI(人工知能)に関する(執筆当時の)膨大な知識・考察を、表題にあるデカルトにからめながらぶち込んで、自意識とは何かを問う、ターゲットにした分野をきちんと勉強してから小説にとりくむ瀬名秀明らしい意欲作。ミステリータッチの導入から、ネットに放たれた人工知能や一般販売されるヒューマノイドロボットたちが社会を変容しはじめる中盤、そして哲学的でメタな展開をみせる終盤まで、盛りだくさんでお腹いっぱいなSFだ。
が、やっぱりおれ、瀬名秀明は合わないなぁ、と(笑)。なるほど、主題に関してはすごくよく調べてあるし、デカルトを読んだこともないおれには自意識に関する考察についてケチをつける能力もない。ただ、その他の部分がおざなりというか、フィクションとして読者に「納得」を提供できてないと思うんだよね。
例えば冒頭、チューリングテストを競い合う「チューリング・プライズ」という学術系の競技会が開かれるのだが、作品中に登場するヒューマノイドロボットはどうみてもチューリングテストをパスできるだけの能力を持っていたり。フレーム問題を(ほとんど)克服しているようなロボットが登場する未来に、チューリングテストが成立しているというアンバランス。もちろん両者は別の技術だし、それぞれの進歩があると思うが、チューリング・プライズそのものが単なるその後の展開のための装置にすぎないように見える(「逆チューリングテスト」は面白いアイデアだと思ったけど)。
他にも、「フランシーヌ・プログラム」の蔓延に対してセキュリティ面での対策がまったくされていなかったり、殺人事件までおこしたロボットという存在に対する拒否反応が存在しないなど、実社会でこういう展開はないだろうというツッコミ箇所が多数あるせいで、しらけてしまう。ストーリーの都合上リアリティは無視するというなら、そういうシグナルを読者に提供すべきだよな。「ある日突然、血の繋がらない妹がおれの部屋に転がり込んできた」的なシグナルをさ。
2011-08-23(火) [長年日記]
■ 「DevLOVE HangarFlight Experiences」を読んで考えた「良い技術系エッセイ」のパターン
先日購入した「DevLOVE HangarFlight Experiences」、まだβ版ということなのでざっと流し読み。正式版になったらちゃんと読む(かも)。
DevLOVE HangarFlight Experiences
836円
ソフトウェア系技術者によるエッセイ集という体裁なんだけど、DevLOVEの活動からのスピンアウトということもあって、彼らが運営しているイベントを基盤に置いた文章が、良くも悪くも雑多な感じで詰め込まれている。冒頭の数本がちょっとポエミーな感じだったので「うわー、大丈夫かな」と心配になったりしたが、中盤以降はわりとしっかりした文章も増えてきて安心した。
著者順に並んでいるせいかテーマもランダムで、頭から読むとかなり混乱する。文体も(これは悪い意味で)ブログ風味で、「書籍」の読者を想定していないっぽいものも多いけど、正式リリースに向けてこれらは整理されるのだろう(と期待しているのでβの状態で感想を書いているわけだが)。
で、通して読んでみて、上手い人の技術系エッセイにはパターンがあるなぁ、と思った。例外はあるけどこんな感じのスタイルだと読後に納得感が高い:
タイトル - 単独で意味をなす
タイトルで失敗する書き手は多い。タイトルは読み手にとって最初の「手がかり」なのだから、何が書いてあるのかそれだけで独立して意味をなすようにする。本文まで読まないと何が書いてあるのか推測できないのは(よほどキャッチーなタイトルでない限り)失敗だ。
導入 - 「私」の課題
自分が抱えている(いた)課題や、それに出会った経緯の説明で始める。ここは読者を選別するフェーズだ。読者はエッセイのテーマを推し量り、自分が求めている話かどうか、最後まで読む価値があるかどうかを判断する。同じ課題を抱えている、興味を持っているテーマであれば続きを読もうという気になるものだ。
ここで気をつけたいのは「私(書き手)」を主語にすること。「あなた(読者)」に対する呼びかけスタイルは高等技術なので避けたほうが良い。知らない人から突然「あなた××ではありませんか?」と呼びかけられたら普通は引く。導入はあくまで「自分」を主体にして話す。そもそも「HangarFlight」というのはそういうものだと思うのだが、ついつい読者を仲間に引き込もうという誘惑に負ける書き手は多い(そして失敗する)。
本論 - 私が感じたこと、考えたこと、行動したこと
実際に自分の体験をベースに、実際にやったことを書く。導入抜きでいきなりここから書き始める書き手がいるが、メソッドを未定義のままで呼び出してmethod_missingでトラップするようなものなのでやめた方がいい。
本題なのだから基本的には好きなように書けばいい。読者は導入を読んで最後まで付き合うきになっているのだから、脱線しないで自分の言葉で語れば良い。逆に「自分」を排除して抽象的な一般論にしてしまうのも良くない。それは「まとめ」にとっておく。読み手の多くは現実の事例のない一般論は信用しない。
まとめ - 一般化
DevLOVEのようなイベントで参加者同士の対話があるなら、つまり本来の「HangarFlight」では、本論で終わってもその後の展開は参加者同士で進められるが、書籍ではそうはいかない。自分の体験を語った後は、そこから導出される法則やTIPSを一般化して誰にでも応用できるようにまとめると、エッセイとしてのシメはカンペキである。これがないと、読み手によっては「だから何?」という置いてけぼり感を抱くことになる。
もちろん、経験豊富なエッセイストの手になる文章はこんな定石を踏まずとも読者を引き込んで熱い読後感を残すのだが、そうでない大多数の人は、まずはこういうパターンに沿って書くように心がければ、読み手も書き手も得をすると思う。
というわけで、「DevLOVE HangarFlight Experiences」が良い書籍になることを願って。
2011-08-25(木) [長年日記]
■ 「福島第一原子力発電所におけるロボットオペレータの手記」がめちゃめちゃ面白い
久々に震災ネタ。ずいぶん前からあったらしいのだけど、ぜんぜんアンテナにひっかからずにいた「福島第一原子力発電所におけるロボットオペレータの手記」が、読んでみたらすごかった。これはもう、全国民必読ですよ。
2011-08-29追記: 下記リンクは現在消去されています。まぁ「ロボットオペレータの手記」あたりでググればいくらでもミラーが見つかるのでこのままにしておきますが:
2011-08-30追記: 当たり障りのない感じのところ(笑)にコピーを見つけたので、こちらを貼っておきます:
最前線で働く人々の生の声というだけでも貴重だが、この手記は伝わってくるプロ意識の高さが実に素晴らしい。うわさ話や一部報道では、現地作業員、とくに東電社員以外のいわゆる「下請け」の人々が劣悪な環境におかれているという情報が漏れ伝わってきているし、実際そういう面もあるのだろう。が、ここに書かれているのは自社の技術に誇りを持ち、一刻を争う現場で己の持つ技を出し惜しみしないで働く、士気がきわめて高いプロフェッショナルの仕事ぶりだ。過酷な労働環境に対する多少の愚痴はあるものの、なにより楽しそうに働いているのが実に印象的。福島第一に対する印象が180度変わったよ。
で、リンク先を見ればわかるように、このテキストはオリジナルではない。オリジナルのブログは閉鎖されていて、ネットの奥底からサルベージされたのがコレ。さらに英訳もされているそうで、そのため最近になって再度注目されたということらしい(TechCrunchの紹介記事。記事中からリンクされている英語版の方がテキストも写真も豊富)。
さて、元ブログ閉鎖の理由は明らかになっていないようなので、以下はすべて想像になる。が、普通に考えて「上からの圧力」によるものだと考えて間違いなかろう。杓子定規に解釈すれば、業務上知り得た秘密を許可なく公開したため咎められたと考えられる。なにしろ内部資料とおぼしきペーパーを始めとした多数の写真やら、代休をとってるはずなのに出勤したとか勤怠管理上まずい話まで、たしかにこのまま放置しておくのは常識的に考えてまずい。もっとも、本当の理由は東電社員の(とりわけ本店の)使えなさっぷりや高飛車な態度が描写されているせいかも知れないけど(笑)。
でもねぇ。こういう情報の存在を知って「これは広報のチャンス!」と考えなかったとしたら、東電の広報部隊はボンクラ集団だよな。いまや日本はおろか世界を敵に回している東京電力にとって、こういう情報は上手に使えば味方を増やす千載一遇のチャンスなはず。むしろこのまま放置するか軽いチェックをかける程度で野放しにして、自由に書かせてしまったらいいんだよ。今回のように逆に情報を遮断してしまい、おまけに手の届かないところに無数のコピーを作られるようなことになれば、東電にとって都合の悪い情報が存在することを匂わせて、かえって「東電の隠蔽体質がまた……」と疑心暗鬼を募らせてしまう。結果としてまた敵を増やす。
先日のまんべくん事件もそうだけど、アンチの口を封じるためと称して一緒に大勢の味方を切り捨ててしまう下手な情報戦略が最近は多いと感じる。移ろいやすいネット時代においては、「敵に渡す情報を絞る」のではなく「味方に渡す情報を増やす」戦略の方が適切だと思うのだけど。まぁ、そういう面も含めて東電は旧弊な会社ということなのか。
いずれにせよ、このロボットオペーレータ氏がかなり重い処分を受けただろうことは想像に難くない。現場への出入りを制限された可能性も高い。優秀なオペーレータを失って、現場の士気もさぞかし低下したことと思う。そう考えると、ブログの閉鎖・オペーレータの処分で一番割を食ったのは、福島第一の作業効率悪化にともなうリスクを抱え込むことになった我々国民かも知れないね(←ほら敵が増えた)。
ところでこの手の話で、あればぜひ読みたいのは、(個人的にひそかに「コスモクリーナー」と呼んでいる)汚染水除去装置の運用日誌である。ロボットと同様、世界で初めて実戦投入する機械のこと、トラブルがたくさん出るのはあたりまえ。それを現場の創意工夫でどのように切り抜けていくのか、きっと面白いぜぇ? たぶん「アポロ13」ばりの話になるはず。
2011-08-27(土) [長年日記]
■ 「続きは紙で!」にはどんな勝算があるのだろうか
パピレスがやっている電子貸本Renta!というサービスがあって*1、夏休みということで一部のコミックのレンタル料が無料というサービスをやっていた(8/22で終了)。ラインナップを見てみると、石黒正数の「それでも町は廻っている」1~6巻があったので読んでみたのだった。石黒正数は絵柄も好きだし(かわいいけど萌え系ではないという方向)、SF系の面白おかしい短編はいくつかか読んでいたのだけど、出世作である「それ町」は、知ったときにはすでに何巻も出ていたので、一気買いするだけの思い切りがつかずにいたのだ。これはチャンス。
Renta!のビューアはFlashで、24インチモニタで最大化しても画質はたいして悪くないし、レスポンスもいいので、コミックをざーっと読むなら十分な感じ。小説はKindle以外で読む気にはならないけど、短時間で読めるコミックでこのレスポンスならなんとか許容範囲*2。
で(やっと本題)、6巻まで読んでかなり気に入ったので続きが読みたい。どうせこの無料サービス、続きを買うなり有償で借りるなりしてもらうための撒き餌だろうと思ったので続く7、8巻を探してみるも、ないわけですよ。Renta!の貸本ラインナップにもないし、親玉である電子書店パピレスにもない。なんだこりゃ、「続きは紙で」ってこと? いやいや、(1~6巻抜きで)7巻以降だけ本棚に並べるとかありえないっしょ。
コミックの電子書籍版は1巻分遅く出るという話は聞いたことがあるけど、2巻分(もうすぐ3巻分になる)も遅延してるとなると「どんだけやる気ないんだよ」と思う。が、ここは「わざとやってる」(もちろんわざと以外にないと思うが)という前提で誰が得するのか考えてみたい。
- 作者
- もし印税率が同じなら、(たいてい)価格の高い紙が売れたほうが収入は増える*3。
- 出版社
- とくに得しない……かな? ↓との関係は損ねずに済むので仁義を重んじるなら得。
- 中間業者
- 印刷会社や流通業者は電子書籍が売れてもなんの儲けにもならないが、紙ならお仕事がなくならずに済む。
- 書店
- 紙しか売らないなら言うまでもない。
- 読者
- 選択肢は多いほうがいいので、少なくとも得はしない。
えーと、つまり読者以外は多かれ少なかれ得をするのかな? おー、これはアレだ、音楽業界がCCCDとかでやったのとまったく同じ構造ではないか。なるほどなるほど、じゃあ未来も同じかもね!
少なくともここに一人、「電子版がないならいらねーや、機会があったらマンキツで読もう」と考えた読者がいたことは記しておこう。電子版さえあれば、たとえ紙と同じ価格でも買ったのになぁ。残念でしたー。
2011-08-28(日) [長年日記]
■ グスタフ、お散歩風景
久しぶりにグスタフの動画を撮ったので。といっても回しっぱなしで無編集、ニコ動はエンコが面倒なのでPicasaからYoutubeにワンタッチアップロードという手抜きだけれど。
それにしても、雨でもないかぎり毎日こんな感じで散歩に連れだされている。とにかく散歩が大好きで、首輪にみずから頭を突っ込んでくるほど。なんでこんなに散歩好きになったのかさっぱりわからない。ちなみにベランダには無印良品の猫草が栽培してあるのだけど、食べるのはドーラばかりでグスタフは口を付けない。その代わり、散歩の途中で文字通り「道草をくう」のである。刺身も食えないくせに、なんで草の味だけはこだわるのだろうか。
そして、道の真ん中でゴロゴロするのであった。
2011-08-29(月) [長年日記]
■ 「福島第一原子力発電所におけるロボットオペレータの手記」の日本語ミラーが消滅
先日紹介したロボットオペレータの手記が、はてブの週間ランキングで1位になってしまった*1。人の日記を紹介しただけの記事がウケるのはちょっと複雑な気分ではあるが、まぁ大勢の目に止まったということで、それはそれで良いことだったとは思うけど。というのも8/29現在、リンク先にあった日本語ミラーが消えているからなのだが*2。
このミラー、よりによって産総研にあったので、こうなることは予測できていたと思うし、多くの人がローカルにコピーを保存したことだろう。ミラーを公開していた荒井氏に過大な処分が下ってなければよいのだが。でもまぁ、先週末の間に確認できただけでも数万もの人々が読んでしまっているわけで、どうせもはや手遅れではある。
それにしても、こういうものはムキになって消して回るほど傷口を広げるということがわかってないんだろうなぁ。いや、わかっているけど建前上やめるわけにいかないのか。組織的にはこういう対応をせざるを得ないというのはわかるよ。「とりあえず消して回れ」と言われている担当の人も気の毒だ。
でもたぶん、すぐに第二、第三のミラーが登場すると思うし(というかすでにググればすぐに新しいミラーが見つかる)、いずれ手の届かない海外匿名サイトにあがるのも時間の問題。そもそも英訳版はIEEEのサイトで公開され続けている。やっぱりセキュリティ上どうしても公にできないもの以外は、いろいろオープンにする方向で戦略を立て直すほうがいいと思いますけどね、東電さん。
2011-08-30(火) [長年日記]
■ KindleのPersoal Documentsサービスがメタ情報を落としてしまう問題(解消)
1週間くらい前からだろうか、毎朝メールでKindleに自動送信している新聞・雑誌のドキュメントにタイトルと作者がつかなくなった。上に載せたスクリーンショットみたいな感じ。ちゃんとkindlegenで生成するときに生成日時や作者名を入れるようにしているのに、である。これでは夕刊と朝刊の見分けがつかないではないか。
ChromeのSend to Kindle拡張などを使って送ったものはタイトルだけは出ているが、作者の欄には利用しているサービスの送信元メールアドレスが出ている。ということは、タイトルと思われる部分も単にファイル名が出ているだけか。新聞のファイル名も「nikkei.mobi」だもんな。おそらくMOBI→AZW変換でミスっているのだろう。
こんなあからさまなバグはすぐに直るだろうと思っていたので我慢して使っていたが、いつまでたっても直らないので、しょうがなく(例によってひどい英語で)Kindleサポートにメールをしてみたのだった。「12時間以内に返事をするよ」というThanksメッセージが出たけど、この約束が守られた試しがないので、気長に待つけどさ。直るの待たずに、ファイル名にメタ情報を持たせたほうがいいかなぁ。メールに添付する日本語のファイル名って、個人的に禁忌にしてるんだけどなー。
2011-08-31 追記
とか言ってたら翌朝にはちゃんと返事が来てた! Amazon(.comの方)ゴメン! そういえばいままで返事が遅かったのはAmazon(.co.jpの方)だったね(笑)。
もっとも返事の内容は「著者名のかわりにメールアドレスが出るのは仕様だから。でも要望として開発チームにあげておくね」という、自社サービスに対して無知をさらけだしてくれるシロモノだったので、さすがにピキッときて、「数週間前まではちゃんと出てただろごるぁ」的な返事を書いた。英文メールは消耗するわ……。
次の返事はいつ来るでしょうか。
2011-09-03 追記
突然、今日の夕刊からメタ情報がちゃんと表示されるようになった。例によってAmazonからはなんの連絡もないが、直ったらしい。向こうの時間で金曜に直してデプロイしたというところか。まぁ、彼らがバグを認めた試しがないので、連絡はないと踏んでるけど。
◆ yoosee [PowerAMPは面白くて、SDカードにアプリを移動した場合は別途Widgetのみの小さいパッケージを入れるとWid..]
◆ ただただし [あ、そうそう、あれは賢いですよね。(SDカードへ移動できなくするという)安直な対策で済ませないところも偉い。]