2011-03-01(火) [長年日記]
■ 無線LANコンバータを買った
紆余曲折の結果、うちのXbox360はネットワークにつながっていないので、DLCが買えない。DLCがなくても楽しめるゲームがある一方、DLCがなくては話にならないゲームもあるのだ! これはよろしくない*1。
というわけで、Xbox360の有線LANポートを無線LANに変換するため、無線LANアダプタを購入。最初はBUFFALOのをカートに入れたんだけど、うちの無線ルータはWPS対応なのでAOSSなBUFFALO製品は面倒だ。そこで性能面では劣るけど、安いし小型なPLANEX MZK-MF150に変更*2。モバイルルータとしてもコンバータとしても使える一石三鳥のこれなら、いろいろ活躍することもあるだろう(といいつつ、たぶんXboxにつなげっぱなしになると思うけど)。
Xbox360とLANケーブルで接続してACアダプタを挿したら、ルータと本体のWPSボタンを押すだけで接続完了。無事、Xboxをネットワークに復帰させることができた。
で、さっそく不足していたMSポイントを補充して、最新カタログをダウンロード、今月配信分を次々と買っていったら、あっというまにポイントが消えてしまった。不思議!
2011-03-04(金) [長年日記]
■ 前田建設ファンタジー営業部「機動戦士ガンダム、地球連邦軍ジャブローを創ろう」編が連載終了
わが愛するファンタジー営業部が、gundam.info上で約1年にもわたって続けていた「機動戦士ガンダム、地球連邦軍ジャブローを創ろう」編がぶじ最終回。
今回は題材が題材だけにそうとうてこずっていたようで、出てきた結論はちょっと想像よりもこじんまりとしたものになってしまったけど、これは現実感のある見積を出すというゴールのためにはしかたのない妥協かなー。いくらリアルロボットアニメの嚆矢たるガンダムであっても、ジャブローはかなり無茶というか、ミノフスキー粒子の次くらいにムリのある設定だったもんなぁ。
それでも舞台であるアマゾンにからめて持続性のある開発の話とか、なかなか面白かった。いつものように、まがりなりにもちゃんと見積が出るのもすばらしい。ソフトウェア業界として見習いたい(笑)。
ところで連載にリンクをはろうと思ったんだけど、gundam.infoには目次ページがない。本家の方には記事のコピーがあるもののまだ途中までしかあがってないし、あとから追いたい人はどうすりゃいいんだ。しょうがないので最終回のページをはっておくしかないのかな。記事末尾にバックナンバーがあるのでそこからたどれる。
2011-03-05(土) [長年日記]
■ 川崎 2-0 山形@等々力陸上競技場
いよいよ始まったJ1 2011年シーズン。開幕戦はホームで(これまでけっこうやられている)山形。
外国人が一人もいないとか(ジュニーニョは怪我)、去年は大活躍した相澤や菊地、鳴り物入りで移籍してきた山瀬がベンチスタートとか、「あれれ!?」って感じの布陣だったが、まぁ新監督だし、チームメンバーもずいぶん出入りが多いのだから、当面は継続性なんて意識せずに、好きなようにいじってみたらええんや。
序盤は山形の方がいい感じだったが、矢島のゴールで立て直し、登里の追加点で勝利。どっちの得点もなんだかフロンターレらしくない、個人がドリブルで持ち込む形だったので(ジュニーニョは別だけど)、「なんか変わったな~」という実感がひしひしとする。写真は登里のゴールシーン。
なぜか前半は左サイドばかりが攻撃の起点になっていて「すぐに対策されそうだ」と思いつつ見ていたのだけれど、後半は逆に右サイドばかり。が、それはいずれもケンゴがいたからで、そういう意味ではぜんぜん変わってないのかも。ケンゴ頼みもリスクだからなんとかしないとなーと思っていたら、なんとそのケンゴに替えて山瀬投入で、悪くない動き。二人が同時に活躍する姿ばかり思い浮かべていたから、これは面食らった。まだフォーメーションが固まってないのかね。
というわけで、予想外の成果と、少しの不安の入り交じった初戦だった。
2011-03-06(日) [長年日記]
■ わさます大会議だった
まいど(なぜか)「ブレイク」の発売に合わせて開催される「わさます大会議」、今回も4巻の発売に合わせて実施された。参加者8名。場所はいつもの大和路目黒店。今回はしゃぶしゃぶではなく、すき焼きをチョイスしたんだけど、割り下の味が濃いめだったせいで猛烈にご飯が欲しくなるという副作用があり、結果として肉をたくさん食べられなかったような気がする。敗北。
話題はもっぱら発売になったばかりの「アイマス2」だけど、まだ一周もしてない人がほとんどという体たらくである。あと、Nintendo 3DS見せてもらった。想像以上にりったいかんがあってびっくりしたけど、3Dを活かしたゲームを作るのは大変そうだなぁ(企画的な意味と、開発費的な意味の両方で)。
ところで「ブレイク」が終わってしまったいま、次回の大会議の開催が危ぶまれます。
2011-03-07(月) [長年日記]
■ エンターテイメントは楽しんだもん勝ち - 「アイマス2」を一周終えて
先日届いた「アイマス2」、毎朝5時から(猫に起こされるので)1時間ずつくらいチマチマ進めていたら、一周目でちゃんとIA大賞と地域賞2つとれた。おお。ゲーム音痴にしてはすごくね?
おれが「アイマスやってる」って言うと、「たださん、いい歳してギャルゲーですか」的な冷たい視線を浴びることが少なくないのだけど、そもそもそこからして間違ってるし。まぁギャルゲー的要素があることは認めるが、アイマスはれっきとした「シミュレーション・ゲーム」である。プロデューサとしてアイドルユニットを芸能界のトップに導くというミッションを達成するためのシミュレーション、いわばつんく♂や秋元康の追体験を(私生活抜きで)するゲームである。
私生活抜きということは、残念ながら高井麻巳子と結婚できたりはしないのだが(←例によってたとえが古いのは歳のせい)、そういう意味ではギャルゲーとは対極にあると言ってもいいくらいにストイックなゲームなのだ*1。
前作(「無印」)はプレイしてないけれど、ほぼ同じシナリオの「SP」では「プレイヤーはプロデューサというよりはマネージャの役回りだよなぁ」という印象だったのだが、「2」からは本当にプロデューサ的な役回りになっていて、3人のティーンエイジャーをユニットにまとめるという難題だけでなく、曲のリリースタイミングや売上予測、地域ごとの営業、おまけに経済的な側面まで加わって、パラメータの多いこと多いこと。最初にチュートリアルを見たときは絶望的な気分になったものだが、それでも試行錯誤しながら進めていたらなんとか(最悪ではない)ゴールにたどりつけた。
日頃あまりゲームをやらないおれでもちゃんとフィニッシュできる上に、そこから先を極めるにはまだそうとう段階があることも見えているわけで、ビギナーからマニアまでちゃんと満足させる(と思われる)ゲームバランスはすごいと思った。こういうものを見せられてしまうと、自分の仕事*2と重ねあわせてしまうのが大人の悪いところなのだが、幅広いコンシューマが満足するエンターテイメントを作るのって、特に今の時代はすごく難しい話なわけで、日頃から顧客に向かってターゲットを絞る話ばかりしている自分ははたしてちゃんとした仕事をしているのだろうかと……いやいや、脱線しすぎだ。
ともあれ、これに前作以上に進化した超絶美麗グラフィックス、そして不気味の谷のへりにギリギリとどまったリアルなモーションが加わるのだから、楽しくないわけがない。実に幸せな二週間であった。次のユニットは誰にしよう。
……と、ここまでネガティブな評価はいっさい書かずにきた。そりゃぁ、シナリオに穴があるとか、UIもうちょっとどうにかならんかとか、不満な点はいくつもあげられるけど、そういうことをしたら損なのよ。エンターテイメントは楽しんだもん勝ち。気に入らない点をあげつらってわざわざ自分の気分をスポイルするのはアホである。どんな小さなことでも拾いあげて「これが好き!」「あれが嬉しい!」ってやった方が楽しいに決まっている。
「アイマス2」はバンダイナムコが一部のプロモーションでちょっとミスったこともあって、旧作ファンの一部が盛大なネガティブキャンペーンを張っていることでも知られているのだが、プレイもしないでdisってる連中は論外としても、「おれが考えた最強のアイマスとここが違う!」とばかりに欠点をあげつらうのはホント損してると思う。ねぇ、それ楽しい? 楽しくないでしょ?
まずは力いっぱい楽しむ。さんざん楽しんで、すっかりしゃぶりつくしてから、それでもどうしても不満な点が残ったら、それからバンナムにフィードバックしたって遅くないわけ。発売一ヶ月もたってない今から、自分ばかりか他のプレイヤーに水を差したって、誰も得しないじゃんね。
2011-03-09(水) [長年日記]
■ 松本の激甘お菓子「真味糖」
昨日から松本に出張してきていたんだけど、先日「秘密のケンミンショー」で紹介された「真味糖」を買ってくるようにという家族からの指令があったので、駅ビルの土産物屋に行ったのだ。そしたら(まぁ予想通りなんだけど)「TVで紹介されたため品切れ、入荷未定」だって。TVすごい。
製造元の開運堂本店が駅から歩いていける距離にあったので、ダメもとで行ってみたところ、番組で紹介された品は同じく品切れだったのだけど、乾燥前の「真味糖 生」がかろうじて残っていたので、それを一箱(5切れ入り)買ってきた。たぶん「真味糖」は干菓子なので乾かしている時間がないのだろうが、お茶の席ではこの「生」の方がよく使われるそうで、おれとしても干菓子よりはしっとりしている方が好きだ(と思う)。
で、帰宅してさっそく食べてみたのだが、いやもう甘いのなんの。砕いたクルミが入っているとはいえ、その他の部分はほぼ砂糖だよ。よくこんな菓子を考えたもんだ。かみさんに1切れの半分を渡したが、1/4は戻ってきた(ので3/4切れを食べた)。まだあと4切れ残ってるぞ、どうすんだこれ(笑)。
2011-03-11(金) [長年日記]
■ 東北地方太平洋沖地震でITの素晴らしさを実感する
日記のプライム読者は未来の自分なので、たぶん他人にはなんの意味もないけど記録のつもりでメモっとく。
14:46
東北地方太平洋沖地震にあったのは、新横浜のオフィス(5F)にて。えらく長い揺れだったし、振幅も大きくなったり小さくなったりしていたものだから、机の下にもぐるきっかけをつかみそこねた。もっともモニタが倒れたりすることもなく、「これはデカい」という実感とは裏腹に被害はまったくなかった。とはいえ生涯最大の地震だ。
さて、心配なのは相模原の家族である。いちおう電話をかけてみたものの固定電話も携帯電話もつながらず(これは予想の範囲)、どうやって連絡をとろうかと考えて、Facebookでメッセージを飛ばしてみた。Twitterとどっちにするか迷ったけれど、しょっちゅうクジラを出しているTwitterよりはFacebookの方が信頼性は上だろう。この判断は間違っていなくて、かみさんからはすぐにReplyがきた。猫たちも無事。
17:15
職場の窓から見える東海道新幹線はもちろん、在来線も点検のため全面的にストップしている中、「交通機関が混乱しているので退社できる人はしていいよ」的な矛盾に満ちたアナウンスが社内に流れる。歩いて帰れる人は多くないと思うぞ、この会社。
Goolgeトランジットで会社から自宅までの徒歩ルートを調べると、約17kmと出た。時速5kmで休みなく歩いて3時間あまり。まぁ、帰れない距離ではない。途中で食料やトイレが確保できればだけど。
ところで我が社にはケータイのメールを利用した緊急時の安否確認システムというのが存在していて、こういう時には会社から安否を確認するメールが全社員に流れ、それにReplyすることで社員の安否が確認できるということになっている。ところが地震発生から2時間を経過しても最初のメールが一部にしかとどかない。おまけに返信した社員の情報が集計システムまで届いてない。さんざん予行練習までしておきながら、かんじんな時に使えないシステムって……。
一方自分のプロジェクトでは、大半のメンバがTwitterを使っているおかげで、彼らとはすぐに連絡がついた。やはり日常的に高負荷にさらされているTwitterのようなシステムはこういう時にも強い(もちろん弊社のネットワークも)。日ごろからドメスティックな電話網よりもIPネットワークの方が信用できるとは思っていたが、ある程度被害が少なくてインフラが生きているエリアでは本当にそのとおりだった。件の安否確認システムを売り込んできたベンダーも、インフラをFacebookかTwitter上に作るべきだったんじゃないか。アーキテクチャの設計ミスだろ、これ。
20:00
今週は出張続きでぜんぜんオフィスに顔を出せていなかったので、未読メールが500通もあったから、今夜は半ば泊まるつもりでコンビニで(かろうじて残っていた)食料を調達。ニコニコ動画がNHKをニコ生で放送するというアナウンスをみかけたので、サブモニタに出しながら淡々とメール処理。ニコ動GJ!
ガラケーでワンセグを見るというチョイスもあっただろうが、オフィスにいるときはインターネットを介して情報が伝わるほうがありがたい。あとで中学生が勝手にUstreamに流していた放送を@NHK_PRが非公式に認めた(のちに公式チャネルでの放送開始)という話を聞いて、緊急時にこういう適切な現場判断が行える場をITが提供してることに胸が熱くなる*1。
22:05
メールもやっつけたので、そろそろ徒歩帰宅に挑戦してみようと思い、オフィスを出た。
自宅からはかみさんが、「相鉄線が復旧」とか「東急が動き出した」という情報をFacebookに流してくれるので、それを見ながら新横浜(徒歩2km)→菊名(東急)→横浜(相鉄)→大和(徒歩5km)→自宅というルートを狙う。TwitterとFacebookで実況しながら歩いていると、folowerから激励の声が入ってきて、なかなか勇気づけられる。
Google Mapsを見ながら裏道を歩いて菊名につくと、すぐに横浜方面への列車に乗れた。意外と空いている。
途中ノロノロ運転になったりしながらも横浜につくと、駅ビルの中は壁際に腰をおろして休んでいる人々が。もっと大勢いるかと思ったが、そういえばJRは早々に本日中の運転再開をあきらめたので、ムダに再開を待つ人はいなかったのかも知れない。最初は「JR根性ねぇな」とか思ったけど、へんな期待を持たせて人々を足止めするよりは早めに情報確定させる方が正しい場合もあるのかも。影響力の大きいJRだけに、これはむしろ好判断ではないか。
23:30
相鉄線もあまりまたずに急行に乗れたので、大和で降りるつもりでルート探索。大和に着いたタイミングで小田急が再開していれば完全勝利なんだが、そうオイシイ話はなさそう。
やはりGoogle Mapsで距離を見てみると、大和より相模大塚、相模大塚よりさがみ野駅からの方がそれぞれ数百m単位で歩く距離が短いことがわかる。そこでさがみ野で電車を降り、Google Mapsを見ながら見知らぬ道を歩き始めた。そういえば今夜は、Googleトランジットが提示するルート上には人が大勢歩いていたという報告もみかけた。みんな頼りにしてるんだな。
20分ほど歩いたところで、「0時より小田急再開」のニュースが知人からTwitter経由で伝えられる。なんだそれ! まぁ、大和で待っていてもすぐに乗れたわけでもないだろうし、しばらくは止まったり動いたりしているだろうから、このまま歩くほうが先に帰りつけるのは間違いない。気にせず歩き続けるが、ちょっと悔しいな(笑)。
24:30
というわけで無事帰宅。かみさんがおにぎりと豚汁で出迎えてくれた。ありがたい。
冬の徒歩帰宅は寒さが最大の敵だと思っていたけど、早足でザクザク歩いていたらむしろ暑かった。それより、みたことのない真っ暗な道をひとりぼっちで歩く方がつまらなくてこたえたけど、TwitterやFacebookでのおしゃべりでだいぶ気が紛れた。よそ見歩きは危ないけど、ほどほどならモチベーションが維持できていいんじゃないかね。
それにしても最初から最後まで、インターネットに支えられた半日だった。自分だけでなく、たくさんの人が安否確認や情報交換にインターネットを活用していた。今回自分はほとんどなにもしていないけれど、IT業界に身を置いていてこれほど誇らしく思ったことはない。
残念ながら被災地はネットに限らずすべてのインフラが破壊されているので役に立つどころの話ではないが、インターネット経由で差し伸べられる援助の手だってたくさんあるわけで、これからもどんどん活用して、一日でもはやい復興に手を貸したいものだ。
*1 一方でIT企業にいながらデマをまき散らして混乱を招くようなクズもいるわけだが。ああいうのは即刻IT業界から離れて、二度と戻ってこないで欲しい。
2011-03-12(土) [長年日記]
■ グスタフ、犬用のキャリーバッグを買ってもらう
互いに関連がなさそうな複数の震源で「余震」(?)が起きていて、もしこれが東海地震の引き金にでもなったら我が家の方もヤバいので、多少は対策をしておこうということになった。といっても非常時の水・食料と灯りを揃えた程度だけれど。
それより今は、自力で逃げられない家族が二匹いるわけで、彼らを抱えて逃げられるようにしなくてはいけない。かかりつけの獣医は歩いて5分なので今までは適当なバッグに入れて運んでいたのだけれど、災害時に避難するときまでそれで済ますわけにはいかない。専用のキャリーバッグを買わなくては。
で、猫だし、一番小さいのでいいだろうと思ってみたら耐荷重が5kg。いつまでたっても大きくならないドーラはジャスト3kgなのでこれで十分だが、グスタフは現在6.2kgである。しょうがないので、隣に並んでいた犬用(耐荷重8kg)にした。とほほ。
帰宅して入るように促したら、グスタフはわりとすんなり入って、写真のように落ち着いている。わりと気に入ったようだ。まぁ、一度でも病院に連れていかれたら二度と進んで入ってくれないような気がするけど。一方ドーラは、ムリに押し込んでもすぐに出てきてしまう。まぁいざとなったら入ってもらうしかないのだけど、慣れておいて欲しいよなぁ。
2011-03-13(日) [長年日記]
■ デマだけはやめてくださいよ、本当にもう
初日こそIT賛歌的な状況だったが、昨日、今日とTwitterあたりを見ているとなかなかのデマっぷりで、そうか、ようするに初日は自分のことで精一杯で余裕がなかったから真実ばかり流れていたが、生活が落ち着いて暇になると間違った情報も流れやすくなるということなんだなぁ。
節電関連
今日みかけた典型的なチェーンメールは「関西電力の社員が関西方面に節電を呼びかける」というもので、Twitterばかりか各種メーリングリストでも見かけた。「関西電力で働いている友達からのお願いなのですが」という出だしがもう典型的すぎて、一見するだけで嘘とわかりそうなものなのだが。
関西電力も否定しているが、そもそも関西では特段の節電は必要ない(「節電すべきか」という疑問に対する回答(地域別)が詳しい)。むしろ被災してない地域の人たちは変に萎縮しないで、日本経済を回すために普通に消費してくれた方がいいんじゃないの。企業もポーズで工場止めたりしないで、いつもどおりガンガン生産してくださいよ。
原発関連
原発に関しても、なんちゃって専門家が適当なことを言ってるのをよく見かける。特に「政府がなにか隠してる」的な陰謀論は証拠がないのでタチがわるい。今朝がた公開された原発に関するQ&Aまとめはとてもよくまとまっていて、科学的にも正しいので、心配な人は読んでおくと良いと思う。現在の対策に妥当性があることがよくわかる。
チェーンメール(今ならTwitterでのRT、特に非公式RT)が害悪であるという説明でよく書けているのがrikuoさんの善意であれ事実であれチェーンメールはダメゼッタイという話。メールにしろRTにしろ、情報の訂正が容易にできないメディアであることを認識した上で使う必要がある。
とにかく脊髄反射でRTする前に、それがちゃんと裏のある情報かどうか確認しよう。特にあとから訂正情報が提供可能なメディアを指していないものは伝達しないこと。
2011-03-14(月) [長年日記]
■ 自宅待機の日
東京電力の計画停電が夕べ発表されたときは、わが町がなぜか3ヶ所のグループに含まれてたりしてもう大混乱だったのだけど、けっきょく第一グループということで今日は朝イチと夕方の2回が割り当てられることになった。
6:30からの停電に備えるまでもなく猫はいつもどおり5時に起きるので、そのあたりは変化なしなんだけど(とはいえ人間の朝食はちょっと早め)、仕事に行こうにも小田急も横浜線も止まっているのでどうにもならない。
早々に出社はあきらめて、自宅でプロジェクトメンバの状況をTwitterとメールで把握したり。最終的には各メンバ間で同じ情報を何度も多重に交換するハメになってしまって面倒なので、Facebookにグループを作った。Facebookが実は「実名主義」じゃなくて「本名主義」だと判明して以来、ちょっと情熱は冷めていたのだけど、こういうときに安定して使えるところはさすが世界のインフラだ。便利に使わせてもらうとしよう。
けっきょくうちのグループに停電はなかったのだけれど、だからといって何かが成し遂げられたわけでもなく。いつ電気が切れるか気が気じゃなくて、なんとなくダラダラと過ごしてしまった。いかんなぁ。
東電の中の人たちがすごくがんばっていて、できるかぎり電気を途切れさせまいとしているのはよーくわかるんだけど、がんばりすぎというか、がんばる方向がずれてるというか。TVで、自宅で医療機器を使っている人の話をしていたけれど、いつ停電になるのかわからないから動けないといって困っていた。うっかり被災地まで停電させてしまったのも、がんばりすぎて余裕がないせいじゃないのか。
やると決めたらキッチリ停電にしてくれた方が、むしろ影響範囲が絞り込めて、行動計画が立てやすいと思うんだけどなぁ。こんな時なんだから、みんなでちょっとずつ不便になろうぜ。長期戦なんだから、がんばりすぎると続かないよ。
2011-03-15(火) [長年日記]
■ 会社までのルートが通ったので出社してみた
昨日は小田急線は経堂までしか走ってないわ、横浜線は全面運休だわで動こうにも動けなかったのだけど、今日はあちこちで少しだけ電車が動き出したので、会社までのルートを探ってみた。
いつもは小田急相模原(小田急線)町田(JR横浜線)新横浜なんだけど、このルートはぜんぶダメ。しかし、東林間(小田急線)中央林間(東急田園都市線)あざみ野(市営地下鉄)新横浜が通っていることがわかったので、10時ごろ出社を目指してのんびり通勤してみることに。ピークを完全に外した上に、中央林間もあざみ野も始発駅なものだから、基本的にはゆったり座って移動できた。あー、普段もこうならこのルートで出勤してもいいわー。
仕事はまぁ、ぼちぼちという感じ。ただ、夕方に歯医者を予約していたんだけど、そこまで電車が通ってない(笑)。しょうがないので延期した。帰りも19:30までルートが貫通していなかったので、ちょっと残業してから帰宅。逆方向だから始発はなく、ほとんど座れなかった。帰りは厳しいな(←いちいち贅沢である)。
家の方は夕方から停電だったのだけど、とくに問題はなかったようだ。退屈になった住人たちが飼い犬を連れて出歩くというパターンが多かったようで、グスタフ(猫)を連れて散歩に出たかみさんもお隣りさんと交流したりしていたらしい(そしてお隣りのミニチュアダックスよりグスタフの方が大きいことが判明)。
夜には静岡で大きな地震があってビビったが、静岡県民は練度が高いのであまり心配しなかった(し、知人の無事はすぐに確認できた)。そうそう、地震がきたらドーラはすかさずコタツにもぐりこんで「さすが!」という感じだったのだけど、グスタフはオロオロして階下に逃げていた。慌てて行動して下敷きになるタイプ。やはり災害時に心配なのはグスタフの方か……。
◆ smbd [> (そしてお隣りのミニチュアダックスよりグスタフの方が大きいことが判明)。 どんだけ…]
2011-03-16(水) [長年日記]
■ 歯医者のために40分歩く
今日はなんと、相模大野以西の小田急線と横浜線が復活。東京電力と交通機関の連携が、日に日にうまくなっているような気がする。おまえらスゲーな。でも無理すんなよ!
というわけで、今日はようやく通常ルートで出勤できたわけだけど(年度末で納期直前なので大変です)、昨日歯医者をすっぽかしたせいで、歯の状態がいろいろヤバい。今日こそは治療してもらわないといけないのだが、予約した時間に会社と歯医者を結ぶ交通機関がないことが判明。がびーん。
いろいろ検討した結果、地下鉄と田園都市線を乗り継いで中央林間まで出て、あとは相模大野まで歩く……というルートがもっとも楽だと判明した。まぁ、たかだか3kmちょいなので、40分も歩けばいい。こないだの5kmに比べたら楽勝だ……と思ったのが大間違い。急に冬型の気圧配置になった関東地方は、凍えるような強い北風が吹きすさんでいて、そうとう厳しかった。というか、被災地大丈夫か。
そんなこんなでガチガチに冷え固まった状態で歯の治療を終え、地元に帰ってきたら19時なのにスーパーは閉まってるか、開いててもろくにモノが売ってない。停電と買い占めの多重攻撃だ。こりゃ、一人暮らしの人は食べるものにも苦労するなぁ。
2011-03-17(木) [長年日記]
■ どうせ理系としてしか振る舞えないのなら、徹頭徹尾理系として振舞いたい
今朝したこのtweetがなんだかウケまくってしまったらしく、やたらめったらRTされて、今日のTweetDeckはひっきりなりにポップアップしていた(TweetDeckは公式RTもmentionとして拾ってくる):
相手をなんとしても安心させなければならない状況で「絶対だいじょうぶ!」と言えるのが「文系」、「可能性はゼロじゃない」とか言っちゃうのが「理系」
— ただただし (@tdtds) 2011年3月17日
ここで一番重要なのは「相手をなんとしても安心させなければならない状況」という前提の部分なのだけど、非公式RTにくっついているコメントを見ると「本当の理系はもっと厳密」とか「体育系ならこう」みたいなピント外れのものがついていて、なんというか……予想通りである。別に「文系」「理系」のステレオタイプ遊びをしたかったわけじゃないんだが。
まぁ、おれも「絶対だいじょうぶ!」なんて口が裂けても言えない、DNAに「理系」って刻みこんであるほどの悲しき理系なわけで、だったらせめて「誠実な理系」であり続けるしかないわな。
……なんてことを思ったのも、福島原発の状況について情報が不十分な中で*1、自称専門家が憶測混じりにいいかげんな発言をしまくっているからで、こいつら理系の風上にも置けない。「不誠実な理系」なんて、存在自体が矛盾してるぞ。
特にここ数日ブログで原発の恐怖をあおり続けている武田邦彦は(あえてリンクせず)、「中部大学教授」で「内閣府原子力委員会専門委員」なんて肩書きをみるとさぞかし立派な科学者のようにみえるが、Wikipediaの記事を見ればわかるように、実態は捏造癖のあるトンデモ学者である*2。
表面上は正しいデータを使って適切な論考をしているようにみえるが、(福島とは状況的に無関係の)チェルノブイリを引き合いに出して読者の恐怖心をむやみにあおってみたり、原発から発生する同位体元素やその半減期について触れないことでまるで永遠に放射線を出し続ける危険な物質がばらまかれているかのような印象操作をしたり。自説を補強するデータはこと細かに採用するが、邪魔になる情報には目もくれない。Wikipediaで触れられている環境問題の件とまったく同じ手法である。
そもそも「放射能」という言葉を単独で使っている時点で科学者として不適格だ*3。武田邦彦を信用しそうになってる人をみたら、とりあえずWikipediaを読ませてバランスとってあげて欲しい。
福島原発の状況はたしかに予断を許さないし、日々注視しておく必要はあるが、避難勧告が出ている地域の外で生活する上での危険性はまったく問題ないレベルだ(誠実な理系でも断言できる)。本当に危険なのは現場で作業をしている東電、自衛隊、消防庁の人たちで、彼らは本当に生命の危険をおかして働いている。打てる手はすべて打っていると思うし、危機回避に成功する可能性は日々高まっているように見える。いまはただ、彼らを応援するしかない。
2011-03-18(金) [長年日記]
■ (電子)新聞、けっこういいね
通勤はおおむね通常ルート(小田急線・横浜線)が動くようになってきたので、いつもどおり会社に通っているのだけれど*1、平時よりも止まったり遅れたりすることが増えているので、実質的に電車に乗っている時間が長い。おかげで車内で新聞をだいたい隅々まで読めてしまう。
といってももちろん、以前作った日経電子版のmobiファイルをKindleで読んでいるのだ。ただでさえ通常の何割か増しの混雑なのに、電車内で立ったまま紙の新聞なんて読めるかいな。5時と18時にcronで作成し、メールでKindleに送り込んでいるので、行き帰りの電車の中で読むことができる。紙の新聞みたいに配達を待たなくていいのは実にいい。
で、TVにかじりついて震災ニュースばかりを見ているのと違って、やはり新聞は記事にバリエーションがあるので、TVでは流れないようなニュースもけっこう載っている。クライストチャーチではいまだ瓦礫の下から日本人の遺体が発見され続けているし、リビアをはじめ中東はまだまだ不安定な状態が続いている。大変なことになっている日本をよそに、世界は普通に動いているんだなーと、あたりまえのことに気付かされる。TVとTwitterばっかり見てると忘れがちだ。
……で、今日はなぜか延々とJavaScriptと格闘していたものだから帰宅がえらく遅くなってしまい、18時作成の「夕刊」ははやくも陳腐化してしまっていたのだった。と、最後だけなぜか日記的メモ。
*1 会社のある新横浜駅近くは計画停電の対象外なのでフルに働けてしまう。一方自宅の方は容赦なく停電しているようなので、商業地区への電力供給を優先しているのだろう。まぁ妥当な判断かな。
2011-03-19(土) [長年日記]
■ スーパームーンらしいので月の撮影に挑戦
夕方あたりから、「今日は月が大きく見える『スーパームーン』だ」といった発言をよく見るようになったので、夕飯を食べてからE-PL1を持って外に出てきた。正直「大きい」のかどうかよくわかんないけど(笑)、明るくてきれいな月が、雲ひとつない夜空に浮かんでいたので撮ってみた。
ズームレンズを思い切り望遠よりに振っても(マイクロフォーサーズで150mmなので35mm換算で300mm)、月は中央の小さな白い丸なものだから、普通にAFでピントを合わせようにもうまくいかない。かといってMFで合わせようとしても、無限遠側にフォーカスリングを思い切り回すとボケてしまう(遊びがあるせい?)。しかも液晶に拡大表示した状態でピントを合わせようとしても、月が明るすぎるせいか真っ白になってしまい、手がかりになる目標物がなにもない(シャッターを切るとようやく海が見えるようになる)。
最初は大雑把にMFでピントを合わせていたのだけれど、これだとどうにも甘すぎて気に入らない。しかしどうにもいい方法がないと嘆いていたら、オリンパスのカメラで任意の場所を拡大してAFを使う技を教えてもらい、これを使ってみたら大成功。ちゃんとピントの合った月面写真が撮れたのであった*1。
それにしても、ほんの一週間前にあんなことがあってまだまだ復興どころか救出の段階だというのに、自然界はなにごともなかったように美しい月を見せているのだよなぁ。次の満月までにはもう少し良いニュースが増えてるといいのだけど。
*1 未来の自分のための撮影データ: ISO200、1/200、f8.0
2011-03-20(日) [長年日記]
■ 「萩の月」と東北の思い出
震災つながりで東北に想いを馳せることが増えているのだが、東北のおいしいものと言えば、なんといっても萩の月。三食ぜんぶ萩の月でも文句がないくらいに大好きなお菓子なので、あっちの方に行く予定がある人にはかならず土産を頼むところなのだが、そういえばもう何年も食べてない。日持ちがしないから、土産にするにもハードルの高いお菓子なのだよな。
萩の月を現地で、しかも思う存分食べた記憶をたぐって、カブで東北ツーリングをした時のことを思い出し、まだ残っている当時の日記を読み返してみたり。買ったばかりのスーパーカブ90DXで、往復8日で2,400km、青森まで行って帰ってくるだけの強行軍。カブの足だと移動するだけで精一杯の距離なので、観光もなにもあったもんじゃない、ただ走っているだけの旅だったけれど、実に楽しかった。あれでカブの奥深さに目覚めたんだよなー。もう20年以上前の話だよ。文体が妙に若々しくて実に気恥ずかしい。
5月の連休(独身で、しかも工場と同じシフトでの勤務だったので10連休とか普通にとれたのどかな時代)だったのに、東北各地のでキャンプはめちゃめちゃ寒くて、あれよりもひと月半以上はやい今の季節、燃料もままならない避難所ではさぞかしつらいだろうと思う。寒いとぐっすり眠れないんだよねぇ。
……と、震災の話に戻ってきたので、萩の月がどうなっているのか心配になり、三全のサイトを見てみたところ、地震の直後こそ休業していたようだが、今は徐々に復旧しているようだ。すばらしい。支援のために何か買おうと思ったが、残念ながらオンラインショップはいまだ休業中。肝心の萩の月は買えないけれど、ずんだシリーズもどれも美味しそうだ。復活したらきっと買うので、がんばって欲しいな。
2011-03-23(水) [長年日記]
■ 相模原市の「防災」「安全・安心」メールマガジンが便利なんだが
相模原市(というか日本の多くの自治体でも同じだと思うが)、いわゆる「防災無線」的なサービスがあって、街中に点在するスピーカーから緊急時のお知らせが流れる。名づけて「ひばり放送」。まぁ普段は行方不明になっている徘徊老人を見つけたら連絡してくれみたいな放送ばっかりなんだけど、さすがに3/11以降は地震や停電の案内が主要なコンテンツになってきた。
とはいえ米軍厚木基地に離発着する航空機の騒音対策のため、多くの家屋が二重サッシになっている地域なので、家の中にいるとあんまりよく聞こえないんだよね。で、日ごろからTwitterで相模原市の情報を提供してくれている市議の阿部よしひろ氏が、ひばり放送のメール版を広報しているのをかみさん経由で知り、さっそく購読。計画停電があるとかないとか、さっきあった地震の震度がいくつだとか、仕事をしていても離れた自宅の状況がわかるのでたいへん助かる。
メールを提供しているドメインが「bousai-mail.jp」なので相模原市固有のサービスではないのだろうと思い、whoisで調べてみると所有者は株式会社コム・アンド・コムで、福岡の会社だ。へー。この会社の同じサービスを導入している地方自治体は多そう。
さらになんとなく社長の名前でググったら、けっこう頻繁にコンサートまで開いていてファンクラブまであるトランペッター(でもアマチュア?)の情報ばっかりひっかかる。「えー、同姓同名かよ」と思ってさらに調べると福岡在住だとか。本人のブログがあったので読んでみたら同一人物だった。面白ぇ。
脱線してしまった。
このメールサービス、市内で発生した犯罪に関する情報なんかも流れてくる。やれ帰宅途中の女性が襲われそうになったから注意しろだの、下半身むき出しの男が徘徊しているから気をつけろだの、週に数回はそんな情報がある。平和な街だと思っていたが、こうしていちいち知らされてみるとけっこう犯罪ってあるもんだなぁ。
被災地で窃盗があっただの強盗が出ただのという、デマだかなんだかよくわからない情報がよく出まわって、それを見て被災地が実は無法地帯になっていると信じたがる隠蔽・陰謀大好きな人たちがいるみたいだけど、平時の日本でも犯罪は普通に起きてるってことを知らないのかもね(もちろん無法状態にある土地はあるだろうけど。たとえばこことか)。
◆ パイプ喫いの…… [世田谷区で登録したメールマガジンも、そこ経由でした :=)]
2011-03-24(木) [長年日記]
■ Google Chrome 10で好みのゴシック系フォントを使う
だんだんと日常が戻ってきて「こんなご時世ですから」では言い逃れができなくなりつつある。職場で地震の前に頼んでおいた新しいPCが届いていたのを放置していたんだけど、そろそろセットアップしないと「古いのをはやく返却しろ」とせっつかれるので、重い腰を上げてセットアップ開始。いや、新しくて速いマシンはそりゃ嬉しいんだけど、長年親しんだ環境を再構築するのは大変なわけで、アンビバレンツ。
とりあえずメールとオフィスとWebブラウザさえ使えれば(効率は落ちるが)業務はできる、というわけで、まずはブラウザを入れることにしたんだけど、出たばかりのFirefox4はまだ拡張の追従がもう一声なので待つとして、Google Chromeをメインブラウザに選定。
インストールから基本的な設定までは順調に進んだのだけれど、なぜかフォントを「メイリオ」にしても反映されない。どうみても「MS Pゴシック」。
で、Twitterで嘆いたら、すごい裏技っぽい設定方法を教えてもらった。
まず、どこでもいいのでフォームなどのテキストフィールドで右クリック。出てくるメニューから「スペルチェックのオプション」→「言語設定」。まさかと思うが、ここで出てくるダイアログボックスに見慣れた「フォントとエンコード」がある(一番左のタブ):
そうそう、Chrome 9まではこうやって明朝系とゴシック系のフォントを別々に設定できたんだよ。ここのゴシック系に「メイリオ」を指定すれば、無事、期待どおりに表示される。
聞いたところでは、英語圏ではデフォルトフォントとして明朝系(というかSerif系)が標準的に使われるのでそれだけ設定できるように設定画面を整理してしまった影響らしい。日本では主にゴシック(Sans-serif)系が使われるので設定画面からは変更できなくなってしまった、と。以前の設定は引き継がれるからChrome 9以前に設定してあればそのままのフォントが使われるが、Chrome 10からクリーンインストールした場合にのみ発生する問題なのだろう。自宅のマシンでは普通にメイリオ使われてるし。
というか、標準で「MS P明朝」が選ばれてるってだけでおかしいだろ、いまどき。まずはメイリオを選択して、ない場合だけMS Pゴシックを使えばいいじゃん。あと、マイクロソフトがなぜWindows 7に明朝系のClearType対応フォントを添付しないのかというのも不思議だよな。ClearTypeが普通に使えるようになってから何年たってんのよ。
2011-03-25(金) [長年日記]
■ オライリーのebookが今日いっぱい「半額」(ただし入手まで数十時間待ち)
オライリーが被災者支援キャンペーンでebookを半額提供中ということなので、Kindleで読みやすい幅15cm以内の本を何冊かみつくろって買ってみた。キャンペーンコードを入力しないと半額にならないので注意。
今月ちょっといろいろ買いすぎなんだけど、支援ならしかたがない……と思った人は予想以上に多かったらしく、現在配送待ちが61時間と出ていた。オライリーのebookはPDFに購入者のメールアドレスを埋め込んでいるので、一冊一冊べつべつに生成しなくてはいけないからだ。まぁ、支援ならしょうがない、気長に待とう。というか、こないだ買った『言語設計者たちが考えること』もまだ読み終えていないというのに。
今回のこのキャンペーンで初めてオライリーのebookを買った人も多いと思うけれど、たぶんコピペも印刷もできないという制約を知らなかった人も多いだろう。ちなみに本家オライリーではPDFだけでなくEPUBなど複数のフォーマットで、しかもDRMフリーでの提供なので、こういうひどい制約をかけているのはオライリー・ジャパンだけの悪習だ。せっかくなので今回購入した人は、こういう客を信用しない出版社にはちゃんと声をあげていこう。技術書に自己投資するような真面目な技術者向けの電子書籍にDRMは不要だ(と信じる)。
ところで今回の震災で紙の不足や配送網の寸断の影響から、「週刊アスキー」がPDF配布とか「少年ジャンプ」無料配信などの動きがあった。平時になったら元に戻ってしまうかも知れないけれど、これをきっかけに資源やインフラへの負担が少ない電子書籍・電子雑誌への動きが加速するといいなと思う(でもKindleでも読めるようにしてね!)。
そういえば同じタイミングでインプレスの電子雑誌「OnDeck 005号」も配信開始。有料化はしばらく見送り、無料配信を継続することにしたようだ。震災の影響を(ほとんど)うけることなくスムーズに発行され、そして即座に読者の手元に届くことの価値を、まざまざと見せつけられた気がする。ほんと、OnDeckはフォーマットや配信チャネルのマルチ化にもいろいろ挑んでいて、ちょっと目が離せない。
2011-03-27(日) [長年日記]
■ 「Parabolic Antenna Lovers!!」をOpen Graph Protocol対応にした
Facebookの「いいね!」ボタンをWebサイトに単純に設置しただけでは、それを押してくれたことが友達には伝わらない。自分のウォールに地味なアクティビティとして残るだけだ。これをちゃんと友達のニュースフィードに流しこむには、サイトをOpen Graph Protocol対応しないといけない。
いや、伝え聞きなんだけどね。参考記事は「フェイスブックのいいね!をサイトに追加するならこれはやるべき」。指定すべきタグについて具体的に書かれているのでわかりやすかった。さっそくParabolic Antenna Lovers!!をOGP対応にしてみた。
↑のように、各ページに置いてある「いいね!」ボタンを押すと、(ウォールではなく)ニュースフィードに情報が流れる。OGPで指定したものだけでなく、サイトの説明はmeta descriptionが使われるのはFacebookのWebインタフェースで「リンク」を貼る場合と同じだ(というか「リンク」機能もOGPを利用している)。SEO的な意味ではSERP上のスニペットとしてしか使われなくなったmeta descに、こういう用途が生まれたのはいいね。
ところでこの機能をtDiaryに入れるのは至難の業なんだけど、どうしたものやら。
2011-03-28(月) [長年日記]
■ オライリーのebookから余白を除去して、Kindleで快適に読む方法
オライリーの被災者支援キャンペーンは大盛況のうちに終わったようで、最大で百数時間待ちになったようだ。おれが注文した3冊も昨晩遅くにようやく届いた。「同時にKindleを買うとどっちが先に届くだろう」なんて冗談を言い合っていたけれど、これはマジでKindleの方が早かったかも知れない。
それはさておき、買ったからにはちゃんと読みましょう(Kindleで)。ただし、紙の書籍をレイアウトそのままでPDFにしたものは、はっきりいって電子書籍端末では満足に読めないと思ったほうが良い。特にKindleをはじめ5~6インチの画面を持つ端末ではPDFの余白が極めて邪魔くさい。というわけで、これを除去してから読みたいものだ。
下のスクリーンショットはオライリーの「セキュリティの神話」を横向きにした表示したところ。上は買ったままのPDF、下は余白を削除することで文字の表示サイズを大きくしたもの。読みやすさは一目瞭然だ。
上のサンプルは幅15cmの書籍なので、余白を除去すれば(老眼に苛まれていない人は)縦持ちでも読めると思う。ただ、これが18cmの大型本になるとどういうことになるか、想像するまでもないだろう。というわけで、5~6インチ端末で書籍のPDFを読むにはこの余白除去加工が必須になる。
電子書籍端末向けにPDFを加工するには、テキストデータを抽出する方法や、PDFをそのまま加工(crop)する方法があるが、オライリーのPDFはDRMがかかっているのでいずれもうまくいかないようだ。ここは紙の書籍と同じ「自炊」の手法を使って加工することにする。画像化するのでファイルサイズは数倍に膨れ上がるが、あとからOCRをかければテキスト情報も扱えるようになる。
で、おれが自分で自炊するためにちまちまと整備してきた「自炊用Rakefile」がオライリーebookにもそのまま使える。Linux(たぶん他の*NIX OSでもOK)が必要だが、まぁオライリーで技術書を買うような人は自由になるLinux Boxのひとつやふたつは持ってるでしょ。
注意: このスクリプトは非常にCPUを食うので、電力事情の悪い関東地方の人は日中に走らせるのはやめよう。電力が逼迫していない夜間、寝てるあいだにブン回しておけばよろしい。
使い方はだいたい以下のとおり:
- 関連ツールをインストールする。rakeは当然だが、ヘッダに書いてあるパッケージが必要(Debianの場合。Ubuntuでもたぶん同じ)。
- PDFファイルと同じディレクトリにRakefileをコピー
- Rakefileの「SRC」の値をPDFのファイル名に書き換え
- rakeコマンドを実行
しばーらく待つと、カレントディレクトリに「元ファイル名.out.pdf」というファイルができているはず。ただし、指定したパラメタではきれいに余白が除去できていないかも知れないので、場合によっては下記の方針でRakefile中のパラメタをいじる必要がある。
- 余白が残っている、または文字が切れてしまっている : TOP / BOTTOM / LEFT / RIGHTの数値を加減する。厳密である必要はなく、余白の自動認識のノイズになる部分さえカットできれば良い。pgmディレクトリに展開された元イメージの持つ余白のピクセル数を測ることでこの数値を見極められる。
- 色が薄すぎる : カラーページの多い書籍の場合、文字の色が薄くなってしまう場合がある。通常はKindle側の設定でコントラストを高めれば十分だが、事前に濃いめにすることも可能。LEVELパラメタ(デフォルトで「0%,100%」)を「0%,100%,0.5」のように変えてみよう(末尾に足した数値はガンマ補正で0.0~1.0。小さいほど濃くなる。詳しくはImageMagicのマニュアル参照)。
- 縦持ち向けにしたい、または他の端末向けに加工したい : 現在配布しているサイズ指定(SIZEの値)はKindleの横持ち表示の幅である「720」つまり幅720ピクセル(最終的な仕上がりは722ピクセル)になっている。「自分は目がいいから縦持ちでOK」とか「SONY ReaderやGALAPAGOSで読みたい」という場合にはSIZEの値を変更する。Kindle縦持ちの場合は「x735」(縦735ピクセル)に変更する。他の端末の場合は最適なサイズを自分で決めてね。
それでは、快適なKindleライフを!
■ 「オライリーのebookから空白を除去……」に関する補遺 : 主にメタ情報に関する追記
オライリーのDRMについて批判的なことを書いたらyomoyomoさんから容赦ないとか言われてしまったけど(笑)、実はおれもオライリーの編集さんと話をして、現在の状況がオライリー・ジャパンの(主に流通面での)特殊な立ち位置に由来することくらいは知ってはいるのである。
ただ、先の記事が事実上DRMを迂回する方法にもなっている、つまり、余白やノンブルだけでなく、せっかく膨大なCPU時間と貴重な電力をかけて埋め込まれた所有者のメールアドレスすらも削ってしまう上に、こうして生成された画像化PDFを再度OCRにかければテキストデータを取り出すこともできてしまう*1ことからして、IT技術者の手にかかればこの程度のDRMが無意味なことは明らかなのだ。しかもこの加工をするために今回新たにebookを購入した電子書籍端末のユーザが、各地でこのスクリプトを実行してさらに電力を消費するのだ。最初から(本家オライリーのように)PDFだけでなくEPUBやmobiでも公開しておけば回避できた浪費である。このご時世に(←伝家の宝刀「このご時世」)。
ということを(業界のしがらみなど知ったことではない)ユーザの立場からちゃんと指摘しないとダメでしょう、と思うのであえて空気を読まないんですよ、ワタシは。
それはさておき、オライリー・ジャパンのebookにはDRM以外にも重大な欠点があって、困ったことにメタ情報が設定されていない。PDFにはちゃんと書名や著者情報をメタ情報として設定できるのに、ebookのメタ情報は空っぽである。しかも編集不能なので、あとから自分のためにメタ情報を追加することもできない。
先のスクリプトでは最初のタスクでmetadata.txtというファイルが生成されて、これは元PDFのメタ情報を抽出し、あとから生成されたPDFに同じものを設定するためのものなのだが、ebookの場合ここには味気ないIDとページ数くらいしか入っていない。
もしメタ情報をちゃんと指定したいのであれば、手持ちのPDFから同様にmetadata.txtを抽出しておいて、それを編集してから再度rakeコマンドを実行すれば反映できる*2。Kindleの場合、書名はPDFのファイル名から採用されるが、著者名はメタ情報から取られるので(ただし英語のみ)、設定しておくと書名リストで表示される情報が増す。
もっとも著者名だけなら別にあとからAdobe Readerからでも設定できるからこんな手の込んだ方法をとらなくても良いのだが、ここでScanSnapで生成されたPDFから抽出したメタ情報を元ネタに使うとScanSnapユーザには別のメリットが生まれる。ScanSnapが生成したPDFにはgeneratorとしてScanSnapに関する情報が指定されているので、これを使い回すことでScanSnap付属のユーティリティでOCRをかけることができるようになるのだ(このツールはScanSnap由来のPDFでないとOCR処理を拒否するのである)。
という豆知識でした。
◆ legoboku [面白い記事ありがとうございます。うちのMacbook(Mac OS X 10.6.7)でも試してみました。Kindl..]
◆ hamanako [ubuntu10.10で使わせてもらいました! 素晴らしい……今日届いたばかりのKindleが大活躍です!ありがとう..]
◆ ただただし [hamanakoさん、それは明らかにこちらの間違いです~。失礼しました、直しておきます。]
◆ shinriyo [初めまして。オライリーの電子書籍の消化のためにKindle Paperwhiteを購入を検討しましたが、 空白が気に..]
◆ ただただし [プロジェクトの最新ファイルはこちら(→https://github.com/tdtds/kindlizer )から入..]
2011-03-30(水) [長年日記]
■ 「オライリーのebookから空白を除去……」に関する補遺(2) : バイナリパッチによる空白の除去
先日のPDFの空白除去の話にはいくつか興味深い反応があって、(あえてリンクはしないけど)DRMそのものを外してしまう方法がまずあった。実はそれは以前から知っていて、いくつかのPDFビューア(特にオープンソースのもの)ではそもそもDRMを無視してファイルを開くし、その他にもDRM破りのツールはいくつもある。DRMさえ外せれば、たとえばPDF Scissorsなどを使えばインタラクティブに空白を除去できる。興味があれば調べてみるといいだろう。
ただ、自分はDRM破りは最後の手段だと考えているので、他に手があるうちはそっちを選ぶ。DRM破りはいつか違法になるかも知れないし(もうなってるんだっけ?)、それよりも最初からDRMのかかっていない品物が入手できる世の中になるように活動した方がいいと思う*1。ま、このへんは人それぞれで。
一方、面白い手法の紹介もあった。わいえむねっと - 2011/03/30で紹介されているのは、PDFファイルの「CropBox」指定を直接書き換える方法。バイナリパッチだ! これはいいな(笑)。Perlだと何やってるのかすぐに理解できなかったので、ロジックそのままにRuby(もちろん1.9)で書きなおした(写経?):
# left, bottom, right, top OFFSET = [47, 45, -47, -62] print( ARGF.read.force_encoding( 'ASCII-8BIT' ).gsub( %r|(/CropBox\s*\[\s*([^\[]+?)\])| ) do orig, box = $1, $2 offset = OFFSET.dup crop = "/CropBox[#{box.split( /\s+/ ).map{|s| s.to_i + offset.shift}.join(' ')}]" blank = orig.length - crop.length blank > 0 ? crop + ' ' * blank : orig end )
「セキュリティの神話」を上記のOFFSET値で処理したのが下のスクリーンショット(ちょっと字が薄かったので、Kindle上でコントラストをもっとも濃くした状態):
奇数ページと偶数ページでちょっと余白の大きさが違うので、あまりキツキツにはできないけど、まぁこれで十分かもしんない。ファイルサイズも数分の一になるし。余白の自動認識をしているわけではないので設定は何度か試しながらツメないといけないけど、処理が一瞬なので苦にならないね。オライリーのebookは今後はこっちで処理しようかな……あー、いや、メタ情報の問題が残ってるか。ううむ。
*1 先日紹介した方法はスクリーンショットを撮るのと変わらないので、DRM破りではないという認識。
◆ ただただし [追記: メタ情報もパッチで実現する方法: http://sakanaya.kir.jp/ymnet/diary/d/..]
◆ NT [「2001年シーズン」になってますよ。]
◆ ただただし [ぎゃーす。直しました、thanks!]