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ただのにっき


2013-11-01(金) [長年日記]

アクセシビリティキャンプ東京#8でクックパッドのアクセシビリティチェックをした

アクセシビリティキャンプ東京8回目。引き続き運営スタッフとして企画から参加。最近定着した、テーマ設定を一人に任せてリレーする方式は適度にバリエーションがあっていい感じになりつつあるね。

今回は久しぶりにWebに戻って、W3CのEasy Checks - A First Review of Web Accessibilityを使って簡易アクセシビリティチェックをしてみようという趣旨。背景にはJIS X 8341-3:2010 (WCAG 2.0)は網羅的だけど大きくて複雑だし、あれを使ってチェックするのは相当大変というのがあって、W3Cが「最低これだけはやってみて」という意図で作ったEasy Checksなら(英語だけど)初心者にもなんとかできるんじゃないのという流れ。日本語版があるとさらにいいんですけどね(チラッ

こういうワークショップ形式の場合、ネタにするサイトに悩む。たいていは当たり障りのない官公庁あたりのサイトになるんだけど、今回は使ったことのある人も多い民間のサイトにしようということで、勝手ながらクックパッドをとりあげた。というのも(御存知のとおり)クックパッドは理念として「毎日の料理を楽しみにすることで、心からの笑顔を増やす」を掲げていて、しかも事業戦略には『私達は、「全世帯の方々がクックパッドを見て献立を決め、買う食材を決める」そのような状態を、一日も早く、当たり前のものとしたいと考えています』とある。「全世帯」にはもちろんハンディキャップを持った人たちも含まれているはずなので*1、ぜひともアクセシビリティに配慮して欲しいサイトだからだ。

さて、数名ずつのグループに分かれて別室で実際のWebブラウザを操作しながらのチェック開始。対象はトップページID登録ページ。おれもチューターの一人になったんだけど、予習が足らなくてけっこうバタバタしてしまって同室のベテラン陣にお世話になってしまった。ゴメンナサイ。でも3人の初心者にはちゃんと理解してもらえたかなー(と思う)。ちなみに今回使った環境はWeb Developer拡張を入れたFirefoxと、カラー・コントラスト・アナライザーという簡素なもの。

さてチェックの結果はこんな感じ。とりあえず情報にアクセスできるかという観点で致命的なものはないと言っても良いと思う。ただし、要改善点は多い。

  • Page title - 申し分なし
  • Image text alternatives ("alt text") - 一番ツッコミが多かったのはここ
    • alt属性が「ない」 →装飾画像ならaltを空文字に(alt="")
    • alt属性が「不適切」 →ユーザID(?)や画像のID(?)とおぼしき謎の文字列が入っている。あと「arrow」とか
    • alt属性が「余分」 →同じリンク内に同一のテキストがある場合はaltは空に
  • Headings - おおむね問題なし
    • でもトップページにh1がないのはどうかなーという指摘は多かった
  • Contrast ratio ("color contrast") - ここもツッコミ多し
    • オレンジやグリーンの背景に白文字(またはその逆)の場合にコントラストが足らないことが多い(よりによってh2要素とか)
    • 白背景上のグレーの文字もけっこうヤバい
  • Zoom - 一部問題あり
    • 文字のみ200%にするとブロックから溢れて他の要素と重なる/隠れる要素が散見される
  • Keyboard access and visual focus - おおむね問題なし
    • TABで飛べないクリッカブル要素がある(フォームのヘルプとか)
    • 直感的でないTABインデックスがある(検索フォーム)
  • Forms
    • ラベルのついていない入力要素がある (パスワード確認とか)
  • Multimedia (video, audio) alternatives - 対象要素なし
  • Plain Content View - 問題なし

大部屋に残ったマニアック部門の人たちはもっといろんなツッコミをしていたようだけど、これらのポイントを改善するだけでかなり違ってくるはず。より多くの人たちが料理を楽しめるようになるといいですね*2


そういえば今回は、去年までいた部署から元部下が数人、急に参加してきて焦った(笑)。でもまぁ、こっちはこんなにあちこちのITイベントに顔出してるのに、そういうところで同僚に出会うことがほとんどない方がどうかしてると思うので、もっとどんどん外に出て、視野を広げるといいんじゃないですかね。自社のガラパゴスっぷりを知るためだけにでも。

Tags: a11y

*1 そもそも料理中は手が離せない、目が離せないなどの状況下にあって一時的にすべての人がハンディキャップを持った状態になるね、という指摘もあった。

*2 と、ここにリストアップしたのは中の人の目に止まることを期待してのことでもある。ご相談はwelcome。


2013-11-03(日) [長年日記]

ZapierやめてIFTTTへ

[スクリーンショット]IFTTTでfeedをTwitterに流す設定

この日記のfeedをTwitterに流すのに9月から使っていたZapierだが、ときどき過去の記事の分までたくさんtweetしてくれたり、逆に新しい記事があるのに何も反応がなかったりして、「まぁ新しいサービスだし少し待てば改善されるだろう」と思っていたが、あんまり良くなる感じがないので見切りをつけることにした。

というわけで、けっきょく老舗(?)のIFTTTにお世話になることに。この記事がTwitterにちゃんと流れればOK……だと思う。Zapierはdry run的な機能があって実行する前に何が起きるのかシミュレートできたのでよかったなぁ(←未練はあるっぽい)。まぁ、また新しいサービスが出てきたら果敢にトライしてみたい。


2013-11-07(木) [長年日記]

DEF CON CTFの裏話を聞いてきた

8月に行ったDEF CONのCTFで6位に入賞した日本のチームsutegoma2が、hbstudyでその実際のところを話すというので行ってきた。インフラエンジニアではないのでhbstudyへの参加は初めて……というかCTFとインフラエンジニアの関係って???

話者はsutegoma2の@jetbeejpさんと@alterkeyさん。で、@jetbeejpさんがCTFに関わり始めたきっかけがのっけからすさまじい。だってDEF CON 19に行ったら日本のチームが出場してて、そこに入り込んでいろいろ質問とかしてたら……って、よくあんなピリピリしたところに入って行けるな(笑)。そういう行動力がなんかすごいわ。

メインはCTFで攻守のターゲットになったサービスの解説だったのだけど、そもそも提供されたサーバがARMv7ですぐにはエミュレータが構築できず、当初はGalaxy NexusにUbuntu Phoneを入れてしのいだというのだから、DEF CON決勝に出るチームは格が違う。てかなんでそんなに何台もGalaxy Nexusがあるんだよという。さらにOSはNXとASLRが有効な状態で、初見の6つのサービスにROPなexploitを作る、それもたった2.5日で防御もしながら。なんかもう、決定的にスピードが違うよなぁ。

技術的な話は概念はわかるのでついていけたものの、詳細に立ち入られると「?」状態だった。デバッガも満足に使えない、rootじゃないのでファイアウォールも構築できないという状況で、LD_PRELOADを使ってフックをかけるなんてすごいよなぁ。運営サイドがASLRを有効に機能させるためにxinetdが使っていたというのはなるほどだった。

他にも、会場でWiFiがつながらなくてVPN張れなかったからサポートチームとの間はスニーカーネットワークだったとか、当日現地で見学しててもわからんような話がいっぱいあって面白かった。が、同じCTFをやる者として、このレベルにはまったく追いつける気がしない(笑)*1

Tags: ctf

*1 とはいっても@jetbeejpさんなんてCTF歴はおれより1年長い程度なのだから、ようは集中力だよなぁとも思う。


2013-11-08(金) [長年日記]

20年近く使ったビタクラフトの鍋が新品になったでござる

[写真]新品になったビタクラフトの片手鍋

ゴアテックスダイソンに続く、「ちょっといいもの使ってたら素晴らしいサービスを受けられた」シリーズ、第三弾。

先日洗い物をしていたら、ビタクラフトの片手鍋の取っ手が根本から折れてしまった。取っ手が壊れたというより、本体との溶接部が金属疲労で折れた感じ。結婚してわりとすぐに買ったものだし*1、大きくて重いのでやむなしという感じ。といっても便利に使っていたものなので、修理ができないかサポートにメールしてみた。

そしたら保証期間は10年だが*2、状態を確認したいので送ってくれという。直らなければ買い直すから、結果はすぐに教えてね、と言い添えて宅配便で送ったら、ほんの数日で新品(!)が返ってきた。

もちろん18年前のモデルはもう販売していないので、返ってきたのは同じサイズの後継モデルだが(IH対応になったもよう)、見た目はほぼ同じなので使い勝手は変わらない。いやー、なんかすげぇわ。もちろんこういうサポートを受けると「次に買うときはビタクラフトにしようね」という話になるわけだけど、さすがにもう死ぬまで壊れない気もするんだよな(笑)。

*1 かみさんによれば18年前とのこと。

*2 部品の保管とのかねあいか、多くの鍋メーカーが10年保証と言っているようだ。「本体は30年」と言っているメーカーもあるが、取っ手の溶接部が本体に含まれるかどうかは不明。


2013-11-09(土) [長年日記]

零式 (ハヤカワ文庫JA)(海猫沢 めろん)

Kindleの奥底から優先的に読もうとすると、この作品みたいに2007年なんて奥付のものが出土してしまうのでほどほどにしないと……。

第二次世界大戦の終わり方がちょっと違ったanother history物で、アメリカに強制的に鎖国させられた、思想だけは民主主義的な方向にねじ曲げられなかったおかしな日本が舞台。とはいえ、天皇とか愛国とか、そういう単語は雰囲気を強調するためにだけ出てくる実体とはまったくかけ離れたもの。

リニアモーター車ばかりの世界で主人公が乗るのは過剰なパワーを持ったレシプロエンジン搭載の巨大なバイクで、そこだけに惹かれて買っておいた(と思われる)んだけど、廃退的で血みどろな描写が続くわりには匂いが感じられない、なんだか上っ面だけ過剰な文体に辟易としてしまった。なんつうかさー、血しぶきには鉄の匂いが伴わなきゃダメだと思うんだよね……。

Tags: book sf

2013-11-12(火) [長年日記]

ドーラ、床暖房でくつろぎ、こたつではしゃぐ

[写真]床暖房でくつろぐドーラ

ここ急に数日で急に寒くなって、我が家も床暖房とこたつを順次投入している。床暖房をつけていると、でかい猫やら小さい猫やらが床の上にべろーんと伸びていて、うっかり踏みそうで危ないったらありゃしない。

4年前(もうそんなに前か!)にはこたつに大喜びだったグスタフは、最近はさっぱりよりつかなくて、こたつ布団をめくってやっても覗き込むだけで入ろうとしない。暗いところが怖いんじゃないか疑惑すらある。一方ドーラはこたつ大好きで、今日は出たり入ったりをなんども繰り返してはしゃいでいる感じ。

[図]猫にたかられているの図 ベッドの方もすっかり冬装備で、例によってグスタフは寝るときにひと声かけるといっしょに寝室までついてきて、おれが着替えている間はじっとベッドの上で座って待っている。あいかわらず犬っぽい。

ただ3年前の図とは違って、今は足の方までずんずん潜っていって、膝の裏あたりで丸くなるのが好きらしい(ついでに足の指に噛みついたりするのは勘弁して欲しい)。でドーラはというと、深夜に寝室に入ってきて、こっそり布団に潜り込む流儀。朝目が覚めると、懐にドーラがいるのに気づいてぎょっとする。

ま、おかげで暖かいですよ、という自慢話である。

Tags: dora
本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

kono [猫の大きさが逆では……と思ったら図は前のものを流用したのですね。]

ただただし [懐にいる猫は大きく、足元にいる猫は小さく感じるのです……とうそぶこうかと思いましたが、元にしたImpressのデータ..]


2013-11-13(水) [長年日記]

映画「サカサマのパテマ」を観てきた

予告編を観ていたらVLAっぽいパラボラアンテナ群がチラッと映ったので、これは見に行かねばならぬと思って観てきた。いや本編でもチラッとしか出てこなかったけど。VLAでもなかったけど(むしろALMAっぽい)。でもまぁ、主人公パテマのCVが藤井ゆきよで、コスチュームデザインが杏仁豆腐とあれば行くしかないよね(とさりげなくアイマスにフック)。

最初、設定を読んだとき思い浮かんだのは小林泰三の「天獄と地国」なんだけど、あっちは全員サカサマで力学的な計算もきっちりしてるのに対して(たぶん。実は未読)、こっちは一部の人たちだけがサカサマということはどう考えてもヒッグス場に対する挑戦であり、まさに2013年の作品にふさわしい*1。……という話は特になされないのでまぁファンタジーですな。設定を活かしたカメラワーク、とくに視点の切り替えで何度もカメラが180度回転するのは、混乱に拍車がかかって面白かった。

ラピュタの「空から女の子が落ちてくる」をひっくり返して「地の底から女の子が浮き上がってくる」という発想から始まったに違いないと思わなくもないけど(男の子にしなかったのは正解だ)、プロットもラピュタと同様ボーイ・ミーツ・ガールで、しかも二人を隔てる壁は厳格な物理法則なわけでロミオとジュリエットの比ではない。王道だねぇ。ジュブナイルはこうでなくちゃいけねぇ。最近こういうのに弱いんだ、おれ。

とはいえシナリオには穴も多い。ラストの大ネタは途中で割れるし、脇役にはまったくスポットが当たらない、特に敵役の動機が掘り下げられてない。ラスト○○の周囲に××が回ってるの変だよね? とか、ざっくり暗算してみて「あれ、パテマたちって何度か肉塊になっててもおかしくね?」と重力加速度を甘くみてる風なシーンも少なくないけど、どれも原因は予算不足に行き着きそうなので何も言うまい(←言ってる)。まぁそういう些細なことは王道プロットの前に消え去るのだよ。楽しかった。

Tags: movie

*1 未来の自分へのメモ: 2013年のノーベル物理学賞はヒッグス粒子の発見。


2013-11-15(金) [長年日記]

グラコロ同盟2013、終了です

[スクリーンショット]今年のTOP3 どうやら昨日をもって全国的にグラコロの販売は終了したようで(今日は1個も報告があがってない)、グラコロ同盟の2013年シーズンはこれにて終了ということになりそうです。終わったと思ってたら突然復活した年もあったので念のためシステムはしばらく動かしておきますが、いったんここで〆。

今年は全部で709個、トップはあいかわらずの@naritamasahiroさん(4連覇!?)、トップ3は全員50個以上食べました。スゴイ。

ちなみに自分はというと、とうとうトップ10落ちですよ。しおしお。やっぱ周辺にマクドがないのが痛いよなぁ。ちょっとお昼に……ってわけにいかないから。来年は引っ越せてるといいんだけど。ところで、グラコロの包み紙を持ち帰ったんだけど、いい保存方法はないものか。ちょっと油脂分が付いちゃってるから、そのままでは保管できないのよなぁ。

Tags: gracoro

2013-11-16(土) [長年日記]

山中湖の文学の森に行ってきた(秋)

[写真]かろうじて残っていた紅葉

夏に行った山中湖の文学の森、「紅葉の季節はよさそう」と話していたので、また行ってきた。まぁ実際にはちょっと遅かったというか、1、2週間はやく来てれば最盛期だったなーというタイミング。ほとんどの木がすでに葉を落としてしまっていた。楓だけが元気に赤く染まっていたけど。まぁ前回と違って今日は快晴で、それは良かった。

[写真]鴨肉ほうとう

そしてまた昼食に小作でほうとうを食べ(我が家的には吉田うどんよりもほうとう)、たらふくになったあと、かみさんが行ったことがないと言うので忍野八海へ。おれもたしか30年くらい行ってないよ。

[写真]忍野八海

風景は記憶にあるものとそんなに変わらなかった──売店の中を通らないと行けない池とかあって、山中湖の中でも(良くない方向に)観光地化が進んでいる──けど、観光客のかなりの割合が中国人だったのが驚きだった。いや、富士山に来る中国人がいっぱいいるのは知ってたけど、こっちにも寄るんだねぇ。ペットボトルに勝手に水をくんで売店のおっちゃん(ペットボトルを150円で売っている)と喧嘩してたりして、国際化も大変だ。

偏光フィルタを忘れたので、池の写真は満足に撮れなかったのであった。写真はこちら

Tags: travel

2013-11-20(水) [長年日記]

リハビリにtdiary-io-mongodbを書いている

最近なかなか個人的な開発に時間が割けずにいて、tDiaryへのコミットも数ヶ月くらいしてないありさま。その間に@hsbtがいろいろと見通しを良くする改造を入れてくれていて、ストレージを司るIOや、書式を変更するスタイルをgem化できるようにしてくれていた。

そんなわけで、ちゃんと開発に復帰するにあたって、リハビリがてらMongoDB版のIOであるtdiary-io-mongodbを空き時間にぽちぽち書いている。いちおうUnit Testは通るようになったので、実際にローカル環境のtDiaryに組み込んでみているけど、スムーズに動かすためにはもう少しチューニングが必要だなー。このあたりもリハビリしないと……。

Tags: tDiary

2013-11-21(木) [長年日記]

「第5の戦場」 サイバー戦の脅威(祥伝社新書266)(伊東 寛)

プログラミングを始めてすぐにフリーソフトウェアに関わり始めたこともあり、インターネットで国境を感じることはほとんどなくて*1、それが当たり前だと思っていた。それが去年からサイバー・セキュリティ関係の仕事につくようになって、国境がなかったはずのインターネット上にわざわざ国境のある世界を重ねてまで戦争をしたがる人たちがいることがわかってきた*2。いやまぁ、知ってたけどショックだよね。

そんなこともあってサイバー戦争についていろいろ調べるようになり、こないだの越後湯沢でもサイバー戦争の車座会議に出てみたりしている。本書はその会議で座長だったLACの伊東さんが昨年出版したもので、サイバー戦に関して簡素にして網羅的な、一般向けの解説書である。

出版後の世間の動きはタリンマニュアルが出たことやサイバー防衛隊の話が進んだくらいで大きくは変わっていないのでいま読んでも特にアップデートの必要を感じない。さすがに一般向けの新書なので知らないことはほとんど書かれていなかったけど、(国境のある)インターネットって今こんなにヤバい状況になってるんだぜーって話のオンパレードなので、サイバー戦についてまったく知らない人が読んだらショックだろうなぁ。ざっくり状況を知るなら必要十分な内容でとても良いと思う。

内容的にはタリンマニュアルの世界、つまり通常戦力のプラスアルファとしてのサイバー戦という話と(これはこれまでの戦争の範疇でくくれる)、純粋にサイバー攻撃による敵国のインフラ破壊工作の話(これは相手がわからないためテロの範疇となり自衛隊は出動できない警察の仕事)。後者が戦争扱いできないというのがたぶん一番厄介なところで、アメリカは「それでもおれたちは戦争扱いするもんね」宣言をしているが、日本ではそうはいかないあたりがサイバー戦の本当に困ったところだ。

とはいえ、それでもなんとなく「目に見える」現象になっているだけマシな方で、それならなんらかの対策は打てる。本当に怖いのはまったく目に見えない攻撃だろう。本書ではほんの数行、「検索エンジンの結果が(敵国の操作で)偏向していたら?」という問いかけがあるが、それも含めて「自国の世論がいつの間にか敵国に有利な方向に変わる」なんて感じの情報戦をしかけられたら(そしてそれがまったく検知できなかったら)、戦争があったことにすら気づかずに負けているという状況が生まれるわけで、それはそれは恐ろしい話だよなぁなどと考えるのであった。

「第5の戦場」 サイバー戦の脅威(祥伝社新書266)
伊東 寛
祥伝社
¥858

Tags: security book

*1 あるのは言語の壁だけだ。プログラミング言語、自然言語ともに。

*2 もちろんセキュリティの世界でも国境を越えて協力しあう技術者コミュニティはある。というかそっちがメイン。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

NT [「LACの伊藤さん」になってます。]

ただただし [おっとっと。Thanks]


2013-11-22(金) [長年日記]

DEFCON Japan 11月 ミーティング」に行ってきた

いつも、会社帰りの平日夜にこの手の勉強会に参加するとジャケットにネクタイ姿が浮くよなぁと思っていたので、私服で参加したら浮かなかった(たぶん)。逆に@wakatonoさんがすごい珍しくスーツ姿だったのでみんなからツッコミされまくっていたけど(笑)。

@hasegawayosukeさんは(いつもの)HTML5のセキュリティ関係の話かと思いきや、かつてユーザ側では対処のしようがない深刻なセキュリホールを3年も4年も放置していたMicrosoft(実体験にもとづく解説付き)が、最近はかなり素早い対処をするようになった話で(これはかなり実感ある)、モダンブラウザの「モダン」が仕様面でのモダンさだけでなく、セキュリティ意識のモダンさも持ち合わせていることを伺わせて面白かった。もっとも、どのブラウザも標準に準拠するようになったので違いが出にくく、バグハンターとしては面白くなさそうだった(笑)。これからのブラウザの脆弱性はWebとバイナリの境界に発生するだろう、との予言も。

Yuta HongoさんはAdobe Flashの是弱性を見つける話。JITコンパイル後のネイティブコードを予測してExploitコードを書くJIT sprayテクニックの発見によってここ数年FlashやJavaの脆弱性発見が増えている……という前振りから、最近の攻撃手法について解説。難しい……。でも、メモリ管理は自前でやるなという話に還元すれば、20~30年前から同じこと言われてるんだよな。プログラマ、進歩ないねぇ。まぁ、自前のメモリ管理抜きでJITコンパイラなんて書けないだろうけど。

ラスト、カスペルスキーの石丸さんの話はTweet禁止だったので詳しく書けないけど、標的型攻撃が被害企業内から出てこないので調査がなかなか進まないという話。その後質問タイムに@wakatonoさんからツッコミがあったけど、攻撃に本物の社内文書が使われてたら出しようがないわけで、難しいよなぁ。情報共有の仕組みが作られつつあるようだけど……。

Tags: security

2013-11-23(土) [長年日記]

鹿島宇宙技術センターの一般公開

[写真](比較的)真新しい34mディッシュ

ここ数年、冬にバイクにあまり乗らなくなってしまったのは、猫たちが暖める布団から脱出するのがものすごく困難だからなのだよなぁ。おかげで4:30にかけた目覚ましにまったく気づかず、6:30になってようやく家を出た。何も考えずに東名に乗ったらすでに首都高はだいぶ渋滞していた。というか東関東自動車道に乗るなら保土ヶ谷バイパスを南下して湾岸線で行くのが正しいんじゃ……(というかGoogleのナビはそう主張してたような)。でもディズニー渋滞を避けるなら、少し遠回りになるけどアクアラインを使ってもいいんだよな。帰りはそうしよう。

鹿島宇宙技術センターには非公開日に何度か行ってて、2011年の時点で再塗装されてピカピカになっていたので「来年の公開日には絶対に行かなくては」とか書いてたくせに行けてなかった。ようやくリベンジ。2005年の公開日と比べると、いかに美しくなっているかわかるだろう。近づいて見るとすでにサビが出始めているので、やっぱり再塗装直後に行っておくべきだった……。ディッシュの内側になんか書くのは好きじゃないけど、変なイラストとか描かれてないだけマシかなー。

10時の開場直後について(というか早く家を出れば早く着くのは当たり前で、東関道で1Hくらい時間を潰していたのだが)、すぐに34mを見に行った。1時間のスケジュールで、アンテナ稼働(天頂から水平へ)、アンテナタッチ(主鏡内側に触れる)、アンテナ稼働(水平から天頂へ)、アンテナ登頂(軸の高さまで歩いて登れる)というイベントを回しているので、ひととおりこなす。ほぼ同じタイミングで@naritamasahiroさんがやってきたので、2人でアンテナ周辺をうろうろ(別に示し合わせたわけではなく「まぁ行けばいるだろうな」という感じ[笑])。今日は晴天だったので、抜けるような青空のもとで美しいパラボラアンテナを堪能できました。→そのほかの写真

もちろん動画も。それにしても、フルHDなカメラが欲しいですなぁ。あと三脚も欲しい:

まわりの観客の声もそのまま入ってるんだけど「(思ってた以上に)速い」という感想がちらほら。おまえら、こんなんで速いとか言ってたら、つくばや内之浦みたら腰ぬかすで!(←おまえが威張るようなことではない)

そういえば前回の公開日で見つけた、鳩よけのミミズクの置物がなくなっていたのでどうしたのか聞いたら、効果がないので撤去したとのこと。効果があるから置いてあったんじゃないのか(笑)。

[写真]海岸沿いにある風車群(のごく一部)

昼ごろまで現地にいて、その後海沿いにある風力発電機群を見ようと思ってどんどん近づいて行ったら、近づきすぎて全体が見えなくなってしまうというありがちな状況に。こういうのは全体が見渡せる高台なんかに行かないとダメだなぁ。でもこのへん、高台なんかないよな。海側から見るのがいいのかな。

さて、アクアラインを使うつもりだった帰りルートですが、なぜかナビが宮野木JCTで降りろとか言うものだからよくわからなくなってしまい(どうもGoogleのナビはイマイチ信用できない)、けっきょく湾岸で帰ってきたのだった(しかも横浜新道を通るという未知のルート)。千葉のPAがことごとくふなっしー押しで、グッズが大量に置いてあったのが印象的でした。

(EveryTrail is obsoleted. [鹿島往復])

追記

お土産にタオルをもらった。アンテナの図案は悪くない。

[写真]お土産のタオル

Tags: parabola

2013-11-25(月) [長年日記]

RubyのCVE-2013-4164対応

(もう3日も前の話だが)rubyに新しい脆弱性があると公表されたので、使っているrubyをアップデートしなくてはならない(1.9.32.0.0ともに)。

いつものようにrbenv installでローカル環境のアップデートはさくっと済んだのだけど、最近はHerokuでいろんなものを動かしているのでそれもアップデートする必要がある。たしか以前は勝手にアップデートしてくれた記憶があるのだけど、最近は自分でアップデートのトリガーを引かないといけないそうだ(まぁそりゃそうだよな)。

手順はメールが来ていて:

$ git commit --allow-empty -m "upgrade ruby version"
$ git push heroku master

と、ようするに空のcommitを作ってpushすればそれでOK、と。でもこれをすべてのアプリについてやらんといけないわけだ……とほほ。デプロイ用のブランチを切っては上記作業を黙々と繰り返してなんとか完了……と言いたいところだけど、なんといまだにBambooで動いてるサービスを発見してしまったりして。これは後日なんとかしなくては。

Tags: ruby security

2013-11-26(火) [長年日記]

アフタヌーンの購読を電子版に切り替えた

[写真]Nexus7(2012)で開いた月刊アフタヌーンKindle版

もうすっかり雑誌の定期購読からは遠ざかっていて、なにか欲しい記事が載ってる号を必要に応じて買うくらい。それも年に1、2回だ。例外はほぼ惰性で買い続けている月刊アフタヌーンで、「これだけは連載で読みたい」みたいな強い動機がないままに何年も買い続けている。自分でも不思議。

そんなアフタヌーンが紙と同時発売で電子化されるという。基本的にDRMのかかった本はクソの役にも立たないので買わない方針なのだけど、紙の雑誌は読み終えたら資源ごみ出すくらいで役に立たない度としてはどっこいどっこいだ。じゃあ試しに買ってみてもいいかもね。

あとはどの端末で読むかなのだけど、手持ちのKindle4は日本のマーケットには未対応なのでNexus7(2012)しか選択肢はない。で、サンプルをダウンロードしてみたら冒頭のカラーページしか入ってなくて肝心のマンガがどう見えるのかわからないというありさま。ツメが甘いよ、講談社。

ま、大人なので気にせず買ってみるわけです。柱の細かい文字は厳しいけど、吹き出しの中身はちゃんと読めるし、もちろん拡大もできるから問題ないことがわかった。今後は電子版で行ってみよう。蟲師も始まったし。あとは発売と同時に配信してくれるようになれば楽なんだけどなぁ(そしてずるずると惰性で購読し続けるという罠を希望します)。

最大の問題は、最近Nexus7のUSB端子まわりが不調で(表示上では充電状態にあるにもかかわらず)充電されてない、なんてことが頻繁にあることなんだけど。修理はASUSに直送しなきゃいけないらしいので面倒だから騙し騙し使ってるけど、いつか困ったことになるよなー、これ。

アフタヌーン 2014年1月号 [2013年11月25日発売] [雑誌] (アフタヌーンコミックス)
冬目ケイ
講談社
¥713

↑をみてみたらさっそく「高い」という評価がついてて笑ってしまった。DRMがかかってなければ紙と同じ値段でもいいけど、そうでないなら紙より不自由なものに同価格設定はないよな。おれは資源ごみに出すために電話帳サイズの雑誌を束ねて運び出す手間賃だと思ってるからかまわないけど。

Tags: ebook

2013-11-28(木) [長年日記]

対話型のコンソールアプリをpryの上に構築したらだいぶ楽できた

ゆえあってちょっとした対話型のアプリ、それもWebじゃなくてLinuxコンソールで動くものを作る必要が出てきた。入力をパースしたりするのも面倒だしなーと思い、ためしにpry上のDSLみたいな感じで作ってみたらなかなかいいものが簡単にできた。うん、これは楽でいいなぁ。今後も使おう。

こんな感じのsample.rbを書いて(2013-12-03追記: pryの仕様に合わせて一部リライト):

require 'pry'

# business logic
module Sample
   def self.hello(name)
      "Hello #{name}!"
   end
end

# helloというコマンドを定義する
Pry.commands.block_command 'hello' do |*args|
   args.map{|name| output.puts Sample.hello(name)}
end

# pry標準のhelpはあえて潰してよけいなものを見せない
Pry.commands.block_command 'help' do
   output.puts "hello [name...] : say hello"
end

# プロンプトをいじると専用アプリっぽさが増す
Pry.prompt = [
   proc{"sample> "},
   proc{"sample* "},
]

puts "type 'help' to help. type 'exit' to terminate.\n\n"
pry

実行する:

$ ruby sample.rb
type 'help' for help. type 'exit' for terminate.

sample> help
hello [name...] : say hello
sample> hello hoge
Hello hoge!
sample> hello foo "bar baz"
Hello foo!
Hello bar baz!
sample> exit
$

もちろんgemにして依存関係も解決するようにしておけば、導入も簡単になってさらに良い。

Tags: ruby pry

2013-11-29(金) [長年日記]

tDiary 4.0.2リリース

いい肉の日にtDiaryの4.0.2を無事リリースできたことをお喜び申し上げます。

(夜遅くになるまで@hsbtとおれの手があかなくてぎりぎりまでバタついていたとか言ってはいけない。というか↑の更新時刻が11/30になってるとか見て見ぬふりをしなくてはいけない)

今回のリリースで、スタイルやIO、キャッシュまわりの独立性を高めたので(@hsbtが)、標準品以外はgemに分離して本体のアップデートに依存しない構造になった。ので、環境の変化に応じていろいろ変更できるようになったはず。ここの日記も、環境を整備したらHerokuに移したいなーという野望をもってtdiary-io-mongodbなんかを書いているわけだけど、先は長いのだよなぁ(だからまだここは3.2.2なのだ)。

Tags: tDiary

2013-11-30(土) [長年日記]

Nexsus7にAndroid 4.4 (KitKat)が降ってきたのでアップデート

[スクリーンショット]例によってイースターエッグから あいかわらず充電まわりに問題を抱えつつもだましだまし運用しているNexsus7、4.2なんかは誰よりも早くアップデートが降ってきたのに、なぜか4.4(KitKat)はぜんぜん来なくて、周囲の知人にはどんどん来ていて焦ってたのだが(←焦る必要ぜんぜんない)、今日になってようやく届いた。さっそく入れる。

もっとも今回はなんのトラブルもなく、常用しているアプリにはこれといって非互換は発生していない。まぁ、すでに対応版がリリースされているということかも知れないけど、それはそれでつまらんな(ぉぃ)。

Tags: android

Web日記をつけ始めて……えーと、14年 (2桁の計算ができない)

tDiary 4.0.1を変則的に1ヶ月後に出したおかげで、リリースの翌日にn周年を迎えられるようになったんだな。最近は毎日更新というわけにはいかないことも多いけど、まだまだ無理なく続けられそうな雰囲気ではある。


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