2008-05-03(土) [長年日記]
■ 最近マンガばっかり買ってるよ
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アデーレが! アデーレが! いやー、アデーレで一本描いてくれるとは、嬉しいねぇ。
それはそれとして、本編最終巻で、あえてエマからメガネを外して旧い社交界へのチャレンジを表現し、一方この巻の最終話では、現代の花嫁でも外すメガネをあえてかけたままにすることで新しい時代の到来を感じさせる。上手い、というか、ほんとよく考えてるよなぁ、森薫。
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IIに続いてロケットを作る話が帰ってきた「まんがサイエンス」の最新刊。異なる2つのアプローチから同じアイデアにたどり着く過程が、学習マンガとして実にすばらしい。野田司令が関わっているおかげかな。
ただ、「II」のストーリーがあまりに神懸っていたので、「あれよりはちょっと落ちるかなー」とか思ってしまう。リアルタイムに読んでる小学生には関係ないんだけど。
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B0017N371I
「FLIP FLAP」が終わってしまって超悲しい。短い連載だったけど、いい結末だった。来月の単行本はぜったい買う。
連載がいくつか、立て続けに終わりそう。「蟲師」もあと2回か。まぁ、「百舌谷さん」があるうちは買うけどな……。
B0017N371I
その他
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2008-05-04(日) [長年日記]
■ 人ならざるものの歌の魅力
今日は知人の結婚式二次会で都内へ。行き帰りの電車でずーーーーっとループさせていたのが、1000桁までの円周率を鏡音リン・レンが歌うというこの曲:
元ネタはこっちなんだけど、初音ミクとのコラボが絶妙な派生PVの方をあえてを紹介。ただの円周率にストーリー性を持たせた動画をつけるセンスがすばらしい。MP3単体はピアプロからGETできる。
実はVOCALOIDが円周率を歌うのは初めてではなくて、すでに昨年12月に初音ミクが歌っている。ただ今回の作品の方が曲がカッコイイし(というか音程まで円周率に合わせるのはネタ的に面白いだけで音楽的にはどうかと思う)、双子のユニゾンが実にたまらない。これは病み付きになる。
VOCALOIDを、歌手を調達できないアマチュアミュージシャンが自作の曲を歌わせたり、いかに調教して人間らしく歌わせるかにチャレンジするために使うのはもちろん良い。最近はぼかりすなんて技術も生まれていて、そっち方面の進化もすごい。ただ、SF者としては、どうせ人間じゃないんだから、人間にはとうてい歌えないものを歌わせて、音楽の地平線をぐっと押し広げる役割も果たして欲しいんだよな。
そんなわけで、こういう変な方向のVOCALOID活用は大好きだ。過去にもランダム生成した歌詞を歌ったり、さまざまな数列を歌ったりしていたが、もう一歩、変な方向に進むととんでもないことになるんじゃないかという気がしている。ようするに音楽のシンギュラリティ?
もっともこの円周率にチャレンジする生身の人間もいたりして、人間もまだまだあなどれないわけだが(編集してるけど)。
2008-05-06(火) [長年日記]
■ 連休中の成果
- こたつの片付け
- 庭木の手入れ
- 芝生の手入れ
- ストーブの修理と収納
- いろいろ掃除
コード1行も書いてねぇ! 「連休中はずっとコード書いてます」なんて言ってる人がどんな生活してるのか想像もつかない。いや、おれも15年前までは毎年10日間ずーっとツーリングとかしてたか。
あ、「どうせエロマンガだろ」と思い込んでいた『オナニーマスター黒沢』が、実はガチで面白くて、ついつい全部読んじゃったという成果もあった。って、これがコード書けなかった主要因じゃ……。
■ 今週末、一泊ツーリングの予定
川崎は今日の磐田戦で勝って、4連勝、なんと3位に上昇。これというのも、チケットを確保しておきながらスタジアムに足を運ばなかったおれのおかげですよ。ほんま、なんでTVで見てるときに限って勝つんだよ!
というわけで、10日の正念場、浦和戦にも行かないことにした。いや、かみさんが家を空けるので、ついでに(久々の)一泊ツーリングに行くことにしたからなんだけど、たぶんこれで川崎は勝てるはず(←非科学的すぎる)。
そんなこんなで、4日後のことなのに、どこに行くのかぜんぜん決めてない。漠然と北のほうに行きたいなぁ……とは思っているが、いい感じのワインディングに出会える土地をこれから探さなくては。つーか、せめてどこに泊まるかくらいとっとと決めないと。
2008-05-08(木) [長年日記]
■ 4152088354
タイトルに惹かれて、まったく予備知識なしに買ってみた。だって『本泥棒』だよ? 買うよなぁ。ちなみに非SF。読み終わってから、外国ではベストセラーになっているということを知った。ベストセラーは買わない主義だったのに……。
養子に出された無教育で貧相な主人公の女の子と、お人好しで優しい養父、ツンデレの養母。近所に住む、主人公に恋焦がれる少年。やぁ、これは『赤毛のアン』のバリエーションですね! 大好物だぜ!!
しかしながら、舞台は第二次世界大戦下のドイツ。暗い話がひたすら続く。養父の教えで字が読めるようになった主人公は、言葉の魅力にとりつかれていくが、残念ながら貧乏な一家に余裕はなく、盗むしか本を手に入れる方法はないのだ。大好きなものを手にするのに、他人から奪い取るしかないなんて、それだけで泣ける。
各章の冒頭で、その章の結末が明かされるという変わった構成から、単純にストーリーの上っ面を読んでおしまいにすることは期待されていないのがわかる。それだけに、ドイツに暮らす少年・少女たちの描写が実に緻密で、臨場感がハンパじゃない。
実際、ストーリーだけを追うならば、考えうる最悪の結末を迎える、ただの後味の悪い話になってしまう*1。しかし、そこから振り返ると、数えるほどの暖かいエピソードたちが、まばゆいばかりに輝くのだ。重いようで軽やかな、不思議な読後感のある一冊。歴史に残る名作になるかも知れん。
*1 語り手である「死神」が自らの言葉で語るエピローグでは少し救われるが。
2008-05-10(土) [長年日記]
■ 裏磐梯周辺ツーリング(1)
05:00 出発
普通に雨なわけだが、何も言うまい。そういう運命だ。
久々に両パニアケースとタンデムシートをつけて出発。タンデムシートは、別に「旅先でヒッチハイク中の女の子を拾うため」ではなく、高速巡航中に腰のサポートをするためである。06:00までに東北道に入るつもりで東名へ。
09:00 安達太良SA
朝食をとった蓮田SAを出てから2時間走ったので休憩。走りながらずーっと歌ていたので、声が枯れた(限度を知れと)。でもiPodの電池切れちゃった。Bluetoothは、電池食いすぎで実用性が乏しすぎる。
気温は10℃くらい。雨は弱いけどやまない。寒いので、念のためにパニアケースに詰め込んでおいた、ダウンのインナーウェアとゴア・ウィンドストッパーのアンダーパンツを着用。早くも冬装備。先が思いやられる。
あと、郡山の手間で、前からホイールキャップが飛んできた時は死ぬかと思った。ホイールキャップが飛ぶシーンなんて、映画にしか出てこないんだと思ってた。こえぇよ東北道。
11:00 蔵王
東北道を白石I.C.で降りて、蔵王エコーラインへ。ガソリン入れるたびに、あまりの高値にギョッとするね。
雨はまだ降っている。でも、雨は嫌いじゃないよ。長年の付き合いだしな。じゃなくて、特にこの季節は、濡れた若葉がいっそうみずみずしく見えるしな。エコーラインも、山麓の新緑が実に素晴らしい。
と、いい気分で登って行くと、どんどん寒くなって一面雪に。まぁ、そりゃそうか。冬装備で良かった……。道はやや荒れ気味ながらGSで楽しいタイトなワインディングで、満足。
下界に降りたあと、上山市の原口そばやで蕎麦。名物らしいが(というか、このあたりはどこに行っても蕎麦が名物と主張している)、昔から蕎麦の味はそれほどよくわからないので、うまいのかどうか判断できない。漬物はうまかった。
13:30 ぶどうまつたけライン
関東の山は右を向いても左を向いても杉ばかりで、こんな山にしてたら花粉症にもなるよなぁというひどい単一植生なんだけど、東北の山はバリエーションに富んでて、見ていて飽きない。なんとなくよさげな気がしてルートに組み込んだ「ぶどうまつたけライン」も、そんな山並みに囲まれながら走るいい道だった。アップダウンが少なく、コーナーも緩やかなので、風景を存分に楽しみながら走れる。
雲は多いが雨は上がったので、気分も上向き。おまけに、走行中一台も車を見かけなかった(笑)。今日はホントに週末か。
14:30 西吾妻スカイバレー
再び雪景色。
「動物飛び出し注意」の道路標識がニホンカモシカやニホンザルの絵柄だったので、そういうのがいるんだろうなー、と思って走っていたら、道端にふつーにニホンザルがいた。自然すぎる。
止まって写真でも撮ろうかと思ったが、こういうところの猿は食料目当てに人を襲ったりするかも知れないので、目を合わさないようにして通過した。それとも人を襲うのは日光の猿だけだろうか?
16:30 桧原湖
久々に「湖を一周したい病」が再発したので、桧原湖を一周半(冒頭のルートには含めず)。その後、五色沼に寄ってみたが、特段変わった色ではなかった。日が悪かったのだろうか。つーか、全部の沼を回ろうと思ったら、往復8kmも歩かなければならないようだ。ライディングブーツでそれはムリだよなぁ。いつか家族で来よう。
17:00 会津若松
有料道路の磐梯山ゴールドラインで南下、会津若松へ。
ホテルに荷物を置いて、周辺をウロウロしてみたが、なんにもない街だ。日帰り温泉があったので、飛び込んで温まる。なにしろ寒い。5月とは思えない寒さ。
そのまま夕飯。ソースカツ丼が名物なの? もちろん、見た目通りの味。
◆ smbd [五色沼は西側と東側を結ぶバスがあるので、それに乗れば片道の4kmで済みますね。ライダーブーツで歩きました。]
2008-05-11(日) [長年日記]
■ 裏磐梯周辺ツーリング(2)
昨日に続いて裏磐梯周辺を走ります。
07:30 猪苗代湖
ホテルの朝食は07:00からなのでパスして、事前にコンビニで買っておいたパンを食べ、06:00に出発。中年ライダーのツーリングというと、各地の温泉につかっておいしいものを食べて……というのが多いのだが、はっきり言ってそんなことには興味がない。というか、そういう旅行は家族とするものだ。バイクで一人旅なら、寸暇を惜しんで走るべし。
今日は「裏磐梯三大スカイライン」の残り2本を走るので、猪苗代湖をぐるっと回って北東へ進む。
今回、湖の周回ルートはナビに自動で決めさせたんだけど、べったり湖岸ばかりでもなく、遠回りな国道ばかりでもない絶妙な距離感でいい感じだ。大きくて入り組んでいる湖を一周するときに、地図を見ないで走るというのは従来はありえなかったんだけど、ナビのおかげですごく楽になった。ルートを外れて冒険して迷っても、すぐにもとに戻れるし。おれみたいな方向音痴には、夢のような機械だなぁ。
08:30 磐梯吾妻レークライン
本日一本目の有料道路、レークラインへ。書き忘れたが、朝からずーっと雨である。昨日より本格的な雨。
ドカに乗ってたときは雨だと出かける気にもならなかったが、BMWだと特に躊躇することもなくなった。とはいえおっくうなことに変わりはなかったのだが、GSになってからはそんな不快感すらなくなった。ABSの安心感だけでなく、上から下までゴア尽くしのウェアは晴雨関係なく走れるし、ETCやカーナビのおかげで停車して財布を出したり地図を見たりする必要がなくなったのが大きい。若い頃は重装備のツーリングには嫌悪感すら抱いていたものだが、こういう装備は楽しさを削がないために必要なんだなぁ。
そんなわけで、雨だとまったく止まらずに走り続けてしまうのだが、生理現象はどうにもならない。レークラインのレストハウスでトイレ休憩をしていると、まだ開店していない売店のおばちゃんが店内に招き入れてくれた。ストーブが暖かい。グリップヒーター全開で走っていても、やはり指先はかじかむわけで、こういう好意はありがたいねぇ。
そうそう、昨日は意識していなかったが、「要所要所で場所とコメントをTwitterに入れていけば、あとで日記書くのが楽じゃね?」と思ったが、その矢先にケータイの電池が切れた。この先、帰宅するまで必然的にオフラインに。
09:30 磐梯吾妻スカイライン
続いて磐梯吾妻スカイライン。日本の道百選のひとつらしく、料金もびっくりの1000円超である。大人なので躊躇しないで走るのである。もっとも、入ったらすぐに濃霧になってしまい、自慢の眺望はまったく見えないわけだが。
料金所で「上は雪ですよ」と言われ、また残雪がたっぷりなんだろうと思ったのだが、雲を抜けて上に出たら、本当に雪がゴンゴン降ってた(笑)。昨日よりさらに1枚多く着ているので寒くはないんだけど、5月のツーリングということを忘れるような天気だ。
ふもとでは淡い若葉をつけている白樺やブナが、上の方では丸裸で雪に埋もれている。さらにその先では硫黄の匂いが立ち込める不毛の地が延々と続く。これで雪が降ってるんだもん、なるほど絶景だ。
この道を抜けてしまうとずいぶん遠回りになってしまうので、途中でUターン。
13:00 ナビが気を利かせてくれたと思ったら自分で設定した道だった
来た道をほぼ逆走する形で会津若松に戻り、そのまま南下。奥只見はどうかを勧められたので、このまま新潟に抜けてしまおうというルートである(ここでわかってる人なら「らめぇぇ」と叫ぶところだが、もちろんわかってない)。
会津田島のセブンイレブンでパンをかじっていたら野良猫になつかれたりしながら、R121を南下。全身びしょぬれなので、レストランとかに入れないんだよな。R121は微妙に街中を通る道で、交通量が多い上に退屈。そろそろ限界だなー、と思ったところでR352に入ってまた空いた。
ところが、その直後にナビが右折を指示。林道並みに細い道をどんどん登っていく。ガードレールもない、落石跡ばかりの道で、いくらなんでもこんなルートを自動で選択するナビは欠陥品だろう! と思ったら、事前に自分で設定した道だった。とほほ。R352の旧道で、峠からの眺めは絶景らしい……が、もちろん雨と霧で見通しは悪い。でも、雑木林の合間を縫う、ぼろぼろな舗装の細い道は、はっきりいって大好物である。楽しかった! ルートを設定した一昨日の自分、GJ!
14:00 ナビが道を見失う
その後R352に戻ったのでそのまま素直に走ればいいものを、やはり一昨日の自分がショートカットを設定してあったようだ。桧枝岐村方向へ。
が、R352に戻る最後の道が写真のように通行止。なんとなく通れそうな感じはあるが、行くだけ行ってダメだったらダメージが大きい。このまま走ってればナビが別ルートを見つけてくれるだろう……と思ってだらだら走っていたら、ピーっと言って降参しちゃった。えー。あきらめるのが早いよ!
仕方がないので元の分岐まで戻ってR352を西へ。雨はほぼあがって、路面も乾いてきた。
14:30 そして夢潰える
それにしても道が空いている。信号もないから、1、2時間のあいだ足をつかずに走り続けることもできるくらい。まるで北海道だ。東北の山奥って、どこもこんな感じなんだろうか。ライダーの夢が具現化したような土地だね。道路行政万歳。
などと頭の中をお花畑にしながら走っていくと、ふたたび前方に雪山が迫る。ずんずん登って、周囲が幻想的なブナ林になったところで、ふたたび通行止。な、なんだってー!?
いや、たしかに「R352、尾瀬まで通行可」って案内は出ていたけど、「尾瀬が一般車禁止なのは常識だろ」とか生半可な知識で都合のいい解釈をしていた。字義通りに読めば、尾瀬から先は通行止めって意味だけどさー。じゃあこの季節、福島から奥只見には行けないのか。がーん。
いやぁ、以前GWにカブで青森に行ったとき、数メートルの雪の壁に挟まれて酸ヶ湯温泉まで行けたもんだから、日本人は5月までにはどんな道も通行可能にするものだと思い込んでいたんだよねー。少なくとも本州では。いやはや、下調べは大事ですね!
それにしても尾瀬か……なつかしい。大学一年のときに来て以来だな。あの時もずっと雨だったっけ(こんな思い出ばっかし)。
というわけで、もう何も考えたくなくなったので、ナビの目的地に「自宅」を入れて、言われたとおりに帰ってきた。2日間の総走行距離、1,235km。よく走ったなー。GSも20,000km超えたので点検に出さねば。
2008-05-16(金) [長年日記]
■ 開発者と利用者では「継続」の意味が違う
tDiaryのリポジトリを、CVSからSubversionに移行中だ(hsbtが)。SourceForge.netがsvnをサポートしたのはずいぶん前だから、とっと移行しちゃえば良かったんだけど、「2.2を出すまで待とう」と思っていたらいつまでたっても出せなかったので(笑)、こんな時期になってしまった。もたもたしている間に巷ではgitやらMercurialのような分散VCSが流行し始めてしまい、いまさらsvnかよ的な状況。でもまぁ、これくらいがちょうどいいんじゃないかね。
いまのところ、tDiaryプロジェクトのミッションは「プロジェクトを25年間存続させる」である(参考:「継続」という目標)。人生の記録をつける日記システムが、たかだか数年で消えうせるようでは困る。せめて四半世紀は安心して日記をつけ続けられるようにしたい。バグ修正だけでなく、時流にあった機能拡張はもちろん、プラットフォームの移行(ひょっとすると10年後にはWebそのものがなくなっているかも知れない)も含めて、「日記を書き続けられる環境」を維持する。したい。
ところが、こないだの2.2へのバージョンアップに失敗して、日記を継続できなくなっている利用者がけっこういて、これがなかなか心苦しい。2.0からの変更点なんて、たいしたことないのにこのザマだ。これが大きく変わる(はず)の次期リリースになったらどうなることやら。既存の利用者を振り落としながらバージョンアップをする意義がどこにあるのか、などと自問する日々。
かといって、最小限の変更以外を凍結してしまうと、プロジェクトを維持するだけの開発者が確保できなくなってしまう。われわれ開発者は、変化がなくては生きていけない種族なのだ。プロジェクトを継続するためには、日々変化していかなくてはならない。CVSからSubversionへの変更も、そろそろCVSなんて使いたくないと思い始めている開発者のための(小さな)変化のひとつだ。
ミッション遂行のためには、両者のバランスを取りながらおそるおそる進むしかないわけで、実際の開発よりもこっちの方がよっぽど難しいと感じている今日このごろ。「Microsoftはすげぇなぁ」と思うのはこんな時である。
2008-05-17(土) [長年日記]
■ 9784591101841
例によって半月遅れでSFマガジンを読んでいる。クラーク追悼特集。来月も引き続き特集らしいから、御三家の中でも破格の扱いだなぁ。おれにとって御三家は、ハインラインが神で、次がアシモフ。クラークは正直あんまり好きな作家ではないし、だいたい十分に長生きしたと思うので、そんなに感慨もないのだけど。
つーか、追悼文であがる作品が「幼年期の終わり」と「2001年」ばかりってどうなのよ。クラークの「超越者信仰」っぷりがもっとも色濃い、個人的には嫌いな作品なんだよなー。だから、「短編こそが面白い」という草上仁に強く同意する次第。
そんなわけで、追悼読書も斜め方向から、小川一水作品にした。クラークが想像した軌道エレベータを、クラークが住んだスリランカではなくシンガポール沖のリンガ島に建築し、しかもそれ自身はほとんどネタにしない……という、ひねくれた(?)設定のオムニバス短編集である。主人公が全員日本人(日系)女性というのはちょっと不自然だが、営業努力として目をつぶろう!(笑)
小川一水作品は、絵にしたくなる場面がすごく多いと思うんだけど、この作品集は特にそう感じた。「港のタクシー艇長」で小船が大型船の合間をすり抜けていくシーンとか、「楽園の島、売ります」の洞窟、「Lift me to the Moon」の日の出とか、映像で見てみたいねぇ。
基本的に各作品は独立していて、軌道エレベータによってリンガ島に生まれた新しい社会で生きる女性を描いているのだけれど、少しずつ関連しあい、また徐々にスケールアップしていくことで、未来を感じさせるうまい構成。最後の作品のオチはあまりにわかり易すぎるけど、それもまたヨシといったところか。
2008-05-19(月) [長年日記]
■ 「次はそんぽ24 MADが来る!」(と思ったけど来なさそう)
なんだか微妙に忙しくて日記のネタすらないので、ひさびさにニコニコ動画を貼るテスト。
この発想に感動した! というか、見る前から吹いた。
ニコ動にはたびたび短期的な流行があって(ウマウマとかIKZOとか)、短期的なのは素材が限られているせいなんだけど(逆に素材が多いVOCALOIDやアイマスは盛り上がりが長期間持続する)、これは次の流行になるな。……と思ったけど、すでに4日たったのに後追い動画が出てこないから、このまま終わりそうだ。ちぇ。
そもそも「ハナコアラ」タグがあまり有効に機能してないもんなー。普段(呆れるほど統制の取れた)ニコマス界隈にいるせいか、そういう自己組織性のない動画シリーズがじつに歯がゆい、もったいない。
2008-05-20(火) [長年日記]
■ ISASメールマガジンの海老沢研のエッセイがすごくイイ!!
先週配信されたメルマガで読んで、いたく感動したんだけど、やっとWebでも公開されたので紹介。
僕はユーラシア大陸の真ん中で遭難していた。非常用マニュアルに従ってGPSで地球上の位置を確認し、イリジウム携帯でオフィシャルの緊急番号を呼び出す。「ゼッケン39番、423kmを過ぎたところでミスコースしました。北緯50度09.803分、東経93度10.325分の地点で砂に埋まってスタックしています。これ以上は走行不可能です。救助を要請します。」
JAXAの(というかISASの)海老沢教授は、最近バイクでラリーに参加するようになった天文学者として一部では有名らしい(この記事読むまで知らなかった)。バイク乗りならビビビっと来るこんな出だしのエッセイが、天の川銀河の謎に迫るX線天文学の話につながるのだ。そのパースペクティブは鳥肌モンだ。叙情的な書き方だが、最先端の科学のシビアさと楽しさが存分に伝わってくる名文だ。
それにしても文才あるなぁ、この人。おれと同世代だ。一般向けの啓蒙書を書けばいいのに。
ググっていたら本人によるRally Mongolia 2008レポートを見つけたので、あとで読む。これって確か、何年か前にカブで参加した人がいたあの大会だよなぁ?
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クラークの第三法則のせいか、魔法・魔術を科学的に説明できる世界を描きたがるSF作家はあとをたたない。この作品も、多宇宙解釈と高等数学で魔術が理解され、ある程度コントロール可能になっている世界が舞台。主人公は元IT技術者(というかシステム管理者)で、官僚主義に塗り固められた(ハードボイルドではない)スパイ小説の体裁という、ようするに「ありがちな設定×ありがちな設定」な小説だ。
いや、面白かったよ、小説としては。まったく予備知識なしで買ったもんだから、長編一本だと思って読んでいたら、残りページがずいぶんある状態で結末になってしまい(もうひと盛り上がりあると思っていたのに!)、後ろに中編が一本付いていることをあとで知ったとか、そういう些細なガックリを除けば、まぁまぁ。中編の「コンクリート・ジャングル」の方がまとまりがあって面白かったかな。
でもさぁ、これを「海外SFノヴェルズ」ブランドで出す意味は? FTかNV文庫でいいじゃん。作者は魔術の背景にある理論について真面目に説明する気は毛頭ないらしいから、SF的な面白さはほとんどない。ホラーかと言われれば、ラヴクラフト用語が多用されてはいるものの、怖い場面やグロい場面もあんまりないし。海外SFノヴェルズを買うときは、がっつり濃ゆいSF成分を求めてるのに、これはないよなぁ。
あと序文! 小説の序文ほど興を削ぐものはないのに、なんでこんなもんをつけるんだろう。理解しがたい。
2008-05-23(金) [長年日記]
■ 『今日の早川さん 2』の限定版を買った
かみさんに誘われてふらふらと入ったリアル本屋で残り3冊になっていて、「ま、Amazonで買うからいいさ」と思ったが、ふと不安感に襲われたのでケータイで検索してみたらもう売り切れていたもんだから、慌てて買った。リアル本屋で本を買うなんて、久しぶりだ。というか、自分の第六感に喝采。
今回、やたらと早川さんのエロい表情が多かったような気がする。でもおれは岩波さん派だけどな!
ところで、本文(?)中でこんなこと→を言われている有川浩だが、今日の日記で:
自由業ですが、それでもたまに名刺を作ることがあります。
肩書きをいつも悩んで結局抜いたり税務署の登録と合わせて「文筆業」にしたりしていたのですが、この度「ライトノベル作家」にしてみました。
ということで、ハードカバーばかり出していてもラノベ作家らしい。おれとしては黒々としたゴシック体で「恋愛小説家」って入れて欲しかったぜ。
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2008-05-24(土) [長年日記]
■ 9784150116262
超大企業の神のごとき役員と、衣食住は保障されてるけど奴隷に等しい従業員に二分化された、環境破壊がとことん進んだ地球。役員連中はうなるほどの金と数百年の寿命を持ちながら、危険な場所に赴いてその様子をネットに流す「ウォー・サーフ」という遊びに夢中。
そのウォー・サーフがメインのアクション物かと思いきや、実際のウォー・サーフ場面は上巻の半分までしか出てこない。残りは、やたらと従業員クラスを見下しまくる鼻持ちならない主人公の老人が、捕虜になった宇宙工場で自分探しをする話。
今まで自分が想像したこともない世界を目の当たりにすることで、だんだん偏見をなくしてまっとうな人間になる様子を描くのが目的なんだろうけど、なんだかその描写が薄っぺらくて、説得力に欠けるんだよなぁ。中途半端に道徳的な気がするのは、主人公の動機がすべて女がらみだからか。
下巻の後半から再び物語が動き出して、SFっぽい変革も現れるんだけど、わざとらしい自己犠牲で終わるストーリーには、ちょっと白けた。ジュブナイルに仕立て直したらいいんじゃね?
2008-05-25(日) [長年日記]
■ 9784797328202
川崎和男を読まずにプレゼンについて語るなよみたいなことを言われたので読んでみた。
「極意」と書いてあるけど、内容は「基本の基本」だなぁ、これ。目新しいことは何も書いていない。何か高度なことが書いてあると勘違いして敬遠している人がいたらひどく損なタイトルだ。
目新しくないからと言って無価値なわけじゃなく、基本をおろそかにしたハウツー本ばかりがあふれている現状を鑑みるに、こういう「心構え」についてきちんと書いてある本は、プレゼンをする者は目を通しておいた方が良いのは確か。
もちろん、基本的なことだから簡単に実行できるというものでもない。最近、顧客先でプレゼンする機会が増えた自分も、わかっているけどできていないことがけっこう多かった。でもまぁ、場数を踏めば、ここに書いてあることは言われなくてもなんとなくわかるのではないか。
場数という意味では、われわれIT技術者は現在、すごく恵まれてる。特に東京近郊に住んでいれば、毎日のようにどこかで勉強会やカンファレンスがあって、プレゼンを見る機会もする機会も以前に比べてものすごく増えている。向上心にあふれる人たちが、お互いに切磋琢磨できる環境があるのは実に幸せなことだ。
今ではプレゼンの大御所として構えている川崎和男に、例えば高橋メソッドの登場を予見できただろうか。会場の内外からIRCでツッコミが入るようなカンファレンスが、川崎和男の想像の範疇にあっただろうか。そんな風に考えると、あまりにエキサイティングな時代に生きていることに気づいて、ちょっとどきどきしてくる。
本書の内容に戻るが、帯に「パワーポイントは創造性を奪い取る」って書いてあるのを文字通りに受け取るようでは話にならない。横並びの目立たないプレゼンがダメと言っているだけなので、例えば最近MacばかりになりつつあるRuby関連のカンファレンスでKeynoteを使うのは、パワポを使うのと同じ罠に落ちることになるだろう。実際、3Dでくるくる回るだけの資料はもう飽きたよね?
あと、図がひどい。本文中に登場するキーワードを、なんとなく線でつなげただけで、内容を補完したり理解を深めたりする効果がぜんぜんない。著者じゃなくて編集者が、埋め草代わりに入れたんじゃなかろうか……というくらい意味がない。まぁ、文章はわかりやすいので、図は見なくても問題はない。
2008-05-26(月) [長年日記]
■ またドメイン失効するところだった
昨年すったもんだしたspc.gr.jpを、また失効するところだった。あぶねーあぶねー。
例によってレジストラからのメールがspam扱いされていたからなんだけどさ。なんとなくイヤな予感がして、spamフォルダを眺めていたら見つけた。最近、第六感が冴えてるな、おれ。覚醒のヨカン。
しっかし、どうしてこう、ドメイン更新通知のメールってぇのは、spam扱いされる傾向にあるのか。まぁ「金払え」って書いてあるメールは、spamっぽくなるのは仕方がないけど。この手の悲劇はあとをたたないわけで、spamフィルタ側でなんとかしてくれても良い時期じゃねーの?
いずれにしても、メールはぼちぼちtdtds.jpに移行して、spc.gr.jp終了に向けて動き出そう。
2008-05-28(水) [長年日記]
■ リアル書店で"タグ付け"を敢行する「COMICS JUNKUDO」に行ってきた
町田のハンズ跡地にユニクロが入ったのは広告などで知っていたが、昨日かみさんからジュンク堂も入っているという情報を聞いて驚いた。アンテナ低すぎだ。しかもコミック専門店とのこと。これは覗いてみなくては……ということで、会社帰りに寄ってみた。
コミック専門なのにやたらと広いとか、新刊以外はシュリンクラップがかかってないとか、いろいろ特色はあるものの、なんといっても驚くのがそのジャンル分けだ。まぁ、これがあるからこそのジュンク堂なんだろうけど。
レガシーな分類手法とも言える「出版社別」の棚が最大なのは当然として、出版社ごちゃ混ぜの作家棚がある。しかも、作家もカテゴリ別になっているので見つけやすい。写真はギャグ漫画家の棚で、「天才バカボン」がずらりと並んでる。
さらに、作品のカテゴリ別の棚がある。写真はグルメ関係の作品だが、「歴史」とか「政治経済」なんかもある。「馬」という棚が単独で成立していたりしてちょっとおかしい。
個人的には(車と自転車が同居しているとはいえ)バイク棚が存在していたことが嬉しいね。
こういう、いわば「タグ付け」された書店というのは、本来オンライン書店でこそ実現可能になるべきもので、Amazonでもいちおう作家で探したりするのは簡単になっているが、カテゴリ別検索は人為的な判断が必要なので実現していない。代わりにユーザによるリストマニアがその役割を担っているわけだが、実用的でバランスのとれたリストを探すのはひと苦労だ。
それをジュンク堂はやってのけている。もちろんスペースに制約があるリアル書店では、すべての読者の要求を満たす分類は不可能だが(バイク棚の充実度は期待したほどではなかった)、それでもやろうという心意気はすごいね。さすがジュンク堂。
というわけで、ここ数年探し歩いていた『SF/フェチ・スナッチャー』と『同2巻』をついに発見、保護した。よりによって西川魯介かよ! ……って、いま見たらAmazonでもいつの間にか買えるようになってるじゃん、なんだそれ!!
同じフロアにはボークスが入った。近所にはGamersやアニメイトもあるし、線路の反対側にはヨドバシ。町田が目指しているのは小秋葉原か?
◆ エチオピア効果 [これはtdiaryがim@svideodiary化していく罠?]
◆ うんの [おおお! > 利用ドメインを絞って提供されているので、一般サイトにインストールされたtDiaryでは残念ながら利用..]
◆ AKIRAJAPAN [すごい]