2013-08-01(木) [長年日記]
■ Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(3)
続き。Black Hat 2日目にしてBriefings最終日。
朝はBlack Hatが提供するフリーの朝食が出ると聞いたので、昨日のランチの部屋に言ってみると、マフィンやフルーツが食べ放題、コーヒー飲み放題のたいへん素晴らしいものだった。これで夜のパーティを活用すれば、Black Hatは食費なしで過ごせてしまうのだなぁ。さすがビジネス向け大規模カンファレンスは違う。
とはいえ、今日もしょっぱなから(短い)30分枠の講演でAndroidのsmali形式の読み方を教えてくれるたいへん初歩的なセッションに入ってしまってぐんにょり。どうも「当たり」に出会えない。他にもWeb関係のセッションを拾い歩いたが「これ」というものには出会えず。逆に考えると、日本にいてもBlack Hatと同等の情報にアクセスできていたってことでもある。
今日のランチスポンサーはMicrosoft。もう、サラダからして昨日とは鮮度が違っていてばっちり旨い。メインは分厚いヒレステーキで味も良く食べごたえもあって、ああ、こんなところでスポンサーの力量の違いが如実に現れてしまうのだなぁ。Microsoftは日本でも各種ITカンファレンスにしっかりお金を出して(しかも口を出さない)、すばらしい会社だと思います。ほんとに。
セッションがあまり期待できない感じなので午後はスポンサーホールをプラプラしたり、本屋(見た目はアメリカ版「ジュンク堂書店RubyKaigi支店」っぽい)を覗いたりしているうちにうちにBlack Hat終了。今日はパーティチケットをGETしなかったのでそそくさと会場をあとにする。あんまり期待しすぎていたせいもあるけど、ちょっと肩透かしだったかなぁ、Black Hat*1。
くたくたになってホテルに戻り……というか泊まっているホテルが会場なんだけど、会場から宿泊しているビルまでの間に(とうぜん)カジノがあるのでなんか別空間っぽいのだが……ホテルに隣接しているショッピングモールで夕飯を食べる。イタリアンなら間違いはあるまい、ということでパスタなど。まあたしかに間違いはなかった。量は多いので3人で3皿たのんでシェア。ホテル内なのでわりといいお値段だが許容する。
ちなみにForum Shopは一晩では回り切れないほど広いショッピングモールで、写真のように青空の下に広がっている……というのは嘘で、空はドーム天井に描かれたフェイクである。新横浜のラーメン博物館に行ったことがある人はあれを思い浮かべればおおむね合っている。まぁ、屋外に作ったら暑くて誰も来ないと思うので正解だけど、なんとも資源とエネルギーの無駄遣い都市だよなー。
*1 言うまでもなく当たりセッションに出会えなかった可能性も高いし、そもそも英語力が不足していて十分に理解できなかっただけだとも言えるのであくまで主観的な感想である。
2013-08-02(金) [長年日記]
■ Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(4)
続き。実際に書いてる日との乖離が10日になってしまったので急がないと記憶が……。
今回、テレコムスクエアのWiFiルータを借りているので、自宅との連絡はGoogle+のハングアウトを使おうということになっていた。朝起きたら日本はそろそろ寝る時間ということもあり、こっちが寝坊したりあっちが早寝したりでなかなかタイミングが合わなかったんだけど、今朝はなんとかつながってかみさんと久しぶりに話ができた。というか日本はバルス祭りの真っ最中で、なぜかハングアウト経由でラピュタを見せられるおれ。残念ながらグスタフの姿はなかったが、ドーラには声をかけることができた(向こうの反応はなし)。さすがにそろそろ猫成分が切れるよ……。
ちなみに部屋の電波状態はかなり悪くて、LTEは入るもののアンテナ1本。それでもハングアウトはかなりの品質でビデオチャットを実現できてた。たいしたもんだ。
DEF CONは開催場所がRioになるので、朝から移動をしなければならない。Caesars内の朝からやっているパン屋(Black Hatの朝食のパンを出していたのと同じ店だった)で朝食をとってからタクシーで移動。距離にして1マイル足らずだけど、太陽が出ると朝からジリジリと暑いので、さすがに歩くのは厳しい。
さて、ビジネス向けカンファレンスのBlack Hatと違って、DEF CONはコミュニティ主導の大規模オフ会という趣なので、セッション(それでも4~5トラック)のビジネス色は薄目、スライドも適当でしゃべりは早口。おれの英語力的にはますます厳しい。最初のセッションは今回のDEFCONのバッジ(IDカード)の話なんだけど、精密機械を埋め込んであるとか(もちろん嘘)、そういうヨタが満載で、回りはどっかんどっかん笑ってるのにちっともつけていけず。とほほ。ちなみに事前に公開されていた、正解者に抽選でTシャツがあたるクイズの回答も出ていて、あいかわらず自分のCTF力のなさも実感する。聞けば「あー、なるほど」って思う解法なんだがなー。
その後、講演系のセッションをいくつか回ってみる。一番大きな会場で1000人ほど、小さな部屋でも300人くらい入るし、人気のあるところはかなりいっぱい入っている。Black Hatから流れてきた人たちが多いのにトラック数は半分以下なんだから当然だが、話題は政府がしかけるバックドアに対抗する話だったり、IPv6のMITMみたいなちょっととんがってる話だったり、だいぶ毛色が違う。同僚が聞いてきた話には、CAN(Car Area Network)をハッキングするために自分の車と自分の命をだいぶ危険にさらしたものもあったらしい。確実に軸足がビジネスから「ハック」そのものに移っている。
となると、(RubyKaigiでの経験を踏まえて)講演そのものは実はこのイベントの主役ではないのでは……と感じ始めているわけだが、それはまた明日以降の話。空き時間に売店なんかをぷらぷらしてたら、オーム社の萌えシリーズの英訳版がずらっと揃った本屋があったりして笑える。
初日のスケジュールを終えて外に出たらまだ陽は出ているものの雲に隠れていたのでそんなに厳しい暑さでもなく、帰りは歩いてみた。ちゃんと歩道を歩いてホテルに戻れる。15分くらい? 夜は(そろそろ肉とパンばかりの食事に辟易し始めたので)Caesar内の中華麺の店に入って軽めの食事。刀削麺を含む数種類の麺を手作りしている本格的な店(だけど日本の麺の方がうまい)。
2013-08-03(土) [長年日記]
■ Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(5)
続き。
今朝はようやくハンズオンの画面に寝ているグスタフが写ったのでこっちから呼びかけたら、声に反応して起き上がり、おれが帰ってきたと思ったのか玄関に向かって駆け出したという……なんつーか、本当にグスタフは犬っぽい。かわいいけど不憫だなぁ。早く日本に帰って、散歩に連れてってやりたいよ。こっちもそろそろ猫禁断症状が。ホテルが猫を一晩貸し出すとか、そういうサービスはないのか。
さて、DEF CON 2日目。朝から退役軍人が語るサイバー戦争の話とか、プロトコルとしての特徴を持たないように設計されたDustというプロトコルの話を聞きつつ、合間あいまに入り浸っていたのが「Lockpick village」、つまりピッキング講座の部屋。以前解錠師の書評で鍵師に対するほのかな憧れを吐露したが、ついにその夢がかなった! もうね、めっちゃ楽しいのよこれ。享楽の街ラスベガスに来て、カジノへも行かず、ショウも見ないでいたけれど、個人的にはこれができたってだけでもう十分だね。
写真のようにテーブルの上にピッキング道具と練習用のシリンダー錠がばらまいてあって、参加者は自由にそれらを手に取り、思い思いに解錠に挑戦する。1時間に1回、主催者のToools.usによる解説講座もある。シリンダー錠の仕組みは知っていたので、講座を受けなくてもピンが1本程度のやつはわりと簡単に開けられた。ピンの数が増えてくると歯ごたえが出てきて、本格的な南京錠になると偶然開くようなことはない。
同じテーブルで難しい錠に長い時間取り組んでいる人がようやく成功、「やったー」って感じで声をあげると、まわりから連帯感とライバル心がないまぜになったような「congratulation!」てな声がかかったり。あんまり楽しいので日本でも続けたいと思い、Toools.usのスタッフに会場で売っている$25くらいのピッキングツールセットを指して「これ日本に持ち込める?」って聞いたら「知らないけど、たぶんOK」みたいな適当な答えが返ってきたので、不安になって調べたら10年も前に成立した「ピッキング防止法」でツールの所持自体が違法になっていることを知る*1。あぶねーあぶねー。
で、「ああ、これがDEF CONか」と気づいたわけだ。ひいては「これがアメリカか」なんだけど、この地では「可能なこと」は「やっていいこと」とほぼ同義なんだな。ピッキングもそうだし、別の部屋では暗号化されていないWiFiアクセスポイントを通ったパケットをキャプチャ、平文で流れるIDとパスワードを表示しているコーナーまであったりして、なんつーか、徹底的に「自由」。だから講演も、技術的なだけでなく文化的な「自由」を扱ったものが多い。これがBlack Hatとの決定的な違いじゃないかと感じた*2。
片や、こっちは犯罪に使われる恐れがあるというだけで自分で錠前を開ける自由すらたやすく手放してしまう国の住人だ。たぶん日本人はこの先も、あまり深刻に考えることなく次々と自由を手放していくだろう。そう考えると、この場にいるのが恥ずかしくなってくる。もちろんアメリカにもたくさんの不自由があるだろうけれど、DEF CON全体に通底する徹底した自由へのこだわりは、おそらくこれから数々のイノベーションを生み出すきっかけになるだろう。というわけで、DEF CONの正しい楽しみ方は、おとなしく講演を聴いているだけじゃなく、できるだけ自由の空気を吸い、刺激を得ることなんじゃないかな。
……といいつつ、さすがに体力が限界なので(もう歳なんすよ)、夜のパーティ潜入はパスして同僚に任せ、ひとりでホテルに戻ってハンバーガー買って食ってビール飲んで寝たのだった。やっぱりデカくてtoo heavy。
2013-08-04(日) [長年日記]
■ Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(6)
続き。水を買おうと思ってホテルの自販機コーナーでクレジットカードを通そうとしたら認識してくれなくて(そもそもカードで水が買えるというのがびっくりなんだが)、何度かリトライしただけで警備員が飛んでくるアメリカ怖いです。
DEF CON最終日。昨日さんざんピッキングの練習をしていたのでなんだかまだ手が金臭いんだけど、今日もピッキングの部屋へ。いいんだよもう、土日なんだから。いや、もちろん講演も聴いているのだけど、朝2番目の講演者に、スライドも原稿もなしに30分ノンストップで自由に関する話をされてだいぶ守コストを削られたので英気を養わなくてはな。でも、ブラウザを使って分散ストレージを作る話は馬鹿馬鹿しくて面白かった。こういうネタっぽい発表があるのもDEF CONならではなんじゃない?
そういえば日本ではトイレの脆弱性の話がなんだか深刻そうに報道されているけど、これをネタにした発表もDEF CONにあって聴いていた。いろんな家電をハックして楽しもう的な趣旨(だと思う)の発表で、報道されているような深刻なノリではなかった(LIXILの見解に同意だ)。FUDじゃねーのこれ。
さて、クロージングを待たずに帰ろうかと話していたんだけど、DEF CON内イベントとして薄暗い部屋に初日からずーっとこもって戦っていたCTFの人たちの表彰だけでも見ていこうということで、クロージングにも参加することに。CTFは地味だけどやはりDEF CONの華で、クロージングでも登場は最後の最後だった。予選を勝ち抜いて日本から参加していた我らがヒーローsutegoma2は、試合経過を見ている限り6位だったと思われるので表彰はされなかったけど、それでもこれまでの最高順位ですごい成績。本当にお疲れ様でした。
そんなこんなでDEF CONも終了。楽しかった。英語ができればもっと楽しかったと思うけどまぁいいや!(ぉぃ)
ホテルに戻って土産を買い、最後の夜はここで食べようと話をしていたレストランに入って、「2ポンドある」というサーモンの料理を3人で分けあいながら「これなら食べられるね」とか言っていたら、副菜のつもりで頼んだ「ほうれん草のサラダ」が実は「ラーメンどんぶりサイズのボウルになみなみと盛られたほうれん草のソテー」だったときの衝撃といったら。アメリカは油断がならねぇ国だよまったく。なお写真はありません。ショックで撮り忘れたか。
2013-08-05(月) [長年日記]
■ Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(7)
続き。あいかわらずこの日記は10日ビハインドで進んでおります。
アメリカ最終日。あとはもう、飛行機に乗るだけである。この、ウォシュレットもないようなトイレ後進国ともやっとおさらばだぜー!! と考えたら寝付けなくなってしまい……いや寝付けなかったのは本当だけどトイレ関係ない……まぁいまから日本時間に合わせて活動しておけば時差ボケにも対応しやすいか。
というわけでほとんど寝ないで朝を迎える。6時すぎに自宅にハングアウトしたあと「TVからチェックアウトできるよ」という案内を信じて操作するもダメだったので、少し早めに出て対面チェックアウト。空港へのシャトルバスが向かいのフラミンゴホテルから出ていると聞いたので、Caesarsから道を渡ろうとするも、なんと歩道橋が閉鎖中。警備していた警官に道を聞いたらこれが嘘っぱちで(まさか警官が嘘の道を教えるというのが信じられない日本人)、ぐるぐる回ってようやく到達。この一週間で一番汗かいた。
朝食抜きだったので空港で「Rubyistならここでしょう」ということでRUBY'S DINERに入って(ただし同僚はPythonista)、フレンチトーストを頼む。思いのほか甘くなくておいしかった。
行きと違って帰りはLA経由だが、ターミナル間の移動でいったん外に出てシャトルバスを捕まえなきゃいけないわ、そもそも国際線のターミナルに人名がついててしかもそれが四文字に短縮表記されたりする不親切さで、いっしょになった上野(宣)さんらとウロウロ。なんとかたどりついたANAの搭乗口付近には土産を買う店もないという。とほほ。サンフランシスコの方が何倍も楽だなぁ。
帰国便はとうぜん日付変更線を越えるので到着は翌日(8/6)だけど、このまま続けよう。けっきょく機内でも寝ることはなく、本1冊、映画2本を見て無事到着。成田でリムジンバスに乗るために外に出ただけで蒸し暑さに死んだ。たぶんしばらくはアメリカのカラッとした気候を懐かしく思うことだろう。
20時ごろ帰宅して、休むまもなくグスタフの散歩。そういえば帰還兵を迎える感動的な犬の動画が話題になって、その後猫版のパロディも作られたけど、うちの猫たちは中間くらい。犬ほどの大歓迎ではないけど普段の倍くらい歓迎してくれたよ。
2013-08-06(火) [長年日記]
■ Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか(Brian W. Fitzpatrick)
だいぶ前にオライリーから献本していただいたのだが、紙だったのでどうしようかなーと思っていたらすぐに電子版が出るという噂を聞き、待っていたらアメリカ出張中に送ってくれたのだった。おかげで帰りの飛行機で読めました*1。電子書籍バンザーイ。
とはいうものの、実は本書に対しては(悪い)先入観がある。事前にartonさんの評を読んでざわっときたのだ。本書を開いたら冒頭に「ミッションステートメント」が出てきてそれは疑惑に変わり、さらに文中に「信頼残高」の用語が出てきて確信した。この本の著者、フランクリン・プランナーやってるだろ! 文献の中に「7つの習慣」が出てこないのが不思議なくらいだよ。
10年も前の話だが、会社でフランクリン・プランナーのセミナーを受けさせられて、あの考え方に心底ムカついた記憶は10年たっても薄らいでいない。この本が同じロジックで書かれていたらたぶん最後まで読めないと思う。
いや、これを書いてるってことは最後まで読めたんだけど(笑)。
当時のセミナー講師がよほど下手くそだったのか、それとも本書の語り口がうまいのかはわからないが*2、本書がプロジェクトの成功のためにとるべき合理的な行動指針というスタンスを貫いているからなんとかなっているのではないかな。Googleに勤務している向井さんの評にも同じようなことが書いてある。内面はどうでもよい、表面的にこうすればうまくいく、という話だ。
そう考えれば、まぁおれだってもう20年以上もフリーソフトウェアに関わっていて、だいたいここに書いてあるようなプロジェクト運営をしてきてるしな。そういう意味では知らないこと、目新しいことはほとんど書かれていなかったと言っても良い。電子メールの向こうにいる人には表面的にでも謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)をもって接しないとあんまりうまくいかない。それは自分の経験則に照らしてもagreeだ。
ちょこちょこ著者たちの「内面」がのぞいてしまい、HRTの三本柱が崩れたりするあたりもそれを裏付けるようにも思える。LinuxカーネルチームがHRTに欠けていると名指しで批判しちゃったりしてね。あれはあれでうまくいってんだから、それこそもっと「謙虚」になるべきじゃないかね、とおれは思うが。
というわけで、プロジェクト成功のため、とドライに割りきって読むならアリ。しかし、永続的な人間関係にまで本書のやり方を持ち込もうとすべきではない、とおれは思う。フランクリン・プランナーは人生のダークサイドだ。
↓Amazonの紙版は品切れ中だがオライリーから直接買える。もちろん電子版はDRMフリー。
■ 帰りの機内で観た映画2本
アメリカからの帰りは寝ないで映画を見ていた。以下の2本。
オブリビオン (サントラ・ショートエディションCD・eCOPY付き)(初回生産限定) [Blu-ray]
ジェネオン・ユニバーサル
¥2,180
ぜんぜん期待しないで観たら、意外とまともなSFプロットだった。映像美でごまかされてる部分もあると思うけど、けっこう面白かった。オチは、SFに不慣れな人には拒否反応あるかもなー。SF者としては十分ありだけど。
図書館戦争 ブルーレイ スタンダード・エディション [Blu-ray]
角川書店
¥3,700
こっちも期待してなかったけど、原作厨にもわりと安心して観られる出来だった。さすがに銃撃戦は映像化すると迫力が出る。でも郁と堂上の身長差はもっと大きいんじゃないかね。
2013-08-11(日) [長年日記]
■ 「ワールド・ハピネス2013」に行ってきた
(これを書き終えれば日記の遅延が解消されるはず!)
ここのところ毎年、かみさんが野外フェスの「ワールド・ハピネス」に行っていて、楽しかった楽しかったと言っているので今年は一緒に行ってみることにしたのだが、とにかく今年は異常な猛暑。8月の中旬に屋外で、しかも夢の島陸上競技場つったら日陰ゼロだよ。出演者の顔ぶれをみれば誰もが「お願いだからもう真夏の野外フェスなんかに出ないでください!」と頼みたくなるほどの高齢者ばっかりで、とうぜん客の年齢層も高いわけだからもう死人が出てもおかしくない。実際、開演前の待ち時間ですでに「もうダメかも……」と思ったくらいだ。
もっとも人間不思議なもので、演奏が始まると意識がそっちに向くもんだから、暑さはそんなに気にならなくなるのだが*1。
個人的に白眉だったのは清水ミチコ→矢野顕子の流れ。ふたりともピアノだけあればいいというステージセッティング上の都合で出演順が並んだのだろうが、この並びで何も起きないわけがない。清水ミチコがひとりで10人分くらいのステージをこなしたあと(わかるよね?)、ステージにはしずしずと追加の電子ピアノが持ち込まれて、登場した矢野顕子とセッション! しかも曲は「丘を越えて」*2。いやー、これは嬉しかったね。
初めて聴いた中では、トクマルシューゴがリズムが面白くてちょっと気に入った。楽器の数が多くてバンドの人がすげー忙しそうだったけど(笑)。Amazon MP3に入っているからなんか買ってみようかな。
で、ラストの「The おそ松くんズ」は出演者が入れ替わりつつの混成バンドなんだけど、事前の噂にあった「スネークマンショー復活」が実現して、MCに小林克也と伊武雅刀、しかも(出演予定になかった)細野さんと教授が加わるという贅沢な演奏で、年寄りは大喜びですよ。YMOの演奏は去年のワーハピが最高だったと言われているけど、今年の顔ぶれも金輪際実現しそうにないという点では貴重なものだったのでは。
けっきょく水分を3リットルくらい飲んで、トイレには一回しか行かなかったというハードなイベントだった。お願いですから次からは屋内でやるか、時期を秋ごろにしてくださいよ、ほんとうにもう。
関係ないけど、配られた首掛け式のパンフレット(?)に工夫が凝らされていてとてもよかった。ITカンファレンスでも応用できそう。紙製、数cm角の小さなもので首からかけられるのだけど:
パカっと開くとシンプルなタイムテーブルが確認できる:
で、それを横にさらに広げると、アーティスト紹介と、裏面には各種インフォメーション(会場案内、グッズ紹介、注意事項と交通機関の時刻表):
これはべんりで良い良い。同じ情報はスマホでも確認できるけど、屋外だから液晶が見えにくく、こういう場面では紙に軍配があがるのだな。
2013-08-14(水) [長年日記]
■ グスタフ、(そろそろ)満4歳
(拾われた日から逆算して)だいたい今日あたりがグスタフの誕生日。満4歳。夏の体重は7.4kgで変わらず、その他も去年とほぼ変わりなく、しごく健康に過ごしております。
そうそう、おれがアメリカから帰ってきてからだと思うのだけど、夜中にとつぜんベッドにあがってきて、おれの懐のあたりで寄り添って寝ることが増えたような気がする。しばらくなでてやると満足するのかまた涼しいフローリングに戻っていくという。やっぱりしばらく留守にしていて寂しかったんですかね。正直、冬はいいけど夏にこれをやられると暑いんだが(笑)。
写真はアメリカ出張前、荷物を詰めようと取り出したスーツケースにおさまったところ。機内持ち込みできる最小サイズのスーツケースとはいえ、やはりデカい。
2013-08-15(木) [長年日記]
■ 終戦の日に「艦これ」を遊ぶ
みなさん艦隊これくしょんやってますか。うちの艦隊*1は横須賀鎮守府所属のくせに*2いまだに2-4に手こずってるわ、ソナーも爆雷も出ないおかげでE-1もクリアできないアリサマですよ。というのもアメリカ出張中はぜんぜんできなかったからだけどさ! ちゃんとSurface RTでも艦これが動くの確認しておいたのに、まさかアメリカからプレイできないとは思わなかったよ、DMMのばかー!
それはさておき、やっぱり終戦記念日の今日こそ、艦これを遊ぶべきだと思うわけです。
艦これが盛り上がってきたここ数ヶ月で、先の大戦に関するわれわれの知識はびっくりするほど増えている。主に海軍に関することに偏ってはいるものの、誰に強制されたわけでもなく、単に自分が贔屓にしている艦娘が実際はどんな活躍をしたのだろうかとググってみて、芋づる式にさまざまな情報に触れ、日々驚嘆の声をあげている。ネットの世界にとどまらず、元駆逐艦乗りとの交流に発展というような話は他にもあるだろうし、これがまたネットでまとまったものが読めるのだから、インターネット万々歳だ。
言うまでもなくそういった調べ物の行き着く先は、ほとんどの艦船が撃沈という悲痛な最後を遂げていることを知ることなわけだが、ゲームの中でも手塩にかけて育てた艦娘たちは実際あっけなく沈むわけで*3、その悲しげな最後のセリフとともに訪れる喪失感が現実の歴史に重なって、けっこうマジで「(本物の)戦争なんてやるもんじゃない」という気になる。
だいたい、燃料、鉄鋼、アルミニウムという資源をすべて遠方から運んでこなければならないという(現実を元にした)設定に誰もが苦しめられるものだから、よけいに日本が資源のない国であることを身につまされるわけで*4、太平洋戦争がいかに無茶な戦争だったかわかるというものだ。
そういえばちょっと前に朝日新聞にわざとゲーム機壊して憲法9条を学ばせようというふざけた記事が載ったそうだが、艦これ遊ばせた方がずっといいって。いい感じに現実と虚構の区別がつかなくなってる艦これプレイヤーは、きっと平和についてよく考えるようになると思うよ。
とまぁそんな堅苦しいことを言わんでも、終戦の日に艦娘たちを愛でるというのは、ちょっとシュールで趣きのある行為ではないかと思うわけです。いま新規ユーザ登録できないけどね(←古参面)。それにしてもソナーが出ねぇよ、クソー。
2013-08-18(日) [長年日記]
■ 緑のカーテン2013 (3)
そういえば、アメリカ行ってる間にゴーヤが収穫期に入ってしまって、すでに何度か食卓にのぼっている。ゴーヤはまぁ、見ての通りたいして大きくはないが、ありがたいことにあまり苦くないので、なんとか食べられている。というかわりと旨い。
シカクマメ(四角豆)は断面が四角(の角をつかんで少しひっぱった感じ)なのでこの名前なのだと思うが、輪切りにしてスープなどにして食べている(料理するのはかみさんだけど)。あっさりしていてこっちも美味しい。
「カーテン」の出来に関しては、お察し下さい。来年は土からちゃんと作ろうという話をしております。
2013-08-22(木) [長年日記]
■ DEF CONとはなんだったのだろうなぁ
アメリカから帰って、社内向けに報告書なんかを書きつつ反芻していると、やっぱりDEF CONをいたく気に入っている自分に気づく。もちろん例によって英語はからきしなので、本来の意味でのDEF CONを楽しめたわけではないのだけれど、それでも胸を張って「DEF CONは楽しかった」と言い切れる。でもなんでだろう。自分でもまだあまり言語化できていない。
DEF CONは前回20周年を迎えて、その記念ビデオが作られたのだけど、最近elkentaroさんが日本語字幕をつけてくれたのでそれを観たり:
これは本当にすばらしい映画だ。もちろん字幕もいい仕事。DEF CONの雰囲気をかなりよく伝えている。同じくRichard Thiemeの短いインタビューもとてもすてきだ:
会場ではgoons(DEF CONのスタッフ)はたくさん目についたけど、それ以上に参加者の自発的・自律的(!)な行動による緩やかな「合意」みたいなものがあった気がする。優しい強制力というか。猫が20年生きると妖怪になると言われているように、イベントも20年続くとなにか妙なものになるのかね。そうかも知れない。自分がかかわったイベントで似た雰囲気を持っているのはRubyKaigiだけど、まだ参加者に「お客さん」が多い感じ。RubyKaigiも20年やってればDEF CONみたいになるのかな。でもDEF CONはたぶん第一回からあんな感じだったんじゃないかという変な確信もあるんだよな。
2013-08-24(土) [長年日記]
■ 山中湖へ
今日は野辺山の一般公開とLLまつりとブロガーサミット2013のトリプルブッキングだったんだけど、全部ぶっちぎってかみさんと山中湖に行ってきた。ちょっと避暑に行かないと体がつらい*1。
最初に行ったのは(俳句について調べ物をしたいというかみさんの希望で)文学の森へ。少しアップダウンがあるもののよく整備された照葉樹の森で、散歩にはなかなか気持ちいい場所だった。たぶん紅葉の季節にはもっといい感じになると思うので、秋が深まったらまた来ようと話をしている。山中湖はバイクではしょっちゅう来るけど基本的に通過するだけなので、どんなものがあるのかほとんど知らないんだよな。
ということで、そのまま湖畔に移動して、昼食は小作でほうとうを食べる。山中湖で食事をすること自体が数えるほどしかなかったので、ここもけっこう有名な店だけど初めて入った。12時前だったのにほぼ満員。ほうとうは美味しかったけど、量がかなり多い。直後に紅富士の湯に行ったけど、腹の中でほうとうがどんどん膨張して、しばらく風呂に入れなかったくらい。
……といいつつ、湯上がりには信玄ソフトを食べたりするのだけど。ソフトクリームにきな粉と黒蜜がかかっている時点で美味いのは確定だと思うが、そこに桔梗信玄餅が3つ乗ってるという。いやまぁ美味かったけど、ちょっと食感が違いすぎるのが難点か。
帰る前に少し足を伸ばして浅間神社へ。参道脇には来週からの富士吉田の火祭り用とおぼしき巨大なたいまつが並んでいる。大鳥居が工事中で、巻き添えを食ったこま犬まで隠されてしまっていたが、他は平常営業中だった。富士山が世界遺産になったおかげで、参拝客も増えている感じ。とくに外国人が多かった。
ところで帰りに道の駅で見かけた富士吉田の萌えキャラはかなりいい線いってると思った。CVが(というか萌えキャラにCVって付くのか!)が高森奈津美というのがポイント高いですね*2。
2013-08-25(日) [長年日記]
■ 映画「パシフィック・リム」を(やっと)観てきた!
もう、これを観るべき人はだいたいみんな観ちゃってると思うので、なんか一周遅れな感じだけどようやく観てきた。かみさんが3D苦手なので2D字幕版。
すでにたくさんの人たちが言葉を尽くしてこの作品を褒めているので、これ以上何かを書く必要を感じない。緻密なプロットとか、崇高なテーマとか、熱烈なラブシーンとか、そういう余計なものがいっさいなく、一方で怪獣&ロボット映画に必要なものはすべて妥協なくぶち込んであるという。なんと幸せな映画であろうか。おれがハリウッドに求めているのはこれだよこれ。
強いて不満をあげるとすればこれを作ったのが日本人でないという点だけれども、3.11以降、日本ではしばらくリアルな怪獣映画は作られないのではないかという予測もあって、それはわからなくもないので代わりにデル・トロ監督が作ってくれたのだと思うことにする。
で(ご多分に漏れず)帰宅後は平成ガメラのDVD BOXを引っ張りだして観始める始末。さすがに映像は古びてきているが、これはこれで怪獣映画の金字塔だ。いまはBlu-rayで出てるんですなぁ。
2013-08-28(水) [長年日記]
■ 給湯器が壊れた
昨日のイプシロンロケット一号機は直前になって打ち上げ中止になり、搭載された自慢の人工知能が自主的に停止をしたんじゃないかなんて憶測が出て、なんだか中止になったおかげで逆に夢をかきたてられてしまった(実際はそうじゃなかったようだけど)。もっとも我が家の給湯器(人工知能非搭載)も、昨日の朝、故障を自動的に検知してエラー吐いて止まったので、そういうのは別に人工知能関係ないのかもしんない。
朝晩はだいぶ涼しくなったものの給湯器が止まるとシャワーも浴びられないわけで、この季節にはけっこう厳しい。夕べは近所の日帰り温泉に行って難をしのいだけれど*1、あんまり壊れたままだと困るのでさっそく修理を呼んだら、とりあえず応急修理をしてくれた。
ちゃんと修理するか新品に交換するかで悩むところだけど、この家を建てたのが2004年末なのでまだ10年には数ヶ月足らない。ここはいったん修理して、交換は次回かなぁ。すでに冷蔵庫の製氷機が壊れてしばらくたつし、オーブンレンジも1回修理をしているし、いろんな機械がだんだん壊れ始める時期だよね、築後10年て。
*1 うちの近所には銭湯もスーパー銭湯も日帰り温泉もある。
Before...
◆ いぐ [ゲームのURLを直接入力するとアメリカからでもつながるようですよ。]
◆ ただただし [いや、ゲーム本体への直URLは試したけどダメだったんですよ。ただ、実はIPアドレスではなくタイムゾーンを見ていただけ..]
◆ muneda [それはぜひ試してみたいです>タイムゾーン 直URLは http://defr4gment.blogspot.com/..]
◆ ただただし [それですね >app_id付きURL そうですか、TZ変えてもダメでしたかー。帰国後TZをアメリカ太平洋時間にしたま..]
◆ yoosee [米国からアクセス出来ないのでしばらく耐えてたんですが、各方面でのあまりの記載の多さに観念して日本のサーバにProxy..]
◆ ただただし [やっぱIPアドレスかー。 ちなみに今日も17:00(日本時間)から新規着任(抽選)だよー。]