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ただのにっき


2013-09-04(水) [長年日記]

ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)(ウエスターフェルド,スコット)

3冊まとめて買って一気に読むべきとか書いておきながら、残りをやっと読み終えたのが8ヶ月後とかどうかしてますね。読むべきものが多すぎて、小説がどんどん後回しになってしまう……もう電子積読でKindleがいっぱいなのだが。

とはいえ期待に違わぬ面白さで、時間さえ許せば一気読みしたことだろう。もちろんジュブナイルとしてという意味で、SF的な面白さとはちょっと違うのだけど。第一次世界大戦の「史実」にうまい具合に沿いつつも、機械国家 vs バイオ国家というトンデモ設定を網の目のようにからませていくあたりが実にうまい。テスラみたいな実在の人物を上手に登場させて活躍させてみたり。後半には日本も登場するのだけど、西洋人からみたありがちなエキゾチックさは残しつつもわりと正しい描写で感心した。そういう意味で徹底的にフィクションなくせに妙にリアル。

あとはなんといってもボーイミーツガールがね、いいよね。オーストリア王家の少年アレックと、性別を偽って軍隊に潜り込む少女ディランという、まるでベルサイユのばら並みのハードルの高さ。ボーイミーツガールはこうでなくちゃいけねぇ。男まさりのディランがたまにちらっと見せる少女っぽさがまたいい。

ところでこのシリーズ、原題は「リヴァイアサン」「ベヒモス」「ゴリアテ」というシンプルなもので、「クジラと蒸気機関」とか「ロリスと電磁兵器」という副題は日本でつけられたものだというのはわかっていたのだが、二巻の「クラーケンと潜水艦」というのが明らかに内容と乖離していて「ひどいなー」と思いながら読んでいたのだけど*1、訳者あとがきに「これは編集部がつけたもので(訳者は)反対した」的なことがわざわざ書いてあるばかりか、その後ろにはその編集者の言い訳というか説明(?)的なものまで書いてある始末。よっぽど訳者は編集部の行いに腹を立てているようだが、おれは訳者の肩をもちたい。原書は副題なしでも売れてるんだから、いらんだろ、こんな副題。編集者がこんなクソみたいな副題をつけないと読者に興味をもってもらえないと思ってるんだとしたら、日本の読者もなめられたもんだよ。

ベヒモス―クラーケンと潜水艦 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
スコット ウエスターフェルド
早川書房
¥1,760

ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)
ウエスターフェルド,スコット
早川書房
¥1,870

Tags: book sf

*1 作中に出てくるベヒモスはいわゆる伝説の怪物クラーケンともこの世界にいるクラーケンとも違うもので、しかも二巻にクラーケンは登場しない。


2013-09-05(木) [長年日記]

猫の爪とぎを麻製にした

[写真]またたびの匂いに夢中のグスタフと呆れ顔のドーラ

誰に教えてもらったのか忘れてしまったのだけど*1、猫の爪とぎにはダンボールを束ねたものではなくて麻を使ったものがあって、削りカスがでなくて良いとのことだったので、ダンボールのヤツの在庫がなくなるのを待って我が家でも導入。削りカスを受けるパーツがないのが新鮮。

爪とぎにはたいていまたたびの粉末が付属してくるのだけど、グスタフがこれで異常にラリってしまうので今回は使わないことにしたのだが(夢中になりすぎて爪とぎ自体を破壊してしまうのである)、箱に少し漏れていた分だけでも十分だったらしく、しばらくしがみついて離れなかった。困ったもんだ。ドーラは知らんぷりなのになぁ。

その後はちゃんと爪とぎをしているようなので、少なくともグスタフのお眼鏡にはかなったようだ。麻のやつを好まない猫もいるようなので良かった。ちなみにドーラはあまり爪とぎをしない猫なので好き嫌いはまだわからない。

ペティオ (Petio) 麻つめみがき 猫用
-
ペティオ (Petio)
¥464

Tags: gustav dora

*1 誰だっけ。まりぽさん? ←違ったらしい。じゃあogijunか? 猫関係の情報交換相手はかなり限定されてるはずなんだけど(笑)。


2013-09-06(金) [長年日記]

OpenIDでWebサービスの認証をするのをやめた

[スクリーンショット]myOpenID終了のお知らせ

自分のOpenID URLはこの日記のトップページを使っているんだけど、プロバイダとしてmyOpenIDにリダイレクトしている。そのmyOpenIDから珍しくメールが来ていたので読んでみたら来年2月にサービスを終了するとのお知らせ。ありゃー。まぁ、独立したOpenIDプロバイダには収益性がないもんなぁ。

で、他のサービスに切り替えればいいもんね……と思っていろんなプロバイダを使ってみたが、OpenID URLがリダイレクト先のサービスのものになってしまい、継続してこの日記のURLを引き継げない。これじゃOpenID使ってる意味がないなぁ。OpenIDの仕様が2.0で変わったせい?(←仕様の変化を追いかけてないのでいいかげんな推測)

そもそもOpenIDそのものが風前の灯で、多くのWebサイトで使える認証サービスはTwitter/Facebook/Googleの三大ソーシャルサービスに紐付いたOAuth系ばかりというありさま。もともと「認証」のための仕組みではないOAuthで認証をするのは相変わらずもにょもにょするし、OpenIDの志には共感するところもあったけど、さすがに昨今はOpenIDに頼って生活するのは厳しい感じ。

で、いまOpenIDで認証してるサービスを数えてみたら2つしかなかった:

ATNDの方はあらかじめTwitterアカウントを登録しておけばTwitter OAuthでもログインできるようになるので移行完了。Twitterfeedはこの日記のfeedをTwitterに流すのに使っている古のサービスなんだけど、ときおり不調になることもあるし、OpenID以外のアカウントにうまく乗り換えできなかったのでこのまま利用を止める方向で。feedを流すサービス自体を乗り換えよう(これは別項にて)。

Tags: openid

Zapierを使ってfeedをTwitterに流すようにした

[スクリーンショット]Zapierのウィザード画面

↑のようにOpenIDを使うのをやめる流れでTwitterfeedを使うのもやめたいので、feedをTwitterに流せるサービス、いまどきは何がいいのかいろんな人に聞いてみたんだけど、みんな揃いもそろってIFTTTって答えるのよ。いや、IFTTTが優れたサービスなのは認めるけど「いまどき」じゃねーだろう。もうちょっとエッジなやつ頼むよー、と言ったら対抗馬としてZapierを教えてもらった。ざっくり説明すると「対応サービスが多いIFTTT」である。

この手のサービスはその性格上、要求するパーミッションが多いのであんまり依存したくない気分もあるんだけど、まぁ使ってみようかと思ってアカウントを作成。マニュアルも読まずにRSS→TwiterのZap(Zapier上のレシピみたいなもの)を作ってみたら、あまりにも簡単だったのでちょっと感動してしまった。ページ遷移のないウィザートみたいな感じで、最後は実データを使ったサンプルの表示まで、なかなかいたれりつくせりで好感触。これはいいね、しばらく使ってみよう。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

名無し [> Twitter/Facebook/Googleの三大ソーシャルサービスに紐付いたOAuth系 これも最近ではユ..]


2013-09-07(土) [長年日記]

【ナビスコ】川崎 3-2 浦和@等々力陸上競技場

[写真]試合開始前のピッチとおみやげのナビスコCorn Chips

チームがあんまり好調ではないこともあって、まさかナビスコが準決勝まで残るとは思わなかったんだけど(笑)、そりゃせっかくだから応援しにいきますよ。にしても久しぶりだ。アラン加入後は一度も観に行ってないもんな。

序盤はすごくいい感じで、狭いところにどんどんパスが通るし、ここ1、2年ぜんぜん見られなかった逆サイドへの切り替えもけっこうされるようになっていて、チーム状態が上向きなのがよくわかる。まぁ、そうでなければ大久保が得点ランキング首位になったりしないよなぁ。

もっとも前半途中からはだんだん崩れだして、浦和に攻め入られるシーンが増えてくる。浦和はやる気がないんだか体力温存作戦なんだか、序盤から低い位置で延々とボール回しをしていたりして面白くないサッカーをしていたんだけど、けっきょく川崎のミスを突いて2点先取。アウェイゴールを2点も献上しちゃダメじゃん……。

と、観ている方もだいぶ気落ちしていたところ、後半も後半になってレナト・大久保・大久保と立て続けに得点、逆転で勝ってしまった。うおー、すげーじゃん!! これでアウェイで引き分け以上ならだいたい決勝進出できるのかな? これは楽しみになってきましたね。

Tags: frontale

グスタフ、飼い猫になってから4年が経つ

[写真]甘えつつ寝るグスタフ 4年前の今日、庭でグスタフを拾った。読み返してみると、自分の慌てっぷりがわかって面白いな。普段は冷静沈着なのがとりえだけど、さすがにこれだけ予想外のことが起きると慌てる。

猛暑が厳しい今年の夏も朝晩はやっと少し涼しくなって、ベッドでごろごろしていると猫たちもいっしょにベッドに上がってきたりする。で、グスタフはここぞとばかりに甘えるので、こんな感じになる。写真には写ってないけど両腕でおれの右腕を抱えて、肘のあたりに頭をすりつけている。仰向けの下半身はびろーんと伸びきってリラックス。それにしても自由すぎるんじゃねーの。

Tags: gustav
本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

エチオピア効果 [「とーちゃん大好き!」って言ってそう]

shun [まだ4年かー。ずいぶん前のことのような気がするけどなー。 とりあえず、最近ネコネタ少ないです。もっと増やしてね。( ̄..]

ただただし [がんばります(^^; でも、猫って大人になるとあんまり変なことしてくれなくなるんですよねー]


2013-09-08(日) [長年日記]

マージナル・オペレーション 01 (星海社FICTIONS)(芝村 裕吏)

星海社の最前線に載っていたのを見かけて面白そうだとKindleに放り込んでおいたら(そして積読の山に埋もれる)、アフタヌーンでコミック版連載が始まってしまい、慌てて取り出して読んだ。原作の方はもう4巻まで出ている(のでそれなりに人気はあるんだろう)。

ラノベっぽい体裁だけどラノベじゃないのかな、主人公30歳だしな。原作では単に肌の荒れた売春婦と描写される女性が、コミックでは美人でおっぱいが大きくてときどき服を脱ぐようになっていて感心したり。

プロットはあれだ、『エンダーのゲーム』そのまんまで、舞台が未来の宇宙戦争から現代の地域紛争に、主人公が天才少年から元ニートになった感じ。とはいえ、現代の戦争はすでに遠隔地からドローンを使って攻撃するようになっているので、フィクションだけど設定自体はかなりリアルな問題意識に基づいているといえる。

で、面白かったかと問われればまぁ面白かった。一気読み。文章下手だなーとは思ったが、主人公の手記という体裁なのでまぁ良い。平和な日本では発揮されなかった主人公の才能が戦場で花開くというのはなかなか痛快だ。もっとも、戦術の訓練しか受けていない主人公が、終盤になってとつぜん戦略的なことをしゃべり始めるのは、2巻以降の展開がミエミエでちょっと白けた。

続きを読みたいかと問われると……うーん。たぶん続編はもっと荒唐無稽な展開になるだろうし、ついていけない気がするね。少年兵を戦わせ続ける「大義」をどうでっち上げるのかには興味があるけど。まぁどっちにしろ、1巻だけ電子媒体で配っておいて、2巻以降は紙で買ってねというスタイルのシリーズは買わないのだが。

マージナル・オペレーション 01 (星海社FICTIONS)
芝村 裕吏
星海社
¥1,320

9784061388390

9784061388543

9784061388635

2020年のオリンピックが東京に決まる

未来の自分が読み返したときにたまには時事ネタでも入っていたほうがいいんじゃないかと思うので。東京招致にはあんまり賛成していなかったけど、せっかく決まったんだからしっかりやりましょう、という感じだ。「おもてなし力」に関しては世界に誇れる我が国なので、きっと楽しいオリンピックになるでしょう。ただし、長野の開会式の再来だけは勘弁な。

で、今から7年後というと遠い未来のような気がするけど、じゃあ7年前はどうだったのよと日記を読み返してみると(長く日記を書き続けているとこういう「お楽しみ」ができる):

  • まだApple製品を使っている (過去にもどって「やめとけ」と伝えたい!)
  • まだQuakeで遊んでいる
  • GTDを始めた
  • パラボラアンテナをよく見に行っている

といった感じで、継続半分という感じだった。7年なんてすぐだな。


2013-09-11(水) [長年日記]

富田倫生が残した「本の自由」

仕事でアクセシビリティとの関係はなくなってからもアクセシビリティキャンプ東京のスタッフを続けていたりしているのだけど、同様にAccSellのポッドキャストも毎回聴いてたりする。先日公開された第27回後編:「おかんはDropboxとかEvernoteとか分からない」が面白くてですね、これが。

梅本暖さんをゲストに迎えて、青空文庫にある文章を読み上げる「音声文庫」というアプリの開発秘話をインタビューするという趣旨なんだけど、梅本さんの「聞きたい欲」がちょっとおかしいレベルなわけ。なにせ、自炊した本をわざわざ自分で買ったOCRにかけてからMP3に変換してまで音声化していたという。そこから(自炊する必要のない)青空文庫にたどりついてアプリ開発に至るまでに、その道程になるような音声関係のアプリがいくつもあって、どれもいわゆるアクセシビリティについてはぜんぜん意識せずにやっていたと。

で、そういう面白話はもちろんだけど、こういうアプリがスムーズに作れる「自由」があったということ、それこそが青空文庫の最大の価値なんだよなぁと思ったのだった。

8月11日に富田倫生さんが亡くなったという報を聞いて、最初に思ったのが「TPP交渉で著作権が70年まで伸びたら青空文庫はおしまいというこの時期になんで!」ということだったのだけど、富田さんはもう十分に大きな仕事をされたのだから、あとは残ったわれわれが引き継がないといけないのだよなぁ。とりあえずは寄付かなと思ったものの、なんかすっきりしなくてまだしてない。

というのもまぁ、この活動を仕切ってるっぽいのがボイジャーだからなのだけど。上で述べたように、青空文庫の価値はその「自由」さにある。そりゃパブリック・ドメインなんだから当然だけど、公開されているデータが自由に加工が可能なテキストだからこそ音声データに変換できたし、その他さまざまな研究の素材にもできる。紙に印刷されていた頃の本にはできなかったことができる。「本の未来」って、こういうことだと思う。

そう考えると、ボイジャーがやってるBinBってのはまったく自由じゃない(5つの自由があるなんて書いてるけど、こんなの自由でもなんでもない)。好きなフォントで読むこともできない、コピペすら満足にできないような「自由でない本」を扱う電子書店が、青空文庫や本の未来を扱う? そりゃないだろうセニョール。

富田倫生追悼イベントを富田倫生とゆかりの深いボイジャーが仕切るのはなんの不満もないけど、本の未来までは語って欲しくないんだな、おれは。青空文庫の収入は毎年下降してるっぽいので、それが増えるに越したことはないんだよねぇ。まずはこの基金がへんな色を付けずに運用されるかどうかを見守るのかなぁ。なんとも消極的態度だけど。

Tags: ebook

2013-09-14(土) [長年日記]

イプシロンロケット打ち上げ成功

[スクリーンショット]ニコ生の様子

0.07秒のずれのおかげでいったん中止になっていたイプシロンロケットの試験機打ち上げ、今日が再チャレンジだというのでTwitterの宇宙クラスタが朝から騒がしい。こっちもニコ生公式の中継を開いてスタンバイ。土曜日にやってくれるとは、最近のJAXAは本当にサービス精神が旺盛で良い良い。

で、肝心の打ち上げの瞬間はちょっと出かけていて見逃してしまったのだけど(おい)、順調に飛行してほぼ予定通りの軌道で衛星を分離、無事に成功となった。新型のロケットを事実上一発で成功させるんだからたいしたものだよなぁ。めでたい!

それにしても、じわーっと上がる液体ロケットに比べて、固体ロケットは速くていいね。ニコ生のカメラも追尾できてなかったしな(これは想定通りだけど[笑])。マニアな人たちがやってた別の生中継ではちゃんとフレームに収めていたようで、さすがである。「お家芸」という意味だけでなく、ロケットの推進方法にバリエーションが残せたという意味でもすばらしい。多様性は善。

Tags: space rocket

2013-09-15(日) [長年日記]

HTTPでHashやArrayを送る手法に仕様は存在しない……の?

jQueryでこんなふうに書くと:

$.post('/', {
   hash: { foo: 'hoge', bar: 'fuga'},
   array: ['baz', 'piyo']
});

サーバ側でこんなふうに受け取れて(これはSinatra):

post '/' do
   params.each do |key, val|
      puts "#{key}: #{val} as #{val.class}"
   end
end

ちゃんとHashやArrayとしてアクセスできる:

hash: {"foo"=>"hoge", "bar"=>"fuga"} as Hash
array: ["baz", "piyo"] as Array

ああこりゃ便利だね、で済ましてもいいんだけど、HTTP POSTの中身なんてただのバイト列なんだから型の情報なんて入ってるわけがない。その仕掛けはブラウザの開発者ツールあたりでどんなふうにエンコードされているのか覗いてみればすぐにわかって、上記のコードだとこんな感じになっているんだとわかる:

hash[foo]=hoge&hash[bar]=fuga&array[]=baz&array[]=piyo

最近プリミティブな(フレームワークを使っていない)PHPのコードを読む機会が多いんだけど、PHPerはこのテクをナチュラルに使っているようなのでPHP由来のプロトコルなのかなーと思うんだけど、さっきのコードはjQueryとSinatraだ。もちろんRailsでも使える。言語間をまたがって使える以上、なんらかの共通仕様があるのだろうと考えて調べてみたり、TwitterやFacebookで聞いてみたけど「これ!」っていうのがないような。

少なくともRFCにはなってないようだ。キーと値を「=」でつないで、それらを「&」や「;」で並べる形式もURIの仕様にあるだけでその他の場面で使うのもわりと慣習っぽい? 「だいたいこんな感じ」で実装されてんのかなー。ご存知のかた、「これを押さえておけばOK」みたいな文書があれば教えていただきたく m(__)m

Tags: web http

2013-09-16(月) [長年日記]

伊豆天城の「あせび野」に泊まってきた(1)

[写真]あせび野

ちょっと遅い夏休みをとって、伊豆天城にあるあせび野という宿に泊まってきた*1。部屋風呂源泉かけ流しといういまどきのスタンダードなのはもちろんながら、しっかりしたモダンな建物で清潔感があり、いい宿だった。複数ある温泉がどこもいい感じのぬる湯で、いくらでも浸かっていられるのもいい。

[写真]猫越川

離れにある貸し切り風呂は、そばを流れる猫越川(ねっこがわ。いい名前!)の川面近くまで階段を下ったところにあって、今日の昼まで猛威をふるって京都を水没させた台風の影響で濁流になっていて、ちょっとしたアトラクション的な? 上の写真は翌日に撮ったので濁りはなくなっていたけど。

[写真]黒毛和牛ヒレ肉

食事は部屋ではないので当初は残念に思っていたのだけど、ありがちな「食堂」ではなく完全個室ですぐそばの厨房から熱い料理が運ばれてくるので、これはむしろ部屋食よりもいいかも。料理もどれも美味しかった。

[写真]部屋に付属のタブレット端末

面白い趣向として、各部屋にタブレット端末が装備してあって、専用アプリで貸切風呂の予約や土産の申し込み、館内見取り図の確認などができて便利。……なんだけど、肝心のアプリのレスポンスが非常に悪くてUXとして上等とは言いがたいのが残念なところ。あんな紙芝居程度のアプリであの程度のレスポンスしか出せないのは開発会社に問題があると思うので、作りなおさせたほうがいいと思うね。あと、タブレット端末がつながっている館内WiFiはパスワードがかかってないので客も自由に使えるけど、その案内がどこにもなかったのも残念ポイントか。

Tags: travel

*1 と、ここでWebサイトにリンクしたいところだが今どきフルFlashでどうしようもないのでリンクしない。ググってください(笑)。


2013-09-17(火) [長年日記]

伊豆天城の「あせび野」に泊まってきた(2)

[写真]ロビー風景

続き

温泉旅館で朝、洋食が出るというのはかなり珍しいと思うけど、あせび野では(バイキングでない)コンチネンタル風の朝食が選べた。子供のころから朝はパン食で、ご飯だと一日調子が出ないのでこれは嬉しい。もっとこういう宿が増えるといいのに。

10:30まで風呂に入ったりしてチェックアウト。総じていい宿でしたな。タブレット端末のアプリだけは×だったけど。Androidの方がいいんじゃないですかね。

[写真]小土肥の海水浴場

帰りは西伊豆に出て、小土肥温泉の海岸を散歩したりしたのち、沼津漁港で寿司を食べて帰宅。平日の移動は渋滞が少なくていいよなー。とくに台風の翌日ということもあって、行きも帰りも快適だった。

Tags: travel

2013-09-18(水) [長年日記]

HTTPリクエストの圧縮をサポートする

HTTPクライアントから大きなデータをPOSTするときに圧縮可能ならそうして欲しい場合があって(もちろんブラウザはそんなことしてくれないので専用クライアントを使う前提)、サーバアプリは圧縮・未圧縮の状況にかかわりなく書きたいので、その部分だけRackミドルウェアにしてみた。ちなみにリクエストではなくてレスポンスなら普通の話なので何も考えずにRack::Deflaterを使えば良い。

最初、Rackでリクエストのbodyを操作する方法がわからなくてTwitterでつぶやいたら@moroが教えてくれたので解決。いつもいつも助かります(^^;

こんな感じで使える:

require 'rack/request_decompressor'
use Rack::RequestDecompressor

クライアントはContent-Encodingヘッダを追加してPOSTすればよろしい。

Tags: rack http
本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

hsbt [これは便利そう]

ただただし [「大きなデータ」と言いつつ全部オンメモリで処理してるあたりがまだアレだけど。]

ただただし [gem化した: https://github.com/tdtds/rack-request_decompressor]


2013-09-23(月) [長年日記]

富士山一周(ひさびさ)

冬は寒いといって乗らず、春は花粉が飛んでるといって乗らず、夏は暑いといって……って、今年の夏は本当に暑かったので、バイクになんて乗ったら命が危ない。というわけで、ようやく涼しくなったのでバイク復活。ここから2ヶ月がベストシーズン。毎日のように風景が変化する、バイク乗りにとって楽しい季節なので、できれば毎週乗りたいところ。

というわけで今日は肩慣らしでいつもの富士山一周コース(五合目往復あり)。夜のうちに雨が降ったのか、少ししっとりしているけれど富士山の南側は晴れ。Tシャツの上に直接ウェアをはおってちょうどいいくらいの気温。さすがに五合目は寒かったけど。

北側に回ったら雲が厚くなって、河口湖の手前で霧雨に。でも少し休んだらすぐにあがった。というか、あんまり楽しいものだから写真も撮らずに3時間ぶっ通しで走ってしまったよ。わはは。

Tags: r1200gs

2013-09-24(火) [長年日記]

Googleの検索が(とうとう)すべてHTTPSになってしまった

[スクリーンショット]シークレット・ウィンドウでもSERPがHTTPSに

アクセス解析屋さんの間で話題になっていたが、とうとうGoogleが検索結果ページをすべてHTTPSにしてしまった(参考: Post-PRISM, Google Confirms Quietly Moving To Make All Searches Secure, Except For Ad Clicks)。実際上のように、Chromeのシークレット・ウィンドウで検索しても確実にHTTPSなページに飛ばされるので確かなようだ。Google Analyticsのキーワードも23日以降、すとーんとゼロに。

この日記のリンク元表示も、Googleのトップページからのもの(つまり検索キーワードの含まれないもの)ばかりになってしまった。tDiaryのリンク元表示が持っていた「お楽しみ」がだいぶ減っちゃったね。もちろんYahoo!をはじめ、他の検索エンジンからの流入があるので何もないってことにはならないけど*1

これがユーザにプライバシー向上など一定のメリットをもたらすのは間違いない。先のリンク先ではPRISM対抗という指摘もあるけどまぁ、GoogleにはログがあってNSAにはそれを合法的に入手するルートが残るのであんまり意味ないと思うが。

一方で、アクセス解析から訪問者のニーズを探るソースが(それもかなり重要なソースが)大幅に減少してしまうわけで、これはサイト運営者と訪問者双方にとっての不幸でもある。もっとも古典的な検索キーワードの活用法として、特定キーワードによる訪問者の離脱率からサイトの改善につなげるなんて手法が使えなくなるわけで、これがきっかけでひとりよがりなWebサイトが増えたりしないといいなぁ。まぁ、今後はサイト内検索の解析やA/Bテストなんかでカバーされていくのかも知れないけど、安価で直接的な情報源が失われるのは寂しいね。

*1 いずれ他の検索エンジンも追従する気がするけど。


2013-09-26(木) [長年日記]

9784756117076

25日の追悼イベントには参加できなかったが(さすがに平日の真昼間ではね。タイムシフトで観られるようなので時間があれば観てみたい)、代わりといっては何だが『本の未来』を読んだ。1997年の本で、リンク先は紙の本(Amazon)だがすでに入手できない。が、(もちろん)青空文庫に入っているし、BinB Storeでは無償でEPUB版のダウンロードができる。ちなみに以下の3種類で読み比べてみたんだが:

  • 青空文庫版を青空キンドルを使ってPDFに変換してKindleで読む
  • EPUB版をcalibreを使ってmobiに変換してKindleで読む
  • BinB版をWindowsのブラウザ(Chrome)で読む

上から順に読みやすかった。一番古参のフォーマットが一番高品質という現実よ……。言うまでもなくEPUB版はかなりのハンデ戦。BinBはWebフォントをONにしててもなお文字品質が悪すぎて読むに耐えなかったが、Androidタブレットではそこそこの品質なのでWindows固有の問題か*1。なんにせよPDFがどんな環境でも一定レベル以上の品質なのは歴史の積み重ねなんだろうな。もう電子書籍のフォーマットはPDFだけでいいんじゃないの……なんてことを思ってしまうのは、本書の内容にも関わってくる。

その内容はというと、富田倫生が1992年ごろに初めてエキスパンドブックで電子本に触れてから数年間、厳しい闘病生活のなかで、開けていく本の未来に思いを馳せるというもの。当時の熱っぽさが伝わってきて、たいへん面白かった。とくに驚くべきなのは今から20年以上前、最初にエキスパンドブックに触れてほとんど間をおかずに、電子化された本の持つ可能性についてきちんと指摘してあることだ。いわく:

コンピューターでは、おさめられた情報を操作して、別の形式で再生できる。(中略)電子本は声で読み上げたり、点字に変換したりできるようになるだろう。

翻訳も、一種のデータ変換かもしれない。英語の電子本を翻訳ソフトと組み合わせ、日本語で読むようなこともできるかもしれない。

コンピューターにとっては、長い文章の中から指定した言葉を探してくる検索はお手の物だ。この機能を付けておけば、それだけで電子本には完璧な索引が付いたのと同じことになる。

コンピューターでは、昔から通信回線を通してデータがやり取りされてきた。(中略)印刷本を送ろうとすれば国内で数日、外国なら数週間かかるものが、電子本ならどこでもあっと言う間に届く。

最後の指摘は電子本の功績というよりはネットワークの発達という外部環境の変化によるものだが、他の点はデータ変換しかり、検索しかり、基本的に「データを自由にいじれる」という前提がある*2

で、いま現在「データを自由にいじれる電子本」がどれほどあるかというと、青空文庫やごく一部の出版社による書籍を除いては「ない」。なんとまぁ、富田倫生が「本が電子化されればこんなことやあんなことができる」と膨らませた夢が、驚いたことに20年以上たってもほとんど実現していないのである。ひどい話ですねぇ。その間に出版界がやってきたのは、データを入れる新しい(不自由な)器を次々と発明しては古い器を捨てることだけだ。これを怠慢と言わずなんと言えばいいのだろう。

そんなわけで読み終えてから、本の未来への夢というよりは、むしろ絶望を味わってしまった。電子書籍元年なんてまだ来てないよなぁ。

Tags: book ebook

*1 ボイジャーがこれで良しとしてるとしたら問題だと思うが。

*2 多くのリーダーには検索機能がついているが、正規表現による複雑な検索や多数の本を串刺しにして一気に検索するようなことはできない。


2013-09-28(土) [長年日記]

相模原公園にピクニック

[写真]相模原公園 この週末は「思わず出かけたくなるくらいいい天気」と天気予報で言っていたそうなので、午後からかみさんを誘って相模原公園へ(近所)。実際たいへんいい天気で、日なたはそこそこ暑いものの木陰は涼しく、ああ、秋っていい季節だよなぁとしみじみ思う。一年中秋ならいいんだけどなー。

相模原公園は隣接するゴミ焼却場の余熱で温室が運営されていて(スポンサード by サカタのタネ、でも有料)、その中は熱帯なのであった(←秋はどうした)。

[写真]温室の中の熱帯植物(1)

[写真]温室の中の熱帯植物(2)

[写真]温室の中の熱帯植物(3)

[写真]温室の中の熱帯植物(4)


2013-09-29(日) [長年日記]

この日記からGoogle AdSenseを取り除いた

長らくこの日記の本文直下に置いてあったGoogle AdSenseの広告エリアを削除した。といってもここ1年くらいは表示されてなかったはずなので、見た目的には何も変わらないが。

約1年前、Google AdSense(のボット)から http://sho.tdiary.net/20050915.html#p04 に違反があるからGoogle AdSenseを停止した、72時間位内に云々という例の警告メールを受け取った。ちなみに理由も書いてあって(最近はちゃんと該当するURLと理由を教えてくれるんだね!):

クリックの誘導: お客様が Google 広告をクリックするようユーザーを誘導したり、広告ユニットを過度にアピールすることは許可しておりません。たとえば、サイトに表示されている Google 広告について「広告をクリック」、「スポンサーをサポート」、「おすすめサイトにアクセス」などのフレーズや表現を記載することはできません。

ふむふむ。ちなみにくだんのページを読めばわかるが、書いてあるのはtDiary.Netユーザに対しての「そういう誘導をしないでください」という注意書きであって、Googleの指摘のむしろ逆である。Googleめ、ついに上島竜兵メソッドまで実装したか……なんてことはなくてただの誤判定でしょうと軽く考えて「違いますよー」的な返信をしたのがちょうど1年前の昨日。

すぐに「広告再配信をご希望とのことで承りました。ポリシーに関するスペシャリストが間もなく審査いたします」という自動返信メールが来たあと、そのままなしのつぶてで1年放置された。いや知ってたけどね、AdSenseの対応が最悪なのは。

まぁ、もともとドメイン名の維持費用くらい出ればいっか、くらいの気持ちでやってたものだし、実際それくらいしか上がりがない*1瑣末なサイトなので、いちいち人間様がサポートとかしてられないのでしょう。わかります。

というわけで1年待ったのでAdSenseとは決別した。代わりに何か貼ってもいいけど、いまだと何がいいのかねぇ。

Tags: google

*1 ので他のtDiary.Netサーバ管理人の皆さんには何も還元できなくて申し訳ないのだけど。


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