2011-12-23(金) [長年日記]
■ ケーキを買いにいったら代わりに青キップをもらった
クリスマスのケーキを予約しに、東林間のケーキ屋に車で行ったら、あまり走り慣れていない道だったこともあってうっかり一方通行を逆走してしまい、ちょうどいいところに通りかかった白カブに見つかってしまったのであった。あーあ、なんてすばらしいクリスマスプレゼント!
前回違反したのが2008年の6月なので、だいたい3年に1回くらい捕まってる気がするな。ゴールド免許復活の日は遠いなぁ。
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小松左京の追悼読書のために古い文庫本を漁っていると、同時代に読んだ他の作家の作品が芋づる式に見つかってしまい、最近のおれのKindleの中身はいったいいつの時代だよという状態。でも、個人的にこれは半村良の最高傑作だと思っているので、読み返せて良かった。デビュー2作目の長編を最高とか、失礼千万かも知れないが、故人なので気にしないでください(^^;
日本には「神の末裔」を名乗る〈ヒ〉という特殊な能力を持つ謎の一族があって……という設定なのだけど、これがいわゆる「架空戦記」にならないのは表面的には我々の知っている歴史と何ひとつ違いがないからだ。重要な歴史的イベントの裏では必ず〈ヒ〉が暗躍し、本能寺の変のようなよく知られている歴史的人物の謎の行動が、〈ヒ〉の存在を仮定するとすべて説明がつくようになっている。地図や歴史にカッターナイフで小さな小さな裂け目をいれて、そこに架空の存在をそっと埋め込むという、半村良の創作スタイルがいかんなく発揮されている。
おまけに古くは織田信長の全国統一から、幕末(新選組と坂本竜馬)、終戦直後やアポロ月面着陸まで、400年以上におよぶパースペクティブ。ジャンル的には伝奇小説ながら、スタイル的には歴史小説をみごとに踏襲しつつ、ガジェットや用語にはさりげなくSF風味が混じっていて、その技巧やバランス感覚たるや、当時の日本SFの中でもかなり異彩を放っていた。
今にして読み返すと、あの大長編「妖星伝」のテーマがすでに登場していて、そうか、これがひな形だったのかとよくわかる。もっとも「妖星伝」はさすがに長すぎるので、数百年間の物語をこの密度で駆け抜ける本作品は、やっぱりずば抜けて傑作だ。歴史小説だからというのもあるが、いま読んでもぜんぜん古びてないところがすごい。
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余談。
- 前半に登場する天海(大僧正)を、脳が勝手に「あまみ」と読んでしまってたいそう困った。CVまで中村先生になったらちょっとヤバいところだった。
- 人々の祈りが白銀の矢になって産霊山に集まる様子が、ソーシャルゲームにはまった人たちの「課金」がモバゲーに吸い込まれていく様子に重なってしまうのは、周囲で某ソシャゲにはまっている人が急増中だからだろう。
2011-12-21(水) [長年日記]
■ マウスピースを作り直した
なんかこう、もしおれにストーカーがいたら歯形が手に取るようにわかって泣いて喜んだりするんですかね、この写真。つかグロいので普段より小さい写真にした。
3年以上前に作ったマウスピース、実は半年ともたずに奥歯のあたりに穴が空いてしまい、どんだけ歯ぎしりしてるんだよという状況だったのだけど、面倒くさくて作りなおしていなかった。最近またかみさんから歯ぎしりを注意されることが増えたこともあって、新しくしたのだった。今回はちょっと厚手にしてもらったので、少しは耐久性があるんじゃないかなー、と。
ホント、歯ぎしりは怖いよー。最近は右の肩がやたらと凝るだけでなく、朝起きると奥歯の根元がずきずき痛むとか(これが進むと歯周病になる)、奥歯の角が少し欠けてる(!)なんてこともあった。自分の頬の内側を舌でなぞると、奥から手前にかけて横一文字に盛り上がってる場所があるんだよね。寝てる間に頬をいっしょに噛んでいるせいで、そういう跡がついちゃってんの。こえー。
2011-12-20(火) [長年日記]
■ 著作権的GoodニュースとBadニュース
今日は著作権がらみで良いニュースと悪いニュースが両方あった日だった。
【Good】 Winny開発者 無罪確定へ
最高裁までいったWinny裁判が、ようやく無罪確定。こうなることは確信していたけど、やっぱり長くかかったなぁ。司法にも良識というか常識が残っていることを確認できたという意味でも良かったし、ソフトウェア開発者にとっての安心材料がひとつ増えた。金子さん、本当にお疲れ様でした。
【Bad】 「自炊」代行2社にスキャン差し止め要求 東野圭吾さんら作家が提訴
個人的には断裁後の「紙」をきちんと処分する業者を選んでいるから流出なんてしないし、結果として残るのはPDFのみなのだから複製ではない(データ変換ないし「移動」)だと解釈しているから違法性はないと考えているけれど、こんなの法解釈次第でどうにでもなることも理解しているので、変な判例がつかないといいなぁと思う。まぁ、結果が出るまでしばらくかかるだろうから、それまでに蔵書を全部電子化するまでですわ。残念なことに(というか幸運なことに?)、ここに上がっている作家の本は1冊も持ってなくて、腹いせにブックオフに売っぱらうこともできないのだけど。
この手の話で「自炊をしているのは本の置き場に困るようなロイヤルカスタマなのに、それを盗人呼ばわりするなんて」という批判がよく出るけど、今回の報道を見ていて、この作家たちにとってそういう人たちはたぶん客じゃないのだろうなぁと思うようになった。顔ぶれを見ればわかるけど、それなりに実績のある年寄りばかり。ようするに出せばそこそこ売れるのがわかっているわけで、たとえロイヤルカスタマが見限ってもそれ以外のライトな読者にさえ本が売れればそれで良いのだろう。で、作家に忠誠など誓わないライトな読者にとって本は安ければ安いほどいいわけで、電子データが(違法に)ダウンロードできてしまえば本に金など出してはくれない。ゆえに電子化を目の敵にする。
だったらちゃんと金を払ってくれる読者を育ててプレミアな価値を売ろう……と考えるのが「なんでも無料化時代」のビジネス手法なわけだが(参考:「ケビン・ケリー著作選集」)、彼らはそういう方向を目指すにはおそらく歳を取りすぎている。ゆえに古い手法、つまりライトな読者に多量で安価な「モノ」をすばやく売るしかない。彼らは、DRMのかかっていない事実上「無料」の音楽CDに付加価値をつけて、一人に何枚も買わせてしまうビジネスモデル考えついた秋元康のような才覚を持ちあわせていないだけなのだ。そう考えるとなんだか気の毒になってくるね。
もっとも、そういう旧弊な人たちのせいで電子書籍が不自由なものになるのは耐えがたいよなぁ。『ユーザー個人が電子化する行為は私的複製として「認められる余地がある」』という発言や、浅田次郎の発言をみるかぎり、彼らは本を売っているのではなく、「本を読む権利を販売している」つもりでいるらしい。つまりライセンスモデルを導入したがっている(たとえ紙の書籍であっても)。で、実際のところ日本の電子書籍はそういう方向に突き進んでおり、現状、多くの電子書籍において読者が「購入」した書籍の寿命は書店の寿命と同一である。それは「自分の家の本棚」におさめられる「本」ではない、単なる「貸本」ではないか。そんな「貸本」に「尊厳」とやらが存在するとは思えないのだが。
◆ tomokoD40 [アー…分かります…滅多に通らない道って、そうですよね… 赤キップもらうよりはまだイイですが…]
◆ big_gear [三和の近くの一通ですね。。。曲がりたくなっちゃいますよね。。。あそこ。 あそこで曲がるとすると、KUDOのケーキとか..]
◆ ただただし [うは、地元民がw そうです、三和の横……あそこずるいですよね。 お察しの通り、ケーキはKUDOです。]