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ただのにっき


2013-08-05(月) [長年日記]

Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(7)

続き。あいかわらずこの日記は10日ビハインドで進んでおります。

アメリカ最終日。あとはもう、飛行機に乗るだけである。この、ウォシュレットもないようなトイレ後進国ともやっとおさらばだぜー!! と考えたら寝付けなくなってしまい……いや寝付けなかったのは本当だけどトイレ関係ない……まぁいまから日本時間に合わせて活動しておけば時差ボケにも対応しやすいか。

というわけでほとんど寝ないで朝を迎える。6時すぎに自宅にハングアウトしたあと「TVからチェックアウトできるよ」という案内を信じて操作するもダメだったので、少し早めに出て対面チェックアウト。空港へのシャトルバスが向かいのフラミンゴホテルから出ていると聞いたので、Caesarsから道を渡ろうとするも、なんと歩道橋が閉鎖中。警備していた警官に道を聞いたらこれが嘘っぱちで(まさか警官が嘘の道を教えるというのが信じられない日本人)、ぐるぐる回ってようやく到達。この一週間で一番汗かいた。

[写真]RUBY'S DINERでフレンチトースト

朝食抜きだったので空港で「Rubyistならここでしょう」ということでRUBY'S DINERに入って(ただし同僚はPythonista)、フレンチトーストを頼む。思いのほか甘くなくておいしかった。

行きと違って帰りはLA経由だが、ターミナル間の移動でいったん外に出てシャトルバスを捕まえなきゃいけないわ、そもそも国際線のターミナルに人名がついててしかもそれが四文字に短縮表記されたりする不親切さで、いっしょになった上野(宣)さんらとウロウロ。なんとかたどりついたANAの搭乗口付近には土産を買う店もないという。とほほ。サンフランシスコの方が何倍も楽だなぁ。

帰国便はとうぜん日付変更線を越えるので到着は翌日(8/6)だけど、このまま続けよう。けっきょく機内でも寝ることはなく、本1冊、映画2本を見て無事到着。成田でリムジンバスに乗るために外に出ただけで蒸し暑さに死んだ。たぶんしばらくはアメリカのカラッとした気候を懐かしく思うことだろう。

20時ごろ帰宅して、休むまもなくグスタフの散歩。そういえば帰還兵を迎える感動的な犬の動画が話題になって、その後猫版のパロディも作られたけど、うちの猫たちは中間くらい。犬ほどの大歓迎ではないけど普段の倍くらい歓迎してくれたよ。

Tags: travel

2013-08-04(日) [長年日記]

Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(6)

続き。水を買おうと思ってホテルの自販機コーナーでクレジットカードを通そうとしたら認識してくれなくて(そもそもカードで水が買えるというのがびっくりなんだが)、何度かリトライしただけで警備員が飛んでくるアメリカ怖いです。

[写真]Black Hatに続いて、床に貼られたでかいロゴの写真。こういうの日本のITイベントでもあればいいのに。

DEF CON最終日。昨日さんざんピッキングの練習をしていたのでなんだかまだ手が金臭いんだけど、今日もピッキングの部屋へ。いいんだよもう、土日なんだから。いや、もちろん講演も聴いているのだけど、朝2番目の講演者に、スライドも原稿もなしに30分ノンストップで自由に関する話をされてだいぶ守コストを削られたので英気を養わなくてはな。でも、ブラウザを使って分散ストレージを作る話は馬鹿馬鹿しくて面白かった。こういうネタっぽい発表があるのもDEF CONならではなんじゃない?

そういえば日本ではトイレの脆弱性の話がなんだか深刻そうに報道されているけど、これをネタにした発表もDEF CONにあって聴いていた。いろんな家電をハックして楽しもう的な趣旨(だと思う)の発表で、報道されているような深刻なノリではなかった(LIXILの見解に同意だ)。FUDじゃねーのこれ。

さて、クロージングを待たずに帰ろうかと話していたんだけど、DEF CON内イベントとして薄暗い部屋に初日からずーっとこもって戦っていたCTFの人たちの表彰だけでも見ていこうということで、クロージングにも参加することに。CTFは地味だけどやはりDEF CONの華で、クロージングでも登場は最後の最後だった。予選を勝ち抜いて日本から参加していた我らがヒーローsutegoma2は、試合経過を見ている限り6位だったと思われるので表彰はされなかったけど、それでもこれまでの最高順位ですごい成績。本当にお疲れ様でした。

そんなこんなでDEF CONも終了。楽しかった。英語ができればもっと楽しかったと思うけどまぁいいや!(ぉぃ)

ホテルに戻って土産を買い、最後の夜はここで食べようと話をしていたレストランに入って、「2ポンドある」というサーモンの料理を3人で分けあいながら「これなら食べられるね」とか言っていたら、副菜のつもりで頼んだ「ほうれん草のサラダ」が実は「ラーメンどんぶりサイズのボウルになみなみと盛られたほうれん草のソテー」だったときの衝撃といったら。アメリカは油断がならねぇ国だよまったく。なお写真はありません。ショックで撮り忘れたか。

Tags: travel
関連する日記: 2013-08-05(月)

2013-08-03(土) [長年日記]

Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(5)

続き

今朝はようやくハンズオンの画面に寝ているグスタフが写ったのでこっちから呼びかけたら、声に反応して起き上がり、おれが帰ってきたと思ったのか玄関に向かって駆け出したという……なんつーか、本当にグスタフは犬っぽい。かわいいけど不憫だなぁ。早く日本に帰って、散歩に連れてってやりたいよ。こっちもそろそろ猫禁断症状が。ホテルが猫を一晩貸し出すとか、そういうサービスはないのか。

[写真]Lockpick villageの風景 さて、DEF CON 2日目。朝から退役軍人が語るサイバー戦争の話とか、プロトコルとしての特徴を持たないように設計されたDustというプロトコルの話を聞きつつ、合間あいまに入り浸っていたのが「Lockpick village」、つまりピッキング講座の部屋。以前解錠師の書評で鍵師に対するほのかな憧れを吐露したが、ついにその夢がかなった! もうね、めっちゃ楽しいのよこれ。享楽の街ラスベガスに来て、カジノへも行かず、ショウも見ないでいたけれど、個人的にはこれができたってだけでもう十分だね。

写真のようにテーブルの上にピッキング道具と練習用のシリンダー錠がばらまいてあって、参加者は自由にそれらを手に取り、思い思いに解錠に挑戦する。1時間に1回、主催者のToools.usによる解説講座もある。シリンダー錠の仕組みは知っていたので、講座を受けなくてもピンが1本程度のやつはわりと簡単に開けられた。ピンの数が増えてくると歯ごたえが出てきて、本格的な南京錠になると偶然開くようなことはない。

同じテーブルで難しい錠に長い時間取り組んでいる人がようやく成功、「やったー」って感じで声をあげると、まわりから連帯感とライバル心がないまぜになったような「congratulation!」てな声がかかったり。あんまり楽しいので日本でも続けたいと思い、Toools.usのスタッフに会場で売っている$25くらいのピッキングツールセットを指して「これ日本に持ち込める?」って聞いたら「知らないけど、たぶんOK」みたいな適当な答えが返ってきたので、不安になって調べたら10年も前に成立した「ピッキング防止法」でツールの所持自体が違法になっていることを知る*1。あぶねーあぶねー。

で、「ああ、これがDEF CONか」と気づいたわけだ。ひいては「これがアメリカか」なんだけど、この地では「可能なこと」は「やっていいこと」とほぼ同義なんだな。ピッキングもそうだし、別の部屋では暗号化されていないWiFiアクセスポイントを通ったパケットをキャプチャ、平文で流れるIDとパスワードを表示しているコーナーまであったりして、なんつーか、徹底的に「自由」。だから講演も、技術的なだけでなく文化的な「自由」を扱ったものが多い。これがBlack Hatとの決定的な違いじゃないかと感じた*2

片や、こっちは犯罪に使われる恐れがあるというだけで自分で錠前を開ける自由すらたやすく手放してしまう国の住人だ。たぶん日本人はこの先も、あまり深刻に考えることなく次々と自由を手放していくだろう。そう考えると、この場にいるのが恥ずかしくなってくる。もちろんアメリカにもたくさんの不自由があるだろうけれど、DEF CON全体に通底する徹底した自由へのこだわりは、おそらくこれから数々のイノベーションを生み出すきっかけになるだろう。というわけで、DEF CONの正しい楽しみ方は、おとなしく講演を聴いているだけじゃなく、できるだけ自由の空気を吸い、刺激を得ることなんじゃないかな。

……といいつつ、さすがに体力が限界なので(もう歳なんすよ)、夜のパーティ潜入はパスして同僚に任せ、ひとりでホテルに戻ってハンバーガー買って食ってビール飲んで寝たのだった。やっぱりデカくてtoo heavy。

[写真]ハンバーガーとオニオンリング、ハイネケン

Tags: travel

*1 この法律を今まで知らなかったこと自体を恥ずかしいと思うし、知ってたら断固反対したと思う。

*2 Black Hatは全貌を見渡せたわけじゃないので、どこかにDEF CONに通じる精神があったかも知れないけれど。

関連する日記: 2013-08-04(日)

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