2006-10-07(土) [長年日記]
■ 時をかける少女
オープンしたてのラゾーナ川崎には、『時をかける少女』と『日本沈没』が両方観られる貴重な映画館があるというので出かけてきた。やっと観られたよ〜。
これは脚本の勝利だなぁ。別にアニメでも映画でもある必然があるとは思えないが、脚本がいい。良質な青春映画。いい歳したの大人がクネクネしちゃうのもわかる。ただ、時間モノなのにタイムパラドックスのかけらもないので、SF的な何かを期待する向きには不満な脚本だろう。
アニメとしてはどうかなぁ。キャラが背景や3D CGから浮き上がっていて、しっくりきていない。あれはわざとだろうか。15年くらい前のアニメみたいだった。ただ、マンガチックな真琴の表情は、ちょっとよかった。
あと、これだけは書いておきたいのだが、後輩の女の子が告る時にだけメガネを外しているのに気づいて、そういう演出をする監督とは友だちになれないと思った(そこかよ)。
■ 日本沈没
オープンしたてのラゾーナ川崎には、『時をかける少女』と『日本沈没』が両方観られる貴重な映画館があるというので出かけてきた。やっと観られたよ〜。
これは脚本が悪いなぁ。樋口監督は『ローレライ』といい、脚本に恵まれてないね。前半は盛り上げ方が下手すぎて、寝そうになった。あのタイミングで鎌倉の老人の名セリフを入れても、まだ観客には何の感慨もわかないだろうに。
ただ、結末までも原作から変更するストーリーは、別にいいかな、と。日本人や日本列島のことは何も描かないということは、原作のテーマは捨てると決めたということだろう。主人公が個人的な動機だけで動いくのはハリウッド映画の様式だ。ハリウッド映画として観るなら、よくできてると思う。とくに特撮は、ミニチュア臭さがぜんぜんない。進歩したもんだなぁ。
『トップをねらえ!』のセリフとか、和久井映見が酒蔵で働いているというネタ、富野由悠季・庵野/安野夫妻の名前がスタッフロールに登場するなど、遊びの部分も楽しめた。
■ ラゾーナ川崎
映画が終わって外に出たら、21時だというのにどの飲食店も大行列。川崎市民が大挙して巨大ショッピングモールに押し寄せるの図、か。「パトラッシュ」という名のベルギービールの店とかあって、「日本人にしか通じねぇ〜」と言ってひとしきり笑う。
で、駅の反対側(ヨドバシ側)に出たらみごとに閑散としていて、なんだかひどいことに。おかげでハイチのカレーにありつけたけど。
2006-10-06(金) [長年日記]
■ 初めてメイドさんに萌えたぜ
罰ゲームのメイドツーリング in 椿、伊豆スカ via 今日のなんでやねん
すげぇ! 感動した! つーか、生まれて初めてメイドさんに萌えた(中身が男なのはこのさい無視する)。
いやー、CBRでハングオフするメイドさん、カワユス。あと、料金所で支払いをする姿もたまらん。今後、伊豆スカを通るときには、この姿を思い出さずにはいられないだろう。おまけに、ヘルメットのエアインテークまでもがネコミミに見えてくる始末。
堅いことを言えばこんなカッコでバイクに乗るのは言語道断なんだけど、そんなことは百も承知のネタなのだから、許すよ。えらい。
2006-10-05(木) [長年日記]
■
宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF)(小平 桂一)
最近ノンフィクションばっかり読んでる。この本はだいぶ前に出たものだけど、文庫化されたので買っておいたもの。世界一の巨大光学望遠鏡「すばる」の建造過程を、当事者の目で描いたドキュメンタリーである。
出だしのアンデスの描写でズキューンと来る。もともとアンデスという土地には憧れを抱いているんだけど、こういう描写をされてしまうと、たまらない。そうか、天文学者は地上の光から逃れるように行動するから、おのずとこういう荒々しい風景に出会えるのだよなぁ。他にも、信州の四季の描写などがけっこう事細かにされている箇所もあり、なんともうらやましい生活。もっとも、うらやましいのはここまで。
本題の「すばる」の建造に関して言えば、予算の壁、法律の壁、技術の壁が次々と襲い掛かり、結末を知らなければ、とてもじゃないがプロジェクトが完遂されるとは思えない。日本の科学技術系のノンフィクションは、えてしてこんなシーンばっかりだ。
中でもショックを受けたのは、著者が巨大望遠鏡建造プロジェクトを主導しようと決心するくだりだ。完成まで20年。ということは、完成しても自分の研究者としてのキャリアは終わっていることを意味する。研究活動も継続するとはいうものの、それすらもプロジェクト遂行のモチベーションを保つためと言い切る潔さ。研究者としてこの道に入ったにも関わらず、その道具作りに残りの研究人生をささげるとは、想像を絶する決断である。大きな仕事というのは、こういう無私の行動なくしては成立しないのか。
ソフトウェア屋としては、ここでRMSの顔を思い浮かべるのは、あながち間違ってはいないだろう。本書を通して、RMSに対する尊敬の念を改めた。まぁ、(RMSと同様)本書の著者にしたって、おそらくプロジェクト遂行の過程でいろいろ敵を作ったりもしただろうけど、出来上がったものの前では、そんなことは些細な話だよなぁ。
あと興味深かったのは、たくさんの関係者が実名で登場するにも関わらず、霞ヶ関の役人たちだけはみな匿名であることだ。おそらくそういう意向が示された故だとは思うが、時に「お堅いお役所」として立ちはだかることもあるものの、プロジェクトが動き出してからは彼らもさまざまな形で望遠鏡建造に力を尽くしたはず。にもかかわらず名前は出ない……というのは、なんとも報われない職業だ。ちょっと気の毒。
直接関係ないけど、本書中に、野辺山の45m電波望遠鏡の予算が通ったあたりから、すばるのプロジェクトが動き始めるくだりがあって、ああそうか、だから最近ALMAの動きが活発なのか、と納得した。国立天文台の電波望遠鏡と光学望遠鏡は、交互にアップグレードするのだな。
先日野辺山の一般公開に行ったとき、ALMAのコーナーで研究者に根掘り葉掘り話を聞いた(というのは嘘で、こっちが聞かなくても向こうがいくらでも喋ってくれるんだが)。「すばる」には日本で最初の海外研究施設という高いハードルがあったが、ALMAは国際協力事業で、しかもハワイどころか地球の裏側の話である。本書の様子から察するに、ALMAプロジェクトもさぞかしいろんな壁に阻まれているのだろうなぁ……と思う。でも野辺山の彼は、ずいぶん楽しそうに現地の話をしてくれていたのを思い出す。あれくらい若ければ、将来自分の研究に使えるもんな。そりゃモチベーションも高いはずだ。将来ALMAが見せてくれる世界も楽しみだ。
◆ takkan [ラゾーナには、RISTORANTE RUBYってイタリアンのお店が入ってますよ。http://www.lazona-..]
◆ kagekino [あそこのハイチには他のハイチには無い目玉ドライがあるんですよね。]
◆ ただただし [>takkanさん おっと、それは気づきませんでした。でも川崎市民が飽きるまで、あそこで食事をするチャンスはなさそう..]