2012-05-08(火) [長年日記]
■ (ようやく)ターミナルをUTF-8にした
Debian lennyにしたときに、screenがUTF-8に対応していなかったおかげですっかり嫌気がさして、そのままずるずるとEUC-JPのままになっていたターミナル。先日、ReVIEWのコマンドがEUC-JP環境下ではことごとくうまく動かないこともあり、「そろそろscreenをやめてtmuxに乗り換えるか」とつぶやいたら、方々からツッコまれてしまった。Debianのscreen、とっくにUTF-8対応していたらしい。そりゃそうだ、あれから3年、squeezeにしてからだってだいぶたってるのに。
というわけで、ようやくUTF-8環境の人になった(ReVIEWも動いた)。
screenのUTF-8化に関しては、調べるといろんな設定方法が出てくるのだけど(~/.screenrcに「defutf8 on」とか)、一番安心なのは起動パラメタに「-U」をつける方法らしいので、そのように。~/.zshrcが以下のようになっていたのを:
screen -xR
下記にしただけ:
screen -xRU
他に、環境変数LANGを書き換え、/etc/locale.genのja_JP.UTF-8 UTF-8を有効にしてからlocate-genコマンドを実行すれば移行完了。いまのところ問題は出ていない。なんだ、もっとはやくやればよかった。
2012-05-06(日) [長年日記]
■ esrオープンソース三部作を読み返した
というわけで、ちゃんと読んだ。繰り返しになるがなんでこんなことをしてるかというと、「伽藍とバザール」からちょうど15年、esrが「伽藍」と「バザール」として対比させたものが何なのかすら忘れられつつある(!)という状況を受けてartonさんが現代的視点で解題してくれた一連の文書をちゃんと理解するために読み返したというわけだ。件の文書は以下にあるから読むといいと思うよ:
- 伽藍、バザール、ノウアスフィア、おなべ(1)
- 伽藍、バザール、ノウアスフィア、おなべ(2)
- 伽藍、バザール、ノウアスフィア、おなべ(3)
- 伽藍、バザール、ノウアスフィア、おなべ(4)
- 伽藍、バザール、ノウアスフィア、おなべ(5)
(本当は「ハロウィン文書」もEPUB化すべきなんだけど、表が多くてやる気がおきない。)
「伽藍とバザール」はよくできた現状分析という感じで、初めて読んだ時とそれほど印象に違いはない。でもまぁ、これは基本中の基本だよなぁ。これを読まずに(または読んでもなお)「伽藍」がクローズドソースで「バザール」がオープンソースだ的な解釈をするやつがいるようで困る。
個人的に(そうきわめて個人的に)面白かったのは「ノウアスフィアの開墾」で、最初に読んだときはあまりに「おれたちの」文化を赤裸々にしているさまにカチンときたものだが、さすがにこの歳になると客観視できるというか、実によくできた文化人類学的なフィールドワークレポートだね、これは。なんでカチンときたかというと当時は文化人類学者に観察される一方の未開人の立場だったのが、今では立派な文明人になったからだな(笑)。そんな読み手の個人的な変化が面白かった。
こいつの結末は慣習を慣習法へ……ということでこのハッカーたちの慣習を「法」として文書化しようという提言(?)になっているのだが、2012年の現代はというともっと愉快な方向にねじ曲がっていて、それはGitHubを中心としたソーシャルコーディングだ。ここでは「ノウアスフィア~」で描かれたハッカー文化がシステム化され、よりあからさまになっている。明文化よりシステム化の方がハッカーぽいし、これは正常進化だと思うね。相変わらずプロジェクトのフォークは起こらないが、コードのフォークは極めて簡単になっているとかね。
となるとクラウドベースのサービスが覇権を競っている現代に合わせて「魔法のおなべ」もアップデートが必要じゃないかと思うのだけど、終章の結論、最後までオープンにならないのはアプリケーションだというのは、わりと現状に合っているのかな。
で、アプリケーションが将来オープンになるかというとたぶんならなくて、なぜなら勝ち組サービスを保有するベンダーは十分に大きくなって、自社内に「バザール」的なエコシステムを構築できてしまうからだ。Googleしかり、Facebookしかり。彼らは優秀でモチベーションの高いハッカーを大勢雇って、社内におけるコードの所有権を曖昧にすることで、コードをオープンにすることなく効果的なバザール開発をしてしまっている。インフラやミドルウェアはまだしも、アプリケーションのコードまでわざわざインターネットに公開する必然性はない。ここにきて、「伽藍」が「クローズ」とイコールではないように、「バザール」は「オープン」とイコールではないよという話になるわけだ。面白い。やっぱり読み返してよかった。
■ esrオープンソース三部作のダウンロード数にみるEPUB普及状況
esrオープンソース三部作のEPUB/Mobi版公開ページ*1は、見ればわかるようにGitHub pagesを使っているのだけど、個々の電子書籍のURLはbit.lyで短縮したDropbox上のファイルなので、ダウンロード数がわかるようになっている。
で、ちょっと集計してみた。
実は公開直後はMobiダウンロード数の方が伸びていて、「ああ、やっぱり技術者のKindle普及率は高いしなー」と考えていたのだが、一夜明けてみたらEPUBが逆転してやや優勢という状況に。さらに結城さんが紹介してくれたあたりからEPUBがさらに伸びて、いまではほぼ倍の差がついている。そりゃそうだ、Kindleよりスマートフォンやタブレットの方がよっぽど普及してんじゃん*2。
というわけで、現状では技術者向けならEPUBファーストでおk。一般向けなら言うまでもない。これがAmazon電子書籍の日本市場参入でどう変わるか、楽しみである。
2012-05-05(土) [長年日記]
■ 写真展「Dear それぞれの」へ行ってきた
知人の志摩羽月さんが仲間たちと写真展を開いているというので、行ってきた。「Dear それぞれの」。
普段はアフリカに行って野生動物を撮っているような人なので、きっとアフリカを題材にした写真なんだろうと思い込んでいたら、なんと北京の風景だったという。まるでモノクロかと思うほど彩度を落としたプリントで、北京の(というかおそらく現在の中国の都会が総じてもっている)けぶったような空気感が出ていてよかった。
志摩さんの作品もそうだけど、物(オブジェクト)でなく光を撮っているという感じが出ている作品はいいね。そういう意味では、おなじ写真展にあった矢島満夜さんの作品も好み。
■ スーパームーンだというので
今夜はスーパームーンだというので(満月は明日らしいが)、また撮ってみた。前回よりはくっきりした気もするが、やっぱイマイチか。手ぶれかなぁ。シャッター速度を1/500まで上げてみてもたいして変わんないけど。というかいいかげん小さくてもいいからまともな三脚を買うべきだよな。ゴリラポッドじゃなく。この写真はゴリラポッドじゃなくてベランダの手すり固定だけど。
普段の満月よりも明るさ30%増しだそうだが、前回の満月なんて一ヶ月も前なんだから、人間そんな違いを思い出せるわけもなく、本当にスーパーなのかは判然としないのであった。ちなみに距離は36万kmまで近づいているそうで、静止衛星のちょうど10倍というキリの良さにむしろ感動したりしてね。いや「10倍」という数字にもたいして意味はないのだけど。
◆ 結城浩 [アクセスに貢献(?)できてうれしいです。 > そういえば結城さんだってiPadユーザなのになんでKindle? ..]
◆ ただただし [なるほどw 間違いをみつけたらpull requestくださいね!]