2011-01-19(水) [長年日記]
■ 『 プログラマが知るべき97のこと』が電子書籍になった
先日紹介した『 プログラマが知るべき97のこと』、Amazonに入荷しない状態がいまだに続いているわけだが、しびれを切らした(?)オライリー・ジャパン本家から電子書籍版が登場した。ひとづてに聞いたところでは、この日記でグダグタ言ったり、電子書籍の必要性を熱く語ったりしたのが効いたとか。本当なら嬉しいことだ。言ってみるもんだね。
オライリーに限らず、ソフトウェア技術者を相手にしている出版社は、積極的に電子展開を進めるべきだと思う。我々技術者は電子書籍にさほど抵抗がなく、読みたい本はすぐにでも手に入れたいタチなのだ。こんなにいい客、そうそういないよ? 売れすぎて入手困難なんてのは特殊な希少本にのみ意味があるステータスなのであって、旬な技術の本においては単なる販売機会の喪失にすぎない。
日本は、たくさんの技術書を(英語でない)母国語で読めるという世界的にも珍しい市場が成立している国なのだ*1。我々は(少なくともおれは)この特殊な市場がこれからも栄えて欲しい。もっとたくさん、そしてすぐに本が読みたいし、そのためにも「買うチャンス」はもっともっと拡大して欲しいと思う。
この調子で、新刊は発売と同時に電子版を用意してもらいたいし(もちろん電子版が先行でもいいのよ)、アフィリエイトもできるともっといいし、できればちょっとでも紙より安いと嬉しいですねぃ。
*1 今回のことをFacebookで紹介したら、海外在住の日本人技術者が即座に買っていた。電子書籍は海外に住む人にとっても福音だ。
■ 『Facebookをスマートに使いこなす基本&活用ワザ150』の第一章が電子書籍化されたのでさっそくKindlize
↑みたいに今後PDFで売られる書籍が増えてくると、買ったその場ですばやくKindle向けに加工できないといろいろ困る。自炊の場合は断裁して、スキャンして……という手間がかかるのははなから覚悟の上だからいいけど、最初からPDFになっている場合はやはりスピードが命。
というわけで今日、『Facebookをスマートに使いこなす基本&活用ワザ150』の第一章が電子書籍化というニュースを見たので、さっそくKindlize*1。最近はImageMagickの扱いにも慣れてきたので、スピード重視で中間画像ファイルなしの手法を編み出してみた。元のPDFを「src.pdf」として、convertコマンドのみで余白をトリミングした「dest.pdf」ができる:
% convert -density 300 src.pdf -fuzz 50% -trim -type GrayScale -resize x735 dest.pdf
#これは縦持ちにできる小型の書籍向けの設定なので、ターゲットが大型本で横持ちにしたい場合は「-resize 722」にする。
キモはsrc.pdf指定の「前」に置いた「-density 300」で、これは300dpiで画像化する指定だ。ソースになるファイル指定の前に置くことで「これから処理するファイルを300dpiで扱え」という指示になるみたい。なるほど、convertコマンドがコマンドパラメタを愚直なまでに順番に処理している様子がうかがえますな。これをやらないと悲しいくらいショボい画質になる。この手法がわかったので、自炊でもpdftoppmを使わずに中間フェーズを削減できるかも。
ノンブルをカットしたりといった細かい調整はできないけど、すぐにでも読みたい場合はこれで十分だ。元がテキストなので、紙をスキャンしたものに比べて格段にきれいでヨイです。
あとでメタデータをいじればScanSnapの付属ソフトでOCRにかけることもできるはずなので、DRMがかかってコピペ不可なPDFなんかもけっこう救えるんじゃないかと思う。あとでオライリーのPDFを何か買ってみよう。
*1 「Kindle向けに加工する」の意。ググってみたらすでに使ってる人がいた。
2011-01-18(火) [長年日記]
■ KindleのためにInstapaperを使い始めた
先日のトークセッションの懇親会で、「Kindleユーザならinstapaperが便利」と教わったので、さっそく使い始めてみたのだ。
Instapaperはいわゆる「あとで読む系ブックマークサービス」の一種。「長すぎてあとで読みたいなー」という記事をスクラップしておいて、いろんな形で読みやすくしてくれる。「Kindleユーザ必携」的な理由は以下の2点かな:
- Webページから「本文」だけをうまいこと抽出してくれる(ナビゲーションやサイドメニューなどの領域をカットしてくれる)
- Kindleに毎日まとめて送りつけてくれる
本文抽出はたまに失敗してくれるけど(そもそもWebページなんてものはたいして構造化されていないので、HTML5時代が来ない限りこれを完璧にこなすのは不可能だ)、けっこういい感じで抜き出してくれる。長い文章はよけいなものがなくなるので、それだけでずいぶん読みやすくなる。
そうしてスクラップしておいた長文記事を、毎日まとめてmobiファイルにし、(登録しておいたメールアドレスを経由して)Kindleに転送しておいてくれるというのが、今回の話のキモである。なるほど、これは便利。
試しに自分の日記の記事をいくつかみつくろって登録し、Kindleへの転送トリガを手動で起動してみたら、ほどなくKindleの書籍一覧に登場した。
これ、普通のmobiじゃなくて、「Section List」なんて機能がついた、ちょっと特殊なフォーマットらしい。たしか新聞や雑誌の定期購読向けのフォーマットで、なんとかって名前がついてたはずだ(ど忘れ)。もっとも肝心のSection Listは日本語が化け化けで、正直使い物にならない。ただ、5 Way Keyで記事単位のジャンプができるので、記事がたくさんあるような場面では拾い読みができていい。なるほど、新聞向けだ。こないだ作った日経電子版のスクレイピング、あれはそのままこっちに置き換えてもいいかも知れない(日本語の問題が解消されてばの話だが)。APIもあるし。
というわけで、新聞にはイマイチながら、いわゆる「あとで読む」向けにはけっこうよさそうだ。しばらく使ってみよう。
2011-01-16(日) [長年日記]
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はやぶさ、そうまでして君は〜生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話(川口 淳一郎)
「はやぶさ」本、通算4冊目。いよいよ真打ち登場、川口プロマネ自身による書籍である。山根一眞、的川泰宣と筆の立つ人たちの本を読んできて、さすがにもう新しいことはないだろうと思っていたけれど、やはり立場によって突っ込んで書くポイントが違うんだよな、面白い。
例によって(笑)打ち上げまでの話で4割くらい。ホント、日本に限らずプロジェクトが認められて打上げに到るまでで苦労の半分くらいは済んでしまうのが宇宙探査の実態なわけで、ここのところがもうちょっとなんとかならんものかと思う。もっとも「はやぶさ」は打ち上げたあとの苦労も成果も前人未到だったわけだが。
川口さんはメディアに登場するときはいつも冷静沈着で、クールで頼れるプロジェクトマネージャという雰囲気だったのだけど、本書では終盤になるにしたがって今まで聞いたこともないほどエモーショナルな文章が増えてくる。ああ、やっぱり彼も人の子だったのだ、こういう心情は、すべてが終わったいまだから書けるんだろうなぁと思うと、またもやジワっとくるものがあります。
それにしても、イトカワ上空で奇跡の復活をとげたとき、リチウムイオン電池が生き残っていた理由がいまだにわかっていないという話は既知だったっけ? おれは知らなかったんだけど、まさかこんなオカルトじみた話が出てくるとは、現場が神頼みをしたくなるのもわからんでもない。ただ、その神頼みにしたって、本当に人事を尽くしたあとの話なのがよーくわかる。そういう点がすごくしっかり描かれているのが、本書最大の魅力だろう。やはり現場で指揮をとっていた人の話は重みが違う。
もう一冊出ている新書の方も評判いいので読んでみたい……けどまた在庫切れだよ、いいかげん出版社は本気で電子書籍に(ry
◆ takahashim [それは出版社云々の前に、amazonの仕入れ能力の高くなさという書店側の問題もあるのではないかと http://ww..]
◆ ただただし [目利きの店員がいて機動力のある書店がきちんと読者のニーズをとらえた仕入れをしている、という点はそのとおり。で、Ama..]
◆ エチオピア効果 [近所のTSUTAYAで探したけどないので、店員さんにきいたら「エッセー」のコーナーに「中学生失格」と一緒においてあり..]