2007-03-21(水) [長年日記]
■ 「お問い合わせ」をコストカットの対象にしていいものか
うかうかしていたらKDDIの茨城衛星通信センターに(16日に)閉局されてしまい、「最後の見学」をし損ねた。とはいえ、毎年近隣の住民に花見の場所を提供してきたのだから、引き続き見学くらいはできるんじゃないかと思い、KDDIのサイトから問い合わせてみることにしたのだが。
見学可能だったら今日バイクで行こうと思って19日の午後に問い合わせたら、48時間後になってやっと返事がきたとか(手遅れ)、「今」見学できるかどうか知りたかったのに、返ってきたのがこんな返事だけだったとか:
「KDDI茨城衛星通信センター」の広大な跡地(約18ha)につきましては、日立市、ならびに高萩市に無償譲渡され、その活用方法が検討される予定でございます。
そういう話はどうでもよくて(よくないんだけどさ、今年度はもう行けそうにないし)。
こういう、企業の特定サービスに関係しない、一般的な質問をWebサイト経由でしたいときに、どうすればいいのか。ちなみに、茨城衛星通信センターに関する情報は、kddi.comの中にはいっさい存在しない(見学施設を持っているのにこのアリサマ)。
まずはお客様サポートを探すと思うんだけど、KDDIの場合は最初に「au」「電話」「インターネット」の3つのサービスを選ばなくちゃいけなくて、今回のようなどこに入るのかわからない質問は行き場がない。
実際、自分でも顧客のWebサイトの相談に乗るときなんかには、「まず訪問者の抱える問題点別に振り分けて、FAQを読んでもらってから、解決されなかった場合だけに問い合わせフォームを使ってもらいましょう」なんてことを言ったりする。けど、最初にちゃんと振り分けられると考える時点で傲慢だよなぁ。
この傲慢さがどこから来ているのかというと、やはり「問い合わせ」に対して受け答えをするのが「コスト」だと考えているからだ。コストと考えれば、問い合わせはできるだけ少ない方がいい。だから訪問者にはできるだけ問い合わせフォームにはたどり着いて欲しくない。Amazonのサイトなんてまさにその典型で、問い合わせフォームを見つけ出すのは至難の業だ。
本当に訪問者のことを考えているのであれば、どんな問い合わせでもウェルカムなフォームを目立つところに置くべきなのかも知れない。もちろん、問い合わせ内容はすぐに分析して、同じ質問が来ないようにサイトを改善する。しかし、調べる気のない訪問者は、いつでもそのフォームを利用できるようにしておかなくてはいけない。何を問い合わせても答えが返ってくる、コンシェルジュのような問い合わせフォームが理想だろう。
これは「問い合わせフォーム」をコストセンターではなく、コンバージョンポイントと見なす発想の転換だ。だが、情報系サイトにおける「問い合わせ」はコンバージョンポイントとして勘定することもまた常識だ。結局、コストを下げるという横槍が入るおかげで、「お問い合わせフォーム」があるべき姿からどんどん外れていってしまったのが、KDDIのサイトの現状なのだろう。というか、KDDIに限らず、多くの企業が同じ状態に陥っている。
じゃあどうすればいいのかというと、妙案はないわけだが。
ちなみに今回の問い合わせは、無理やり「電話」メニューからよくあるご質問/お問い合わせに入り、「その他」のサービスに関する質問という形をとった。回答が遅かったことからして、かなりたらい回しにされたんじゃなかろうか。他にも、会社名を入力する気があるのなら法人向けのその他のサービスというフォームも使えそうだ(が、ここにたどり着く個人客はいないだろうな)。
Webを使わない正攻法としては、代表電話を調べて(これもWebにはないから104かなんかを使う?)、広報につないでもらうというのが良いだろう。なんでもWebで完結しようと考えなければこれが一番の近道かも。
さらに蛇足だが、Project BIG-DISHが24日にふたたび月面反射通信をやるので、それに潜り込めばかつてないほど近くで見学できる可能性がある。前回の時はアンテナ本体に登ったりできたようだ。うらやましい。
2007-03-20(火) [長年日記]
■ ピーナツバター作戦 (Seishinsha SF Series)(ロバート・F. ヤング)
少数の海外翻訳SFマニアのために薄くて高い本を出版するという、そう遠くない将来に主流になるであろう戦略を先取りした青心社のシリーズを1冊買ってみた。こんな本ばっかりになったら、おらは破産だよ。今のうちにブックオフで古い文庫本を買い漁っておくべきか。
それはさておき、愛に満ちた短編SFを書かせたら右に出るものはいないという評価のヤングだが、現代の視点では「童貞君の妄想爆発ストーリー」にしか見えない。愛じゃねーだろー、これは……。もっとも、知識不足のせいで(妄想の中でも)一線を越えられないタイプの若々しい童貞君なので、多少救いがあるが。いやまぁ、そういうところがちょっとレトロで面白いけど。
ただ、最後の「われらが栄光の星」だけは、じつにいい純愛小説になっていて、SF小道具の設定やストーリー展開も含め、かなり楽しめた。これは収穫。
■ タイム・シップ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)(スティーヴン バクスター)
以前ma2さんが傑作と書いていて、「そう言えば読んでなかった」と思って買ってみた。H・G・ウェルズの『タイム・マシン』の公式な続編として書かれた長編。面白かったよ、うん。
ただ、『タイム・マシン』とはずいぶん位置づけが異なると思った。『タイムマシン』は、解説の冒頭にもあるようにすべての時間旅行SFの祖になったほどの影響力を持った作品で、いわばセンス・オブ・ワンダーの塊だ。
一方『タイム・シップ』はエンターテイメントに徹していて楽しく読めるんだけど、目新しさはほとんどない。時間理論はありがちな多世界解釈だし、さまざまなエピソードも時間SFとしてはかつて読んだことのある感が強い。終盤のはじけっぷりはさすがバクスターだったけど、全般的には「よくできたまとめサイト」みたいなイメージ。
こういう小説が成立するということは、もはや時間SFに新しいネタはないってことなのかもね。
余談1: 「たいむしっぷ」で変換したら「タイム湿布」になってしまった。すごくくだらないショートショートっぽい。
余談2: <観察者>の描写をさらっと読んだら、スプー(しょうこお姉さんバージョン)が思い浮かんでしまい、最後までそのイメージで固定されてしまった。
2007-03-19(月) [長年日記]
■ tDiary: iddyプラグイン(3)
先日作ったiddyプラグインだが、リクエストがかなってAPIでメールアドレスが取れるようになったので追従。
- sub Mailが公開されていればそれを使い
- sub Mailがなくて、メールアドレスが公開されていればそれを使い
- どちらもなければ非公開
という動作にした。
それにしてもあそこの開発者ブログ、相変わらずTrackBackが通らねぇ。こっちのせいか? ……と思ったら反映されてた。時間差?
◆ peicozy [こんにちは。 少し違うかもしれませんが、人間に電話をつなぐショートカットが調べられるサイトがありますね。米国版のみみ..]
◆ ただただし [なるほど、需要はありそう。こういうのってWikiでやるとよさげですね……と思ったけど、ノイズを排除するのが大変かな。]