2006-10-10(火) [長年日記]
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天涯の砦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)(小川 一水)
事故で大破した宇宙ステーションの一部が漂流。内部には、隔壁で隔てられた数人の生存者。わずかなコミュニケーション手段のみで連絡を取り合い、生還へ向けて奮闘する……と、設定からして面白くないわけがないし、じっさい最初から最後まで手に汗握る展開で飽きさせない、すばらしいサスペンス小説になった。
どう考えても助かりっこない絶望的な設定だが、もちろん巧妙に「いるべきところに、いるべき人がいる」という仕込みのおかげで、ギリギリのところでピンチが解決されていく。もっとも、いくつか「飛び道具」がコトを解決してしまうこともあるので、読者にとってはあまりフェアじゃないか。ミステリファンだとお気に召さないかも。まぁ、こういうSF的アイデアの投入は、妙に前向きで青臭いストーリー展開も含めて小川一水らしい?
今世紀末という設定なので、軌道上の巨大宇宙ステーションという舞台が微妙にリアリティがあるような、ないような。感覚的には「来なかった21世紀」という気もする。そうは言っても、しっかり作りこまれた背景や舞台装置は、『プラネテス』の外伝として挿入されていても違和感がないくらいに「絵」が見える。小川一水って、じつに映画化して欲しい小説を書くよなぁ。
で、長年日記を読み返していて、3年前の今日『第六大陸』を読了していたことを知ったのであった。そうそう、"プラネテス"的なものはここにもあったよなぁ。
2006-10-09(月) [長年日記]
■ 群馬パラボラ巡礼
3連休最終日は、関東地方で最後まで手付かずだった群馬県のパラボラを見に行くことに。今回ももっぱら、なりたさん情報の助けを借りて行動。場所は写真をクリックすると見られます。
SNET群馬通信センター
2階建ての建物(あれ3階だっけ?)の屋上に、ダンダンダンっとパラボラが並んでいる。ふつーに道沿いにあるので、発見しやすい。写真は一番大きいヤツ。でも、どれもリミテッドモーションで、しかも背面が覆われているので、あんまり好みじゃないなぁ。NEC製。
JSAT群馬衛星管制所
なぜパラボラ施設というのは集まる傾向があるのだろうか。SNETのすぐ近所だが、ちょっと迷うくらい奥地にあった。途中に一ヶ所だけ案内板があった。そういえば、横浜の管制所もややわかりにく場所にあったなぁ。JSATは微妙に秘密主義?
すべてのパラボラがこっちを見ている横浜と違って、群馬は向こう向き、しかも建物の陰になっているのであまりよく見えない。フェンスを回って林に分け入れば正面から見られそうだが(というかなりたさんはそうしたようだが)、今日は気力がなく、退散。いいんだいいんだ、どれも小径でリミテッドだし。
NTT小夜戸衛星通信所
……には時間切れでたどり着けず。陽が落ちてから見てもしょうがないもんなー。調子に乗って寄り道をしすぎた。つーか、むしろ前の2ヶ所はおまけで、今日のメインはこっちだったはずなのに! アホかおれは。
■ さんまパスタ
うまかった記念。
◆ yoosee [む、その発想はなかったけど美味しそうですね > さんまパスタ 旬のうちにやってみようっと。]
◆ コージ [ざっと見ると、さんま、トマト、キャベツ、バジルソースですか? たぶんふだんやってるキャベツのペペロンチーニの要領でい..]
◆ ただただし [ググるといくつかレシピが見つかるらしいであります >さんまパスタ]
◆ さんま奥様 [このレシピを参考にしました。 http://cookpad.com/sacchin1014/recipe/28227..]
◆ コージ [>奥様 レシピありがとうございます。 サンマを抜いたら、ほぼ俺が普段食ってる キャベツとアンチョビのペペロンチーニで..]
2006-10-07(土) [長年日記]
■ 時をかける少女
オープンしたてのラゾーナ川崎には、『時をかける少女』と『日本沈没』が両方観られる貴重な映画館があるというので出かけてきた。やっと観られたよ〜。
これは脚本の勝利だなぁ。別にアニメでも映画でもある必然があるとは思えないが、脚本がいい。良質な青春映画。いい歳したの大人がクネクネしちゃうのもわかる。ただ、時間モノなのにタイムパラドックスのかけらもないので、SF的な何かを期待する向きには不満な脚本だろう。
アニメとしてはどうかなぁ。キャラが背景や3D CGから浮き上がっていて、しっくりきていない。あれはわざとだろうか。15年くらい前のアニメみたいだった。ただ、マンガチックな真琴の表情は、ちょっとよかった。
あと、これだけは書いておきたいのだが、後輩の女の子が告る時にだけメガネを外しているのに気づいて、そういう演出をする監督とは友だちになれないと思った(そこかよ)。
■ 日本沈没
オープンしたてのラゾーナ川崎には、『時をかける少女』と『日本沈没』が両方観られる貴重な映画館があるというので出かけてきた。やっと観られたよ〜。
これは脚本が悪いなぁ。樋口監督は『ローレライ』といい、脚本に恵まれてないね。前半は盛り上げ方が下手すぎて、寝そうになった。あのタイミングで鎌倉の老人の名セリフを入れても、まだ観客には何の感慨もわかないだろうに。
ただ、結末までも原作から変更するストーリーは、別にいいかな、と。日本人や日本列島のことは何も描かないということは、原作のテーマは捨てると決めたということだろう。主人公が個人的な動機だけで動いくのはハリウッド映画の様式だ。ハリウッド映画として観るなら、よくできてると思う。とくに特撮は、ミニチュア臭さがぜんぜんない。進歩したもんだなぁ。
『トップをねらえ!』のセリフとか、和久井映見が酒蔵で働いているというネタ、富野由悠季・庵野/安野夫妻の名前がスタッフロールに登場するなど、遊びの部分も楽しめた。
■ ラゾーナ川崎
映画が終わって外に出たら、21時だというのにどの飲食店も大行列。川崎市民が大挙して巨大ショッピングモールに押し寄せるの図、か。「パトラッシュ」という名のベルギービールの店とかあって、「日本人にしか通じねぇ〜」と言ってひとしきり笑う。
で、駅の反対側(ヨドバシ側)に出たらみごとに閑散としていて、なんだかひどいことに。おかげでハイチのカレーにありつけたけど。
◆ すずき [かなり読んでみたくなりました>天涯の砦 「プラネテス的」って表現が効きました(笑)]