2016-11-19(土) [長年日記]
■ 映画「この世界の片隅に」を観てきた
先行上映会では観たものの、ちゃんとロードショーでも観るのが出資者の務めというものです。パンフレットも欲しかったしね。
写真はパンフレットと、出資者に配られた宣伝用のメッセージカード(100枚)。お知り合いに配ってくださいということだろうけど、友だちの少ないオタクにはなかなか厳しいプロモーションを要求なされますね……*1。まぁ、こうして日記に書くだけで最低でも数百人の目に入るんだから、十分であろう。
実は公開当初にはもよりの109シネマズ・グランベリーモール店ではかかってなかったんだけど、評判が良かったらしくてこの週末から上映館に加わっていた。代わりに消されたのがどの映画だったのか気になるところだが(げふんげふん)、この事実を知らない人が多いのか、夕方の回は満席ではなかった。これから増えるかな。実際、ネットをみてると絶賛以外の声を見かけないので、これからも上映館は増えるんじゃないかねぇ。
公開に前後して、監督がかなりの数のインタビューを受けていて、自身をプロモーション素材と位置づけてるんだろうなぁと思うのだけど、中でも以下の2つはとても良い。すでに映画を観た人も読んでみて欲しい:
作品のテーマは「片隅」に生きた人々の生活を描くことにあるが、そのためには「世界」を本物にしなければいけないという、監督の信念が過剰なまでの時代考証に反映されているのが、もう驚きをとおりこして畏怖のレベル。こうの作品の真の理解者でなければここまではできない(という意味で、こうの作品の読者として心底尊敬する)。
「本物」つったらいまどきは精緻なCGでどうにでもなるけど、たとえばインタビューにもある呉の色付き対空砲火なんて、アニメとして描かれたからこそ、すずの描きたいという欲望に火をつける説得力が出るわけで、やっぱりアニメでやらんと意味がない。さんざんリアルを調べあげて、あえてこうの史代タッチの絵で表現するからこそリアリティが出るんだ。
原作を精読した上で映画を2回みたけど、まだぜんぜん足りない気がする。表層的な「物語」はちゃんといまどきの「わかりやすいアニメ」になってるくせに、一皮むいた下のレイヤーには底の見えない世界が広がっている。潜るのは怖いけど、潜らずにいられない、そういう作品だ。
*1 リアルで会う可能性のある人は事前にリクエストくれれば持っていきます。