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ただのにっき


2013-08-06(火) [長年日記]

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか(Brian W. Fitzpatrick)

だいぶ前にオライリーから献本していただいたのだが、紙だったのでどうしようかなーと思っていたらすぐに電子版が出るという噂を聞き、待っていたらアメリカ出張中に送ってくれたのだった。おかげで帰りの飛行機で読めました*1。電子書籍バンザーイ。

とはいうものの、実は本書に対しては(悪い)先入観がある。事前にartonさんの評を読んでざわっときたのだ。本書を開いたら冒頭に「ミッションステートメント」が出てきてそれは疑惑に変わり、さらに文中に「信頼残高」の用語が出てきて確信した。この本の著者、フランクリン・プランナーやってるだろ! 文献の中に「7つの習慣」が出てこないのが不思議なくらいだよ。

10年も前の話だが、会社でフランクリン・プランナーのセミナーを受けさせられて、あの考え方に心底ムカついた記憶は10年たっても薄らいでいない。この本が同じロジックで書かれていたらたぶん最後まで読めないと思う。

いや、これを書いてるってことは最後まで読めたんだけど(笑)。

当時のセミナー講師がよほど下手くそだったのか、それとも本書の語り口がうまいのかはわからないが*2、本書がプロジェクトの成功のためにとるべき合理的な行動指針というスタンスを貫いているからなんとかなっているのではないかな。Googleに勤務している向井さんの評にも同じようなことが書いてある。内面はどうでもよい、表面的にこうすればうまくいく、という話だ。

そう考えれば、まぁおれだってもう20年以上もフリーソフトウェアに関わっていて、だいたいここに書いてあるようなプロジェクト運営をしてきてるしな。そういう意味では知らないこと、目新しいことはほとんど書かれていなかったと言っても良い。電子メールの向こうにいる人には表面的にでも謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)をもって接しないとあんまりうまくいかない。それは自分の経験則に照らしてもagreeだ。

ちょこちょこ著者たちの「内面」がのぞいてしまい、HRTの三本柱が崩れたりするあたりもそれを裏付けるようにも思える。LinuxカーネルチームがHRTに欠けていると名指しで批判しちゃったりしてね。あれはあれでうまくいってんだから、それこそもっと「謙虚」になるべきじゃないかね、とおれは思うが。

というわけで、プロジェクト成功のため、とドライに割りきって読むならアリ。しかし、永続的な人間関係にまで本書のやり方を持ち込もうとすべきではない、とおれは思う。フランクリン・プランナーは人生のダークサイドだ。

↓Amazonの紙版は品切れ中だがオライリーから直接買える。もちろん電子版はDRMフリー。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか
Brian W. Fitzpatrick
オライリージャパン
¥2,420

Tags: book ebook

*1 Kindlizeする環境はなかったのでPDFのままNexus7に入れて読んだ。

*2 翻訳はとてもこなれていて良い。もっとも「いつやるの、今でしょ!」はすでに風化しつつあるので使うべきじゃなかったと思う(笑)。

帰りの機内で観た映画2本

アメリカからの帰りは寝ないで映画を見ていた。以下の2本。

オブリビオン (サントラ・ショートエディションCD・eCOPY付き)(初回生産限定) [Blu-ray]
トム・クルーズ
ジェネオン・ユニバーサル
¥2,376

ぜんぜん期待しないで観たら、意外とまともなSFプロットだった。映像美でごまかされてる部分もあると思うけど、けっこう面白かった。オチは、SFに不慣れな人には拒否反応あるかもなー。SF者としては十分ありだけど。

B00E6061NU

こっちも期待してなかったけど、原作厨にもわりと安心して観られる出来だった。さすがに銃撃戦は映像化すると迫力が出る。でも郁と堂上の身長差はもっと大きいんじゃないかね。

Tags: movie

2013-08-05(月) [長年日記]

Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(7)

続き。あいかわらずこの日記は10日ビハインドで進んでおります。

アメリカ最終日。あとはもう、飛行機に乗るだけである。この、ウォシュレットもないようなトイレ後進国ともやっとおさらばだぜー!! と考えたら寝付けなくなってしまい……いや寝付けなかったのは本当だけどトイレ関係ない……まぁいまから日本時間に合わせて活動しておけば時差ボケにも対応しやすいか。

というわけでほとんど寝ないで朝を迎える。6時すぎに自宅にハングアウトしたあと「TVからチェックアウトできるよ」という案内を信じて操作するもダメだったので、少し早めに出て対面チェックアウト。空港へのシャトルバスが向かいのフラミンゴホテルから出ていると聞いたので、Caesarsから道を渡ろうとするも、なんと歩道橋が閉鎖中。警備していた警官に道を聞いたらこれが嘘っぱちで(まさか警官が嘘の道を教えるというのが信じられない日本人)、ぐるぐる回ってようやく到達。この一週間で一番汗かいた。

[写真]RUBY'S DINERでフレンチトースト

朝食抜きだったので空港で「Rubyistならここでしょう」ということでRUBY'S DINERに入って(ただし同僚はPythonista)、フレンチトーストを頼む。思いのほか甘くなくておいしかった。

行きと違って帰りはLA経由だが、ターミナル間の移動でいったん外に出てシャトルバスを捕まえなきゃいけないわ、そもそも国際線のターミナルに人名がついててしかもそれが四文字に短縮表記されたりする不親切さで、いっしょになった上野(宣)さんらとウロウロ。なんとかたどりついたANAの搭乗口付近には土産を買う店もないという。とほほ。サンフランシスコの方が何倍も楽だなぁ。

帰国便はとうぜん日付変更線を越えるので到着は翌日(8/6)だけど、このまま続けよう。けっきょく機内でも寝ることはなく、本1冊、映画2本を見て無事到着。成田でリムジンバスに乗るために外に出ただけで蒸し暑さに死んだ。たぶんしばらくはアメリカのカラッとした気候を懐かしく思うことだろう。

20時ごろ帰宅して、休むまもなくグスタフの散歩。そういえば帰還兵を迎える感動的な犬の動画が話題になって、その後猫版のパロディも作られたけど、うちの猫たちは中間くらい。犬ほどの大歓迎ではないけど普段の倍くらい歓迎してくれたよ。

Tags: travel

2013-08-04(日) [長年日記]

Black Hat USA 2013 & DEF CON 21に行った(6)

続き。水を買おうと思ってホテルの自販機コーナーでクレジットカードを通そうとしたら認識してくれなくて(そもそもカードで水が買えるというのがびっくりなんだが)、何度かリトライしただけで警備員が飛んでくるアメリカ怖いです。

[写真]Black Hatに続いて、床に貼られたでかいロゴの写真。こういうの日本のITイベントでもあればいいのに。

DEF CON最終日。昨日さんざんピッキングの練習をしていたのでなんだかまだ手が金臭いんだけど、今日もピッキングの部屋へ。いいんだよもう、土日なんだから。いや、もちろん講演も聴いているのだけど、朝2番目の講演者に、スライドも原稿もなしに30分ノンストップで自由に関する話をされてだいぶ守コストを削られたので英気を養わなくてはな。でも、ブラウザを使って分散ストレージを作る話は馬鹿馬鹿しくて面白かった。こういうネタっぽい発表があるのもDEF CONならではなんじゃない?

そういえば日本ではトイレの脆弱性の話がなんだか深刻そうに報道されているけど、これをネタにした発表もDEF CONにあって聴いていた。いろんな家電をハックして楽しもう的な趣旨(だと思う)の発表で、報道されているような深刻なノリではなかった(LIXILの見解に同意だ)。FUDじゃねーのこれ。

さて、クロージングを待たずに帰ろうかと話していたんだけど、DEF CON内イベントとして薄暗い部屋に初日からずーっとこもって戦っていたCTFの人たちの表彰だけでも見ていこうということで、クロージングにも参加することに。CTFは地味だけどやはりDEF CONの華で、クロージングでも登場は最後の最後だった。予選を勝ち抜いて日本から参加していた我らがヒーローsutegoma2は、試合経過を見ている限り6位だったと思われるので表彰はされなかったけど、それでもこれまでの最高順位ですごい成績。本当にお疲れ様でした。

そんなこんなでDEF CONも終了。楽しかった。英語ができればもっと楽しかったと思うけどまぁいいや!(ぉぃ)

ホテルに戻って土産を買い、最後の夜はここで食べようと話をしていたレストランに入って、「2ポンドある」というサーモンの料理を3人で分けあいながら「これなら食べられるね」とか言っていたら、副菜のつもりで頼んだ「ほうれん草のサラダ」が実は「ラーメンどんぶりサイズのボウルになみなみと盛られたほうれん草のソテー」だったときの衝撃といったら。アメリカは油断がならねぇ国だよまったく。なお写真はありません。ショックで撮り忘れたか。

Tags: travel
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