2011-07-02(土) [長年日記]
■ ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)(パオロ・バチガルピ)
この設定の話は読んだことあるなぁと思ったら、数年前、SFマガジンに同じ世界を舞台にした短編が載ったんだね。極端にエネルギー供給が低下した近未来、なにしろメジャーなエネルギー源は遺伝子改良された象を使って巻いたポータブルな「ゼンマイ」なのだ。電力なんて一般人にとっては夢のまた夢なので、インターネットは影も形もない。ぶっとんだ設定だけど意外とリアリティがあるのは、この状況が現代の写し絵みたいになっているからだ。
「ITの次はバイオだ」と言われ初めてもう10年以上になるような気がするけど、この世界では遺伝子改良の結果、さまざまな疫病や、多国籍企業の知的財産にがっちり守られた不稔種子が幅を効かせている。そんな中、舞台になるタイ王国は自前の種子バンクを武器に強い鎖国政策をとり、外部からの「侵略」を辛うじて抑え込んでいる。この状況、バイオをインターネットに、タイを中国に置き換えると、けっこう現代の状況に近い。
そう考えると、はたして「万里の長城」は崩壊するのか、それとも侵略を食い止められるのか、作者がどんな結末をつけるのかがぜん興味が出てくる(もちろんそんな白黒はっきりした結末がつくわけがないのだけれど)。そんな状況下でさまざまな思惑を抱えた複数の主人公たちの行動が、絶妙にからみあいながら進む物語も実に面白い。各賞総なめなのもわかるねぇ。
ただ、題名の「ねじまき少女」は主人公の一人ではあるけど、重要なトリガーをひきはするものの特段に目立つ活躍をするわけではないし、なんでこんなタイトルなのかよくわからない。もっともこのシリーズの国内発表された短編のタイトルも「カロリーマン」「イエローカードマン」(どちらも本作の主人公たちの一部)なわけで、まぁそういうルールでタイトルを決めてるだけなのかもね。
9784150118105
2011-06-30(木) [長年日記]
■ Googleプロフィールで名前を偽ろうとするとロックがかかってGoogle+に投稿できなくなる
話題の「Google版Facebook」こと「Google+」、今日になって一般向けの招待を始めたらしく、急に身辺が騒がしくなった。Google内部にも知り合いが何人もいるし、その周辺にはアーリーアダプターが群れをなしているわけだから否が応でも目につく。というわけで、さっそく招待してもらって使い始めた。
Google+そのものに関しては、まだまだ未完成な部分もあるし、実装されている機能に関してはすでに詳細なレビューが出回っているのでいちいちここでは書かない。Facebookよりも優れた部分もあるし、そうでない部分もある。使っていて気持ちいいのは確かだけど、なにしろソーシャルグラフがまだ小さいから、役に立つかどうかもよくわからん。
ただ、Googleの本気度はよくわかった。というのも、プロフィールをいじっていたらアカウントをロックされてしまったから(笑)。
いや、Google+の自分の名前のところが、ファーストネームしか出ないものだから「ただし」と表示されてるのが気に食わなくてさ。「ただただし」とフルネームで出ているところに意味があるわけじゃん、自分の場合。だから、ファーストネームを「ただただし」、ラストネームを空欄にしようとしたらハネられて、じゃあ代わりに何か記号でも入れておくかと思っていくつかのパターンを試していたら、こんなことを言われてしまったという:
プロフィールを審査しています。
プロフィールが Google のコミュニティ規約に違反しているとの報告があったため、現在審査中です。審査中は、有効なプロフィールが必要な Google サービスを完全に使用することはできず、他のユーザーにプロフィールを見てもらうこともできません。しばらくしてから審査結果をご確認ください。
こうなると、spamアカウントの疑いがあるためか、プロフィールそのものが他のユーザから見えなくなる。それだけでなく、Google+での投稿にも制限がかかるようだ。ステータスを更新しようとすると:
「+1」でイイネしようとすると:
いやー、Googleさん、本気でリアルなソーシャルグラフを構築させようって腹だね! それはよーくわかったから、はやくロック解除してくれ~。
2011-07-01追記
24時間を経過しても元に戻らないので(機械的にはじいてるくせに、もしかして本当に人間が審査しているのだろうか?)、右下に表示されていた「ご意見・ご感想」から「ざけんな、とっとと元に戻せ!」という(意味だけどもうちょっと丁寧な)メッセージを送ってみた。いやホント、Google+だけでなくBuzzもLatitudeも使えないから不便で不便で(というほど使い込んでいるわけではないけど)。
2011-07-03追記
丸4日経過したが、いまだ「審査中」からステータスが変わらず。あのさー、有料ストレージまで購入して、もう何年も使い続けてるユーザのアカウントをロックして、新しいGoogle+だけでなく従来のサービスまで使えない状況でこの放置っぷりはどうなのよ。
Twitterでの反応をみていると、おれと同じようにプロフィールの公開情報をコントロールしようとした人の多くが、同様なロックを食らっているらしいし、あきらかに自動spam識別のアルゴリズムがバグってんじゃん。とっとと直せよ、ったく。Googleだせぇ。
2011-07-06追記
長らく「審査中」だったプロフィールの画面に「誤って停止されている場合はプロフィールを再送信して下さい」というメッセージがリンクとともに追記されていたのでクリック。何か送ったらしいが、少なくともページの内容は以前の「審査中」に戻っただけ。
2011-07-11追記
ついに丸10日が経過したが変化なし。「Google+をGoogle Appsにも展開予定」なんていうアナウンスもあったようだけど、そんなことより(ry
2011-07-12追記
昼前にいきなり復活した。詳細は12日の日記にて。
2011-06-29(水) [長年日記]
■ Googleの新しいトップバーはアクセシビリティ的に問題があるんじゃないか
Googleのトップバー……という呼び方でいいのかどうかよくわからないけど「ツールバー」だと別物になってしまうし、グローバルナビゲーションとはちょっと違う気もするし……のデザインが変わって、濃いグレーの背景に薄いグレーの文字になった。まぁ、すっきりしていて邪魔にならないけど、この組み合わせはアクセシビリティ的にまずいんじゃないの? WCAG 2.0の1.4.3では、レベルAAで4.5:1以上のコントラスト比を求めているのだが。
……と思ってカラー・コントラスト・アナライザーで調べてみた:
ありゃ。5.9:1もあるのか。意外だ。というわけで、数値的にはなんら問題がないことがわかったのだった*1。モノトーンの配色はコントラストを確保しやすいとはいえ、Googleあなどれんなー。
もっとも、弱視の知人によれば、この配色は「見づらい」そうなので、直感的にコントラストが足らないと感じたのは間違いではなさそうだ。前景・背景ともにグレーの配色を使うときは、数値以上に高コントラストにした方が良さそうなのは確かである。
追記
その後、WAICのWebアクセシビリティ専門家たちと少し情報交換→Togetter上のまとめ
*1 正確にはコントラストに問題はないが明度差が足らないという指摘をすべきか。
◆ tmatsuo [たださん、復旧に時間がかかってしまい申し訳ないです。私の方で調べたいと思いますので、一度 tmatsuo_at_go..]
◆ 黄金指♪夢@339 [うちも同じ現象で困っております 何かいい方法はないんでしょうか・・・・]
◆ NORTH [本日同様の症状になりました。10日もですか。。。。その後どうなったのでしょう。 はてさて困ったものです。]
◆ akowkrow [私もGoogle+で同じ事になりました。Google側はプロフィールを明確にして下さいとの事!ニックネームでは無く普..]