2010-12-09(木) [長年日記]
■ テキストファイルをKindle3用の縦書きPDFにした
某所からテキストファイルになった小説を入手したので、これをKindle3で読みたい。せっかくの小説なので縦書きで。KindleGenを使ってできるのは(たぶん)横書きなので、自分で縦書きのPDFを作るしかないかなー、と思い、手元にある道具だけで作ってみた。
といっても、使ったのはOpenOffice.org Writerだけだけど。
用紙サイズをA5に、フォントは(よさげな明朝体フォントがなかったので)「MS 明朝」、フォントサイズは20ポイント、行間130%にすると、1ページあたり12行、1行30文字程度になって、これがKindle3にちょうどいい感じ。ただ、このままPDFにすると、空白の多いページがKindle上では文字部分がいっぱいに広がってしまい(「fit-to-screen」の罠)、かなりびっくりするので、ページの四隅に点を打つという(よく知られた)テクを使う。OOo Writerの場合は、ヘッダ/フッタに最小のフォントで「.」をページ左右に打ち、それらの文字色を一番薄いグレーにするといい感じだ(文字色を白にしてしまうとKindleには無視されるようだ)。
こんなテンプレートを用意しておいて、あとはテキストファイルをコピペで流しこめば、いっちょあがりである。まぁ、OOo Writerはまだいわゆる半角文字の扱いがうまくないので、こだわりの縦書き書物を作るにはちょっと機能不足なんだけど、まぁ細かいことは気にしない。
件の小説を出すわけにいかないので、今日読んでたいへん感動した「赤松健インタビュー」を流しこんで、OOo Writerの機能でPDF化、Kindleにコピーしてみた:
いやぁ、これくらいの文字サイズだとまったく苦労することなく気持よく読めるねぇ。あらゆる本がこんな感じで入手できればいいのに!
2010-12-08(水) [長年日記]
■ 金星探査機「あかつき」、(1回目の)軌道投入に失敗
昨日の朝に実施された「あかつき」金星軌道投入の逆噴射を固唾を飲んで見守っていたのだけれど(いや、仕事はしてたよ!)、可視になっても通信が回復せず、その後LGA (Low Gain Antenna)での通信回復、自動でセーフモード入りしていたことの発覚などなど、わが町相模原がこれほどテレビに映った日はないんじゃないかと思うくらい激動の1日だったのだが、けっきょく周回軌道には乗っておらず、今回の軌道投入は失敗ということになったようだ*1。
今は自慢のフェイズドアレイアンテナによるハイゲインな通信ができているようなので、探査機自体は元気、姿勢制御などにも問題はないようだけど、肝心のセラミックスラスターが無事なのかどうかはわかっていないようだ。いやはや、惑星探査は難しいねぇ。
普通、惑星探査で軌道投入に失敗したら、それで探査計画はオシマイになるものだけど、「はやぶさ」以来の強運がここでもISASを救ったのか、太陽を周回する軌道に乗った「あかつき」は6年後にもう一度金星と邂逅するということで、再チャレンジできるらしい。だから「1回目」の失敗。
って、いやいや、マジかよ! 6年なんて探査機の設計寿命は終わってるし、しかも金星よりも内側の軌道に入っているから温度も高い。だいたい、6年間もプロジェクトを維持するって大変だぞ。……と、不安要素はたっぷりだけど、あの「はやぶさ」を帰還させたISASのこと、きっとやってくれるに違いないという、なんというか、不条理な期待を抱いてしまう。こうしてハードルはどんどん上がっていくのだなぁ。いっしょに予算も上がればいいのにね……。
上の図は、Twitterの「宇宙クラスタ」で作られた応援ワッペン。「あかつき」の次の6年間にたどる新しい軌道が描かれている。元画像はこちらなんとか成功して欲しいものです。
*1 臼田の可視が終わったあと、地球局がNASAのDSNマドリッドに引き継がれたと聞いて、「あの70mがいま『あかつき』を追っている!」と想像したら、それだけで鼻息が荒くなったよ。
2010-12-07(火) [長年日記]
■ E Inkのページめくりは遅くないよ!
正確には「最初は違和感があってもすぐに慣れるよ」だけど。
高橋さんがSONY Readerを触ってきたという記事を書いていたので読んだのだけど、やっぱり「E Ink遅い」的な感想を抱いたみたいなので、最近すっかりKindleラブになったおれが「それは違う」という主張をしておきたい*1
いや、おれも去年Kindle DXをちょっと触らせてもらった時、ページめくりの時に一瞬画面が暗転して、のんびり書き換わるのを見て「これはないわー」と思ったので、「ちょっと触った」程度のインプレッションがそうなるのはよくわかる。Kindle3になってだいぶレスポンスがよくなったとはいえ、特性上暗転するのも書き換えが目に見えるほどなのも変わりはないだけど、でもね、そんなのすぐに慣れちゃうのよ。
よく考えてみて欲しいんだけど、紙の本だって、ページをめくると今まで見ていたページが歪んで縮小していき、次にざらざらした紙の断面が見えて、次のページが歪んだ形で登場、という過程をへてやっと読めるようになるのだ。おそらく文字が読めるようになるまでにはE Inkより時間がかかっているし、その間の「エフェクト」たるや、かなり特異なものだ。ところが本読みはそんなこといちいち気にしない。
今までKindleで何冊か本を読んでみたけれど、このE Ink特有のページめくりエフェクトについては、もうまったく違和感がない。というか、気になったのは最初の数ページくらいで、あっというまに慣れちゃった。だから、ちょっと触った程度の人の「E Inkのページ書き換えが好きになれない」というインプレッションを真に受けてはいけない。人間は簡単に順応する生き物なのだから。
ただ、Kindleそのものの性能に起因するディレイはたしかにある。どうやら次のページのデータはちゃんと先読みしているようで待たされることはほとんどないのだけど、パラパラとめくったりして先読みが追いつかなくなると、ちょっと待たされるかなー、という時はある。これはE Inkに罪はなくて、性能を削って(価格を下げた)Kindleの仕様に起因するものだ。より高価格なSONY Readerでは改善している可能性はある。
*1 SONYの擁護をするわけではない。ネットワーク接続できない時点でSONY Readerは「なし」だね。タッチパネルは魅力だけど(←弱腰)。
◆ sasasin [なんという車輪の再発明... http://a2k.aill.org/text.html]
◆ ただただし [しまった、存在は知っていたのにすっかり忘れていたw まぁ、一部装飾したいページもあったので、自前で作れるようになっ..]