2010-12-07(火) [長年日記]
■ E Inkのページめくりは遅くないよ!
正確には「最初は違和感があってもすぐに慣れるよ」だけど。
高橋さんがSONY Readerを触ってきたという記事を書いていたので読んだのだけど、やっぱり「E Ink遅い」的な感想を抱いたみたいなので、最近すっかりKindleラブになったおれが「それは違う」という主張をしておきたい*1
いや、おれも去年Kindle DXをちょっと触らせてもらった時、ページめくりの時に一瞬画面が暗転して、のんびり書き換わるのを見て「これはないわー」と思ったので、「ちょっと触った」程度のインプレッションがそうなるのはよくわかる。Kindle3になってだいぶレスポンスがよくなったとはいえ、特性上暗転するのも書き換えが目に見えるほどなのも変わりはないだけど、でもね、そんなのすぐに慣れちゃうのよ。
よく考えてみて欲しいんだけど、紙の本だって、ページをめくると今まで見ていたページが歪んで縮小していき、次にざらざらした紙の断面が見えて、次のページが歪んだ形で登場、という過程をへてやっと読めるようになるのだ。おそらく文字が読めるようになるまでにはE Inkより時間がかかっているし、その間の「エフェクト」たるや、かなり特異なものだ。ところが本読みはそんなこといちいち気にしない。
今までKindleで何冊か本を読んでみたけれど、このE Ink特有のページめくりエフェクトについては、もうまったく違和感がない。というか、気になったのは最初の数ページくらいで、あっというまに慣れちゃった。だから、ちょっと触った程度の人の「E Inkのページ書き換えが好きになれない」というインプレッションを真に受けてはいけない。人間は簡単に順応する生き物なのだから。
ただ、Kindleそのものの性能に起因するディレイはたしかにある。どうやら次のページのデータはちゃんと先読みしているようで待たされることはほとんどないのだけど、パラパラとめくったりして先読みが追いつかなくなると、ちょっと待たされるかなー、という時はある。これはE Inkに罪はなくて、性能を削って(価格を下げた)Kindleの仕様に起因するものだ。より高価格なSONY Readerでは改善している可能性はある。
*1 SONYの擁護をするわけではない。ネットワーク接続できない時点でSONY Readerは「なし」だね。タッチパネルは魅力だけど(←弱腰)。
2010-12-06(月) [長年日記]
■ jQueryクックブック(jQuery Community Experts)
たしかこの本を通勤中に読むためにKindleを買って自炊をしたはずなのに、いつの間にか自炊そのものが目的化してしまい(よくある話)、今日になってようやく読み終えることができた。ちなみにこのサイズの書籍だとKindle3に1ページ表示ではいちおう読むことはできるけど目が悪くなるので、横にして(1ページで1、2回スクロールして)読むのが良い。まぁ、一覧性は多少落ちるけど、たいして苦にならなかったということは記しておきたい。
クックブックとかレシピ本には、ほどよい広さとほどよい深さのバランスが求められると思うのだけど、本書はそれが実にいい感じ。広さという点ではjQueryのトラバースやマニピュレーション、ユーティリティとAjax、UIからユニットテストまでひと通りの網羅性がある。かといってマニュアル的に微に入り細に入るような部分は適度にはしょられていて、深みにはまりすぎない節度がある。
じゃあ浅くてダメかというとそうではなくて、プラグインの探し方やテーマの拡張方法なんかにもちゃんと触れられているから、読者が次のステップに進むための道案内もしっかりしているのだ。ユニットテストの章まであるのには驚いたけど、現代的で実に素晴らしい。もっとも今は本書で扱っているQUnitよりもJasmineの時代みたいだけど。
なんにせよ、これはいい本ですよ。jQueryを触る機会がある人なら必携でしょう。というか今や「JavaScriptやるならjQueryは外せない」時代なので、Webを作る側の人はみんな読んでおいて損はないんじゃないの?
2010-12-05(日) [長年日記]
■ Kindle3向け自炊本作成手順、(おれ的)ベストプラクティス
注意: この記事は古くなっており、現時点ではベストでもなんでもなくなっている。進化した「Kindlize手法」についてはKindle3向けdot by dotな自炊PDFを(真面目に)作成するを参照されたい。
あれこれ試行錯誤の末、自分的にだいたい納得できるクオリティの自炊本作成手順ができたのでメモっておく。対象はKindle3。
例えばiPadをはじめとする大型タブレットだとこういう苦労はあまりなくて、気にせずフルカラーかグレースケールでスキャンしてPDFにしてしまえば難なく読めるんだろうけど、Kindle3やSONYのアレみたいなモノクロの5~6インチ画面向けにはいろいろ最適化が必要だ。だからKindleダメというわけじゃなくて、この軽さ、小ささ、そしてE-Inkの美しさを享受するためにちょっとした手順が増えることは厭わない、という話だ。
1. スキャン
自炊派の人たちの間では、この時点で各自のポリシーが違ってくるようだ。保存用にフルカラーで取る人もいるが、それだと古めの黄ばんだ本だと地に色がついてしまって、せっかくのE-Inkの白さが失われてしまう。ので、ここは(どうしてもという場合を除き)「白黒」で。
その他、ScanSnapの設定の主なところは以下のとおり。
- 読み取りモード: スーパーファイン、白黒、両面、文字くっきり、白紙削除、傾き自動補正
- ファイル形式: PDF、テキスト認識「しない」*1
- 原稿: サイズ自動検出
2. トリミング
これはsasasinさんのpdf2mobi.shを使うが、彼の元PDFはフルカラーなので、やはり色々と設定が違う。ので、自分用にパラメタを変更してgistに置いておいた(pdf2kindle現在はRakefile化されてさらに進化している)。GPLバンザイ。方向性としては、
- 画像のリサイズをいっさいしない(かえってサイズが大きくなるので。結果的に第二パラメタをなくした)
- PPM(フルカラー)ではなくPGM(グレースケール)を使用
- 文字くっきり化(ガンマ補正)をやめた(代わりにKindleの機能を使う)
- PDFメタデータを最初に抽出
最後のメタデータだが、Kindle上で本のタイトルはファイル名から取られるけど著者名がPDFのAuthorから取られているので(しかも困ったことに日本語はダメ)、ここで入れておきたい。元のPDFに入れておけばいいじゃんという話なんだが、pdftoppmにはうまく取り出せないパターンがあるようなので、pdf2kindleがせっせと画像変換をしている間に、抽出したメタデータファイルをエディタで書き換えられるようにした。
実行時にはノンブルまで削除するためにトリミングのパラメタも指定する。今のところ文庫メインでやっているけど、ハヤカワ文庫だと「60 30 10 10」、創元文庫だと「35 85 15 15」あたりがちょうどいいみたい。
出来上がりはこんな感じで、こないだのとたいして違わないように見えるけど、実際にKindle上で見るとだいぶすっきりして「いかにもスキャンしました」的な感じがだいぶ薄れている。
3. OCR
できたPDFファイルはざっと出来上がりを確認後、ScanSnap付属ユーティリティでOCRにかける。まぁ、小説だったら別にやらなくてもいいかなという感じだけど、CPUの空き時間を見つけてバッチ処理してくれるモードがあるので、寝る前に仕掛けておけば朝にはできたてホカホカの自炊本ができあがっているという具合なので、やっておけばいいと思う。
あとはUSBでつないだKindleに放りこんでおけばいいんだから、たった3ステップ、楽なもんだ。たいして苦にはならないレベルまで自動化できたので満足じゃよ。
*1 これがONだと連続して複数の本をスキャンしにくくなるので後回しにする。
◆ moriwaka [レイアウトを維持したい場合は -trim じゃなくて -crop にするとよいですね。我が家のLinuxはベアメタル..]
◆ moriwaka [よく確認すると思ったように動いていなかったのでちょっと時間がかかってしまいました…… パッチはこちら: http:/..]
◆ sasasin [画像補正のconvertと同じ要領で、PDF作成のconvertを並列化できます。最初のpdftoppmも、pdft..]
◆ ただただし [>moriwaka ありがとうござます! 参考にします。 >sasasin まぁ、バッチ処理なので寝ている間に動か..]
◆ 倉橋 [pdf2mobi.shについてまったく使い方が分からないのですが、結構難しい話なのでしょうか?]
◆ ただただし [倉橋さんのスキルやお使いのOSがわからないから、「分からない」だけではなんとも答えようがないですよ。 Linuxユ..]
◆ takahashim [ええと、とりあえずKindle2とiriver storyを買ってあれこれ試してた人間の感想だと思ってください。両方..]
◆ ただただし [高橋さんが買ってないわけないか、ゴメン。でもパラパラ(による検索)が苦手なのはE Inkのせいじゃなくて電子書籍一般..]
◆ yosh_s [Sony Reader、画面真ん中から左右どちらかにフリックした状態で指を止めると「流し読み」モードなり、結構なスピ..]