2006-07-01(土) [長年日記]
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グリュフォンの卵 (ハヤカワ文庫SF)(マイクル スワンウィック)
本格宇宙SFから、ファンタジー、ポリティカル・フィクションまで、スワンウィックの「性能」がよくわかるベンチマークテストのような短編集。突出した大傑作はないものの、どれも及第点以上で楽しめる作品ばかりだった。太陽系のあちらこちらに、やたらと生命を生み出したがるところも、なんだかオプティミスティックでいい。
イーガンみたいに身構えないと読めない作品もいいけど、こういう質は高いが難しくない短編が継続的に読めたら、そっちの方が嬉しいかも。
無関係な余談。
- 本屋を2件もハシゴしたのに、『シンギュラリティ・スカイ』が見つからない。まさか売り切れてるとか!?(追記:3軒目でやっと購入)
- 新生1470.netは、TrackBackの受付けをやめちゃったのかしらん?
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日本ふるさと沈没―ORIGINAL COMIC ANTHOLOGY (ANIMAGE COMICS SPECIAL)(鶴田 謙二 他)
『日本沈没』をネタに、複数の漫画家が自分の出身地に関するパロディを描くという、限りなく同人誌っぽい発想のアンソロジー(だがもちろん、映画の公開に合わせた非常に商業的な企画である)。鶴田謙二が描いてる、というだけで、かみさんが買ってきてくれた。もつべきものは、理解のある妻だな! つーか鶴田謙二、20ページ以上も描いてるし。そりゃ、日本も沈没するわけだよ。でも、小野寺だけを女性化するという絶妙なさじ加減はさすが。
内容はもちろんだが、北から南に出身地別に漫画家を並べるという構成が面白い。何が面白いって、北海道出身の漫画家はみんな面白くて、九州はその次に面白くて、本州はそうでもないということがわかるのが面白い(四国は1人しかいないので比較のしようがない)。地方で育ったほうが、妄想力が強化されるからだろうか(←問題発言)。
とりあえず、あさりさんの特定世代向けギャグが一発でわかってしまった件について、喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら。
2006-06-30(金) [長年日記]
■ W-ZERO3のPQBoxに大富豪辞書を適用する
W-ZERO3上での日本語入力はPQBox(PPC版)で決まり! ……となったわけだが、一般的に配布されている辞書は欠けている単語が多すぎて、ちょっと実用には遠い。
Palm版を使っていた人におなじみの大富豪辞書を使いたいと思ったが、PQBox用に変換されたものを配布しているところはないようだ(富豪辞書はあるみたい)。「大富豪を使っている」という声はいくつかあるんだけど、配布してる人はいないのかなぁ。
しかたがないので自作。変換方法を見つけたので、Rubyでちょっとスクリプトを書いた。最終的にできあがった「128分割辞書」はdaifugo-pqbox-ppc.20060630.zip(追記: のちに改善版を公開)。どうしても自動化できない部分もあり、多少の手作業が入ってしまったのが悔やまれる。
上の変換方法にあるように、PQBoxは「パタン文字列」をPalm版由来のローマ字でなく、ひらがなで持ってしまっているので、欠落した送り仮名情報を補うためにただでさえ大きなデータがさらに肥大化してしまった。同じ理由で、英単語→日本語変換辞書も割愛せざるを得なかった。また、ローマ字→ひらがな変換の過程でダブった単語を削除するためにsort + uniqをかけたため、単語の出現順序が文字コード順に(結果として学習の手間がかかる)。以上、すべて「パタン文字列」ひらがな化の影響。どういう意図でこういう設計変更をしたのか、理解に苦しむ。
なお、ローマ字の扱いには、suikyo(水鏡)におおいに助けられた。Rubyバインディングがあるのはもちろん、ちゃんとDebianにパッケージが入ってるし! すばらし! 標準の「romaji」テーブルを変更して、「清音・大書き」用のテーブルを作るだけで一発変換。これがなかったら挫折してたね。
あとは顔文字はバッサリ(好みの問題)。
実際にインストールしてみたが、予想通り出現順序の問題はあるものの、それは学習が進めば解消するわけで、かなりストレスなく文章が入力できるようになった。とはいえ、学習の手間はバカにできないかも。大人しくdic-tk MEあたりを変換して使うか? いずれにしても、快適環境作るのにずいぶんと手間暇がかかるヤツだのぅ >W-ZERO3
2006-06-29(木) [長年日記]
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さんさん録 (2) (ACTION COMICS)(こうの 史代)
1日遅れで買ってきた。2巻で終わりとは聞いていたが、そんなに話が大きく動くわけでもなく、1巻の雰囲気そのままでひっそりと(それでいてとても暖かく)終わった感じ。余韻もあっていい。
こうの史代はもう、今後はまず『夕凪の街桜の国』を代表作としてしか語られないように思うけど、個人的にはこの『さんさん録』こそを代表作としたい。「こうの史代にしか書けない度」が、こっちの方が上だから。
◆ ishinao [> 新生1470.netは、TrackBackの受付けをやめちゃったのかしらん? Trackback受付やリンク解..]
◆ ただただし [その「がちがち」の部分に興味深々です:-) >ishinao]