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ただのにっき


2017-05-04(木) [長年日記]

臼田宇宙空間観測所と野辺山宇宙電波観測所へ

臼田64m後方から

なんか、今年のゴールデンウィークはかつてないほどアクティブなような。バイク乗りたい熱が高まっているので、いつもの信州アンテナコースへ。とはいえ中央道は混んでるだろうから、R299で行く。「酷道299」といえば、十石峠の東側の山道がほとんどの通行止めなことで有名だが、事前に調べてみるとなんか今年はちゃんと通れるらしい。ほんまかいな。

……と疑ってみてもしょうがない。ちゃんと通れた。冬季閉鎖明けにもかかわらず落石跡もごく少なく、例によってコーナーには砂が浮いているけど想定内。想定外だったのは、こんな道とは知らずに迷い込んできたサンデードライバーが、両側に20cm以上空きがあるのにすり抜けができなくて立ち往生、みたいな悲惨な現場に出くわした程度である(死)。それ以前に、飯能~秩父あたりの渋滞でいったん死んだけどな。やっぱり連休中の遠出は控えるべきだったか。

それでも好天に恵まれて、絶好のアンテナ日和。ほどよい雲が白いアンテナに対比して、いい絵面であります。通信相手は「はやぶさ2」だろうか。それとも「あかつき」か。あかつきはいま太陽近くのはずだから違うかな。

臼田の見学範囲がまた狭まった

臼田も最近は見学者が増えていて、今日なんて昼ごろ着いたら駐車場がいっぱいなの。いいことなんだけど、一方で見学禁止区域がまた増えていて、アンテナの周囲は180度くらいしか見て回れない。前回行ったときにはフェンス沿いに向こう側まで回り込めたのになぁ。見学まわりの方針がコロコロ変わるの、やめて欲しいよ。

野辺山10m干渉計

そんなわけで駐車スペースを明け渡すべく早々に切り上げて南下。どこかで昼飯でも……と思ったけど、連休真っ只中だからかどこもいっぱいで、しょうがないのでコンビニでパンを買う。一人旅だと食べ物にはこだわらない。

野辺山の駐車場もいっぱい。45mはお休み状態だったので、先月常設化された「自然科学研究機構 野辺山展示室」へ。4D2Uシアターの14時からの分の整理券をもらう。シアターの開場を待つあいだ中を見学してまわったけど、天文だけじゃないいろんな研究分野にかんして学べて良い。手作り感満載だけど。

4D2UシアターはおなじみMitakaを偏光レンズ眼鏡をかけて見るアトラクション(?)で、観測可能な全天の星々を3D(+時間軸で「4D」)でグリグリ動かして太陽系から原初宇宙までをたどってみせるたいへんレベルの高いプレゼンテーション。いやー、最近仕事でプレゼンする機会が多いもんだから、こういうの見せられると燃えるな(反応するところが変です)。初めてじっくりみたけど、Mitakaはすごいなぁ。学生のころ、大枚はたいて石原藤夫の「光世紀の世界」を買ったけど、あれがせいぜい100光年以内の星図だろ。それがいまでは観測可能な全天だもんなぁ。VR眼鏡欲しくなるわ。

野辺山の電波ヘリオグラフ

外に出たらそろそろ15時すぎで、とっとと帰らないとヤバい時間帯だ。駐車場でヘルメットをかぶりながら振り返ると、さっきまで上向きだった45mが寝てるじゃねーの。えー、まさか観測中? それとも観光客向けサービス!? 慌てて10m干渉計といっしょのところを撮影。なんだよ、いい絵だなぁ。

野辺山アンテナ勢揃い

帰りはいつものように須玉ICから中央道へ。入る前に小仏トンネル前13kmの渋滞だったのが、案内板をみるたびに2kmずつ伸びていって、最終的には19kmにまでなっていた。怖すぎる。まぁ、その中を帰ってきてもたいして疲れないのがBMWのすごいところなのだが。


2017-05-02(火) [長年日記]

赤沢丸昌で絶品磯料理

金目鯛の煮付け

連休中に出かけるならいちおう平日の今日しかないでしょう、ということで、車で伊豆まで。いちおうDHCの赤沢温泉に入ってこようということだけ決めてあったんだけど、それなりに混んでいたので着くころには昼を回っていて、先にどこかで食べようということに。

かみさんが前もって調べておいた「赤沢丸昌」という磯料理の店が近くにあるので行ってみた。「高いけど美味い」という評判だけ知ってる状態(笑)。で、メニューをみてびっくりするわけだ。たぶん初めて来る客のほとんどはびっくりするんじゃないかなー。地方の、磯料理がメインの、庶民的な感じの食堂で、2人分の食事がだいたい1万円コースなので。財布の中身が心配で、何も食べずに出ていく客もいそう。

店は溶岩に張り付くように建っている

店の作りが面白くて、巨大な溶岩に寄り添うように建っている。中に入ると一面がむき出しの岩盤。

赤沢丸昌店構え(上から) 店の外観はこんな感じで、実は麻生みことの「海月と私」の舞台になる旅館がこの店をモデルにしている。

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さて何を食べようかと思案して、まずは「2人で食べるとちょうどよい」と言われた金目鯛の煮付けを。あとはおまかせで2000円くらいのお造りを頼んだ。店の並びにある大きな洞窟がそのまま天然の生け簀になっていて、そこから持ってきた魚をすぐにさばいてくれる。このへんはメニューなんてあってないようなもので、アワビや伊勢エビのような高級食材を選ばなければリーズナブルな刺し身を作ってくれそうである。

で、出てきたのが冒頭の写真にある金目鯛で「こんなデカいの……」と引くレベル。もういい歳なので少食だし、ぜんぶ平らげられるか2人とも不安なサイズ。まぁ、そんな心配はまったく無用で、ご飯と岩のりの味噌汁をお供にしてぺろりと食べてしまったわけだけど。いやー、美味い。骨までしゃぶってしまった。これはすごい(←語彙力)。

店の外の海岸

満腹でしばらく動けなかったので、腹ごなしに店の前の海を眺めながらウロウロして(これがまたいいロケーションなのだ)、それから赤沢温泉へ戻って2Hほど温泉につかる。こっちはまぁ、普通かなー。海に面した露天風呂に手すりがなくて、温泉と海がシームレスにつながっているように見えるのはなかなか良いが、いまどき館内で小銭を持ち歩かないとロッカーすら使えないのはいただけない。休憩室も狭いし。DHCはもう少しがんばりましょう。

のんびりしすぎて夕方になってしまい、JAの土産物屋なんかはもう閉まってしまったが、道の駅あたりを冷やかして帰路へ。明日から本格的にゴールデンウィークが始まるとあって、帰りの上り方面よりも下りの方が混雑していて恐怖しかなかった。明日以降はじっとしていよう(とその時は考えていました)。

Tags: travel

2017-05-01(月) [長年日記]

「ミュシャ展」を観てきた

スラブ叙事詩(1)

おれは9連休だがかみさんは仕事があるので、何日かは一人で遊ばねばならぬ。ということで、今日は(かみさんが興味なさそうな)美術館・博物館めぐり。まずは国立新美術館の「ミュシャ展」へ。『スラヴ叙事詩』全20点をチェコ国外へ初めて持ち出すという大掛かりな展示で、開催当初からけっこうな人出と聞いていたから(日本人はミュシャ好きだからなー)、行くとすればいちおう平日の今日しかない。

国立新美術館は初めてだが、この日、関東は断続的な雷雨に見舞われていたので乃木坂駅から外に出ずに入れるので助かる。隣でやってる「草間彌生展」の方がやや動員多めな感じを受けたが、その印象は多分間違いだと中に入ってわかる。なにせ6m×8mの巨大キャンバスを20枚並べた展示室はまるで体育館で、どんだけ人を入れてもスカスカに見えるわなぁ。

とにかくその巨大さに圧倒されてしまうのだが、ひととおり見て回ってからじっくり近づいてみると、アール・ヌーヴォー時代とは手法は違えどまぎれもなくミュシャで、とくにコントラストの大きく異るオブジェクトを挿入して見る者の視線を誘導したり、人物が枠をはみ出して描くあたりなんて、ポスター描きで培った商業っぽさすら感じる(ので好き)。とにかく、死ぬまでにこれをまた国内で観る機会はまずなさそうなので、観られてよかった。

ご多分に漏れずアール・ヌーヴォーのポスター画がきっかけでミュシャが好きになったので『スラヴ叙事詩』以外の作品もじっくり観たいところだが、残念ながらそれらは狭い展示室に人をギュウギュウに詰め込んだ隙間から観なくてはならないので、ざっくり眺めておしまい。まぁいいや、ポスターは画集持ってるし。

ということで次へ行こう、次へ。

Tags: art

「大英自然史博物館展」を観てきた

始祖鳥

ミュシャの次は上野に出て、国立科学博物館で「大英自然史博物館展」を観るのだ。大英帝国ちほーの飛ぶのが得意なフレンズ(ほんもの)が来てるので!*1

いやー、これまで始祖鳥のロンドン標本はレプリカで何度も観てるし、よくできたレプリカは素人目には本物と区別がつかないのは承知してるが、やっぱり本物を観られるのは嬉しい。これは自然史博物館の初の世界巡回展で、最初の開催地がこの日本だそうなので、じつにありがたいことです。

とまぁ、当初は始祖鳥だけが目的だったんだけど、とにかくどの標本も「これは図鑑に載ってた」「あれはTVのドキュメンタリーで見たことある」なんてのばっかりで、次から次へと登場する歴史的標本の数々にめまいがする。大英帝国マジすげぇ。こりゃかなわんわ*2

そんな博物館の収蔵品を集めたコレクターや研究者たちの紹介を間にはさみつつの展示なのだけど、女性がかなりの割合を占めていて面白い。階級社会で余裕のある人々が金と時間を使って収集した人類の(というか地球の)遺産だ。

イッカク(メス)の頭骨

とにかく楽しくて、出口まで行ってまた引き返して二周してしまった。で、その出口にある最後の展示品が、なんの変哲もないイッカクの頭骨。しかもメスなのであの特徴的な長い歯もない。なんでこんなものが? と訝って中のプレートを読むと、

1949年にイングランドにある川の浅瀬で、陸に座礁して死んだイッカクのメスの頭骨。大英自然史博物館は1913年以来、イギリス国内で座礁したクジラとイルカの全記録を残し、座礁の原因解明や海洋生態系の理解に取り組んでいる。

とある。そしてケースの外側にも、あとから追加したようなプレートまである:

イギリスでは、座礁したクジラやイルカを発見し、大英自然史博物館に連絡する市民のネットワークがある。

このように、市民と協力して博物館標本を充実させている。

ふむー。素直に読めば、現代まで続く100年以上におよぶ継続的な収集が研究の基礎にあって、それには市民の理解と協力があるという事実を書いているだけにみえるけど……穿った見方をすれば、先日あった「学芸員をがん呼ばわりした無学な大臣」(とそれを選んだ有権者)に対する、国立科学博物館側からの強烈な皮肉なんじゃないかしら。

なんて想像をして、ニヤニヤしながら会場をあとにした。もちろん、常設展示場にもちょっと寄って、ティラノサウルスたちにも軽く挨拶をしてから。

*1 ただし始祖鳥が飛べたかどうかは確定していない。

*2 なんて書くと国立科学博物館の皆さんに失礼かも知れないが、そもそも展示の解説がそういうニュアンスを出しまくっているので、たぶん当人たちもそういう気分なんじゃないかと思う。


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