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ただのにっき


2013-01-14(月) [長年日記]

東京Ruby会議10 (2日目) #tkrk10

思えば、昨日のランチのときにKindleを見せながら「バッテリももつし、この中に80冊入ってるから、無人島に放り出されてもしばらくは平気」みたいな話をしていたのがフラグだったのかも知れん。天気予報では雨とのことだったので、また片道2時間かけてえっちらおっちら千葉に出かけたら、午前中のうちにこのありさまですよ:

[写真]会場からみえる雪景色

こんなに積もったのは7年ぶりらしい。午後のセッションが始まる直前、関係者が協議して14時に中止することが決まった。残念だけど、東京の交通機関は脆弱だからしょうがないね。受付では余剰ノベルティを配っていたので、けっきょく最後まで揃わなかったSレア(黒)や勝利報酬の缶バッジをもらった。いわゆる「運営からの補鎮」である(違)。

遠方まで帰ることもあって14時を待たずに撤退したんだけど、最後まで残っていた人たちは京葉線で足止めを食らったりしていたようで、おれは間一髪で千葉を脱出できたようだ。日頃から雨ばかり降らせていると、こういうリターンがあるらしい。

さて2日目、朝っぱらからMatzが電波で語りかけてくるという貴重な体験をしたあとの、SEILへmrubyを組み込む話(@rev4t)とFluentdの話(@tagomoris)が良かった。賢いルータは楽しそう。あとやっぱFluentdはちょっと触ってみないとなぁ。

全体として振り返ると、妙に勉強会やコミュニティ運営の話が目立っていて、ちょっと多すぎるんじゃないのと思った。もちろん話者にとってはそれが唯一の手持ちのネタなのでなんの罪もないが、採択するときにもうちょっと絞ってくれても良かったんじゃないか。というか(これはThe RubyKaigiが定着させてしまった悪しき風習だと思うのだけど)コードの出てこないプレゼンも多かった。まがりなりにもプログラマばかりが集まるカンファレンスで、ここまでコードが出てこないプレゼンなのはいささか寂しいと言わざるを得ない。工夫したポイントはコードで語って欲しいよ。

そういう意味では、技術系の話にしても「定番のフレームワークとPaaSを使ってWebサービス立ち上げました」なんて話ばかりじゃなくて、聴衆おいてけぼりのゴリゴリに高度な話とかも混じってていいと思うんだよ(その観点でPHPの話は良かったね)。今日(中止になって)聴けなかった話のいくつかはそういう向きのもあったような感じなので、いずれ聞けるといいなぁ。


2013-01-13(日) [長年日記]

東京Ruby会議10 (1日目) #tkrk10

[写真]今回のネームプレート Aaron Swartz自殺のニュースが飛び込んできたりして騒々しい朝だったが(これについてはいずれ何か書くかも知れない。天才はどうしてこう夭折してしまうのだろう)、今日は東京Ruby会議10なのだ。開催場所をみればわかるように、うちから見ると「東京Ruby会議」というよりは「東京横断Ruby会議」と呼びたくなるような遠距離で、7時には家を出ないといけない。「東京」の名前にだまされた! ……いやまぁ、どうせ猫に起こされるからいいんだけどさ。

今回は応募のあった発表者のうちRejectされたのが錚々たる面々だったこともあって(錚々としてはいないけどおれも含む)、実行委員会の意図に「世代交代」があるのではないかと噂されていた。実際、知らない人が次々と登壇して新鮮だったな。テーマが「話そう、集まろう、いつものRuby、日常のRuby」ということで、これに沿ったものがちゃんとチョイスされていたと思う。個人的には(仕事の話よりも)自分や自分の周りの人たちを幸せにする工夫をとりあげたセッションが楽しかった。

いつも言っていることだが、我々プログラマはそういうことができる特殊技能を持っているのだから、9to5の間だけそれを発揮するのはもったいない。そんな意味で、初日の中ではThe Everything Machineや(@r7kamura)、Herokuでつくる50人のためのRailsアプリ(@yotii23)がとても良かった。もっとみんな、こういう発表すればいいのになー。

……とか言いつつ、午後はずっと電源休憩室に座って(発表を右耳で聴きつつ)コード書いていたんだけど。いいのだ、良いカンファレンスはコードを書きたくなるものなのだから。

ところで、写真に写っている4つの缶バッジ、他の人と交換して4種類全部集めるというゲーム企画があったのだけど、なかなか揃わないのでこんなTweetをしたら、微妙に流行ってしまったのだった:

これ、オンラインゲーム(現在は主にソシャゲ)でアイテムのトレードをもちかける符丁だから。ちなみに見ればわかるようにまだ揃っていない。「黒」って書かれたバッジがSレア並の希少価値で、持ってる人が少ないのなんのって。2日目には揃うだろうか?

関連する日記: 2013-01-14(月)

2013-01-12(土) [長年日記]

リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)(スコット・ウエスターフェルド)

1年以上前の本ですが(現在、電子積読82冊)。終盤、いいところで物語がバツっと切れて「えっ」となった。三部作の1冊目だそうだ。知らずに買ったおれも悪いが、せめてサブタイトルに「××シリーズ[1]」とか「○○三部作」とか入れといてくれ……。自炊するようになってから裏表紙のあらすじとか読まなくなっちゃったもんなー。ただ、ちょうど先月に最終巻まで翻訳が揃ったようなので、残りもとっとと買うべきだ。

さて気を取り直して。

いやー、いいジュブナイルを読んだ。世のお父さんお母さんはぜひこれをお子さんに読ませてですね、ゆくゆくは立派なSF者にしたててもらいたい(笑)。

最初は「ふーん、スチームパンクか、さすがにそろそろ飽きたな」とか思って読み始めたんだけど、実際は蒸気機関よりは少し時代が下って第一次対戦勃発のころ。イギリスはダーウィンが遺伝子操作技術を開発して一大バイオテクノロジー国家になっており、対するドイツは内燃機関を発達させて多足歩行機で軍を構成している*1。もちろんどちらも「ありえないほど」に進歩しすぎているのでここがファンタジーなわけだけど、それでもクジラの遺伝子から作られた生きた巨大飛行船 vs 地上を八本の脚で移動する弩級戦艦なんてものを見せられたらなんでも許しちゃう気になろうというものだ。とくに飛行船の方はさまざまな遺伝子改変動物たちが独自の生態系を形成していたりして、なかなか面白い&キモくて良い。

これに、育ちも身分も違う主人公の少年少女によるボーイミーツガールがあって、それが実にじれったい進展ぶりで……とジュブナイルの王道もしっかり押さえている。ふたりの違いを際立たせる言葉づかいを選ぶ翻訳もいい感じだ。「イラスト」と呼ぶのもはばかられる挿絵もタッチがちょっとレトロな感じで、雰囲気をもりあげる。これは3冊まとめて買って一気に読むべきだったなー。

リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
スコット・ウエスターフェルド
早川書房
¥1,760

ベヒモス―クラーケンと潜水艦 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
スコット ウエスターフェルド
早川書房
¥1,760

9784153350076

Tags: book

*1 ここで当然「ドイツの科学力は世界一ィィィ」を思い浮かべる。ちなみに副題にある「蒸気機関」はこの世界ではすでに時代遅れな技術なので(ケロシンを使う内燃機関が使われているようだ)、ちょっとそれはないんじゃないのという感じである。


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