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ただのにっき


2012-07-02(月) [長年日記]

楽天koboに期待したい (オープンプラットフォーム的な意味で)

楽天が買収したkoboの日本展開が発表になった。というか今月中に発売か、想像以上に早い! さすが。

価格もすごい頑張ってるし、AmazonのKindleは国内参入と同時にかすんじゃうかも。もっとも、koboの方はkobo Touchのみの販売だそうで、タッチ式の読書端末に否定的なおれとしては現状あまりそそられないのだけど*1。そもそもkoboのサービスにはPersonal Document相当のものがなさそうなのが致命的だ。今やあれがない生活とか考えられん。

とか言ってたら、koboのカーネルはLinuxベースでフリーだと教わった。GitHubで公開されているそうだ:

へー。たしかにメンテしてる人たちもkobo社の社員だ。じゃあ、例えば「DropboxをストレージにしたPersonal Documentもどきをkobo上に構築」なんて真似もできるかも知れないのか。これは夢が広がるなぁ。もっとも、国内向けの端末にはNetFront BookReader(Webkitベース)やフリーでないフォントが含まれるので、そう簡単な話ではないと思うが。というかたぶんソースの全面公開は絶望的だと思うけど。

それより、どこの報道を読んでもDRMに関する記述がないのには呆れるねぇ。過去の情報からするとそのままMarlinを使っているんだとは思うけど。「対応フォーマットEPUB」と書いたところで、それは出版サイドに「つぶしがききますよ」と伝えているだけで読者にはなんにも関係ない。読者にしてみたら対応フォーマットがなんであれ、DRMがかかっていたら最後、自分の手元でバックアップすらできないわけで、いくらカーネルがオープンでも意味ないよ。

たぶん音楽と同様、電子書籍もゆくゆくはDRM撤廃の方向に進むと考えているのだけど、Amazonに対抗する意味でも、楽天koboにはその先陣を切ってもらいたいものだ。いや、夢物語に限りなく近いとは思いつつも、楽天にはオープンカルチャに理解のある技術者がいっぱいいるしさ、ちょびっとくらいは期待してもいいじゃん?

Tags: ebook

*1 Kindleだって国内向けにはTouchやFireしか売らないかも知れない。


2012-07-01(日) [長年日記]

ひさしぶりに時之栖へ

[写真]時之栖、茶目湯殿

裾野の時之栖・茶目湯殿へ。なんかすごくひさしぶり。

雨だったが露天風呂に入ったのだけど、炭酸風呂とかいってやたらと泡が出るようになっていてちょっと興ざめ。あそこはオープン当初は大人向けのすごくいい日帰り温泉だったのだけど、だんだんと手が入って低俗になってしまっているのが残念でならない。地蔵の石像があちこちに置かれ始めたあたりから素人臭が漂いはじめた。最初はちゃんとしたコンサルタントが入って企画をしたんだけど、その後の運用で素人が台なしにしつつあるという感じ。


2012-06-30(土) [長年日記]

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)(チャイナ・ミエヴィル)

「これははたしてSFなのか?」という疑念が最後までつきまとうが、読み手の常識を始終逆なでするこの手触りはまぎれもないSFなんだよなぁ。不思議な、傑作。

領土を「共有」するふたつの都市国家が舞台。パラレルワールド的な意味でなく、本当に同じ土地に重なりあっているというトンデモ設定で、一方の国民は他方の国の人や物を「見ない」ように幼少期から徹底的に訓練されているから交わらずに済んでいるという。「いやいやありえないだろ、それ」と頭ではわかっていても、とことんディテールを積み上げられてしまって、読んでるうちに否定のしようがなくなってしまう。

それ以外は時代も現代だし、場所もだいたいバルカン半島あたりということで、SFっぽさはほとんどない。半村良がフィクションの舞台を作るときに、地図にカミソリで小さな裂け目を入れてその中にだけ架空の存在を入れるという話を書いていたけど、まさにそんな感じだ。

そんな舞台でおきた、国をまたがる殺人事件、それを追う両国の警察……というミステリー要素が加わり、さらに越境を厳しく取り締まるブリーチという謎めいた組織がなんだか超自然的なテクノロジーを持ってるっぽくてこれがSFらしさを加えてくる*1

いやぁ、これが面白くないわけがないよなー。すげー。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)
チャイナ・ミエヴィル
早川書房
¥1,100

Tags: book

*1 実際はそれほどでもなかったので肩透かしっちゃぁ肩透かしだ。


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