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ただのにっき


2012-06-20(水) [長年日記]

違法ダウンロード罰則化成立を一有権者として反省し、音楽断ちをしようと思う

歴史に残る悪法がとうとう成立してしまった。

いま国会にいる民主党議員には投票したことはないけど、そもそもこれは主に自公側が出した議員立法なので、どっちにしろ彼らを選んだ(自分を含めた)有権者の責任である。多くの人が指摘しているように、この法によって意図せぬ危険に陥れられるのは若い世代だ。投票権を持たない彼らに危害が及ぶような法律の成立を、有権者である我々が看過してしまった。腹をかっさばいて詫びたいところではあるがそうもいかないので、せめてのも償いにしばらくのあいだ、刑罰化の対象になる音楽を買うのを控えようと思う。

今でもおよそ月あたり1枚くらいは買っているCDを買わずにいるのはとてもつらいけど、うっかり公開してしまったら最後、他人を犯罪者にしてしまうようなデータを入手することを控えれば、少しは犠牲が減らせるのではないだろうか。いや甘いのは承知の上だけど。というわけで、改正法の施行(10月1日)以降、国内でCDを買わない。とりあえず1年間

もちろんまったく音楽を聴かないというわけではないよ。せっかくだからVOCALOID界隈で無料で公開されている楽曲を聴きこんでボカロ耳を鍛えてみるのもいいね(合法)。なにしろ、いまだに初音ミクがなんて歌ってるのか聞き取れないしさ。あと、これを期にクラシック音楽に親しむのもよさそう。調べてみると、著作権の切れた演奏データを公開しているサイトはけっこうある(合法)。あとはまぁ、たまにAmazon.comなど海外からCDを個人輸入するくらいは許してもらおう(罰則対象外?)。

もしも。もしもですよ。おんなじように音楽断ちをする人がとてもたくさん現れてしまったら、日本の音楽業界は壊滅してしまうかも知れない。でもまぁ、それはそれでしょうがないんじゃないかね。森林火災のあとには新たな芽吹きがあるものだし、ニコニコ動画やVOCALOID界隈を眺めてみれば、じっさいそういう胎動は感じられるわけで。こんな悪法をものともしない、もっと健全な音楽文化が育ってくれるのであれば、それはそれで良いと思う。

Tags: copyright
本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

鳥居三三 [いい提言ですぜ。おいらもCDはほぼ買ってなかったんですが、10月以降はこの法律が無意味に国民生活への脅威を及ぼす懸念..]

ただただし [いやいや、提言でも運動でもないですよ、たんなる個人的な反省行為です。もちろん他の人が追従することは止めませんけどね!]

匿名希望 [個人的にはそういうのもアリだと思います。 ただ今の流れを見てると刑事罰化でもCD売上が伸びなかったとしてさらなる改悪..]

MonMon [ただただしさん初めまして、1人の音楽好きとして発言します。 Jamendo(http://www.jamendo...]

ただただし [だからさー、なんで個人的な反省行為にすぎないものを、不買「運動」とか大きな話にしたがるんですかね。いっしょに反省する..]

しぃな [いやぁ、ちゃんとCDは買ってるなぁ。ま、同人作家の出す東方系とボカロ系ですけどね! どこぞの胡散臭い団体にはいかない..]


2012-06-17(日) [長年日記]

ドーラ、カラスを威嚇する

[写真]電信柱上にいるカラスに身構えるドーラ

外で大きな羽音がしたなーと思ったらドーラがダダダっとベランダに飛び出していった。みれば電柱の上に止まった大きなカラスに向かって身構えている。最近はずいぶん甘えっ子になってすっかり飼い猫になったと思っていたが、こういう野生はまだまだ残っている感じ。ちなみにそのころ、グスタフは人間のベッドの上で腹を上にしてぐっすり寝ていたのだった。まぁグスタフに野生があったことなどないけどな……。

そうそう、すっかり書くのを忘れていたが、先月ドーラは(だいたい)満二歳になった。明確な誕生日がないとついつい忘れる(←ひどい)。でも体重はたったの3.2kgしかなくて、ちょっと小さすぎるような気もする。メスだし、これ以上は大きくならないんだろうなぁ。ちなみにグスタフは7.4kgです。

Tags: dora

2012-06-15(金) [長年日記]

やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識 (田崎 晴明)

[写真]「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」in Kindle

昨日の『放射線医が語る被ばくと発がんの真実 』に続いて放射線対策関連書籍を読んだ。フリーのPDFなのでISBN番号はない。が、たいへんな力作だし良書なので、PODとかで紙でも売ればいいのにと思わなくもない。なお、Kindleに入れて快適に読む方法は先日書いたとおり

昨日の中川医師は放射線医だったが、こちらの著者は物理学者ということで、軸足は科学的な確からしさに重きをおいていて*1、出発点もそもそも核分裂とはなんなのかから入る。さすがに大学の先生だけあって、体裁はすごく教科書っぽい。なにしろ演習問題まである! ついでに書いておくとなくても良さそうな脚注が多すぎるところもそれっぽい!(笑)

著者の意図は核物理学による現象は我々が慣れ親しんだ化学反応をベースにした常識からはかけ離れているということを理解してもらうことにある。放射性物質は熱を加えても半減期は短くならないし、特殊な微生物を使って分解することもできない。内部被曝は外部被曝よりはるかに危険(なはず!)という我々の「直感」が間違っていることを、平易な言葉で筋道立てて説明する。直感や常識にのっとって判断すると往々にして間違った結論に至ってしまうことに、いつも注意を払わなければならないのだ。

そんな、これまでの常識とは違う放射線の知識を、「新しい常識」にして欲しいと著者は願う。この願いは科学者としてまっとうなものだと思う。が、それは難しいんじゃないかなーとも思う。とくに大人は、いままで培ってきた常識を入れ替えるのが難しいし。やっぱり大人には、昨日紹介した中川医師の本を薦めたい。一方、まだ頭がやわらかい若者や子供たちには、まず本書を手にとってみて欲しい。普通に核物理学の入門書としてもわかりやすいし。

あと蛇足だが、基本的に現在は(一部地域を除いて)日本は安心して暮らせるレベルにあるという結論に、そのために日々たいへんな努力をしている人たち、とくに農産物を作っている人たちへの賞賛と感謝を忘れない、そんな著者の姿勢はすばらしいと思った。自戒も込めて。

Tags: book

*1 そしてもちろん、「確かでないこと」を明らかにしつつ進む、たいへん正しい科学的態度。


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