2012-04-08(日) [長年日記]
■ 川崎 0-1 FC東京@等々力陸上競技場
「西部っていいGKだなぁ」と思ったんだけどね、今日。GKからビルドアップする時に彼が投げるボールは、DFを走らせるようなところに出るんだよね。DFはそれを追いかけるから、ボールにタッチしたときには前向きなわけ。後ろ向きに受けてターンする時間がはぶけて、それだけ攻撃にかかる時間が短縮できる。まぁ、そうやって稼いだアドバンテージも、横向きや後ろ向きにばっかりパスを出してたらあっというまに消えてなくなるんだけどさ!
というわけで、2年ぶりになる多摩川クラシコは、FC東京が後半早々に退場者を出して10人になるおいしい展開にもかかわらず、終わり近くにコーナーキックから失点してそのまま無得点で敗退したのであった。どれくらいひどい試合だったかというと、優しいことでは類をみないフロンターレサポーターたちからとうとうブーイングが出たくらいである。ふがいなくて、わざわざ花輪まで送ってくれた仙台サポーターには申し訳ない。もっとも、以前川崎にいたテセはほめてたりして、ファンとプロの視点はずいぶん違うもんだなぁ。
で、この2チームはサポーターどうしもけっこう仲が良いものだから、クラシコが終わったあとに合同で宴会したりするわけです。他のチーム、少なくとも海外ではちょっとありえない光景らしいのだけど。とはいえ勝負ごとには違いないので、負けたほうが勝った方にビールを一杯おごるというなかなか屈辱的なルールのもとで行われたわけですが。わざわざそのために両チームのサポーターを同数集めるという念の入れよう。後半戦では目にもの見せてやるわ。
2012-04-06(金) [長年日記]
■ 首相官邸ホームページとアクセシビリティ
首相官邸ホームページのリニューアルに4,500万円かかったというニュースで高いの安いのと話題になっているけど、それはまぁどうでもよくて*1。これに対してあるWebデザイン会社が書いた「高くないよ!」というエントリを読んだアクセシビリティ業界人たちがそろって天を仰いだという話である。
件のエントリは「首相官邸ホームページのリニューアル構築費用に対して製作者側からの考察」で、特にアクセシビリティのところはツッコミどころ満載なんだけど、その点にかんしてはすでに木達さんが書いているので(ようするに先をこされた)、Web業界人はろくろなんて回してないで読んでおいた方がよいです。特にアクセシビリティとデザインの両立のところ。
さて、首相官邸ホームページのリニューアルでアクセシビリティを確保するとして、件の記事では300万円の見積を出しているのだが*2、じゃあ300万円相当の仕事がされてるかどうか確認してみよう。というか、例えばトップページでCSSを有効にしたまま画像表示をOFFにしてみればそうでないのが一目瞭然なのだ(上はGoogle Chrome 18、下はFirefox 11):
注意: いくつか誤認および誤解を招く表現があったので公開当初から内容をアップデートしてあります。
左上にあったh1要素による「首相官邸」が消えてしまったが、これはいわゆる「画像置換」という手法を使ってテキストを画像に置き換えているせい。画像置換は達成基準1.1.1の不適合事例で明確にNGとされている*3。1.1.1は「レベルA」なので、首相官邸ホームページは最低限のアクセシビリティも確保できていないのがわかる。また、Firefoxでみるとグローバルナビゲーションの文字が左に重なって表示されており、これも読めない(めんどくさいので原因は追求せず。li要素のfloatの問題?)。他にもコントラストの足りていないアイコンがあるし(これはレベルAA)、タブキーによるフォーカス移動になかなか遊び心があって(←皮肉)、問題は他にもたくさんありそうだ。この案件のRFPにJIS X 8341-3:2010への対応は含まれていないのだろう。そもそも対応表明のページもないし。2012年に公開される公共サイトでそれはないだろうとは思うが。
よりによって一国を代表するWebサイトのアクセシビリティがてんでなってないとか、「技術的理由による競争の不存在」を理由に随意契約を結んだベンダーが画像置換を使っていたり*4、「持続可能なデザイン」を謳うWebデザイン会社がWebアクセシビリティについて無理解だったり……と、実に嘆かわしい話ではあるが、その批判の矛先はわれわれWebアクセシビリティに携わる者にも向けられるべきだろう。まだまだ啓蒙活動が足りない。がんばりましょう。
追記
その後、実際にアクセシビリティチェックをしている人が現れているので、参考までにリンクをしておく。実際のチェックがどのような観点で行われ、どんな手法が使われるのかの一端がわかると思う。
*1 ちなみに全部で1億2千万円の案件うちの4,500万円の話である(←これとは違うという話もあってよくわかんない)。小泉首相(当時)はメルマガのためだけにたしか1億円かけたはずなのであれと比較すれば格段に安いんじゃないですかね。それよりツッコミどころはなんでこれが随意契約なのってところじゃないかと思うのだが。
*2 この規模のサイトでこの見積は少ないと思います。
*3 ただし、実装方法C30にあるように代替ページがあれば良い。もっともimg要素にはalt属性があるんだから、わざわざ画像置換なんてしなくていいはずである。マークアップエンジニアの腕のみせどころ。なお他のimg要素にあるalt属性がChromeで表示されていないのは表示領域が狭い場合にWebKitで発生する問題なのでサイトのアクセシビリティとは別の問題。
*4 脚注1にも書いたように本当にこの案件のことなのか定かでないのでこの批判は適切ではない可能性もある。
2012-04-05(木) [長年日記]
■ 過疎ったプロジェクトは誰かに引き継いで欲しいよね
社内の知らない人から「たださんはRubyにお詳しいとききまして」なんて質問の電話がかかってきたりしてなかなか楽しい職場ですがいかがお過ごしでしょうか。そんなおれの本業はプログラミングじゃなくてWebアクセス解析なので、(いまさら)Google AnalyticsのAPIを研究しようとしたのだった*1。
- まずgemを探す。「analytics」でひっかけても何も出てこず*2。
- APIドキュメントをみたらGDataを使っているとわかる。ああ、そりゃそうだ。
- もっぺんgemを探すとgdataを発見。
- gem install gdata
- ドキュメントを探して公式サイトにたどりつく。GitHubじゃないんだ!?
- (例によって)proxyに未対応でガックリくるが、わかりやすいコードだったのでサクっとパッチを当てる。
- proxy対応の実装方法が毎回違う件。
- さらにjcodeをrequireしようとしてruby 1.9で死ぬので、そのパッチも作る。
- そこで類似の1.9対応パッチが半年以上放置されているのを発見*3。
- さっき作ったパッチもいちおう登録してみるが、たぶん放置だろうなぁ。
- 気を取りなおしてGitHubを探してみると、生きたフォークを発見。やっぱりあったか。
- さっそくforkしてproxy対応とanalyticsクライアント追加をpull req (←いまここ)
で、このGitHub上のフォークがリリースしているgemの名前が【gdata_19】だったりするわけですよ。ひどい。言うまでもなく、gemの限られた名前空間を適切に融通しあえていないのがいかんわけだが。プロジェクトを投げ出す前に、どうして引き継ぎ先を見つけようとしないのかなぁ。
◆ masterq [もしよろしければ http://rubygems.org/gems/autosel_http_proxy をお使いく..]
◆ ただただし [ドキュメントだけ拝見しましたが、これは(proxyが切り替わるような)自分の環境を動的に設定変更するのに使うものであ..]
◆ masterq [2つの機能がまざってしまっているのですが、proxy対応でなくNet::HTTPを使うライブラリはすべからくhttp..]
◆ masterq [こちらにちょっとだけ日本語解説を書いたので参考になったらうれしいです。 http://d.masterq.net/?..]
◆ ただただし [ああ、そこはなんとなくわかったんですが、独自で専用の設定ファイルを用意しなければいけないという点で、一般に公開するこ..]