2011-10-06(木) [長年日記]
■ Steve Jobs死去
さすがにこれは日記に書いておかないわけにはいかんだろうなぁ。
Jobsの仕事のやり口にも倫理観にも、まったく同意するとことはないのだけれど、少なくとも傑出したイノベータだったし、人類にとって彼を失うことがおおきな損失なのも間違いない。
彼亡きあとのAppleが(そしてIT業界が)、引き続きイノベーションを起こし続けられることを祈る。
2011-10-05(水) [長年日記]
■ 「You-OK」が「同僚の安否確認」にも対応
先日の防災の日に安否確認システムがひどいという話を書いたけれど、You-OKという安否確認システム(というか他の用途にもいろいろ使えるんだけど)を提供しているxibberさんがさっそく「同僚の安否確認」に対応してくれた。すばらしい!
You-OKは、会社がBCPのためにムリヤリ導入した
頭ごなしのツールであることを断固拒否します。You-OKはBCPのツールでありながら、
同僚の安否の確認も届けられるツールになりました。
xibbarさんは福島で罹災して秋田に避難、最近仙台に移ったという、まさに今回の震災の被害者なのだけど、その間もYou-OKはサービスを提供し続け、みごとなまでに「事業継続」を体現しているわけで、それだけで信頼感抜群だ。それに加えて今回、さらに人間味あふれる魅力が加わったのだから、数百名規模までの安否確認用途で利用者のITリテラシに自信がないならもう、ここを使うしかないでしょうって感じだわ。
2011-10-04(火) [長年日記]
■
プランク・ダイヴ (ハヤカワ文庫SF)(グレッグ・イーガン)
「もう電子書籍でなきゃ新刊なんて買わねーよ!」といきがってみたところで、イーガンの新刊には勝てないのがSF者の性であろうか。いやいいんですけどね、大満足ですし……。
日本オリジナル短編集ということで、イーガンの日本での人気はよっぽど高いのだろうとは思うが、一方で「マニア向けで手強いのばっかりじゃないの?」と警戒する気持ちもあった。が、冒頭の2作はむしろ平易で、SF初心者にもオススメしたいところ。特に「クリスタルの夜」は「いかにして〈シンギュラリティ〉の成果を人類だけのものとするか」というセコいアイデアを実行に移す話で、くすくす笑いが止まらなかった。これは〈シンギュラリティ〉モノのいい変奏曲。
と、油断してると3本目から一気にハードになってくるわけだが。「暗黒整数」は『ひとりっ子』収録の画期的数学SF「ルミナス」の続編で、ハード数学SF+パニック小説であいかわらず楽しいシリーズ。それからおなじみ「ワンの絨毯」は「あれ? 『ディアスポラ』に入ってたじゃん」と思いきやオリジナルの中編バージョン。お得意の「人間のアイデンティティ」テーマにとどまらず「人類のアイデンティティ」にまで踏み込む傑作。
表題作はブラックホールに飛び込んでいくプロジェクトの話で、70%くらいは意味不明の科学用語で埋め尽くされている難敵。いや、理解するのはあきらめたけど、結果を持ち帰れない実験に意味があるのかというけっこう科学的に深い話だね、これは。
このまま「ド」がつくほどのハードSFで爆走して終わりかと思いきや、最後の「伝播」は、難しいところがいっさいなし、それでいてもっともSFマインドにズドンと来る傑作だった。この構成はずるい。いや上手い。
◆ xibbar [ご推薦ありがとうございます。 もっともっとよくしていきますので、これから応援よろしくお願いいたします。]