2011-09-25(日) [長年日記]
■ BOOKSCANを利用してみた(1)
すでにKindleでしか本を読む気がおきない自分の中では、本を紙のままで後生大事に保管しておく必然性はもはやない。自炊代行業もこの先どうなるか不透明なこともあり、蔵書の電子化はできるかぎり進めておいた方がよさそうだ。ということでまずは文庫から、どんどん電子化してしまうことにした。
自炊代行業者の選択をする上で、条件は以下:
- 原本を破棄してくれる
- そこそこ早いレスポンス
- キンコーズと同じ程度にリーズナブルなコスト
業者に「複製」をさせる気はない。単なる「データ変換」でなければならないから、原本の破棄は必須。すぐに読みたい本もあるから、納期まで何ヶ月も待つのはなし。あとはキンコーズの100円/cmの断裁料に遜色のない料金。
そんな感じで絞っていくと、けっきょく最大手であるBOOKSCANしか残らないのであった。まぁ、予想はできたことだけど。
原本破棄は徹底している(と謳っている)し、プレミアム会員になれば1週間以内の納品が約束される。問題はコストなのだけど、
- 約10,000円/月で50冊まで
- 断裁、スキャン、OCR化に加えて一括ダウンロードなどのサポートが充実
「1冊」の上限は350ページで、それを超えると200ページごとに「1冊」と勘定される。文庫の小説がまた微妙に350ページを超えていることが多くて、絶妙に悔しい思いをすることが少なくないのが難点。ちなみに本棚から適当に抽出したところ、今回は28冊で「50冊相当」になった。けっこう少ない。Amazonの小箱で十分まかなえる量だ。写真は大きさの比較のために猫(7kg)を横に置いておきました。
これに宅配便の送料(だいたい1,000円?)を加えると、350~400円/冊のコストになる。キンコーズよりはだいぶ高い。が、キンコーズで断裁するとその後のスキャン他もろもろの作業は自力なわけで、ScanSnap S1500ならまだしもS1300な我が家の環境ではそうとうな手間が省けると思えば、まぁ許容範囲かなぁ。BOOKSCANにはいわゆる「Kindlize」の無料サービスもあるので(完成度は「?」だが)、手間を省くという意味では十分にペイできている。もっともこの先、書庫の文庫本をぜんぶ電子化するのに数万円投入すると考えると、ちょっと躊躇してしまうコストではある。
明日には荷物がむこうに着くはずなので、その後の経過は追って。
2011-09-24(土) [長年日記]
■ グスタフ、ふたたび脱走する(未遂)
先日の台風の影響は我が家には及んでいない……と思っていたが、猫脱走防止のネットが一部破壊されていたことが判明した。というのも今朝、いるはずのないところにグスタフがいたからなんだが。
去年のグスタフの脱走をうけてベランダにネットを張ったのだけど、その後、ネットのたるみを利用して器用に手すりの外側を歩いて屋根の上に出られることに気づいたようで(体重があるからできる技)、それを阻止するために透明なアクリル板をネットと手すりの間に挟んで固定しておいたのだ。
そのアクリル板が台風で破壊されて、ふたたび屋根の上に出られるようになっていたらしい。そこからフェンス経由で脱走まではあと一歩である。
幸い、餌で釣ったら近づいてきたのでふん捕まえて屋内に引きずり込んだのだけど、油断してるとまた脱走しそうだったのでその日のうちにアクリル板を復活させた。写真は、再設置されたアクリル板を恨めしそうに確認するグスタフ(撮影: かみさん)。このあと、どうすれば乗り越えられるか、いろいろなポーズを試しながらチャレンジしていた。妙に賢いんだよなぁ、グスタフは。
2011-09-23(金) [長年日記]
■ 電書版・
そんなんじゃクチコミしないよ。 <ネットだけでブームは作れない!新ネットマーケティング読本>(河野 武)
「ソーシャルメディア・ダイナミクス」のあとにこれを読むのはちょっとイジワルかもしんないな。3年前に出た本だけど読みそこねていたので、先日パブーからでた「電書版」を買ったのであった。
3年前というとTwitter / Facebookといったソーシャルメディアは今ほどもてはやされておらず、CGMの主役はまだブログ。そんな中で「(企業が狙って仕掛けた)クチコミなんて成功しないよ」という指摘を空気を読まずにした本。まぁ、本書の指摘はまったくその通りで、いっけんネットで盛り上がっているように見える話題が、実際に売上増につながっているケースなんてほっとんどないにもかかわらず、なんだかみんな「ネットのパワー」に夢見てたんだよね。Amazonあたりの書評はけっこう低評価のものが多いけど、あれはたぶん「夢を壊されて怒ってる」人たちだな(笑)。
で、このことは2011年の今になってもたいして変わってはおらず、キャンペーンで強制ツイートさせるようなありがちなプロモーションを仕掛けてみたところで、その商品を継続的に買うようになったなんて話は聞いたことがない。影響力や露出を考えたらいまだオールドメディアが一番効果的で、単に広告の延長線上で考える「クチコミマーケティング」なんて絵空事だよねという、ごくごくあたりまえの(でも目を背けがちな)話である。終盤に掲載されている座談会では、そのあたりがセキララすぎるくらいセキララに話されていて、なかなか刺激的で面白い。
じゃあソーシャルメディアはどう活用すればいいのかというと、顧客との信頼関係構築の手段として使うくらいしかないわけで、ザッポスの成功なんかは単なる「クチコミマーケティング」じゃなくてそっちに軸足を置いて議論すべきだ。だとすると次にくるのは「信頼関係構築」が成功したかどうかはどう「測定」すればいいの? という話になるんだけど、本書でもそれを課題として位置づけつつも特にアイデアはないようだった。解析屋としてはこれをクリアしないと提案もへったくれもないんだけどなぁ。
先日も社内でTwitterを使ったマーケティングに関する議論していたときに、「Twitterでやれることなんてアクティブサポートくらいしかないだろ」という話をしたんだけど、著者の新作がまさにそのネタで、つまり本書の電書版公開はそのためのプロモーションの一貫という話なのであった。せっかくだから読んでみるか:
Twitterアクティブサポート入門 「愛される会社」時代のソーシャルメディアマーケティング
インプレス
¥43
もっとも、新作は紙でしか売ってないようで、「電書版・そんなんじゃクチコミしないよ。」からそのまま新作も電子書籍で読みたい読者としてはガッカリだし、マーケティング的にどうなのよそれ、と思った。読者との信頼関係が構築できてないじゃん。インプレスなら電子書籍を売るルートだってあるだろうに。電子書籍を単なるプロモーション手段として使わないで欲しい。
ちなみに「電書版・そんなんじゃクチコミしないよ。」には電書版向けの追加パートがあって、この3年間で何が変わったのかを概観したりているのだけど、197~198ページにかなりひどい乱丁があった。今日になって再ダウンロードしてみたけど直ってないなぁ。と、ここで指摘しておいたら直るかね。
Before...
◆ 河野 [乱丁部分は確認して、修正したものをアップしましたので、大変お手数ですが再ダウンロードをしていただけますでしょうか。 ..]
◆ ただただし [河野さん、どうもです。乱丁というか、保険の話の後半に結婚式の話がだぶって上書きされているようなので、元データが壊れて..]
◆ 河野 [ぼくの電子書籍についての持論は「紙の書籍に無料でおまけとしてつけろ」です。 紙はいらないから安くしてという意見がある..]
◆ ただただし [「無料でおまけ」というのは、まずは体験してその良さを実感してもらう戦略ですよね。でも、データだけあっても生活を変容さ..]
◆ 河野 [そうですね、よくわかります。 いまの出版社(と出版業界、出版ビジネス)ではそれは実現できなそうですね。だから外圧、外..]
◆ 河野 [補足です。 数百冊が悪い、とうことではなく、それでは著者と編集者のふたりすら食えないという意味です。]