2011-09-01(木) [長年日記]
■ 会社の「安否確認システム」が頼りにならないので自分でなんとかする
うちの会社もご多分にもれず、防災の日*1である今日は安否確認システムの予行練習的なものがおこなわれたのだが、これがまぁ、なかなかひどいシステムでねぇ。
だいたい、携帯のキャリアメールを使って社員の安否情報を集めようって時点で間違ってるというか、3.11で電話(通話)とキャリアメールがほとんど役に立たなかった経験を生かせていない。さらに、組織の階層構造*2を遡る方向にしか情報が伝達せず、双方向性がいっさいない。今どきこれはないよなぁというレベルなので、使う側もモチベーションがあがらない。
自分が使うなら、せめてこれくらいの要件は満たして欲しい:
複数のチャンネルが使える
安否情報を報告するにしろ、受けとるにせよ、「メールだけ」とか「Webだけ」みたいな1ルートしか用意されていないと、そこが死んだらおしまいだ。せめて2つくらいは手段を提供して欲しい。まして、システムが国内にしかないというのは論外なので、サーバはせめて海外にも分散して置いて欲しい。
どこにいても使えて欲しい
災害発生時、オフィスにいるとは限らない。家庭にいたり、移動中だったりもするわけで、特定のネットワークの利用を前提にはしない(まぁ「インターネット」は「特定」ではないと考えていいけど)。あと、閲覧環境も「IEのみ」みたいな社内システムにありがちな制限をかけず、一般的なブラウザ、ガラケー、スマートフォンから当たり前に見れて欲しい。
同僚の安否を知りたい
上司としては、部下の安否がわかればそれで安心なわけだけど、部下にしてみれば報告だけして情報ナシとかありえない。むしろ一番心配なのは一緒に働いてる同僚たちなわけで、彼らがちゃんと相互に安否を確認しあえるシステムでないと価値がない。
で、これらを満たす方向に今使われてるシステムが進化するとはとうてい思えないので、できる範囲で自衛するしかない。
3.11ではTwitterやFacebookは極めて安定していたので、太平洋海底ケーブルでも切れない限り使えるだろう(東京が壊滅したらダメかも知れないけど、その時は色々とおしまいだろうから心配してもしょうがない)。とりあえず自分のプロジェクトメンバーは全員Facebookに入らせて、クローズドなグループに登録。相互に連絡が取れるようにした。メールでも投稿できるし、WebもPC・モバイルに対応しているから上記の条件はかなり満たしている。これがプライマリチャンネル。あとはTwitterで相互フォロー状態にでもしておけば、第二のチャンネルとして使える。
こういうボトムアップ型の仕組みは、全社に導入するような方向には進めにくい。というか、会社としてお金出せないよね、会社は社員をバルクで扱って「何%が無事です」って報告がしたいだけなんだから。Facebook上に日本企業の組織構造を再現するのは不可能だろうし。でも、本当に現場で求められている要件は既存のサービスだけで十分満たせちゃったりするわけで、なんだかなぁと思いつつ、とりあえず「プロジェクトのメンバが相互に安否を確認できる」というおれ個人の要件は満たせたからまぁいいや。
2011-08-30(火) [長年日記]
■ KindleのPersoal Documentsサービスがメタ情報を落としてしまう問題(解消)
1週間くらい前からだろうか、毎朝メールでKindleに自動送信している新聞・雑誌のドキュメントにタイトルと作者がつかなくなった。上に載せたスクリーンショットみたいな感じ。ちゃんとkindlegenで生成するときに生成日時や作者名を入れるようにしているのに、である。これでは夕刊と朝刊の見分けがつかないではないか。
ChromeのSend to Kindle拡張などを使って送ったものはタイトルだけは出ているが、作者の欄には利用しているサービスの送信元メールアドレスが出ている。ということは、タイトルと思われる部分も単にファイル名が出ているだけか。新聞のファイル名も「nikkei.mobi」だもんな。おそらくMOBI→AZW変換でミスっているのだろう。
こんなあからさまなバグはすぐに直るだろうと思っていたので我慢して使っていたが、いつまでたっても直らないので、しょうがなく(例によってひどい英語で)Kindleサポートにメールをしてみたのだった。「12時間以内に返事をするよ」というThanksメッセージが出たけど、この約束が守られた試しがないので、気長に待つけどさ。直るの待たずに、ファイル名にメタ情報を持たせたほうがいいかなぁ。メールに添付する日本語のファイル名って、個人的に禁忌にしてるんだけどなー。
2011-08-31 追記
とか言ってたら翌朝にはちゃんと返事が来てた! Amazon(.comの方)ゴメン! そういえばいままで返事が遅かったのはAmazon(.co.jpの方)だったね(笑)。
もっとも返事の内容は「著者名のかわりにメールアドレスが出るのは仕様だから。でも要望として開発チームにあげておくね」という、自社サービスに対して無知をさらけだしてくれるシロモノだったので、さすがにピキッときて、「数週間前まではちゃんと出てただろごるぁ」的な返事を書いた。英文メールは消耗するわ……。
次の返事はいつ来るでしょうか。
2011-09-03 追記
突然、今日の夕刊からメタ情報がちゃんと表示されるようになった。例によってAmazonからはなんの連絡もないが、直ったらしい。向こうの時間で金曜に直してデプロイしたというところか。まぁ、彼らがバグを認めた試しがないので、連絡はないと踏んでるけど。
2011-08-29(月) [長年日記]
■ 「福島第一原子力発電所におけるロボットオペレータの手記」の日本語ミラーが消滅
先日紹介したロボットオペレータの手記が、はてブの週間ランキングで1位になってしまった*1。人の日記を紹介しただけの記事がウケるのはちょっと複雑な気分ではあるが、まぁ大勢の目に止まったということで、それはそれで良いことだったとは思うけど。というのも8/29現在、リンク先にあった日本語ミラーが消えているからなのだが*2。
このミラー、よりによって産総研にあったので、こうなることは予測できていたと思うし、多くの人がローカルにコピーを保存したことだろう。ミラーを公開していた荒井氏に過大な処分が下ってなければよいのだが。でもまぁ、先週末の間に確認できただけでも数万もの人々が読んでしまっているわけで、どうせもはや手遅れではある。
それにしても、こういうものはムキになって消して回るほど傷口を広げるということがわかってないんだろうなぁ。いや、わかっているけど建前上やめるわけにいかないのか。組織的にはこういう対応をせざるを得ないというのはわかるよ。「とりあえず消して回れ」と言われている担当の人も気の毒だ。
でもたぶん、すぐに第二、第三のミラーが登場すると思うし(というかすでにググればすぐに新しいミラーが見つかる)、いずれ手の届かない海外匿名サイトにあがるのも時間の問題。そもそも英訳版はIEEEのサイトで公開され続けている。やっぱりセキュリティ上どうしても公にできないもの以外は、いろいろオープンにする方向で戦略を立て直すほうがいいと思いますけどね、東電さん。
◆ smbd [3.11のときに、アメリカ行きのケーブル結構切れてたらしいですけどね。 http://www.janog.gr.jp..]
◆ xibbar [うちの http://www.you-ok.jp/ の参考にさせていただきます。ありがとうございます。]
◆ ただただし [要件の1個目はともかく(xibbarさんがが2個目にひっかかるような実装をするとは思えないし)、3個目は個人情報保護..]
◆ xibbar [1個目はまあなかなか技術的にも難しいのですが、とりあえずうちはYou-OKは海外です。うちのは「安否確認に答えて!」..]