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ただのにっき


2011-07-04(月) [長年日記]

ラ・プティット・ファデット La Petite Fadette(しかくの)

artonさんが(byflowで)「おもしろい!」と書いていたので読んでみた。うん、これはいい。

双子の弟と、蟋蟀(コオロギ)と呼ばれる醜い少女の恋愛を軸に、兄の嫉妬、ライバル(?)の美女が織りなす、田舎が舞台のボーイ・ミーツ・ガール。「本格ミステリ・コミック」と書いてあるけど、これをミステリと呼んだらミステリ好きが怒る気がするので、普通に恋愛モノとして楽しんだらいいんじゃないかねぇ。舞台である100年前のヨーロッパの風俗描写も面白いし、蟋蟀が知的な(ある意味)美女に成長していく過程もいい。

ただ、日本のマンガは「醜い少女」を上手に描けない(どうしても可愛くなってしまう)ので、絵柄と設定がミスマッチ。これは小説の原作を読んだほうが、読者の想像力が試されていいんじゃないかとも思う。

ラ・プティット・ファデット La Petite Fadette
しかくの
東京創元社
¥2

原作というか原案: 愛の妖精 (岩波文庫)
ジョルジュ サンド
岩波書店
¥946

9784122045439

Tags: book

2011-07-03(日) [長年日記]

「緑のカーテン」を作るぞ(5) - 意外と成長が早い

[写真]もう100~120cmくらいまで伸びた

支柱を這わせたあとは基本的になにもしていないんだけど、思いのほか成長が早い。もう1m以上の高さまで伸びちゃった(背景のフェンスが1.2m)。来週には本来の窓の下に移さないといけなさそうだ。

Tags: gardening

2011-07-02(土) [長年日記]

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)(パオロ・バチガルピ)

この設定の話は読んだことあるなぁと思ったら、数年前、SFマガジンに同じ世界を舞台にした短編が載ったんだね。極端にエネルギー供給が低下した近未来、なにしろメジャーなエネルギー源は遺伝子改良された象を使って巻いたポータブルな「ゼンマイ」なのだ。電力なんて一般人にとっては夢のまた夢なので、インターネットは影も形もない。ぶっとんだ設定だけど意外とリアリティがあるのは、この状況が現代の写し絵みたいになっているからだ。

「ITの次はバイオだ」と言われ初めてもう10年以上になるような気がするけど、この世界では遺伝子改良の結果、さまざまな疫病や、多国籍企業の知的財産にがっちり守られた不稔種子が幅を効かせている。そんな中、舞台になるタイ王国は自前の種子バンクを武器に強い鎖国政策をとり、外部からの「侵略」を辛うじて抑え込んでいる。この状況、バイオをインターネットに、タイを中国に置き換えると、けっこう現代の状況に近い。

そう考えると、はたして「万里の長城」は崩壊するのか、それとも侵略を食い止められるのか、作者がどんな結末をつけるのかがぜん興味が出てくる(もちろんそんな白黒はっきりした結末がつくわけがないのだけれど)。そんな状況下でさまざまな思惑を抱えた複数の主人公たちの行動が、絶妙にからみあいながら進む物語も実に面白い。各賞総なめなのもわかるねぇ。

ただ、題名の「ねじまき少女」は主人公の一人ではあるけど、重要なトリガーをひきはするものの特段に目立つ活躍をするわけではないし、なんでこんなタイトルなのかよくわからない。もっともこのシリーズの国内発表された短編のタイトルも「カロリーマン」「イエローカードマン」(どちらも本作の主人公たちの一部)なわけで、まぁそういうルールでタイトルを決めてるだけなのかもね。

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ
早川書房
¥924

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
パオロ・バチガルピ
早川書房
¥924

Tags: book

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