2010-12-03(金) [長年日記]
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小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書)(的川 泰宣)
「どうせ新書だし、中身薄いに違いない」と思って買わずにいたら勧められてしまったので、買ってみた。そして自炊後初めてすべてをKindle上で読んだ本(マンガ除く)となる*1。
いやー、同じ的川さんの本ながら、先日読んだ「奇跡」よりずっといいですよ、こりゃ。新書だからってバカにしたらいかんなぁ。たしかに内容は薄いので、マニア向けにはまったく情報不足だが、もし今回の「はやぶさ騒動」で宇宙探査に興味を持った(でもあまり知識のない)人に勧めるなら本書が一番いいかも知れない。
「はやぶさ」の何がすごいのか、どんな意義を持っているのかという点については余すところなく伝えながらも、数年間にわたるイベントを上手にはしょりつつ、例によって熱く優しい的川節で語るのだ。口調がいつになくくだけていて柔らかいのがいいですな。「川口くん」とか、登場人物が「くん」付けなのも新鮮で。
小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書)
NHK出版
¥1
9784838721030
*1 「jQueryクックブック」はチビチビ読んでるので。こういう読み方ができるのが電子書籍のいいところ。
2010-12-02(木) [長年日記]
■ pdf2mobi.shを使って自炊本の余白をカットする
先日の記事で作者のsasasinさんご自身から猛プッシュされたpdf2mobi.shを使ってみた。名前だけ見るとPDFファイルをKindle向けフォーマットである.mobiにしてくれるように思えるが、PDFから画像ファイルを抽出して自動的に余白をカットした上で再度PDFにパッケージしてくれるシェルスクリプトである*1。「自動」ってところがミソですね。
リンク先の解説にあるように、余白のカットはImageMagicのconvertコマンドで「-chop」と「-flip -flop」を指定することでこれを実現している。いやー、ImageMagicの万能っぷりは相変わらずすげぇなぁ。あと、PDFから画像の抽出はpdftoppmを使っていて、実はconvertでもできるんだけど、手元にあるいくつかのPDFにはconvertがエラーになるものもあったので、そういう意味ではこっちの方がよさそう。
いろいろ試してみた感じ、Kindle3用の設定だとちょっと字が荒く見えるので(抽出したppmが二値なため?)、変換後の画像サイズを倍にして、代わりに圧縮率を上げるようにしてみたら、まぁまぁいい感じになった。シェルスクリプトだと改造しやすくていいですな。できあがったPDFのサイズも2倍程度におさまったし。このあたりはスキャンの設定でもっとよくなるかも知れないので、あとでもうちょっとトライする。
あと、変換元PDFが文字情報を持ってる場合に「Adobe-Japan1云々」というエラーが出るが、poppler-dataパッケージも入れることで抑制できた。
というわけで、さっそく『小惑星探査機 はやぶさ物語』を自炊してみた。
新書なので少し縦に長いけれど、ノンブルまでカットすることで余白をギリギリまで減らしたPDFファイルができた。うん、これなら文句ない。おまけにScanSnapのユーティリティであとからOCRをかけられるので、検索もちゃんとできる。pdf2mibiすばらしい。基本的にKindle向けの変換はこれ一本でいいや。
*1 手元では「pdf2kindle」という名前に変えてある。
2010-11-30(火) [長年日記]
■ Webで日記をつけはじめて満11年
11年前の今日、Web上で公開日記をつけはじめた。当時の目的はLinuxの利用ログだったが、当時知り合ったKondara関係の人たちで今も日記をつけてる人はどれくらいいるかなぁ。
■ オーム社eStoreで初めての電子書籍購入
達人出版会のインタビューが載ってるということなので、オーム社eStore(β)でPDF版を買ってみた。青空文庫のPDF版やら、先日のJコミを除けば基本自炊ばっかりだったこともあり、有料の電子書籍を買ったのは初めてだ。まぁ、電子書籍に関する本が電子媒体で買えるというのは当たり前のことだと思うので、紙の本で買うという選択肢なんてないわけだが。えっ、世の中には紙でしか買えない電子書籍に関する本があるんですか? またまた~。
Ohmsha eBook Store is no longer available.
↑は@kakutaniが作ってくれたtDiary用オーム社eStoreプラグインによる(すでにcontribから入手可能)。というか、おれがこれを買ってから猫の散歩に行ってる間に実装されたらしい。Asakusa.rb怖い。
支払いはPayPal一本という潔さだけど、たぶんこれはRubyKaigi.orgでの経験が生きてるんだろうなぁ*1。購入者の情報が埋め込まれたPDFファイルが一本一本生成されるというのは達人出版会と同じ手法だ。コピー防止なんてこれで十分という考えだろう。賛成だ。
おかげで何も気にすることなくKindleに入れることができるわけです。どん。
うーん、縦書きの単行本はやっぱ少し厳しいか? コントラストを上げれば読めるかな、というレベル。幅の広い脚注を削ってしまえばけっこういけそうなんだけど。PDFのような「紙」を強く意識したメディアを選んでる限り、この手の制約は尾を引くんだろうなぁ。ePUBにしろmobiにしろ、デバイス依存な部分をうまく回避できるフォーマットがあたりまえに表示できる時代が来るといいね……みたいな話が、たぶんこの本に載ってるはずなので、なにはともあれ読まなくては。
しかしなんだ。物理的な積読箱は空になりつつあるものの、こんどは電子の積読箱がKindleの中にできつつあるんだけど……これって単に媒体が変わっただけじゃねーの。どうすんだこれ。
ところで、オーム社にリンクしてもアフィれないことに気づいたので、念のためAmazonにも貼っておきます(が、現時点でまだ書影がない)。
電子書籍で生き残る技術−紙との差、規格の差を乗り越える−
オーム社
¥1,540
*1 オーム社eStoreの開発は@kakutaniのいる永和システムマネジメントである。