2010-06-13(日) [長年日記]
■ はやぶさ、星になる。
ちゃんと打上げの日のことを日記に書いてたおれえらい。その後、イトカワに着くまでスルーだったけど。というわけで、クドクド経過は書かなくていいよな。
いよいよ今日、はやぶさが地球に帰ってくる。
日曜なのに運悪く仕事にしてしまったので朝から出社だったのだけど、まぁはっきりいって手につかなかったね。あんまり頭を使わない事務仕事ばかりでよかった。16時ごろ帰宅して、家のことをいろいろ片付けたあとは(よりによってこんな日にくじら出まくりの)Twitterで最新情報を追いかける。
JAXA相模原キャンパスは目と鼻の先だけど、すでに人がおおぜい押し寄せているようだし、ちょっと待ってればはやぶさのカプセルを擁する街に住んでる自慢ができるようになる(と信じてる)ので、今日は遠方から来た人たちに席をゆずるよ。
というわけで、夕飯後は生中継受信準備。ニコニコ動画と和歌山大学が現地から生中継をするというので2窓体制、いや管制室のようすもUstされているので、3窓体制。こんな形ではやぶさの帰還を迎えられるのも、はやぶさが大遅刻してくれたおかげ。予定通りだったらネットで何万人も相手に(ニコ生は最大時20万人近く視聴していた)生中継なんてありえなかったと思う。旧メディアはいっさい生中継してないので、今でなければはやぶさの帰還をリアルタイムに目撃できる人は非常に限られた人数になったはずだ。まったく、はやぶさの空気を読む能力は異常。
昼間から涙腺緩めで、いざ再突入のときには号泣しちゃうんじゃないかと思っていたけど、不思議と冷静だった。というか、運用を終え、しだいに人影がまばらになっていく管制室にただよう寂寥感をしみじみ味わっていたり。探査機そのものも好きだったけど、この運用チームのプロフェッショナルぶりが大好きだったんだよなぁ。長いことお疲れさまでした!
オタク的に印象に残っていることを2つだけ。
子供のころからアニメやマンガにどっぷりひたっていた世代だから、はやぶさの物語にはそういうものをどうしても重ねてしまう。運用チームはまさしく「ヤマトの真田さん」だったり。帰路についたときには「トップをねらえ!」を引用したけれど、今回は「トップ2」だよ。写真はハワイの「すばる」がとらえたはやぶさ。帰還する「彼」を最初にとらえるのは、ぜったいに「ハワイの天文台」でなくてはならないのだ*1。すばる中の人、ぜったいこれを意識してただろ。GJすぎる。
内之浦の34mパラボラが可視でなくなると同時に通信途絶したはずなので、この写真の最後の部分はまさにそのタイミングで欠けたわけで、お前これ狙ってやっただろ!とツッコミを入れたくなったけど、写真が公開された時はすでに彼は燃え尽きていたのだった。はやぶさにピューリッツァー賞をあげて欲しいよ*2。
で、この写真がやっぱり「トップ」のラストシーンに重なる。あんな感じに派手な出迎えはしてやれなかったが、びっくりするほどの輝きをはなって自らの帰還を演出するあたりはさすがとしか言いようがない。本当に、最後の最後まで完璧な探査機だった。
![[写真]公式飲料で祝杯 [写真]公式飲料で祝杯](http://userimages.tdiary.net/sho/20100613_0.jpg)
2010-06-12(土) [長年日記]
■ WikiばなVol.10
WikiばなVol.10だった。テーマは「Wikiばなどこへ行く」……じゃなくて「知の越境、そして、すばらしきムダ知識へ」。まぁ、写真からどこへ向かっているのかよくわからなくなってる感が出てると思うが。ていうか、etoさんなにやってんの(笑)。
今回のメイン講演者はサイエンスの普及・啓蒙をされている3人で、もはやIT系イベントと呼ぶのはどうかという感じだが、Wikiを突き詰めていくと技術色がどんどん薄れていく一方で、情報そのものをどう扱うかという話になっていくのはわかっていたことなので、こういうクロスオーバー的な集まりを目指していくのはいいと思うね。後半のLTなんて、全分野について理解できた人なんていないだろう、ネタの幅が広すぎて。
ところで内田さんと長神さんはふたりとも「サイエンス・コミュニケーター」という肩書なんだけど、以前から「コミュニケーターってなんだかよくわかんねーな」という気がしていた。いや、肩書というのはカッコいいベクトルが必要なので、これはこれでいいけど。今日の話を聞いていて、ようするにマーケッター兼営業なんだなと思った。商材は科学そのもの(または「科学的××」なもの)。
内田さんの活動はそもそもサイエンスに興味がない層へどうやってサイエンスを「売って」いくか(IT業界的には以前のMicrosoft的商法)、長神さんはアーリーアダプターにコンタクトしていかにしてエバンジェリストを育てるか(Apple的商法?)。マーケティングとして捉え直すといろいろ共通点が見えてくると思った。もうひとりの岡本さんはすでにビジネスパーソン的なスキルがたっぷりありそうなので、そういう方面の課題はあんまりなさそう(笑)。
2010-06-10(木) [長年日記]
■ iPhoneユーザが目の色を変えるAndroidの機能紹介(2) - 賢い「戻るボタン」
前回紹介したインテント、「マルチタスクOSならでは」的な書き方をしたけど実は嘘で、別にシングルタスクOSだって実装できる*1。だからまぁ、Appleはあえてアプリケーション間連携機能を削っているという見方は正しいだろうね。iOS4でその垣根は少し低くなるようだけど、それでもiPhoneのアプリ間に立ちはだかる塀は高い。
そんなアプリ間の行き来についても、Androidはとてもよくできている。インテントと並んで評価の高い機能が「戻るボタン」なので、今回はこれを取り上げる。「戻るボタン」は多くのAndroid端末に付いているハードウェアキーで、これがアプリケーションを跨いだ遷移を実に上手にさばいてくれるのだ。
ちょっと脱線するけど、iPhoneアプリが内蔵するブラウザで、「戻る」操作を間違えたことがないだろうか。おれはよくあった。ブラウザには「ページ遷移」を制御する「戻るボタン」が必要だが、アプリに組み込まれるとさらに「前の状態」に「戻るボタン」が必要になるため、画面内にふたつの「戻るボタン」が発生してしまうのだ(アプリによって表記をいろいろと工夫しているが、機能的に近いので迷ったり間違えたりすることに変わりはない)。
ちょっと自分のiPhoneに入っているいくつかのアプリの内蔵ブラウザを並べてみた:
![[スクリーンショット]iPhone用アプリの内蔵ブラウザ4つ [スクリーンショット]iPhone用アプリの内蔵ブラウザ4つ](http://userimages.tdiary.net/sho/20100610_0.jpg)
こんど「iPhoneアプリは厳格な審査のもとにUIが統一されているから使い易いんだ」的なことを言うヤツがいたら首を締めてやる!
……閑話休題。
こんな内蔵ブラウザの乱用が起こるのも、標準ブラウザ(Safari)をアプリ内から立ち上げると、元のアプリに簡単に戻る手段がiPhoneにはないためだ。いったんホームに戻って前に使っていたアプリを探して(また探しもの!)、起動すると前の状態を忘れていてガックリなんて場面もよくある。
Androidの「戻るボタン」は、上記の問題を両方ともスマートに解決している(下の写真はHTC Desire。左矢印マークが「戻るボタン」)。
![[写真]Android端末HTC Desireのハードウェアキー。 [写真]Android端末HTC Desireのハードウェアキー。](http://userimages.tdiary.net/sho/20100610_1.jpg)
まず、ハードウェアキーなので、間違えるということがない。これはとても重要なことで、アプリケーションは個別に同じ「戻る」という機能のキーを狭い画面に押し込めることなく実装できるから、画面が広く使えるだけでなく、操作が統一できる。多くのアプリで共通の操作になる機能には、独立したキーを与えるべきなのだ*2。
さらに、アプリケーション間を遷移すると、その遷移状態も「戻って」くれる。例として、こんなシチュエーションを考えたよ:
1. たださんは趣味を同じくする知人から耳寄りな情報をメールで受け取ったようです。さっそく、メールに書かれていたURLをタップ。
2. Androidではブラウザを内蔵したアプリはめったにない。当然、デフォルトのブラウザ*3が立ち上がってWebページが表示される。おっと、知人が教えてくれたのはTwitterのURLかと思ったら、公式サイトのURLだったようです。右メニュー内にイカロスくんのTwitterアカウントを見つけてタップ。
3. twitter.comのURLを検知して、(ブラウザではなく)Twitter専用クライアントtwiccaが立ち上がる*4。さっそくフォロー。
さて、ここまで3つのアプリを渡り歩いてきたわけだが、このあと先ほどのメールに返事が書きたい。iPhoneではホームボタンを押して、アプリ一覧からメールアプリを「探して」立ち上げるか、iOS4ではホームボタンを二度押しして起動中のアプリを「探して」選ぶというところ。iPhoneはほんとうにこの「探す」作業が多いね。
Androidでは、「戻るボタンを2回押すだけ」。
しかも、途中に挟まったブラウザのページは、メールに戻る段階で閉じられるので、次回ブラウザを起動したときにも残ることはない。ユーザの「操作の歴史」をアプリケーション境界を超えてたどることで、メール/ブラウザ/Twitterクライアントがまさに渾然一体となった動作を実現してくれる。
この他にも、戻るボタンはあらゆる場面で最適な「戻る」動作をしてくれる。ポップアップを閉じるときも、通知バーを引き上げるときも、キーボードを一時的に隠したいときにも「戻るボタン」をクリックするだけで期待通りの動作をする。Androidの「戻るボタン」は、スマートフォンを名乗るからにはまさにこうあって欲しいという「スマートさ」を持っているのだ。
◆ pie [ハードウェアボタンを取れば、部品代やら品質テスト工数やら直接の原価を削減できる上に、故障する可能性も除去できて製品の..]
◆ robotti_500_1 [重箱の隅で恐縮ですが、iOS4のタスクスイッチは、ホームボタン長押しじゃなくて、ホームボタン2度押しですよ。]
◆ ただただし [>pie コストダウンや信頼性向上の圧力があるのはよくわかります。一方でハードウェアボタンはユーザビリティを高めるわ..]
◆ yoosee [故あって Incredible を使い始めましたが、確かに「戻る」ボタンはよく出来てます。最初慣れるまでは画面上を「..]
◆ Hideppio [私はX10miniを使っているので、いっそう、画面の外にあるハードキーは重要ですw あの3つ(もしくはそれ以上)のボ..]
◆ スマホ使いずらい [Desireもiphoneもタッチパネル入力は入力ミスが多くなるからキーはハードウェアがモアベターだす。でなければ..]
◆ zunda [たださんの日記でgifアニメのことを知る僕って…。意識してたかどうか中の人に訊いてみますね :D]
◆ zunda […と思ったら今日の中の人は別の人でした :P]
◆ ただただし [妄想が壊れるから、深追いしないで下さい(笑)。]