2008-06-02(月) [長年日記]
■ 超人類カウル (ハヤカワ文庫SF ア 8-1)(ニール・アッシャー)
いかにもB級SFといったタイトルだったので、買ったはいいけどしばらく手をつけずにおいたんだけど、ぜんぜんまともなSFじゃん。タイトルが悪すぎるよ、もったいない! もっとも原題も「COWL」なので、わけわかめ度に変わりはないけど。ちなみに「カウル」は個人名なので「超人類」って言い方がそもそもおかしい。
22世紀の殺し屋と、その殺し屋に狙われる少女の2人の主人公が、物語のかなり早い段階で別々になり、結末にはまったく別の立場でふたたび出会うストーリー展開がいい。登場人物は少なくないが、フォーカスがこの2人からずれないので、明快でわかりやすい。
小道具もいい。特にバイオ・タイムマシンとでも言うべき主役級ガジェットが斬新で、それに付随する時間理論が輪をかけて怪しげなのが面白い。ちょっと世界を理解するまでに時間がかかるけど、なかなか味があるエンターテイメント系イギリスSFだった。他の作品も読みたいな。