2007-04-24(火) [長年日記]
■ WILLCOMの新しい高速化サービスでモバイルLDRが使えない
WILLCOMの高速化サービスに、W-ZERO3用クライアントソフトが公開されたということなので入れてみた。
まずはMZ3iでmixiにアクセスしてみたが、マジはえぇ。体感で2倍くらい速い(実際は1.5倍くらいか)。これは快適だねぇ。テキスト主体のコンテンツはすごく効果があるようだ。
が、やはりテキスト主体のサービスということで期待度満点でLDRのモバイル版にアクセスしたところ、PC用の案内ページに飛ばされてしまった。がーん。
livedoorはIPアドレスを見て携帯キャリア以外からのアクセスを弾いているようだけど、今回のこのサービスを開始するにあたって、WILLCOMは新しいアドレスブロックを使うようにしたんだろうなぁ。ちょっと待てばlivedoor側で対応するとは思うが、そもそもIPアドレスを見て挙動を変える必然性がわからんよ。
2007-04-23(月) [長年日記]
■ 沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫JA)(野尻 抱介)
こういう作品を読むと、ハードコアな宇宙SFというのは、実はどんなジャンル小説よりもロマンに近いんだよなぁと思う。
冷徹な理論を積み上げて、徹底して論理的な舞台を設定したあと、物語は主人公にこう迫るのだ。「さて、あなたはこれに命をかけますか。GO or NOGO?」と。二者択一。魔法は ないから、その他の選択肢という逃げ場はないわけ。ここでGOと答えればもちろんのこと、NOGOと答えてもドラマがある。決断を下した主人公に対する読み手の感情はもう、ロマンチックとしか言いようがない。
そういえば『ロケットガール』のブログで作者の野尻抱介が人命軽視に対するコメントを書いていた。アニメ版『ロケットガール』の序盤を見た視聴者が「人命軽視が不快」と書いていたことについて、作者は「有人宇宙飛行が必ず背負わなければいけないこと」と返している。このやりとりは双方にとってフェアじゃないと思う。
ゆかりは典型的な巻き込まれ型の主人公なので、初回の打ち上げでは「(有人宇宙飛行に対して)背負わなければいけない」何かなど持っていない(フィクションを成立させるために背負っているものがあるだけ)。宇宙開発という文脈では彼女には「NOGO」と答える権利があり、それは尊重されるべきなのだ。これを見た視聴者が不快感を感じるのはしごく当然だし、作り手が申し開きのできるものではない。『ロケットガール』のこの部分は、宇宙開発において越えてはいけない一線を明らかに越えている。
ただし、この作品は長編シリーズなので、この段階で断罪するのもまたフェアではない。2巻で茜と出会い、(アニメではやらないかも知れないが)3巻で月へ向かう段になると、ゆかりのモチベーションは明らかに変化する。おそらくその時点での彼女は「GO」と答えるだけの理由を自身の内側に抱くことになる。この期に及んでまだ人命軽視云々という輩がいたら、糞でも喰らえと返してよろしい。
閑話休題。
で、本書は短編集なので、そういう迷いはいっさいなし。ピュアな論理と、ロマンに満ちた決断があるのみである。「GO」と答える話もあるし、「NOGO」と答える話もある。どちらも納得できる決断で、実にドラマチック。しかも「NOGO」としたあとにはきちんと「次なるGO」に繋がるエピソードを残してあるという憎さ。はっきり言ってとことん読者を選ぶジャンルだが、こういうのを楽しめる自分でよかったと思う。
2007-04-22(日) [長年日記]
■ JavaからRubyへ ―マネージャのための実践移行ガイド(Bruce A. Tate)
オーム社営業マンの角谷さんから献本していただい……えっ、オライリー!? 失礼しました。えー、翻訳者の角谷さんから献本していただいた。
献本にあたっては、「いや、おれもう何年もJavaやってないし!」とか「そもそも職業プログラマじゃないし!」「もらっても読まないよ!」といった抵抗もしてみたのだが、無理やり(?)献本されてしまった。もらっちゃったら読まないわけにいかないよなぁ。活字中毒者の性質を見透かされている(のか?)*1。
もっとも、副題に「マネージャのための実戦移行ガイド」とあるように、ひょっとすると中間管理職でもある自分もターゲットなのかも知れず、そういう立場でなら読めるだろう。というか、Rubyのコードが出てくるのはほんの1、2ページなので、マジでそういう本だ。
とはいえ、マネージャが読むべき本かというと、ちょっと疑問だ。例えば自社にRubyを導入したいと考えているプログラマが上司の机上に本書を置いてみたところで、「A4一枚にまとめて!」と言われるのがオチだろう。いまどきJavaで案件をこなしているような規模の企業の、本当に忙しいマネージャにとっては、たった200ページでも厚すぎる。だいたいマネージャ層には、本書に登場するDave ThomasやMartin Fowlerの名前などなんの威光も持たない*2。
というわけで本書を読むべきなのは、Ruby導入をもくろむプログラマであって、彼/彼女の役割は上司に対して本書から適切な情報を抜き出して渡すことだ。そういう意味では原書の副題「Things Every Manager Should Know」の方が適切な雰囲気かも。
現実問題として、日本でもすでに顧客の方から「Ruby on Railsで」と指定される案件が発生している。そういう状況になってから本書を手に取っているようなマネージャはもうダメだと思うが、そうなる前ならまだ打つ手はあるよ、とおれは読んだ。自社が置かれている立場に沿って、リスクの少ないRuby導入作戦が立てられるように、評価から実験的な導入、Javaとの融和、本格的な導入へと続く道筋がうまくまとめられており、非常によいガイドになっていると言える。
「そろそろJavaだとまずいかも」と感じているプログラマに、まず手にとって欲しい本である。
その他、ちょっと気になった点:
- やたらと「継続」が出てくるのがおかしかった。Ruby 1.9で継続が未サポートなのを知って、さぞかしがっかりしていることだろう。でも、Webアプリなら別に継続じゃなくてもいいと思うけど。
- Javaとの連携でSOAPに関する記述がちょびっとすぎ。すでにSOAPなサービスがあるなら、SOAP4RがあるおかげでRubyはかなり良い選択肢になるのに*3。
- 8章「リスク」にある「許可を得るより許しを請う」は、日本だけじゃなくてアメリカでも有効なんだなぁ、と思ってちょっと笑った。
◆ sokada、。 [フライパン。と何度も読んでしまいました。沈黙のフライパン。あぁ、なんかカックイイ響きだぞ、と。orz]
◆ ただただし [逆に「おしゃべりなフライパン」なら小説になってもおかしくないかも。]
◆ shun [>「おしゃべりなフライパン」なら小説になってもおかしくない あ、それ、いただき。(・∀・)φ]
◆ ムムリク [「おしゃべりなたまごやき」(寺村輝夫)+「フライパンじいさん」(神沢利子)でいかがでしょう。]
◆ ただただし [なんだかよくわからない展開だけど、「いさましいちびのトースター」の焼き直しみたいにならないことを祈ります。]