2007-02-16(金) [長年日記]
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図書館危機(有川 浩)
郁ちゃんカワユスねぇ。でかいけど(背が*1)。
昨日の『内乱』に続いて、1日で読み終えてしまった。毎日1600円のハードカバーを読みきってたら、おこづかいがいくらあっても足らんよ。って、この2冊はもらいものだけど。
この作品を楽しんでいる自分の心理状態を省みるに、20年くらい前に新井素子を読んでいた感じに近いかも、と思った。(SF読みにとって)新井素子の重要性は、「女の子」に対する幻想には実は男女差があまりないことを証明したことだと思う。それまでは「男が描いた女の子」ばかりだった世界に「女が描いた女の子」を武器に切り込んで、それもけっこういい感じなことを男たちに気づかせたのである。
有川浩*2の描く「女の子」も、男女双方に受け入れられそうな幻想に満ちている。幻想抜きの、存在は認めるけどあまり近づきたくない「女」を描く仕事は、ティプトリーとか大原まり子に任せておけばいいんである*3。逃避文学と呼びたくば呼べ。幻想の中の女の子が恋に悩む姿を、身もだえしながら読むのもまた、読書の楽しみではないか。
ということを抜きにしても、なかなかシリアスな展開もあり、次巻(完結?)が楽しみ。
■ tDiary: footnote.rbをリライトしたよ
というわけで、前のエントリは新しく実装しなおしたfootnote.rbのテストを兼ねる。CVSにツッコんだのはだいぶ前だけど、なにしろ今まで、脚注なんか使わないようにしてきたからなぁ。
改良点は以下の通り:
- ちゃんとセクションごとに脚注が入るようになった
- feedにも脚注が含まれるようになった
一方、
- 脚注を指し示すURLに非互換が出た
という問題があるが、まぁほとんどOKだろう。
2007-02-15(木) [長年日記]
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図書館内乱(有川 浩)
『戦争』に続くシリーズ2作目。本書だけで完結せず、3作目に続くということを聞いていたので、3作目の『危機』が出るのを待ってから読み始めた。というか、先に買って読んでいたflipperが2冊ともくれたので。持つべきは、本を溜め込まないタイプの同僚だな!
オムニバス形式で、話が軽く繋がった設定の短編が5本。「内乱」の火種は、いちおう最初の方から仕込まれてはいるものの、ほとんど意味を持たない程度のノイズレベルで、煙が立ち始めるのは終盤になってから。伏線と呼ぶにはいささか唐突だったりわかりやすすぎたりして、ネタ的にもこれを「内乱」と呼ぶのはちょっとなぁ。むしろ、前作が武力衝突としたら本書は情報戦のようなものだろう。
……というツッコミはわりとどうでもいいのだ。そもそも図書館が軍隊を所有するという設定自体がファンタジーなわけで、ややステレオタイプな登場人物たちも、しょせん主人公・郁ちゃんの直情型で不器用な恋愛を盛り立てるための駒にすぎないのだよ。というか郁ちゃんカワユス。
というわけで、細かいことは気にせず、恋愛小説として楽しめばいいのである。そうなると、結末に物語上きわめて重要なターニングポイントが示された以上、立て続けに次作を読むのが正しい姿勢といえるだろう。
なお、前回指摘した、人称が混じる変な文体は(まだ少し残るものの)気にならない程度に鳴りを潜めているので、たいへん読みやすかった。
ちなみに、次作は目次にネタばれがあるらしいので、目次は飛ばして読むのが良いらしい。こういう注意書きが的確に入手できるんだから、いい時代になったもんだなぁ。でも同時に、4作目があるという話を聞いて、「しまった、もっと待てばよかった」とか思ってもいるわけだが。
■ 花粉がきた
未曾有の暖冬で花粉が飛び始めるのも早いと言われ続け、というか待ち行く人々がみんなマスクをし始めたものの、自分にはまだたいした症状が出なかったので油断していたら。さすがに昨日、春一番が吹いただけのことはあり、今日は朝からくしゃみのしどおしだった。キタねぇ、ついに。
今年はステロイドという強い味方がいないので、マスクを買わねば。つーか早く買え。
◆ kitaj [おー,とうとうセクションごとにfootnoteが入るようになったのね.それは嬉しい. URLの非互換は問題ないでしょ..]
◆ ただただし [ちなみに、kitajの元のコードはいっさい残ってないよ(笑)]
◆ NT [え、有川浩って女性だったんですか。あ、まだ読んでないのですけど。]