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ただのにっき


2017-06-11(日) [長年日記]

映画化された「あなたの人生の物語」を観てきた

(例によって「メッセージ」という邦題がアレなのでこんなタイトルだが、邦題の話は本文のあとに書く)

最初に盛大なネタバレを書いてしまうが、ばかうけに似ているとして急遽プロモーションに使われた宇宙船だが、実際はぜんぜん似てなかった。むしろ巨大な甘食にそっくりなので甘食業界にはがんばっていただきたい。

あなたの人生の物語 (ハヤカワ文庫SF)
テッド・チャン
早川書房
¥1,056

さて、テッド・チャンの傑作「あなたの人生の物語」が映画化されると聞いたときは(SFファンのごたぶんに漏れず)ばっかじゃねーの!?と思ったわけだよ。だってさ、「あなたの人生の物語」といえば、異星人との地味~なファーストコンタクト物で、宇宙船もなければドンパチもない。だいたい〈ヘプタポッドA〉で光明のみえてきた交流が〈ヘプタポッドB〉の登場でひっくり返り、フェルマーの原理をきっかけにヘプタポッドたちの特異性が明らかになるあたりが醍醐味だけど、そんなの映像化したって面白いわけないじゃん?

ご安心ください。そんなもの、いっさい出てきません! それどころか、ルッキンググラスも出てこないし、コンタクト地点も12個に減ってるし、ヘプタポッドたちの固有名も変わってる上に指の本数も違う、それどころかゲーリーの名前までイアンに変わってる!!

代わりに加わっているのが、(真っ黒い甘食そっくりな)巨大宇宙船、多少のドンパチと国際紛争。あとルイーズの娘の名前。つまり、原作からは大規模な改変がされている。

ああ、ダメなハリウッド映画になっちまったかと落胆めされるな。これらのどれもが「正解」なのだ。驚いたことに、原作のエッセンスをまったく損なうことなく、すばらしくまっとうなSF映画に仕上がっている。とにかく脚本が上手い。そして(SFマニアにだけわかれば良かった)原作の不明瞭な点が、みごとな演出できれいに整理されていて、映像化に細心の注意が払われているのがわかる。

以後、多少のネタバレは気にせずに書く:

なんといっても〈ヘプタポッドB〉の表現がすばらしい。小説を読んでいてもせいぜい複雑な漢字ライクな記号しか想像できなかったんだけど、映画ではたくさんのヒゲがついたサークルで、それが(タコ型宇宙人である)ヘプタポッドの足先から噴出されるイカスミで描かれる*1。描き始めと描き終わりがなく順序性もないという〈ヘプタポッドB〉の条件を満たしているばかりか、カオティックになるはずの「スミ」の広がりを事前に予測して噴出させるというスタイルによって、過去と未来のすべてを内包する〈ヘプタポッドB〉の特異性までをも表現している。これはもう、ものすごい発明だし、これをみられただけでも満足だ。

ヘプタポッドたちの居住環境を白いモヤで満たされた空間にしたのも「なるほどそうきたか」と感心した。〈ヘプタポッドB〉という空中に投影する言語が生まれた環境として合理的で、彼らがちゃんと徐々に進化してきた生物だと納得できる。原作だとあの言語の原始的な状態が想定できなかったから、ヘプタポッドたちが実在の生物だという実感がわかなかったし、これは映画化で大きく補完された表現だ。

叙述トリックを成立させつつ、観客に適度な追加情報を与える映像演出も上手い。冒頭で赤ん坊を抱っこするルイーズの薬指に光る指輪をアップにしたり、決して父親の姿を映さなかったり。さらにはオチで未来の出来事をきっかけに「事件」が解決に向かって走り始めるあたりの改変はドラマチックで実に映画的。「中国」の使い方*2も含めてここはお見事としか言いようがない。

というわけで、満足。原作も映画も、ぜんぜん違うけど、どっちも同じくらい傑作だ。

ところで宇宙船は北海道にも降りたということになっているんだけど、帰りながらかみさんと話した「彼らの行く末」が「食卓にあがって美味しくいただかれた」で一致した。たぶん日本人なら食べてみたくなるはず(笑)。


さて、映画に関する最近のニュースといえばマーキュリー計画を描いた「Hidden Figures」の邦題「ドリーム 私たちのアポロ計画」が批判を受けて「ドリーム」に変更されたというアレだ。あからさまに誤ったタイトルをつけたとはいえ、文句を言えば変更できるという前例を作ったことは大きい。これからもふざけた邦題にはガンガン文句言っていこうぜぇ。

で、今回の「メッセージ」も、含意もへったくれもないクソみたいな邦題でがっかりなんだけど、映画の原題からして「ARRIVAL」なのでどっちもどっちである。小説の原題は「Story of Your Life」で邦題も直訳だけど、読み終えてから意味が明確になるというあたりに知性を感じるし、映画としても充分通用するいいタイトルだと思うんだけどなぁ。

ようするに、一見して映画の内容がわかるストレートなタイトルを付けてもいいけど、見終わると別の意味が浮かび上がるような、知性あふれるタイトルにして欲しいのよ。「Gravity」や「Inside Out」みたいにさ*3

Tags: movie

*1 タコ型なのにイカスミとはこれいかに(イカのスミは海中で形を保つので〈ヘプタポッドB〉はイカスミ製だと思う)。

*2 中国市場を無視できなくなったハリウッド映画に、不自然な形で中国ないし中国人が登場するようになってしまったという嘆きは多く聞かれるが、この作品では(無視できないなりに)かなり自然な形で扱っていて「上手いことやりやがったなぁ」という感想。

*3 最近観た中から、原題はすばらしいが邦題が台なしの代表的なものとしてあげた。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

kitaj [オレも見た! 原作とかなり違うけど本当にいい改変だと思った。 こういう映画ばかりなら大歓迎なんだが。]

yomoyomo [> で、今回の「メッセージ」も、含意もへったくれもないクソみたいな邦題でがっかりなんだけど、映画の原題からして「AR..]

ただただし [> yomoyomo なるほど、そういう解釈ができるという点は同意します。 ただ、〈ヘプタポッドB〉を会得し..]

ただただし [↑と書いたものの、一本の映画にここまでの理解を可能にする表現を求めるのは無茶かも知れません。こういうのは読み返しも前..]


2017-06-09(金) [長年日記]

シンデレラガールズ5thライブツアー大阪公演Day1 LV

入場前にドーナツで腹ごしらえ

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!」の3つめの開催地、大阪公演はDay1のみバルト9にて参加。大阪公演だけ金曜・土曜の開催なので*1、会社をちょっと早めにでて、小走りに新宿へ。

例によってわさますのメンバ4人で並んで観たんだけど、隣に座った法子Pが、開演が迫るにつれてみるみる緊張していく。担当のデビューライブだもんなー、わかるわ。応援の意味も込めて、直前にバルト9の売店レジ横に置いてあったドーナツを衝動買いして軽く腹ごしらえ。同じく今日デビューの歌鈴担当Pたちが道明寺近くの宿を取ったら客が全員歌鈴Pだったみたいな逸話もあって、やっぱりツアーは面白い。

前説でちひろに「もうかりまっかー?」と聞かれて、すかさず「お前がいうな」「もうかってるのはそっちだろ」という愛のある(?)ツッコミが飛んでいて笑った。まぁ、サイゲが儲かってるおかげで楽しいライブが観られるわけで、これぞwin-winだけどな。自分は担当が出ていないので、今日はわりとゆったり鑑賞気分である。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!!@OSAKA [Blu-ray]
CINDERELLA GIRLS
日本コロムビア
¥6,980

今日ははっしーがいるから順当にいけばセンターははっしーだよね→でもそろそろニュージェネをセンターにしない冒険をしてきてもいいんじゃないの→じゃあ誰かな→やっぱるるきゃんじゃね→あー年功じょれ……→それ以上いけない……みたいな会話があったんだけど(笑)、センターは順当にはっしーでした。実のところ、はっしーは進んで目立とうとするタイプじゃないので、真ん中に置いてあげるくらいがちょうどいいのである。今日はヘアスタイルの「卯月度」がさらにアップして、さすが安心感は抜群だし「はにかみdays」もだんだん我が物にしてきた感がある。

ツアー7ヶ所中2ヶ所を終えると、セトリの予想がけっこうつくようになってくる。Jewelriesシリーズのコーナーは「満開スマイル」に代わって「エチュード」になるから、Cu曲は「アタポン」がいいなぁ、とか。今日はロックの日だし「One Life」は外せないのでは……とか言ってたらやらなかった。なんでや! もっとも今日みたいにソロ持ち組の多い公演では「どのソロをかけないか」はP目線で考えれば相当シビアな調整になるのはわかる。曲数増えたら増えただけ悩みも増える。

過去4公演の流れから、メインパートは4曲でひと区切りだと思っていたので「Flip Flop」のあと着席しようとしたら暗転しっぱなしで、なにごとかと思っていたらまさかの「世直しギルティ」が始まってびっくりした。いやー、まさかつい先日までやってたイベントの新曲をかけてくるとは。誰だ「セトリが読める」とか言ってたのは(おれだ)。雫抜き、2人だけのセクシーギルティだけど、えりぴょん・あじゅじゅは最近2人でラジオやってるだけあって息ぴったり。お色気ビームもちゃんと出て、これはいいサプライズだった。

で、MCを挟んだとはいえ、その直後の「NUDIE★」。見よう見まねのセクシーを演じたセクギルに、本物のセクシーはこういうもんだと見せつける流れ、最高ですわ。るるはあいかわらず歌は下手だし、ダンスもぎくしゃくしてるんだけど、にもかかわらずこの曲で表現すべき「何か」はすべて入れてくる。不思議でならない。シンデレラ最大の謎だと思う。

あとは、そうそう、「青の一番星」がすごく良かったな。同じ曲を何回か本番でやると、ようやく顔を出してくる実力というものがある。他の曲でもだいぶ目立ってきていたし、ルゥが力量を発揮し始めているのがわかって嬉しみ。

「華蕾」からの流れについてはわざわざ記すまでもなく最高。なんの前ぶりもなく暗がりからちょこたんが入ってきたときは「らんこうめだ!」と喜ぶより前に「ひぇっ」てなったし(笑)、その後の「しょうこうめ」につながるセトリは担当Pじゃなくてご褒美だった。ライブのプロデュースがディレ1からJUNGOに代わって最大の加点ポイントが終盤に盛り上がる曲を固めてくるこういう構成だよなー。

個人的MVPは、大阪凱旋公演となったそらそらかな。回数をこなしてきた「ちぇりめり」は、精いっぱい背伸びをしてラブソングを歌う智絵里と、それを全身全霊を込めて演じるそらそら、そして全力で応援する客席のPたちの一体感は素晴らしかった。加えて真顔芸とキレ芸、笑いに貪欲な一門の中でも人一倍こだわりのあるそらそらの面目躍如。いやー、楽しかった。


打ち上げは(もちろん)お好み焼き。今日は終演が遅めで他のメンツには明日の予定もあるので軽く飲み食いして2000円/人くらい。お安い。実は入ったのは「京風お好み焼き」だったんだけど。

打ち上げでお好み焼き

Tags: idolm@ster

*1 日曜にはプロレスの興行が入ってるそうで、このセットをその日のうちに撤収してプロレス会場に変えるなんて狂気の沙汰だなぁ。


2017-06-08(木) [長年日記]

デレステイベントLIVE Parade「With Love」

動員1151862人

LIVE Paradeのようなコンボが重要になるイベントまでにはAndroid 7.0の音ズレ問題をなんとかしてくるだろうと思っていたらなんの対策もされなかったので(なんでやー!!)、今回はできる範囲でがんばらないとあかん。終盤のExエリアは捨てて、ptと動員数を稼ぐだけだなぁ。まぁコンボを稼ぐために同じ得意な曲ばかり連続してプレイするのは苦痛だし、これはこれでありだけど。

新曲「With Love」はまたちょっと懐かしい感じの曲調で、最近、昭和回帰がすぎるんじゃないのと心配になる。譜面はここのところ難しめだったのを反省してか、がんばればフルコンできそうなレベルで嬉しい(だがもちろんいまの環境でフルコンなど夢のまた夢である)。

というわけで、昨日のうちに100万人動員してきらりを3枚GET。これにて終了。さーて、明日からは5thLIVE TOUR大阪公演だ。

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 19 With Love
CINDERELLA GIRLS
日本コロムビア
¥1,256

Tags: idolm@ster

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