2017-06-02(金) [長年日記]
■ 映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)(大童澄瞳)
昼ごろに誰かがRTしたとおぼしき紹介ツイートをみかけて第1話試し読みを読んだら止まらなくなってしまい、そのままAmazonでKindle版を買って、弁当食べるのも忘れて一気に読んでしまった。これは楽しい! 1巻はもう1月に出てるけど、おれのアンテナにはひっかからなかったなぁ。あぁ~、はやく2巻が読みたい。
「女子高生に(オタクっぽい)何かを作らせる話」って最近よく見かける気がするけど、これも3人の女子高生がアニメを作る話である。以下、ちょいネタバレありなので、とっとと買って読んだほうがよろしい。
ある理由で学校にすでにあるアニメ研を避けて、たった3人で新しい同好会を作ってアニメを作る。人物を描けるアニメーションにこだわりのある子と、背景が描ける設定マニアの子がいる。この2人だけでアニメが作れる……ならファンタジーだが*1、ここに「金と納期を気にかける」プロデューサー役が加わっているおかげで、がぜんリアルな話になる。これがいい。本田技研工業の話に、本田宗一郎だけでなくちゃんと藤沢武夫も登場するようなまっとう感がある。
なので、いきなり大作構想をぶちあげて頓挫したりすることなく、まずは実力を把握するためのパラパラ漫画を作るし、実績作りにストーリーなしの5分アニメを制作する。完成品が大衆にアピールするから、次のステップがちゃんと見える(ので1巻最終話の生徒会役員のセリフがぐっとくる)。
あと、作品の設定を相談しているうちに、現実世界から作品世界へ、登場人物たちがシームレスに移動する描写がすごくいい。頭の中のイメージを、ちゃんと「共有」してるんだなぁとわかる。これも主人公の設定マニアが、イメージボードで作品世界を共有する習慣をもっていることにつながっていて唐突感がないのがいい。
現実世界もだいぶおかしな土地が舞台で、ときおりフキダシにパースがかかってたりするのも含め、この作品世界を挟み込む描写がファンタジー要素を強調しつつ、じっさいはものすごくリアリティのあるストーリー展開をしているというアンバランスさがじつに楽しい。ほんとに続きが楽しみ!!
映像研には手を出すな!(1) (ビッグコミックス)
小学館
¥605
*1 もちろん新海誠のような実例によって現実はとっくにファンタジーを飛び越えているので、2人で作ってもぜんぜん問題はない。強いてツッコむなら財閥のお嬢様と団地住まいの庶民が同じ学校で学ぶ状況が一番ファンタジーというくらい。