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ただのにっき


2014-03-23(日) [長年日記]

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)(パオロ バチガルピ)

最近フィクションをあまり読めてなくて、以前から積んであったこれを取り出したもののもたもたしているうちに文庫入りしてしまったという。とほほ。おまけに序盤、最貧民の少年がとんでもない秘密を掴んでしまい、人生の大転機を迎えようか……というところで物語がブツっと切れ、これが短篇集だと気づく始末。

バチガルピの描く世界は基本的にディストピア(ないし超格差社会を最底辺から描いたもの)なので、読んでいてあまり気分のいいものではない。それでも長編は緩急があって救いのある場面もないわけではないのだけど、短編となるとそういうことがないので読んでる最中は常にムカムカしていることになる。登場人物たちは本人に非がないにもかかわらずひどい目に遭いっぱなしだし、たいていは救いのない結末だ。頭ではどれもすばらしい作品だとはわかっていながらも、手放しに喜べない。

というわけで、満足かと聞かれればちょっと躊躇するな。良い読書体験ではあったが、楽しい読書ではなかった。そんなひどい中ではあるものの冒頭の「ポケットの中の法」は悪くなかった。後味が良くないが「砂と灰の人々」(犬の話)も良い。カロリーマン世界(と類似の背景を持つ)のいくつかの話はどれも嫌い(笑)。

第六ポンプ (ハヤカワ文庫SF)
パオロ バチガルピ
早川書房
¥1,078

Tags: sf book

2014-03-22(土) [長年日記]

ホスピスに転院した父を見舞い

末期癌で入院していた親父が、病院でできることはほぼなくなったこともあって、鶴巻温泉病院にあるホスピスに転院したのはおれがアーリントンに行ってる間のこと。今日になってようやく見舞いに行けた。

ホスピスといっても治療をしないだけで病院ではあるので設備なんかは病院と変わりないのだけど、患者がエレベーターに乗って勝手にどっかにいかないように簡単にはボタン操作ができなくなっていたり、スタッフの服装や物腰から病院っぽさが排除されていたりして興味深い。面白いのが、病院だと有料カードで別料金になっているTVや冷蔵庫の利用が料金に含まれていて、娯楽をケチるという発想をしなくて良くなっている点だ。もう何も我慢しなくていいという雰囲気を作っているのだな。

なんて面白がっているのも親父はもう鎮痛剤漬けでほぼ意識がなく、話しかけても反応がないからで、さすがにもう覚悟も済んだのであとは安らかに逝ってくれと祈るだけという状況にあるからなのだけど。だれもが「理想の死にざまはぽっくりだ」とは言うものだけど現実はなかなかそうはいかないもので、かといって治る見込みもないのに延命治療で生きる屍としてチューブにつなぎとめておくのもかわいそうだし、この宙ぶらりんの状態がなんとも居心地が悪い。だからといって「早く死んでくれ」というのとはちょっと違うし。

調子がいいときはまだ会話が成立することもあるらしいので、これからはもう少し頻繁に見舞わないとなぁ。


2014-03-21(金) [長年日記]

ドーラ、人間と同じ薬を処方される

[写真](2ヶ月も前の写真でお茶を濁す)

数日前、ふとドーラの口をあけて見たら歯茎が真っ赤に腫れていて、なんじゃこらということでかみさんに病院に連れて行ってもらった。診断は免疫系の病気で完治はしないとのことで*1、対処療法しかないらしいが、処方された薬をみてびっくり。これ、おれが処方されてるステロイド剤と同じじゃん。

副作用の強い薬を気軽に処方されるのも驚きだが、投薬量も1日でおれが飲んでる量の半分も飲ませるというのもまた驚きだ。だって体重にして1/20しかないのに。そこで心配になって調べてみたら、どうもステロイドの効き方は人間と猫ではかなり違うらしい。長期服用による副作用もほとんどないそうで、猫にはわりと普通に処方されているものらしい。へー、面白いなぁ。

ということで、数日間にわたって投与してみたら、ぶじに腫れは引いた。でもまた出るかも知れないから継続的に観察しないといかんのだねー。まぁ野良猫はいろんな病気を抱えているものだし覚悟はしてるけど、なにしろ本人が痛いとか言ってくれないから困るよなぁ。

Tags: dora

*1 血液検査もなしにこういう診断が下せるものかどうか怪しい気がするのでセカンドオピニオンを求めるべきかも知れない。いずれ。


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