2012-09-01(土) [長年日記]
■ 話題の電子書籍「Gene Mapper」を買ってみた
(電子書籍的な文脈で)「Gene Mapper」というSF小説が話題になっていたので、買ってみた。500円のところ発売記念価格で300円。
まだ読んでないので中身に関してはまたいずれだけど*1*2、その売り方がすごいわけですよ(バンバン)。
まず、出版社や取次を介さない、自己出版。そしてGumroadを使った直販。さらにKobo StoreやAmazonでも販売。やり方はハリーポッターに近い。やっぱ著者に技術があればこれくらいはできちゃう時代なんだなー。出版社は自身の価値をそうとう考えぬかないとやっていけないですね。
さらにマルチフォーマット。ベースはEPUB3だが、それぞれ横書き・縦書き、それからKindle用、PDF、青空文庫形式まで。おれは小説は縦書きで読みたい世代なのでPDFにしたが*3。もちろんDRMフリー。おまけに原稿はCreative Commonsで公開。以前『「後世に残る」のは紙か、電子か。』でも書いたように、この戦略は正しい。この著者は、自身の作品を後世に残すすべをわかってる。
……ということで、これはかなり理想に近い電子書籍の流通方式だと思う。なにより誰も損をしていないのがすごい。もちろん、著者に力量があるからできたことだけど、このうちどこかの部分を出版社や書店が担えればいいだけの話なので、囲い込みのことばっかり考えてないで、そろそろこういう優秀な個人に学んではどうですかね。