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ただのにっき


2012-03-09(金) [長年日記]

リストウォーマーを編む(3) - 完成!

完成!

ここのところ暖かい日が続いていて「やべー」と焦りながら(でも少しずつ)編んでいたのが、昨晩ようやく完成。そしたら今日からまた寒いとか。助かった(?)。例によってアップで見たらいけない出来、とくに袋編みにした親指部分は実に怪しい感じではあるが、細い糸で編むと薄くできていいな、作業がつらいけど。

さっそく今朝から家の中でPCに向かうときに着用している。手首が暖かいと指先が冷たくならない。これは良いものを作った。アルパカの毛には野生を呼び覚ます何かがあるらしく、やたらと猫が噛み付きたがるのが難点だが。

これで今シーズンの編み物はおわりかな。マフラー2本と腹巻、リストウォーマーと、なんだか巻くものばっかりだ。実はかみさんの生産力がえらく高くて、自分のものだけでなく人にあげるものも含めてずいぶんたくさん編んでいた。おれも帽子とバイク用ネックウォーマーをもらってしまったので、今年は身の回りにずいぶんニットが増えたよ。ウールが大好物の猫がいる家とは思えない(笑)。

Tags: knit

2012-03-08(木) [長年日記]

GitHubのセキュリティホールがふさがったのでSSH Keyを確認しよう

先日、Railsアプリにありがちなセキュリティホールがあることが判明したGitHub。詳細は@sora_hによる「github の mass assignment 脆弱性が突かれた件」が非常によくまとまっているので参照のこと。脆弱性の内容そのものもだけど、開発者として脆弱性指摘をどのように受容、対応すべきかを考えさせられる事例だった。

で、これはようするに赤の他人が任意のリポジトリへのコミット権を取得できてしまうという事例だったのだけど、脆弱性の内容をみる限りその他のさまざまな入力もスルーされていた可能性がある。ということで、その対策が(おそらく)なされたのだろう、今朝になってGitHubから「SSH Keyの確認をせよ」というメールがいっせいにユーザに配信された。3日で修正とか、GitHubの中の人もずいぶんがんばった感が。

もっともメールがかなりそっけなないので、tDiaryの開発に加わるためにわざわざGitHubアカウントをとった人も読んでいるであろうここにもいちおうやり方を書いておく。

メールにも書かれている https://github.com/settings/ssh へアクセスするとこんな感じになっている(すでに1つを残して確認済み。念のためモザイク入れてあるけどたぶん意味はない):

[スクリーンショット]GitHubのSSH Key登録画面

登録済みのSSH Keyがずらっと並んでいるんだけど、ここに書かれているfingerprintが正しいかどうかをチェックして「Applove」ボタンを押す(もちろん身に覚えのないものであれば「Reject」を押す)のだが、そのfingerprintは以下のように確認できる:

% ssh-keygen -lf ~/.ssh/id_dsa
1024 XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:b8::bb:71:2f:fc:af /home/sho/.ssh/id_dsa.pub (DSA)

「~/.ssh/id_dsa」は自分のSSH鍵ファイル。dsaじゃなくてrsaかも知れない。公開鍵(~.pub)でも秘密鍵(.pubなし)のどちらでも可。また、ssh-agentやkeychainを使っている人は、以下でも得られる:

% ssh-add -l
1024 XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:XX:b8::bb:71:2f:fc:af /home/sho/.ssh/id_dsa (DSA)

これをGitHub上の表示と比較すればよい。まぁ、全桁比較しなくてもいいと思うけど。

Tags: github
本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

zunda [端末に表示されたssh-keygen -lの結果をコピーしてGitHubのページが表示されているWWWブラウザ内の文..]

ただただし [おお、そりゃそうだ。あったまいい~]

sora_h [github.com/blog を見るに SSH key の mass assignment 脆弱性はすぐに修正され..]

hsbt [https://github.com/settings/security を作っていたのかもね]

通りすがり [zundaさんの方法で完璧なんですが、本文の最後に念のためにツッコミをいれておくと、sshのfingerprintは..]

ただただし [おお、なるほど、それはたしかに可能な攻撃方法ですね。気をつけます。]


2012-03-07(水) [長年日記]

「後世に残る」のは紙か、電子か。

偶然だと思うが、「本(や資料)を後世に残す」という同じキーワードが踊る記事を立て続けに読んだ。ひとつは日経ビジネスオンラインの「“ブックオフビジネス”は業界全体で取り組むべき」で、古本業界の「目利き」がチョイスした本だけをデジタルアーカイブせよという提言。つっこみどころは色々あるがたぶんログインしないと最期まで読めないと思うので、一部だけ引用:

オンデマンド印刷技術も進化して、トナーの定着率の向上を果たしているが、それでも、紙にインクを吸い込ませるオフセット印刷に比べたら耐久年数には雲泥の差がある。1万年前のアルタミラの洞窟の絵が残されているように、自然物に溶けこんで記録されたデータの方が、はるかに過酷な年月に耐えうるのだ。

古代の壁画はべつに目利きが優れた作品を意図的に残したわけじゃなくて、たくさんあった壁画のうち、破壊や日照を免れて、かつ現代人が目にすることができたごく一部が奇跡的に知られているだけだ。希少性はあるが、同時代に製作された作品の中でとくに優れているわけではない。紙への印刷物にしたって、本当に長期間残そうと思ったら中性紙に顔料インクでも使わなければせいぜい100年というところなわけで、偶然残った1万年前の壁画と、大量生産が可能になってからの書籍の保存を同じ土俵で語るのはずいぶん乱暴な話だ。

我々がいまも優れた書籍を手に取れるのは、「目利き」の意図によって残りやすくなっているのはもちろんだが、それよりも大勢の人が分散して同じ物を保管していたことの方がよっぽど重要だ。どんなに良いものであっても、最初から一品モノとして制作されていたり、すべて同じ場所に保管されていたら、今よりもっとたくさんの作品が消失していたことだろう。このエッセイで「失敗する」と予言されている「電子アーカイブ」もどうやら「一箇所に」「1つだけ」保存するイメージのようだ。紙の本と同じように、複数のコピーを分散して残すという発想はないのだろうか。

もうひとつはTogetterにまとめられた民間事故調のWGメンバーからのメッセージ。事故調の報告書をどのように公表するかというくだりでやはり似たような話が出てくる:

後世の評価に委ねるためには、後世に残る形で報告書を残しておきたいと思う。であるならば、紙媒体のほうがいいのではないだろうか。

ちなみにこの秋山氏の発言から報告書の公表にあたっての要件を拾うと、「できれば無償で公開したい」「多くの人に行き渡らせたい」「後世に残したい」というところなのだが、なぜか行き着いた先が紙の書籍での販売とのこと*1。いまどきこの手の報告書が最初から電子化されていないことはまずありえないので、それをPDFにして(というか報告書の原本がPDFである可能性が高い)、ネットにポンと置くだけでこれらの要件は満たせるはずだが*2。もちろん、書籍という形でしか手に取れない人向けに並行して印刷物を販売するのは良いことだと思うが、Print on Demandのようなサービスだって今はある。どうもこの人も、「後世に残すなら紙」と思い込んでいるようにみえる。

本気で後世に残したいのなら、昆虫や魚がとっている戦略を真似れば良い。つまり「一度に多量に産む」のだ。一品モノの壁画には偶然に頼るほか後世に残る手段がなかったが、印刷技術の登場によってたくさんの複製が作れるようになった。だが紙はかさばって保管に困るし、複製コストも一定レベル以下には下がらない。しかし、電子データなら圧倒的な低コストで無数のコピーを生成でき、しかも保管場所もとらない。分散して保管しておけば、仮に人類が電気テクノロジーを失わないかぎり損なわれることはないだろう。

もちろん、保存メディアの種類だって多いほどよい。電子データだけでなく、紙でも残すべきだし、なんなら石版に彫っても良い。『後世に残るのは紙か、電子か』という問いの答えは「両方!」だ。少なくとも「紙だけ」に頼るよりはよっぽどマシなはずである。

Tags: ebook

*1 ちなみに報告書は電子書籍としても販売されるようだが、現代の日本における電子書籍の多くはDRMガチガチの「寿命付き電子貸本」にすぎないので、後世に残すという要件はまったく満たさない。

*2 公開サーバの提供だってGoogleあたりに頼めば無償でやってくれるに違いない。というか普通にGoogle Docsを使えば良い。

本日のツッコミ(全12件) [ツッコミを入れる]

Before...

当事者 [ただただしさま、 ご丁寧なメッセージありがとうございました。こちらこそ、非常に考えさせられる議論をさせていただきあ..]

ただただし [> 秋山さん もちろんです! これからもよろしくお願いします。公開手段について、新たな展開ができると良いですね。]

高橋征義 [今回のような場合とは異なるかもしれませんが、現在国立国会図書館では「インターネット資料収集保存事業」としてWebサイ..]

ただただし [電子書籍の納本にかんしては自分も記憶にあったので、この記事を書くときにちょっと探してみたんだけど、その後の動きが見つ..]

ただただし [関連メモ: http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/atstat/jss75shunen/ 20..]

ただただし [気づくのが遅れたけど、Discover21はこのエントリから2年してDRMを撤廃したようだ。というわけで、遅くなった..]


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