2011-04-18(月) [長年日記]
■ Desireへの音楽ファイル転送を「WiFi Tunes Sync」に変更した
PCからDesireへの音楽ファイルの転送には、以前自分で書いたスクリプトを使っていた。iTunesをRubyのwin32oleから操作するという面白みはよかったんだが、いかんせん、転送中はケーブルにつなぎっぱなしだから持ち歩けなくて不便(家の中でもけっこう使うので)。なにしろ毎回5GBくらい転送するので、けっこうな時間がかかるのだ。
というわけで、WiFi経由で転送してくれるツールを使うことにした。
選択肢はいくつかあるようなのだけれど、作者が日本人なので日本語も安心、ということでWiFi Tunes Sync Pro(100円)を使うことにした。
動作確認用に転送ファイル数に制限のある無料のProじゃないヤツがあるので、数日前、まずはそれを試してみたんだけど、いざ転送を始めるとアプリが落ちてしまう。弱ったなー、と思いつつ放置していたら今日になってアップデートが出たのでリトライしてみたら今度はちゃんと動いた。
この手のツールはPC側にサーバソフトを入れる必要があるのだけど、これが「サイトから別途落として下さい」みたいな手間をかけさせないのには感心したな。アプリから端末のSDカードにダウンロードしてくれるので、USBでつなげてインストールすればいいのだ。ナイスなアイデア。ローカルネットワークをスキャンしてサーバを見つけてくれるし、最初にステップバイステップで設定ができるチュートリアルが出たりして、なかなか手が込んでいてすばらしい。
転送速度は有線に比べても遜色ない感じ(Rubyが遅いのか、はたまた端末の限界なのか)だし、ポケットに入れて歩きまわっている間に転送が終わってくれるんだから、これは楽で良い。これで100円は安いわ。
2011-04-17(日) [長年日記]
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言語設計者たちが考えること (THEORY/IN/PRACTICE)(Federico Biancuzzi)
なんと、1月20日にPDFを買って以来、ずーっと持ち歩いていたのにいまごろ読み終わるという。まぁ、他の本に寄り道しながらだったのだけど。というのも20個近いプログラミング言語について、作者にくまなくインタビューしているので、つまみ食いしながら読めるし、一方それぞれの項がかなり深くつっこんだ内容なので続けて読むと疲れてしまうしという。なにしろ厚いので*1、体力がいります。
驚くべきことに、プログラミング言語の本なのにその言語がどういうものなのか、本文中にほとんど説明がない。サンプルコードすらないから、いま話題になっている言語がどんなものなのか事前に知識がないと雲をつかむような感じになる。自分はさほど言語に興味のある向きではないから、この中のほんのいくつかしか触ったことがないし、おかげで新章に入るたびにその言語についてGoogle様におうかがいをたてる始末。
とはいえけっこう面白かったと思えるのは、登場する開発者の多くがかなり辛辣で、いちいち他の言語のことをけちょんけちょんにしているからだろう。冒頭、C++がJavaをメッタ斬りにしたかと思えば、続くPythonがC++をずたずたにする。読みはじめる前は、ちょっと浮世離れした言語開発者たちが、「ぼくの考えたプログラミング言語」について幸せいっぱいに語る本だと思っていたのに、蓋をあけてみれば他言語disりまくりのサウザンクロス・シティだったという。
なんといっても「すげーなー」と思うのが、インタビュアたちの言語に対する造詣の深さだ。これだけさまざまな言語について表面的ではないインタビューをできるのはすごい*2。しかも、複数の作者のいる言語はちゃんと(たぶん)全員に話を聞いている。AWKの3人がちゃんと登場してるんだから嬉しいじゃありませんか。あとUMLも3人にインタビューしていて、3人とも「UML 2.0は失敗」って言い切ってておかしかった。
特にEiffelのBertrand Meyerが強烈に手厳しくて、読んでるともう他の言語はどうしようもなくダメでEiffelこそが至高の言語という気になってくる……のは、おれがMeyerの「オブジェクト指向入門」でオブジェクト指向を勉強したせいだと思うけど。といってもいまだにEiffelは使えないけど(ダメじゃん)。
オライリーからPDFを買うならこちらだけど、いちおうAmazonへのリンクを貼っておく:
言語設計者たちが考えること (THEORY/IN/PRACTICE)
オライリージャパン
¥2,755
オブジェクト指向入門 (ASCII SOFTWARE SCIENCE Programming Paradigm)
アスキー
¥2,548
2011-04-16(土) [長年日記]
■ 「東北関東大震災下で働く医療関係者の皆様へ――阪神大震災のとき精神科医は何を考え、どのように行動したか」を読んだ
「東北関東大震災下で働く医療関係者の皆様へ――阪神大震災のとき精神科医は何を考え、どのように行動したか」というテキストが無償公開されていたので読んでみた。この本に収められている、中井久夫の手記「災害がほんとうに襲った時」ですな:
9784622037972
阪神大震災の直後から、神戸大学の精神科病棟で治療にあたった筆者の手記なのだけれど、いやもう、すごい。なにがすごいって(不謹慎きわまりない感想なのは百も承知だが)文体がすげーカッコイイのよ。おそらく精神科医ならではの姿勢なのだろうけど、対象からは一歩引いた視点が客観的でクール。それでいて賞賛すべき人は決して見逃さず、きっちり称える(が、過度に熱くならない)。いやぁ、これが1930年代生まれの力か。
災害と精神科というとPTSDのことばかりが取り沙汰されがちだが、災害直後はそれよりも既存の患者に継続的な投薬をすることの方が大切でかつ困難だ。筆者はそれを兵站の観点やボランティアの重要性の考察などをからめながらテキパキとこなす。避難所になった学校の校長への気配りなど、精神科医でなければ気づかないようなポイントにははっとさせられる。災害の現場で指揮をする立場の人にはすべからく読んで欲しい……というか、今じゃなくて二ヶ月前の被災地に届けたいよなぁ。これを読んでから災害に遭ったら心構えがすげーちがうぞ。
テキストの提供フォーマットはHTMLとEPUB。いつものようにcalibreでmobiに変換してKindleで読んだ。HTMLもケータイの画面に合わせて細長く整形してあるので、どれを選んでもストレスなく読めるだろう。
これらの提供フォーマットを考えたのが、この企画の発案者である最相葉月なのか、サイト制作を担当した「フジモト」なる人物なのかわからないが、被災地の制約のある環境のことをちゃんと考えているのがわかる。紙面をスキャンしてPDFにしただけとか、オンラインじゃないと閲覧できないFlashのビューアでお茶を濁している他の出版社とは一線を画すすばらしい仕事。
もっとも、これですら満足に閲覧できない環境もまだまだあるのだろうなぁ。というか、のんびり本を読む余裕もない医師、看護師も大勢いるだろう。願わくば、本書を必要としているできるかぎり多くの人の手に届きますように。