2007-10-03(水) [長年日記]
■ まんが『アジャイルレトロスペクティブズ!』
「タイトルがひどい」とDan KogaiにDISられた、『アジャイルレトロスペクティブズ』を、誰からも文句の出ない方向性の表紙に変更してみたよ! 絵心がない分は秋月律子さんに補ってもらいました。
計算高くてクールだけど、実はけっこう夢見がちな18歳の女の子(もちろんメガネ)が、レトロスペクティブの女神から魔法を授けられたことをきっかけに、いろんな「ふりかえり」に巻き込まれていくというお話なんだ。「アジャイルレトロスペクティブズ!」と唱えると、魔法少女に変身するよ!
ちなみに作者の「こだまサヌール」さんは男性だけど、実は奥さんが描いているというのが業界の噂。
『アジャイルレトロスペクティブズ!』を買った方はこんな本も買っています:
からっと!(1) (BLADEコミックス)
マッグガーデン
¥1
2007-10-01(月) [長年日記]
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THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 10 秋月律子(若林直美(秋月律子))
正直、律ちゃんには興味なかったんだけど*1、ニコ動で20本を越える販促動画(といってもファンによる自発的な販促だが)を毎日のように見ているうちに、洗脳されて買ってしまった。ニコ動恐るべし。
すでに洗脳済みなので「いっぱいいっぱい」を冷静に評価できる自信はないが、じっくり聞いてみると律ちゃんけっこうカワイイ声してるじゃん! てな感じで高感度アップ。しかし本命はそのあとの「東京は夜の7時」なわけだが(おっさんホイホイ的な意味で)、どの曲もアレンジ効きすぎというか、伴奏の音量が大きすぎて声が聞こえないという。何考えてんだか。もったいない。
なんにせよ律ちゃんの魅力はよーくわかったので、これからはニコ動でも敬遠しないで見ることにしました。というかまだ未見が300本以上あるわけだが。ぜんぜんリアルタイムに追いつけない。とほほ。
*1 メガネというだけで許されると思ったら大間違いである。いまどきあんなステレオタイプな設定で済まそうなんて、キャラクタデザイナは猛省すべし。メガネを取ったほうが美人というのもひどい話だ。
■ ラノベって増刷しないの?
『ロケットガール』の新刊、出てすぐに買えばよかったんだけど、Amazonの8月の支払いを待っていたら品切れになってしまって、そのままずーっと品切れのまま。ユーズド商品が2,480円って、どんな稀少本だよ。リアル書店でも、入るたびに探しているんだけどぜんぜん見つからない。どこかに在庫がないもんだろうか。今回は小惑星探査ネタがあるという話を聞いていたので、楽しみにしていたんだがなぁ。
それにしても、初刷部数を見誤りすぎだろう、富士見書房。見誤るのはいいが、とっとと増刷すりゃいいのに。もしかしてラノベって増刷しないビジネスモデルだったりするのだろうか。たしかに毎月ずいぶんな数が出るジャンルだから、見積もりより少なめに刷って売り切ったらおしまいという方がリスクの少ない、いい商売になるようには思うが。そう言えば常々、一般の本屋でラノベの棚って出版点数の割には小さいよなぁと思っていたんだ。そういうことか。まるで雑誌じゃん。
2007-09-30(日) [長年日記]
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セキュリティはなぜやぶられたのか(ブルース・シュナイアー)
遅ればせながら。
のっけから9.11の「攻撃側」のプロジェクトマネジメントがいかに優れていたかを分析し始めて(いや実際優れているわけだが)、度肝を抜かれる。本書の執筆が2003年だそうだから、まだ一般向けのメディアでこういうこと書くのはタブーだったんじゃないだろか。勇気あるなぁ。というか、このままマネジメント本になっちゃってもよかった気がするが、その後はちゃんとセキュリティの話になる。
全体を通じて力説されているのは、セキュリティは特別なものではなく、生きとし生けるものすべてに関わるごく普通のことだということ。そしてセキュリティの評価をするときに指標にできる、一般的な5つのステップについて、厖大な量の事例を参考にしながら身につけることである。
とにかくうんざりするほど事例が多くて、整理すれば半分くらいの厚さで済んだんじゃないかと思うんだけど、読み終えてみると必要なだけの量だったのかもと思う。大きなところでは9.11のような大規模なテロの話を扱って、9.11後の対策にいかに効果がないかを暴き、有権者として何ができるかを考えさせる。いっぽう身近なところでは「食品が食べられるかどうか見た目や匂いで"認証"する」こともセキュリティだと説く*1
他にも、映画館でチケットの「売り場」と「もぎり」が別々なのはなぜかとか、考えたこともなかったようなところに効果的なセキュリティ対策が施されていたり。そういえば以前考察したナンバープレートをなぜ隠すのか問題についてもいろんなリスクをあげてあって、なるほどなぁという感じ。
我々は生活のありとあらゆる場面でセキュリティに囲まれており、どの課題に対してどんな対策をするべきかを決断し続けて生きている。セキュリティ問題は継続的で変化に富んでいるので、けっして終わることがない。だからこそ専門家に任せることなく自分で考える必要がある。……ということを、じっくり理解できる名著。
余談。どうも用語がいくつか気になって仕方がなかったんだけど、特に「剛性が高い」という言い方。普通「剛性」は高い方が良いという印象を与えるから、セキュリティに関しては逆に「剛性が高いのは悪い」と言うのはどうかと思う。読んでるあいだ中、ずっと混乱した。硬すぎて壊れやすいことを日本語では「脆い」とも言うわけで、もうちょっと言葉を選んでも良かったんじゃないか。たぶんセキュリティ業界では普通の言い方なのかも知れないけどさ。
あと本書に限らないけど「リスクをとる」って言い方も混乱するよなぁ。たぶん「take」から来てるんだろうけど、「とる」だと「取り除く」と「受け入れる」のどっちだかわからない。前者の意味で誤用されている例がすごく多いことからわかるように、適切な用語とは思えない。今からでも変えられないもんだろうか。
ということを言い始めると、この邦題もちょっとひどいよなと思うわけだが。ちなみに原題は「Beyond Fear」で、恐怖に駆られて見当違いで効果の低いセキュリティ対策に走るのではなく、冷静にトレードオフを計算しろという本書のテーマにしっかりマッチしている。邦題はまるで、クラッカーの手口分析の本みたいだ。
*1 なるほど、青木さんのアレはセキュリティ問題だったのか。
◆ TrackBack [http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50924397.html 40..]
◆ tokoya [秋月律子さんといえば、あのお店のオーナーだという事を最近知って驚きました(笑)。 http://ja.uncyclo..]
◆ ただただし [いや、あれはブティックですから! つーかアンサイクロペディアの情報を広めないように(笑)。]
◆ kdmsnr [「!」をつければよかったのか...(そこじゃない)]